読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

逆軍の旗 藤沢周平 文春文庫

2014-02-20 23:32:02 | 読んだ
「文字の大きな新装版」である。

病院での検査に付き添いで行って待ち時間の間に読んでしまった。
待合室向きの文字の大きさであった。

この本には
・逆軍の旗
・上意改まる
・二人の失踪人
・幻にあらず
の4編が収められている。

本の題名となった「逆軍の旗」は、明智光秀が主人公の小説である。

明智光秀は、私の好きな武将でもある。ちなみに石田三成も好きだ。もっとも一番好きなのは徳川家康ではあるけれど・・・

明智光秀も石田三成も、冷静沈着で常識的で保守派なのに、なぜか一時の激情に駆られて「やっちまった」人である。
そのあたりが「好き」な要因である。
しかも、「やっちまった」人で成功するのは、多くの人に愛されているもしくは従えている人でなければならない。
そのあたりも知っているはずの明智光秀と石田三成であるのに「やっちまった」のである。

その明智光秀を藤沢周平はどう描いたのか?
ということがこ、の本を読もうと思った原因である。

この物語で明智光秀の思いに大きくうなずいたのは、家臣の明智秀満に謀反を打ち明けたところ、「すると天下の主になることも考えられますな」と言われ「天下?」と答えるところである。

私も明智光秀は信長を殺すことだけしか考えていなかったのだろうと思う。
でなければ、本能寺のあとがあまりにも杜撰である。

またしても明智光秀が気の毒になった私である。ちなみに討ち果たされた織田信長には同情しない。

「上意改まる」と「幻にあらず」は、著者のあとがきによると郷里の歴史に材を借りたものである、とのこと。

「上意改まる」は、その後の藤沢周平の物語を思わされる、藩の中の勢力争いのなかで揺れうごく家臣たちが描かれ、武士というものの形式美と現実世界での人の情の汚さが対比されている。

「二人の失踪人」はちょっと物足りない感じである。多分実際の話をそのまま描いたからであると思う。
『事実は小説より奇なり』とはいうが、伝え方しだいであるような気がする。

「幻にあらず」は非常に身につまされた話である。
舞台は米沢藩である。
あの名君上杉鷹山と家老の竹俣当綱が主人公であり、米沢藩の改革について描かれている。
鷹山を擁して改革を進めていた竹俣が、最後には堕落してしまうところが、身につまされるのである。

努力を継続するのは難しい。しかも誰も評価しない努力ほど継続するのは難しい。
どこかで「やっちまった」をしたくなってしまう。

この本を読むと「やっちまった」というのは何か人が必ず持っているもので、それを人生の中でいつどのようなタイミングでやるかが、あるいはやらないかが、問題なのであるんだなあと思う。
そして「やったまった」ことが物語の題材となるんだなあと思う。

久しぶりに藤沢周平を堪能した。


「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

孤独のグルメ【新装版】 久住昌之<原作>谷口ジロー<作画> 扶桑社

2014-02-17 21:09:05 | 読んだ
2008年12月7日に、孤独のグルメについて感想を書いている。
今回は【新装版】である。

この間何があったのか、といえば、映像化されたのである。
その出来がものすごくよかった。

私は、その映像版をBSの再放送で見た。
しかし、全部を見られたわけではなかった。
ぜひ、全部を見てみたいと思っていたのだが、昨年末から正月にかけて、ドーンと放映されたのである。
それを録画してDVDにダビングして見ている。(ただし、末娘の不始末により最後の日は録画できなかった・・・くやしい・・・)

で、映像版を見て、それでは原作を一気に読んでみよう!と思ったのである。
実は前に読んでいるのにもかかわらず。何しろ原作を読んでいたというのがうろ覚えだった。
なんとなく読んだような気はしていたのだが・・・

そのうろ覚えの感覚は、原作であまり興奮しなかったためだと思う。
ところが映像版は、興奮するほど面白かったのである。

つまり、原作はあまり面白くない。
だから、読んでいるのにうろ覚えだったのだ。

そして、今回【新装版】を読むとやっぱり映像版のほうが面白いよなあ。
と、思いながら読み続けていると、原作というかこの漫画やっぱりすごい、と思い始めたから、さあ大変。

何がすごい!のかというと「余韻」である。
漫画を読んで最後のコマを見終わったら「ああ、そうだったの↘」とクールダウンするのだが・・・
しかし、この漫画は、最後のコマを見終わった途端に「ホワーン」というカンジになり、少し休みたくなるのだ。

