読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

おなじ釜の飯 乃南アサ 小説新潮2005.10月号

2006-02-03 23:17:29 | 読んだ
<歳の離れた女同士の友情には「理由」があった――東京谷中を舞台に著者独壇場の人情味が冴える連作>
とある。

連作ということは、今後も続くということ。小説新潮では「ボクの町」シリーズもあるから2つのものを書き分けるということなのだろうか?
と、心配しつつも乃南アサは読みたい作家の一人でもあるので歓迎である。

さて、歳の離れた女同士の友情の「理由」とは・・・
小森谷芭子は29歳、江口綾香は41歳。
二人はおなじ釜の飯を食べた仲である。

おなじ釜とはどこかといえば「刑務所」なのである。
彼女たちは「前科者」

芭子は、自分の経歴を隠し、というか隠せる職場マッサージ治療院へつとめ、将来の当ても無く、ただただ自分の浅はかな罪に身もだえしながら生きている。
綾香は、前科がばれればそのときはそのとき、と半ばあきらめながら、わりと陽気に生きている。

この二人がどう世間とかかわっていくか?
というのがこの物語の面白いところ。
犯した罪というのは法によって裁かれるが、法で裁けない罪、のようなものを社会はどうすべきなのか?
ということを描くのではないか、と思っている。

期待度は高い。
コメント
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