読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

物語のつづき~しゃばけ~ 畠中恵 小説新潮5月号

2009-05-30 20:29:11 | 読んだ
2月号からはじまった、しゃばけの新シリーズの最終回である。

本シリーズでは、主人公の江戸は通町の廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若旦那:一太郎の目が見えなくなった。

原因は病ではなく、目の神である生目神、品陀和気命(ほむだわけのみこと)が関わっていることはわかっているが、どうしたらその神様と連絡ができるのか手がかりがない。

で、若旦那の友達というか仲間の「妖(あやかし)」たちが、いろいろと骨折りをして、とうとう最終回で、その生目神を捕まえた。しかも、どうしてそんなバカなわなでつかまるのか?
というような手段で捕まえたのである。

そして、若旦那と妖たちと生目神が対決するのである。

対決といっても「問答」というか、生目神の問いに若旦那や妖(あやかし)たちがうまく答えられれば目の光を返すというのである。

その三つ目の問いは、生目神自身がときかねている謎であった。

神の時間と人の時間の感覚の違い、というのがその答えであった。
そして、若旦那は目の光を取り戻すのであった。

「神とは、祟る者・犯す者・喰らう者」である。

というのがこの物語の主題(テーマ)だったのだろう。
今回はちょっと暗い話(目が見えなくなったからだろうか)であった。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

炎の仁将 大谷吉継の生涯 歴史読本7月号

2009-05-26 21:13:14 | 読んだ
大谷吉継とはまたマニアックな人物を特集したものである。

NHK大河ドラマで「直江兼続」を取り上げていることからも推察するのであるが、近頃はこういうマニアックな人を取り上げようとしている「流れ」みたいなものを感じるのである。

そのほかには「片倉小十郎」なんてのも人気らしい。

これらはどうもゲームが火付け役になっているらしいが、それにしてもマニアックになりすぎて、私などは大河ドラマを見ようとも思わなくなってしまった。

さて、大谷吉継といえば、直江兼続とならんで石田三成を支えたとされている人である。
そしてその最期が鮮やかなので人気が出るタイプである。

幕末で言えば、滅び行く徳川幕府を支えた(実際に支えになっていたかはどうかは別として)近藤勇、土方歳三、沖田総司などの新撰組や、遊撃隊の伊庭八郎などが、負けた側では人気が高い。

そういう現象と同じで、滅び行くものを支えた、しかも欲得なく、自分の心根から支えた人たちが人気がある。

実際に欲得がなかったのかどうかはわからないが、さわやかな印象の人たちが人気である。
これも今の時代を象徴しているかもしれない。

冷たい考え方で言えば、滅び行くものは滅び行くべくして滅ぶ、のだと思う。
それはその時代の大きな流れなのかもしれない。
そういう滅び行くものと一緒に滅んでいくというのは、別の角度からみれば「いかがなものか」という部分もある。

大谷吉継の家来にだって、幾人かは「あっち側(徳川)についたほうがいいんじゃないか」なんて思っていたにちがいない。

そういう人たちがどういう行動をとったのか、そういうところに興味がある。
でもそういう人たちの記録ってないんだろうなあ。
赤穂浪士のなかで、討ち入りに参加しなかった人たちの記録がないように。

それにしても、戦国時代から織豊時代を経て徳川幕府が磐石になるまでの歴史というのは、どちらの側にたっても面白い。

ちなみにこういうマニアックなものをやるのであれば、例えば「賤ヶ岳七本槍のその後」とかやってもらいたいなあ。

というわけで、久々に表紙をみただけで、或いは目次を眺めているだけで「面白そう」と思われた歴史読本であった。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指揮 今野敏 小説新潮5月号

2009-05-24 23:27:30 | 読んだ
隠蔽捜査シリーズの番外編である。

以前にも「冤罪」という番外編を読んだが、それと同じで、この物語の主人公も隠蔽捜査シリーズの竜崎伸也ではなく、彼の幼馴染であって警察庁同期入庁の伊丹俊太郎である。

この伊丹は竜崎を勝手に幼馴染で親友と思っているのだが・・・

さて、この物語は伊丹が福島県警の刑事部長であったときのものである。
伊丹は福島県警刑事部長から警視庁の刑事部長へ異動する。

その異動の内示がでて、後任者が到着する前日に、殺人事件が発生する。
伊丹は福島県警に異動になって『徹底的に庶民派を演じる』こととし『現場主義』に徹していた。

それは警察組織が「薩長閥」をまだ引きずっていることと福島県は「会津藩」であったこと。そして伊丹が東大閥でないことから、福島県警でうまくやれるようにするためである。

異動間近での殺人事件にどのように対応すべきか、伊丹は迷う。
今までやってきた『現場主義』を全うすべきか?

