読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

横浜不二山商会<新・御宿かわせみ> 平岩弓枝 オール読物7・8月号

2009-07-25 22:15:59 | 読んだ
オール読物の7・8月号に掲載された。
物語は、横浜の不二山商会の主人・藤山洋介の妻・お志津が、高山仙蔵のもとに「わたくし、夫を殺しました・・・」と入ってきたところから始まる。

居合わせた、神林麻太郎と畝源太郎が不二山商会に赴き確認をするとそのようなことはないという。

その後、藤山洋介が殺される。
さて、その犯人は・・・
ということである。

藤山洋介には、複数の妾がいるという。その上、お志津の妹のお光とも関係があるらしい。

「かわせみ」の人たちも巻き込んで、事件の謎を解いていく麻太郎と源太郎がさわやかに描かれている。

事件そのものは、若い頃の恋がかなわなかったことに起因するどろどろした人間関係がついに爆発迷走したという構図であった。

この物語は、かわせみを囲む人たちの長い話と一つ一つの事件が絡み合って「面白さ」になっている。

今は、源太郎と花世が結ばれて、長い話のほうが「ちょっと一休み」のかんがあるが、源太郎が「私は探偵です」と言い切ったことに、これからの楽しみが見えている。

科学的捜査がない時代の推理小説は、犯人を捜す或いは攻める道具が指紋だとかDNAだとかではないところが、ややこしくなくていいのである。

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我が家の花たち<2009夏> 衆議院解散の日に・・・1

2009-07-21 23:47:59 | 
今日は、衆議院の解散、直接的には何にも関係ないけれど、これから日本はどうなっていくのだろうか、という漠然とした不安はある。

その不安の解消を政治に託すというのは気が進まないが、だからといって放棄することはしない。
そう思うだけである。

さて、昨日は久々の梅雨の合間。
我が家の庭にも日差しが降り注いだ。
カメラ片手に花を追ってみた。

先ずは「カサブランカ」



キリッとしていますねえ。
当選するとこういう花を胸に飾るんですねえ。


「なでしこ」って、わりと目立つんです。
ピンクの花だからでしょうか。
ちょっと日の輝きで不思議な感じです。

              




最後は「山百合」です。
ゆりの花って、派手な感じがして苦手ですが、山百合は素朴系ですねえ。
庭に咲く「山百合」ってどうなんでしょうか?

                      

花に囲まれて、というのもいいですが、私はどちらかといえば、本に囲まれて、のほうがいいです。

たまに庭におりたらなら、庭木の剪定を頼まれました。
花は遠くから眺めるに限ります。

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禿鷹狩り(上・下) 禿鷹Ⅳ 逢坂剛 文春文庫

2009-07-19 01:03:08 | 読んだ
待ち望んでいた「禿鷹シリーズ」である。

上巻の帯には
「殺しは血で購え」
「ヤクザも南米マフィアも手玉にとる
 極悪刑事の前に、
 最強の刺客が現れた!」

とあり、

下巻の帯には
「執拗な罠、
 二転三転する
 攻防」

「同僚にして敵となる、
 屈強な女警部が登場。
 衝撃のラストが待つ、
 シリーズの白眉!」

とある。

さて、禿鷹シリーズとは、主人公:禿富鷹秋(とくとみたかあき)神宮警察署・生活安全特捜係・警部補が、ムチャクチャなことをする物語である。

「ハゲタカ」というのは苗字の禿富の「禿」と名前の鷹秋の「鷹」からきているということもあろうが、いわゆるハゲタカのように人のものを横取りすることや死肉さえ厭わないという性格を持っていることと、なにより他人に嫌われていることからのあだ名なのである。

このハゲタカ、どれだけメチャクチャかといえば、人を痛めつけることや殺すことなどなんとも思っていない、平気で人を騙す、ヤクザから金をもらうなど当たり前と思う。つまり倫理観などひとかけらもなく、自分の思うとおりに生きているやつなのである。

同僚である警察官であっても、気に入らなければ痛めつけるのである。

なんたって、登場するヤクザのほうが、常識的で倫理観があって好感が持てるのである。(このあたりからこの物語の『異常さ』というものがわかる)

ともかくそのムチャクチャぶりは「見事」であって、あまりにも堂々と屁理屈をこねて自分の思うままにするので私などは「憧れ」てしまうのである。

そういうムチャクチャができるのも、彼が誰よりも「強い」からである。
なんとも理不尽なことに、これまで見てきた(読んできた)どんなスーパーヒーローよりも強いのである。

そうこの理不尽なことがこの物語の特徴であり、冷静になって考えれば「なんともバカバカしい」のであるが、その理不尽さとバカバカしさが、この物語の面白さなのである。

さて、この「禿鷹狩り」は、帯にも「白眉」とあったように、最終話である。

ハゲタカのあまりの無軌道は、警察上層部にとっても目に余るものがあったらしく、(なにしろ、エリート警察官の弱みを握っているのである)「石動寿満子(いするぎすまこ)」という女ハゲタカのような警部を送り込んでくる。

その石動が、ハゲタカが組んでいるヤクザ組織「渋六」の敵対組織である南米マフィアの「マスダ」と手を組んで、ハゲタカと渋六をつぶそうとする。

それはそれはトンデモナイ手段を使うのである。
それに対抗するハゲタカもトンデモナイのである。

トンデモナイこととトンデモナイことが合体すると、真実味があふれてくるのが凄い。

登場する人物たちの中で、渋六の二人の幹部、野田と水間に深く同情する。彼らはヤクザ組織の中で相当の人物であり、こういうヤクザであったら、お付き合いしてもいいかな、と思うのである。

彼らはハゲタカと組むことによって、散々な苦労をするのである。

さて、本書でハゲタカはどういうムチャをするのか、ムチャの結末はどうなるのか。ぜひ読んでみてください。

なお、絶対に解説を先に読むのはおやめください。
でも、解説の大矢博子さんが「どうしても書いておきたい」として書いてことについて私も非常に驚いた。最後に登場した人物にぜひ会いたいものである。

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吉田拓郎 Have A Nice Day LIVE2009 一部中止

2009-07-09 22:15:48 | 日々雑感
昨日、今年(2009年)のコンサートがの一部が中止となった。

原因は「風邪および体調不良を契機に慢性気管支炎が急性憎悪したため」(TYコンサート事務局
とのことである。

6月29日に仙台のコンサートを見に行った時の印象からは「元気です」というように思えたのだが・・・

2006年のつま恋のコンサートのときよりは痩せたカンジ、というより「カッコよくなった」と見えたし、何より、歌声に張りが合った。

それによく喋った(語った)ので「復活!」して、全国ツアーはこれで終わりということでも、散発的にコンサートは行っていくだろう、そのときはどうやってチケットを手に入れようか、なんて、先々のことまで考えたりしていた。

まあ、今回の中止の原因も一過性のものであるようだし、もしかしたら、来年もう一回体調を整えて、全国ツアーをやる、何てこともありえるかも、と前向きに考えて、ゆっくり休んでもらおう。

今回のアルバムのメインというか、いちばんのメッセージである
「ガンバラナイけどいいでしょう」
ということで、
拓郎なりってことで、拓郎なりのペースで、行ってほしい。

中止になった西日本の人たちには気の毒だけれど、仙台のコンサートに行けてよかったと思ってます。
ごめんなさい。

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凍土の密約 今野敏 オール読物連載 7月号で終了

2009-07-08 23:46:57 | 読んだ
オール読物に2月号から連載されていた「凍土の密約」が完了した。

2月号の連載開始時に「短期集中連載」と出ていたので、完了したら読もうと決めていた。
毎月連載を読むには『記憶力』が相当落ちてきているのである。

さて、この「凍土の密約」は、作者が今野敏ということであるので想像がつくと思うが、あの『警察小説』である。

とエラそうに言っているが、私にとっては初「今野敏」である。

主人公は、警視庁公安部外事一課の倉島達夫警部補である。

前作は「白夜街道」で私は読んでいない。

物語は殺人事件の捜査本部に倉島が派遣されるところから始まる。
なぜその捜査本部に自分が派遣されるのか明確ではないが、彼の専任である「ロシア」に関わることだけはなんとなく感じる。

彼は独自のルートを使って調査を始める。
そのうちに更に殺人事件はおきる。全部同じ手口であることから、これらの関連性が疑われるが、いわゆる、刑事部の捜査員たちの手法では難しい事件であり、そこに公安部と刑事部のいわゆる争いがおこる。

そうこうしているうちに倉島は犯人に近づく。

とまあ、話は続くのであるが、ロシアの陰謀というのがよくわからない。
そして、その陰謀というか情報漏洩を防ぐために4人も殺害するというのもよくわからない。しかも、まったく同じ手口でである。

日本をバカにするのもいい加減にしたらどうか、と思うのである。

従って、こういう物語のなかで柱となる事件の謎解きは「なんだかなあ」というかたちで解決されるのである。

警察内部の争いとか、公安部の刑事たちの特徴とかはよくわかる。
ただし、それが本当のことならこれも「なんだかなあ」なのであるが・・・

最後の倉島が、エリートと認められた者だけが選ばれる「ゼロ」という研修に行くことになったのが、まあご同慶というべきか・・・

この物語をよく知るためには前作「白夜街道」を読めばいいのだろうか?

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小説吉田拓郎 いつも見ていた広島 ダウンタウンズ物語 田家秀樹 小学館文庫

2009-07-04 23:40:13 | 読んだ
吉田拓郎のコンサートを見に行った日に購入。

「おお、なんたる奇遇!」
ということで、コンサートが始まるまで読んでいた。

吉田拓郎に関する本は
「誰も知らなかった吉田拓郎」(山本コウタロー)
を読んでいる。
それに、イロイロと情報は入っていた。
だから概ねのことは知っていた。

今回は「小説吉田拓郎」である。
したがって登場する人たちの名前は拓郎以外は実名ではない。
だから最初はちょっと戸惑ってしまった。

さて物語は、拓郎の広島時代である。
18歳の拓郎はすでに音楽に目覚めていた。

まずは『バチェラーズ』から始まる。
バチェラーズは、当時流行のインストゥルメンタルのエレキバンドではなく、ビートルズも意識したボーカル入りにグループだった。

そして彼らは広島のシンボルともいえる「平和記念館」の集会室でコンサートを開き大成功を収める。
しかし、平和記念館でのロックコンサート(当時はそういう言い方しなかったと思うが・・・)は、若い世代からは支持されたが、非難もすごかった。

という、広島の街の特徴も描かれている。

さて、バチェラーズの面々は自信を持ち、東京へ行く。
東京で認められる、と信じていた。

しかし、予想どうりというか当たり前のことというか、あっさりと東京での夢は破れる。

拓郎は、今度は一人でフォークに挑戦する。
そして、コンテストに出場し、全国大会で第3位に入る。

拓郎の音楽の好みは広い。
だから、バンドをやったり、一人でフォークをやったり。

飽きっぽいとか、ふらふらしているようにもみえるが、好奇心旺盛で何でもやってみたくなるのだと思う。
そしてもう一つは、仲間たちといることがすごーく楽しい時と、独りになりたいときがあるんだろう。

拓郎は行き詰る。
行き詰って、家出をする。そして千葉のお寺で居候生活を始める。
そして、また東京でプロになる道を模索するが、今度も失敗というか挫折する。

拓郎は広島で生きることを決意し、広島に帰ることにする。
帰るにあたって、手回しよく、バンドを組む手配までして・・・

そのバンドが「ダウンタウンズ」である。

ダウンタウンズは、斬新なサウンドと時代を先取りするアイディアで広島の新しい音楽をリードする。

彼らはライトミュージックコンテストに出場し、全国大会まで進む。
そしてそこで拓郎は、ダウンタウンズの限界を知る。

こうして説明すると音楽の話だけのようだが、恋の話だってあるし、広島という町の特徴、例えば原爆の与えた影響、基地の町として外国との距離が近いことの影響なども描かれている。

拓郎の物語としてというだけでなく、普遍的な青春の物語として、それから時代を伝える物語として、面白く読んだのであった。

ちなみに11章全てに、拓郎の歌と題名が使われている、それも懐かしい曲だ。

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