というわけで、また映像を見ることにしている。

更に、実は、数か月前から久住昌之の「食い意地クン」という本を読んでいる。
この本のほうが「孤独のグルメ」に近い。
あまり面白いのでゆっくり読んでいるのだが、この「食い意地クン」に取り上げられた「食べ物」一つ一つに対してコメントを述べようかと思っている。

それにしても、映像版で、主人公:井之頭五郎を演じている松重豊の食べっぷりにはホント感心する。あんなにおいしく食べられるとたまらない。

それで、今、この映像版を見てはまっているのが、つくねピーマンである。これはバカにうまい。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小柳ルミ子&北川大介 バレンタインデー★コンサート

2014-02-15 21:50:27 | 観た、聴いた
昨夜、標題の「小柳ルミ子&北川大介バレンタインデー★コンサート」に行ってきた。

これは、商店会の初売りのイベントでもあり、チケットが手に入ったので行ってきたものだ。

小柳ルミ子は、私の中学生時代にデビューした人であり、天地真理、南沙織とともに3人娘として活躍した人である。
「私の城下町」でデビューし「お祭りの夜」「雪明りの町」と続き「瀬戸の花嫁」でレコード大賞を受賞した。
その後は「京のにわか雨」「漁火恋歌」や「恋の雪別れ」などのヒットが続いた。

しばらく時間をおいて「星の砂」がヒット、それからは忘れられたようになったが「お久しぶりね」がヒット「今さらジロー」「乾杯!」と杉本真人などをの作品が続いた。

最初は清純派だったが、アイドルというのは転機が難しく、映画「白蛇抄」と歌の「お久しぶりね」でチェンジがうまくいったのではないか。
ただ、その後の結婚でなんとなく変な方向にそれたのではないだろうか?

というのが、私が小柳ルミ子に持っている印象である。

まあ、なんというか青春時代のアイドルの一人であったことから、その動静については熱心ではないものの「押さえている」ような状態ではあった。
しかし、なんといいますか、いまさらコンサートに出かける、ほどの思い入れはないので、今回は偶然チケットが手に入ってため行ってきたのであった。

それにどうも印象としては「ツン」としているかんじで、『歌ってあげる』みたいなコンサートではなかろうか、と勝手に思っていて、行っても楽しくないだろうなあ、と期待はしていなかった。

さて、コンサートである。
前座は、地元のミュージシャン(?)が登場、続いて「北川大介」が登場。
この人は初めて名前を聞いたのだが、私が知らなかっただけで、なかなかの演歌歌手らしい。
おばちゃんたちに大人気で、トークも受けていたが、客席の間に入っての握手というはすごかった。

小柳ルミ子は、「お久しぶりね」で始まり、アイドル時代の「私の城下町」「京のにわか雨」「恋の雪別れ」と続き、高齢層の客を昔に戻していった。
それに、トークも「ツンツン」ではなかった。

新曲2曲以外はヒットした歌を披露し最後は「瀬戸の花嫁」という構成は、田舎の高齢層には大満足であっただろう。

というわけで、今の歌謡曲や演歌系の人たちのお客様サービスはたいしたもんだ、という印象を強く持って帰ってきたのであった。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あぶさん №976 最終回 水島新司 ビックコミックオリジナル

2014-02-08 23:28:32 | 読んだ
ビックコミックオリジナル2月20日号で「あぶさん」が最終回を迎えた。

最初から最後まで読んでいたわけではないが、手にとれる時には必ず読んでいた。

この漫画の最大の面白いところは、アブサンが架空の野球選手であるが、他に登場するプロ野球選手が実在の人物だというところである。

実在の人物と架空の人物が絡んでも違和感がないところがスゴイと思う。

あぶさんは
南海に16年間、ダイエー16年間、ソフトバンク9年間で計41年間のプロ野球生活である。

入団は南海の野村監督時代である。
そもそも、今、南海ホークスといっても知らない人が多いのではないか。
ちなみに、あの濃い緑のアンダーシャツのユニフォームは好きだったなあ。

あぶさんが所属したホークスは弱小時代が長かったので、なおさら面白かった。
というのは、フィクションではどうしてもチームが優勝しなければならない時があるから。

だから多分苦肉の策として、1試合の中の1打席がテーマになってのではないかと、疑っていた。

ところが、1試合1打席ということであっても実は「野球」という奥深いものを語っている。
「んー、スゴイ」
と思い始めたころから、実は、あぶさんは最初から通して読むものなんだなあと反省をした。

反省をしたのだが、では最初から読んだのか?というと読むことはしなかった。
それは「今」を追うことで忙しかった(?)からである。

まあ、今回めでたく最終回を迎えたので最初から読んでもいいのだが、どっか全巻そろっていてゆっくり読めるところがないかなあ。(全巻購入して読む気はない<スマン>)

