読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

薄桜記 五味康祐 新潮文庫

2012-12-17 23:02:12 | 読んだ
NHKテレビのドラマを見て、やっと原作を読んだ。

で、ドラマとは全然違う。
ということが分かった。

ドラマは「ジェームス・三木」版の薄桜記であった。
それはそれで、面白かったし『アリ』なのだと思う。

しかし、この原作は面白い。
丹下典膳は主役であるが、あまり登場しない。どちらかといえば中山安兵衛の登場が多い。また、典膳と妻・千春との細やかないわば純愛もあまり描かれていない。
まあ、テレビドラマは典膳と千春の純愛物語ともいえるものだから、そんな物語を五味康祐が書いていたのかあ、と思っていたのだが・・・

というわけで、この物語は「忠臣蔵外伝」といえる。

元禄時代を描き(紀伊国屋文左衛門や柳生連也斎が登場)
なぜ赤穂浪士は吉良に討ち入らなければならなかったのか?
何故、吉良方は十分な備えをしなかったのか?
が、描かれている。

今まで色々な忠臣蔵を読んできたが、これほど合点がいくというか腑に落ちる忠臣蔵はなかった。

で、この文庫にはもうひとつおまけがある。
解説が二つあるのだ。
一つは、あの「尾崎秀樹」である。
こちらが本来の解説。

そして、復刊用の解説もついている。
これは荒山徹である。
で、この解説がいい。
五味康祐の解説というものである。

五味康祐の代表作は「柳生武芸帳」であるとされるが、柳生武芸帳は難解である。
なので、柳生武芸帳を読む前に別の作品を読んでほしい、というのだ。

私は高校の時に柳生武芸帳を読んだが、さっぱりわからなかった。
まあ、一つの理由はその当時の新潮文庫の柳生武芸帳は上・中・下の3巻だったのだが、上下しか買わなかったのもある。
ちなみに父も読んだらしく「なんかおかしくないか?」みたいなことを言ったから「中
を買わなかった」と言ってやったのだ!
今思うと「中」買っておけばよかった。

というようなことがあったので、五味康祐を読むということは、以後、雑誌くらいでしかなかったのだ。

でも、今回「薄桜記」を読んで、五味康祐を見直してしまった。
なかなかに面白い。

通販で「中」を買ってみようかなあ。

追伸
高校当時の柳生武芸帳(文庫)は1冊200円であった。

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歴史読本1月号 徳川15代将軍職継承の謎

2012-12-12 23:20:45 | 読んだ
今月の歴史読本は、徳川幕府の将軍職継承にまつわるものである。
更には「初代家康から15代慶喜まで、重大事件の真相」というものがある。

将軍職がまずすんなりと受け継がれたことはなく、継承にあたってはいわゆる「事件」があった。

非常に興味深いではないか。
15代も続くと、影の薄い将軍もいるが、それはそれで興味深い。

そもそも、将軍のエピソードなどあまり出てこないものである。
例えば、13代将軍家定は、何らかの障害があったとされるが実態は判明しない。従って、篤姫(天璋院)とのエピソードも本来どうだったかもわからない。
(まあ、そういうことだから小説も成り立つのだろうが)

幕末の14代家茂、15代慶喜は、江戸城を出て活動をしていたことから数々のエピソード、つまり多くの人の目に留まることがあった。
そういう意味では3代家光から13代家定までは、8代吉宗を除いて江戸城の中で過ごすことが多かったので、巷間流布されているエピソードは少なく、想像で語られることが多い。
その想像がいい加減なものも面白いといえば面白い。

本誌にあるのは、そういう「いい加減」なものではない。
きっかり検証されているので、時に鼻じらむというか身もふたもないというか、そういう気分になることもあるのだが、まじめに検証するというのは、「事実は小説より奇なり」であって、面白い。(こともある)

今回の特集の記事の中では、3代将軍家光と6代将軍家宣が面白かった。

家光は2代将軍秀忠の正室「江」の実子ではないという説は面白い。
となれば、江が家光の弟の忠長を将軍にと強く願ったのは当たり前のことになる。

また、家宣は48歳にして将軍となったが、分別のある将軍であり、綱吉時代の生類憐みの令をすぐに廃止するなど、手腕が期待されたが、わずか3年で亡くなった。
そういえば、ローマの皇帝も高年齢で即位した人は割と安定した施政である。
ただし、ドーンと思い切った政(まつりごと)とはならなかったなあ。
なんて思ったりしたのであった。

兎も角、江戸幕府は300年、15代にわたって続いた。最初は、将軍の指導力でもあっただろうが、つまりは組織と理念が安定していたことが続いた理由ではないかと思う。

その中にあって、将軍は時に「飾り」のようなときもあっただろうが、今回のように続けて検証すると、それはそれなりに大したものだったんだなあ、と改めて思うのである。

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美味しんぼ109 日本全県味巡り 島根編 作:雁屋哲 画:花咲アキラ 小学館

2012-12-10 22:26:58 | 読んだ
どうなるんだ!「美味んぼ」と、常々思っている。
もうネタもないんではないか?
日本全県味巡り、といっても、その土地独特の食べ物はあるものの、それに似たものはいっぱいあるし、いわゆるA級の食物は今や流行にはならないだろう。

バブルのころには、やれフォアグラだキャビアだのとめったに手に入らないものが食材で使われていた。そういえば「羊の脳みそ」なんてものもあった。

「美食」とは何か?
みたいなものを延々と伝えられて、そういう美食にあこがれていた時期もあった。

そうこうしているうちに、究極だの至高だのとなり、食にかける贅沢はどこまで行くのだろう?となんだか「ついてけない」感じがただよいはじめたのであった。

なんというか、そういう美食に飽きてしまった。飽食とはよくいったものだ。
で、そのあとは、この物語がどのように終焉となるのかが興味であった。

さて、第109巻である。
この全県巡りで、宮城県を特集したことがあったが、食べたこともないようなものや、食べてみてあまりおいしいとおもわなかったもの(ありていに言えば不味かった)があり、「なんだかなあ」という気持ちになったことがあった。
なので、全県味巡りは、眉に唾をつけてみるようになったのである。

今回も、様々な食べ物が出てくるが、正直言って「ぜひ食べたい!」というものはなかった。
『豊かな自然』のなかではぐくまれた食材はすばらしいものだと思う。
しかし、島根県の人たちが日常的に食べているものだろうか?
そのあたりに「なんだかなあ」感がただようのである。

ただし、その料理と食材を守るためには、豊かな国土を守らなければならない、という主張には大いに賛同する。
それは、特殊な食材だけでなく、米や我々が普段口にする野菜も含めてである。

そして、TPP問題では改めてこの問題の根深さを教えられた。
海原雄山が主張することを鵜吞みにして、そのままTPP反対とは言えないが、大いに頷けるところがあった。

それにしても、今までは超絶技巧をもつプロの職人たちが腕を振るっていたのに、味巡りでは地元の、それもわりと高齢風なご婦人たちの「会」が腕を振るう。更に行政の人々も関わる。
なんというか、一億総美味んぼになってしまったようである。

次巻では原発問題に取り組むようであるが、まあ楽しみといえば楽しみである。

それにしても、初めのころ何かというと登場していた「周大人」はどうしたんだろうか?

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