そして伊丹は、警察庁長官官房総務課広報室長の竜崎に相談するのである。
(つまり前作『冤罪』と同じパターンである)

そして、竜崎に教えられて伊丹はこの難問をうまく切り抜けるのである。

隠蔽捜査の番外編として面白く読んだのであった。
伊丹が竜崎の危機を助けるのもむべなるかななのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おそめ-伝説の銀座マダム- 石井妙子 新潮文庫

2009-05-22 23:46:47 | 読んだ
こういう伝記のようなものが好きだ。

裏表紙にこう書いてある。

「かつて銀座に川端康成、白州次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は『おそめ』。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上がるが---。(後略)」

伝記というか実際にいた人の話を読んだり聞いたりするのは、現実に自分が関わったときに「厄介」な人がいい。
遠くから見ていると、素晴らしい人、がいい。
大概そういう人は、一緒にいると大変なのである。

というわけで、この「おそめ」本名は上羽秀(うえばひで)はそういう条件を満たしている人である。

彼女は大正12年(1923年)1月15日生まれである。
本のカバーや表紙の前に彼女の写真があるが、上品できれいな人である。

この上羽秀が生まれて、祇園の芸妓なって(これも紆余曲折があった)、芸妓を辞めて(落籍されて)、それから京都でバーを始め、そして東京(銀座)へ店を出す。

とまあ、これだけでも大変な人生なのである。
自分の思うままに生きていることが、成功してしまう、といううらやましい人なのであるが、それは傍から見ていたことであって、本人もいろいろと苦労をし苦悩を抱えていたんだろうと思う。

物語のクライマックスは戦後のことである。
歴史的にみればちょっと前のことだと思う。
だから、著者は本人をはじめ多くの人たちにインタビューをして本書をものにすることができたのである。

しかし、もうこういう(いわゆる昔気質の)女の人はいないし、こういう人生を送ることも不可能である。
そもそも作家が芸術家として特別扱い、いや作家だけでなく議員であれ社長であれ、特別扱いをされ、高級な店で毎日のように飲食できることができなくなった。

だからちょっと前のことなのにずいぶん昔の話、或いは日本であって日本でないようなところの話のように思えてしまう。

「おそめ」その人の魅力も本書から十分に感じ取れるのだが、私には日本という国の変化のほうが感じられた。
その変化がいいのかどうかはわからないのだが、昔は人と人との関りというのが社会の根幹であったような気がする。

それにしても著者は1969年生まれである。
これだけの年代の差があると、情熱的であって冷静にこういう対象(人と時代)に向かい合えるのだろうか。

もっと情緒的であってもよかったのかもしれない、と思いもしたが、何しろ本人をはじめ関係者がまだ生存しているのである。そういう制限を乗り越えてここまで描ければ素晴らしいと思う。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

講談放浪癖 神田山陽 オール読物連載中

2009-05-17 23:24:09 | 読んだ
神田山陽は講談師である。

私は落語はよく聴くが、講談のほうはあまり得手ではない。
しかし、いつだったかこの神田山陽を聞いたとき『おお新しい時代の講談ではないか』と思い、とりあえず注目することにしたのであった。

しかし、注目といったって講談を聴く機会などあまりなく、まあ偶然に出会ったとき注目をしていたのであった。

で、オール読物に神田山陽がこの「講談放浪記」を連載し始めたので、もちろん注目をしているのである。

で、読んでみるとこれが『小難しい』『理屈っぽい』そして『くどいようで省略が多い』と、まあ私の文章と似ているのである。

考え方も似ている。
但し、彼は芸人、考えたことを実行する。
それは、芸人としてわが身で自分の考え方を試しているのだと思う。だから、傍から見れば、無駄なことであったり、馬鹿馬鹿しいことであったり、そして何より何もそんなことしなくても、と思うことまでやってしまうのである。

そうして彼は人知れずそのことで恥ずかしいと思ったりどうしてこんなことしたんだろうなんて、いわば自己嫌悪に陥り、そういう時過去のかっこ悪い自分を重ねて思い出して『あーあ、俺はなんてだめな奴なんだ』なんて思うのである。

しかし、しかしである。
そういう自分を文章で描いているということはどういうことなんだろう?

これも「芸」なのか、それとも「文学」なのか。
もうしばらく、注目してみよう。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なみだ特捜班におまかせ!<サイコセラピスト探偵 波田煌子> 鯨統一郎 祥伝社文庫

2009-05-14 20:33:58 | 読んだ
「サイコセラピスト探偵 波田煌子」シリーズの第2弾である。

前作「なみだ研究所へようこうそ」では、主人公波田煌子はメンタルヘルスクリニックの所長として、やってくる患者たちの悩みをセラピストとして解決していた。

といっても、その解決方法がセラピストとしての知識や経験を生かしたものではなくて、どちらかといえば「直感」と「無理な或いは意外な発想と組み合わせ」によるもので、『なにがセラピストだ!』というツッコミ満載のものだった。

その最後の物語で波田煌子は、警視庁の特捜班にプロファイラーとしてスカウトされる。
それが今回の物語である。

今回の物語の語り部は、その特捜班に配属された花山仁である。
彼の言葉を借りれば、特捜班とは事実上解散となった捜査本部の裏で極秘に特別捜査を進めるという、いわばシークレット部隊、なのだそうだ。
しかし、その実体は・・・