最終回は、あぶさんが野球にのめりこむようになった時代の恩人に、「あぶさん」という吟醸酒をもって御礼に伺うというもの。

この吟醸酒飲んでみたいなあ。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楽天はなぜ強くなれたのか 野村克也 PHP新書

2014-02-04 23:46:18 | 読んだ
楽天関係の本をよく見かける。
まあ地元なので多いんだろうと思うが、ちょっと有象無象の現象ではないか。

その中で、大きくハズレにはならない野村克也本を選んだ。

2月1日からプロ野球はキャンプイン。いよいよなのだ。
キャンプの風景を見るとなんだかそわそわしてくる。
ヤルゾー!とかやらなければ!とか、ゼッタイやったるんだからなー!
という気持ちになる。
気持ちにはなるけれど行動が伴わないのが難ではあるけれど・・・

というわけで、その気持ちをもうひと押しして行動に移すことも目的の一つとしてこの本を読んだのであった。

さて、野村克也の本といえば「敵は我に在り」から読んでいるので、まあある程度は何を主眼としているのかはわかっているつもり。

つまり天性のものが劣る人は、ただひたすら努力することが必要、そしてもう一つ頭を使うことである。

本書においてもその辺が重点である。
野村が批判するのは「考えていないこと」である。
で、考え始めれば今度は「どのように考えるか」ということである。

考えるには「観察」が必要。
そこが「データ野球」の原点。

でも、考えるだけでは駄目である。
考えたことを実行できる体力・技術が必要。
だから練習、そして練習も考えたことができるようにすること。

例えば、次は外角にスライダーがくると考えたら、その外角スライダーを打つそしてヒットにする技術がなければならない。

さて、なぜ楽天は強くなれたのか?
「育成」と「補強」である。

野村は言う
「エースと4番は育てられない」
この2つの柱をどのようにして据えるのか、それが強くなる一つの要因。
エースと4番の柱さえしっかりしていれば勝負になる。
といういことを踏まえて

1.エース田中
2.4番ジョーンズ
3.捕手・嶋
4.若手急成長
5.星野監督

が、楽天が強くなった要因としている。

野村の言うとおりにしていれば百戦百勝だと思うが、そううまくいかないのが勝負事である。
そういう意味では、田中の24勝0敗はものすごいことである。

読んでいると「そうは言ってもなあ」と思うのだが、いやいややっぱり敗因の分析はしっかりしておかないと、また同じように負けてしまう。

野村さんの言うとおりにしたほうがいいような気がする。
そして、ここ一番というときには、星野監督のように「意気に感じる」野球が必要だ。

さて、今年の楽天イーグルスはどうなるのか。
「1回優勝したからいいや」という考えや、「何が何でも連覇だ」という考え方ではなく、どうしたら勝てるのか、どうしたら負けないのか、という原理原則を追い求めたほうがいいと思うのであるが・・・

兎も角、ガンバレ!東北楽天ゴールデンイーグルス!!

<追伸>
明日は東京出張。
梅が咲いたと聞いたが「雪」らしい。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20thとうほく蘭展&バラとガーデニングフェスタ2014

2014-02-02 18:01:37 | 観た、聴いた
近年自分では恒例となった「とうほく蘭展」に本日行ってきた。
今までは土曜日に行っていたのだが、今年は所要のため日曜日。
いやあ日曜日は大混雑である。

ということで、今年の目玉は「青い胡蝶蘭」40分ほど並び観ることができた。
多分40分はまだ短いほうではなかったかと思う。

で、その青い胡蝶蘭
おひとり様一枚のみの撮影ということで



それから今年の大賞


入り口付近の蘭ディスプレーゾーンは大勢の人だかり、その合間をぬって




いろいろな蘭を撮影しましたので、それらを・・・
       



もう一つの目玉。ロマンティック街道の思い出-中世ヨーロッパの街並み- から

蘭とかバラは「派手」という印象が深いが、なかなかどうしていろいろある。
ディスプレーは圧倒されるのだが、いつも思うのだが落ち着かない。

このほか、ガーデニング展示なんかもあるのだが、庭にはあまり興味がないので今一つであった。
ただ、近頃の庭は「水」が配置されている、そういう感想であった。

私は庭には「バッティング練習」ができるスペースがあればと思っているので、ガーデニングはちょっといいやあというタイプである。(尚、できればキャッチボールができればもっといい)

そういう私でも時々は花を愛でたりするのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする