読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

後北條龍虎伝 海道龍一朗 小説新潮

2006-02-04 15:34:26 | 読んだ
小説新潮の2005年2,6,9,12月号と2006年2月号に掲載されている。こういうのは連載というのだろうか?
兎も角現在進行形の小説である。

「後北條」というのは北條早雲からはじまった小田原の北條氏をいう。最後は豊臣秀吉に屈服させられた、あの「北條」である。
であれば「前北條」というのもあるわけで、これは鎌倉幕府の執権職をつとめてきた「北條」のことである。

戦国時代初期というか足利時代の関東・東海・甲信越の争いは、複雑で、よくわからないことと、北條氏の最後が、例えば「小田原評定」という言い方をされたり、時勢をよくわからない無能な人々だったりというイメージがあり、これまで読んでいなかった。

大体「堀越公方と古河公方」「扇谷上杉と山内上杉」とかで混乱が始まり、それに味方する人々が、あっち行ったりこっち来たりして、よくわからない。それに加えて日本史全体に大きな影響を及ぼした、ということもないので割りに軽く扱われているところがあるので、これまで「まあいいか」と思っていたのである。

さて、この「後北條龍虎伝」は北條3代「氏康」が主人公である。
北條家は初代の早雲、2代氏綱、3代氏康までが優秀だったようだ。
丁度「週間 日本の合戦」で北條氏について二週続けて特集されていたことからまあ下地はあったのだ。

で、この物語面白い。きびきびしている文章で、時代背景の説明もわかりやすく、登場人物もイメージが描きやすい。

歴史小説を読んで何かの役にたてよう、という風潮があるが、そんな下心のある人も、ワレのようにただ読むだけで楽しい人も、十分満足できるのではないか、と思う。

この海道龍一朗も注目すべき作家である。
コメント
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