さて、今回の物語は7つである。
つまり7つの事件なのである。

この7つの事件を、波田煌子は解決していくのである。
鮮やかにそしてトンチンカンに解決していく、というところがこのシリーズの面白いところである。

重要な証拠と思われていたところ、事件のカギと思われていたところが、実は的外れ。
ということになるのだが、的外れはやっぱり波田煌子のほうだと思うのである。

その的外れぶり、トンチンカンぶりと結果的に解決してしまう鮮やかさがいい。

あと2作あるらしいが、はやく文庫化されないかと思う。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弔辞屋 森村誠一 オール読物5月号

2009-05-11 23:29:56 | 読んだ
森村誠一の小説、しかも短編です。

推理小説なのか、と思って読み始めたら違っていた。

主人公・二宮英次は、定年までつつがなく勤め上げハッピーリタイアしたが、退職前に思い描いていた計画を実行できず、無為に日々を送っていた。

そういうときに高校時代のクラス会の通知がきて参加する。
クラス会での同級生たちのスピーチに改めて今後の人生を考えさせられる。

曰く
「現役から老後にうまくスライドできない者は引きこもりになりやすい」
「青春時代は自分の人生にとって宝石のようなものであるが、その宝石を乱費してしまった。しかし、もう一度青春時代をおくることができても乱費してしまうに違いない」
「よせいは余る生ではなく、誉ある生だ」
「男性には自由の嫌いな方が多い」

そして二宮は
「自由になって面食らっているが、自由と対決したい。自由には野垂れ死にする自由も含まれている。野垂れ死にを恐れていては自由になれない」
とスピーチをする。

そう決意した二宮であったが、妻に離婚を申し出られ承諾する。

二宮は若い頃よく山に登った。
乱費した青春の宝石を探すためである。
その旅支度の最中、青春時代の登山で出会った、星野路子の訃報が届く。
星野路子の思い出にふける二宮ものもとに、路子の妹・三枝頼子から、路子の葬儀にでて弔辞を詠んでほしいという依頼と、路子はずっと二宮を思っていたという知らせが届く。

迷ったが「たった一人の異性」とまで思っていてくれたという路子のため、そして自分の引っ込み思案というか勇気の無さを払拭するため、葬儀に出席して弔辞を詠むことにする。

二宮は葬儀委員長の次の弔辞であった。
路子は、地元ではかなり名を知られた歌人であった。
そういうことを知り、二宮は用意していた弔辞ではなく、アドリブで路子に語りかけた。

そして・・・・

二宮は定年退職をして妻から離婚を申しでられて同意をして・・・という、実に定型的な第2の人生を歩み始めたが、浪費した青春の宝石を探そうとして、意外なものにであう。

こういうことはあまり無いとは思うが、しかし、人生をきっちり考え、野垂れ死にする覚悟さえあれば、青春の輝きの少しは取り戻せるのかもしれない。

物語は、森村誠一独特の生硬い文章が、二宮の人生に対して真摯な態度で臨む姿勢を生真面目に表現していて、いわゆる一つの世界を見せてくれる。

そろそろ老後を考えさせられる。
退職していった先輩たちを見るたびに、複雑な感情がこみ上げる。

なんだか身につまされる小説である。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

連休~身体が痛い~

2009-05-07 23:39:49 | 日々雑感
連休いかが過ごされましたか?

私は今年から始めた野球チームで2試合しました。
最初は3日(日)で、先発投手ということで4イニングを投げ2失点。

試合は、最終回となった6回表、2対2の同点から我がチームが1点を取り、これで勝ったと思ったら、その裏2点をとられサヨナラ負けを喫した。

で、その日のうちから身体全体が筋肉痛となった。

年をとると身体が痛くなるのは次の次の日、なんていわれているが、もっと年をとると、やっている最中から痛くなる。

というわけで、4日と5日は、リハビリに努める。
おかげで、5日の午後には階段を降りることができるようになった。

で、6日(水)である。
この日は特別で、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である、Kスタ(クリネックス・スタジアム)での試合である。
身体が痛いなんていっていられない。

でも・・・
練習を始めたら、肩が痛くてボールを投げられない。
やっと、ホームベースに届くくらいである。

それでも、メンバー表に書いてしまった、ということで先発。

1回表を、何とか投げて無失点。
とても、Kスタのマウンドを味わう気持ちではなかったが、まあなんとか投げられた。
その裏我がチームが4点を奪取。
2回表のマウンドに上がるが、ボールが届かない、ということで降板した。

試合は6対3で勝った。

Kスタ3塁側ベンチから見た風景



そして、次の試合、2塁塁審で見た風景
                       

またKスタで試合ができることになったら、今度は万全な体調でのぞみたい。
それには日ごろの練習が必要。頑張らなくっちゃ!

それにしても、まだ身体が痛い。どういう程度かというと、「気をつけ」の姿勢から両腕が45°位しか上がらない状態なのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする