読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

豊国神宝 中路啓太 小説新潮7月号~11月号

2009-10-31 22:08:47 | 読んだ
小説新潮に「集中連載」されていた、豊国神宝が11月号で完結となった。
例によって、連載終了後一気に読んだのである。

作者は中路啓太(なかじけいた)で、多分はじめて読んだ。

物語は、徳川2代将軍・秀忠が隠居して大御所となり、家光に将軍職を譲ったのだが、依然として秀忠も権力を握っている、更に家光の弟である駿河大納言忠長も将軍職を狙っている、という徳川幕府の基盤がまだ磐石でなかった頃を背景としている。

南光坊天海と金地院崇伝が徳川家康の神号をめぐって争い、結局は天海が推す山王一実神道の「権現」が崇伝が推す吉田神道の「明神」に勝ったのであるが、それがこの物語の軸となっている。

何故、天海は徳川幕府で重用されたのか、天海を失脚させることができる「豊国神宝」とは何か?

主人公は、豊臣秀吉の妻・寧々・高台院の甥にあたる木下右近である。
右近は、高貴の生まれながら剣の達人である。その師は宮本武蔵の養父である新免無二斎。

天海は自らが率いる山王御供衆を使って豊国神宝を奪いとろうとしているが、そのことに右近は深くかかわってしまい、豊国神宝の謎を追いつつ、天海と対決することとなる。

後水之尾天皇、八条宮智仁親王(秀吉の猶子で後水之尾天皇の叔父)、天秀尼(秀頼の娘)、徳川秀忠、家光をはじめとして宮本武蔵、柳生宗矩など実在の人物もおおく登場し、それぞれの立場で豊国神宝にかかわってくる。

天海が豊国神宝の謎を明らかにされると失脚するという、物語の核となる部分は、なんというか説得性が低いように思われたが、権力争いの中で木下右近が愛するものたちを守るために戦うという基本線が確立されており、勧善懲悪であることから構図もわかりやすい。

おもしろい物語であった。

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BAR レモン・ハート第25巻 古谷三敏・ファミリー企画 双葉社

2009-10-29 22:22:11 | 読んだ
「BAR レモン・ハート」の連載が25年、そして単行本も第25巻となり「フェア」が行われるとのこと。

超ロングセラーである。

第25巻もなかなかに面白い。
それにしても、よくこれだけの「酒」を紹介できるものだ。
25巻も読んで、しかも、眠れぬ夜は酒を飲む代わりにこの本を読んで寝ることにしているのだが、ぜひこの「レモン・ハート」なるBARに行ってみたいものである。

あまり飲まない「カクテル」なんか頼んでみたい。
それから、これだけ酒に詳しくおいしく飲もうとしているマスターに「つまみ」を作ってもらいたい。
絶対においしいものが出てくるはずなのである。

第25巻でも飲みたいものが多くあるが、そのなかでも喉がゴクリとなってしまったのは「究極の水割り」である。

レモン・ハートの常連中の常連『松ちゃん』は、すごい酒がそろっているこの店に来て、いつも「ウーロン割」しか飲まない。

マスターがそのことを嘆くと、もう一人の常連中の常連『メガネさん』が、松ちゃんがおいしいと思える水割りを出したことがないからではないか、カクテルの中でいちばん難しいのが「水割り」ではないか、ここで究極の水割りを作って松ちゃんに飲ませるべきだ、とマスターを煽った、けしかけたのである。

そして、マスターは臨時休業をして、究極の水割りを作るのである。

そのレシピが出ているのであるが、そうとう手の込んだ水割りである。

レシピの知りたい人はゼヒ25巻を読んでもらいたい。

それにしても誰か作ってくれないだろうか・・・作ってくれそうもないだろうから、自分で作ってみようか。
ならば「白州12年」を買ってこなければ。

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ローマ人の物語35 最後の努力(上) 塩野七生 新潮文庫

2009-10-26 22:44:24 | 読んだ
久々のローマ人の物語である。

ローマの建国から、ユリウス・カエサルによる大ローマ帝国、そしてパスク・ロマーナの確立、そして堕落と危機を経て、いよいよローマ帝国の最後になった。

本書の巻頭に「読者へ」という著者からのメッセージがある。
そこに、ローマの全史を簡単に記したものがある。
『王政→共和政→初期・中期帝政(元首政)→後期帝政(絶対君主政)→末期』 となっている。

本書から続く3巻「最後の努力」はこの後期帝政が書かれてある、とのこと。

第1部は「ディオクレティアヌスの時代」(紀元284年-305年)である。

パスクロマーナが確立されてから、貴族或いは元老院が堕落しはじめる。
平和というのは堕落とか腐敗とかを招くのだろうか?

そうしているうちにパスクロマーナは崩壊し始める。
外からの蛮族の侵入と内乱。

これを退けたのはいわゆる「軍人」である。貴族から軍人へ元首が変わる。
パスクロマーナを継続するためである。

ディオクレティアヌスは、軍人出身の皇帝である。
彼は現実に即するための施策を実施する。
ローマ防衛圏をより強固にするために、皇帝を2人とする「二頭政」更に4人にする「四頭政」。

市民の同意や元老院の承認が必要だった「皇帝」、つまり市民の代表者であった皇帝を、市民を統治する「皇帝」へ、絶対君主制へ移行させたのである。

これは軍隊組織を国家に当てはめたようなもの、つまりそうしなければローマの平和を維持できない状態であった。

このようなローマの移り変わりを読むと、地方自治とか国家というものがわかるような気がする。
そのとき、その場では最善手であるのだが、長期的に見ると滅亡へ向かっているようである。

中国の歴史でも或いは日本の歴史でもそうなのだが、その「朝(ちょう)」(政府といってもいいが)が絶頂にあるときから堕落と腐敗が発生し滅亡に向かう。そしてその滅亡時には優秀なる人物が登場し、ありとあらゆる素晴らしい延命策を講じるが、その時その場限りのものになってしまう。

ローマ人の物語にこれから登場する人物たちはそういう人物なんだろうと思う。
本書に登場したディオクレティアヌスがそうであった。

ある制度や組織は完成したときから陳腐化が始まる、と思う。
そして、その陳腐化をてこ入れし始めたときから、その制度や組織は当初の目的を失うのである。

そういう意味で、本書のローマはすでにパスクローマナを確立したときから、内側も外側も環境がまったく変わってしまっている。

ため息をつきながら35巻を読んだのであった。

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野球の季節 東北楽天ゴールデンイーグルス CS第2ステージで敗退

2009-10-25 21:23:07 | イーグルス
東北楽天ゴールデンイーグルスが、クライマックスシリーズ第2ステージで敗退した。パーリグ優勝の日本ハムには1勝のアドバンテージがあった。
しかし、それはダルビッシュに負けたと思えば、しかも負け投手がいない敗戦であると思えば、楽天の「勢い」が勝る、と思っていた。

その「勢い」そのままに第1戦は戦った。
絶対勝ったと思った。
しかし、逆転サヨナラ負け。
これで「決まり」だった。これで「勢い」が無くなった。
そして楽天は「負けパターン」にはまってしまった。

ということで、私の今年の野球の季節は終了。
日本シリーズも見ようとは思わない。

と、考えていたら、自分の野球の試合が2つ残っていた。
私が所属するチームは、仙台ゴールドリーグ(仙台広域50歳野球協会)に加盟していて、そのリーグ戦1試合、そしてトーナメント1試合(決勝)が残っていた。

本日そのリーグ戦の最終試合があり、9-0で勝った。
私は投手なのであるが、開幕から3試合登板して肩を痛めそれからずっと投げることができずにいた。それが10月に入ってから違和感がとれ投げられるようになり、本日の最終戦に登板、無四球完封であった。(拍手)

やっと最後に間に合った、のである。
そして、楽天が負けたことも、ここしばらく身辺にイロイロとあったことも、なんというか「胸のつかえが無くなった」そんなカンジである。

明日から身体が痛いだろうが(すでに痛みは始まっている)、多分心地よい痛みになるはず。
そして、もう1回野球がある。

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抱卵の子 新・御宿かわせみ  平岩弓枝 オール読物10・11月号

2009-10-23 23:19:56 | 読んだ
オール読物10月号には前編、11月号には後編が掲載された。

「かわせみ」の娘・千春が、大雨の日に水に足をとられて転んだところを、房州・袖ヶ浦から来た立花長太郎という若者に助けられた。

長太郎は、安政の地震以降行方の知れない父母を探しに東京にやってきた。
彼は地震の後、乳母とともに袖ヶ浦に逃げていたのであるが、2通の便りをよこしたきり両親は音信普通になり、乳母の弟が訪ねてみたものの、生家の薬種問屋・中里屋はなくなっていた。
そしてまた成人した長太郎が訪ねてきたのであるが、行方が知れない。

というときに千春が助けられたのである。
長太郎は「かわせみ」に滞在し両親の行方を捜すことにした。
勿論、かわせみに縁ができたからには、かわせみ人脈の長助親分も探索に一役買うこととなった。

そして、その中里屋の跡地にある倉庫と事務所の主人で貿易商の阮朝封という清国人が殺される。
更に、千春が誘拐される。

というところで、前編が終了。

後編は「謎解き」である。
謎解きなのであるが、イマイチよくわからないのである。
よくわからないのではあるが事件は解決する。

立花長太郎は、確かに「母」と思える人に会ったのであるが、その人から『時鳥(ほととぎす)は他の鳥の巣に卵を生み、他の鳥は我が子ではないのに卵を温めかえし、更にえさを与え育てる』という話を聞き、自分は乳母に育てられたのであるから乳母こそ真の母である、自分は時鳥ではない、として袖ヶ浦に帰ることを決意する。
つまり「抱卵の子」なのである。

そして、その「母」と思える人物の正体は?
というのが概ねの筋である。

最後に『るい』が大川を眺めながら思うことがすばらしい。

「人間に与えられた最高の幸せは、どんな悲しみや苦しみも、その人が勇気をふるい起こし、努力を重ねれば、いつか忘れる日が来るということではないか。そうではないと、人はとても生きては行けない。
 それでも多くの人は忘れようにも忘れられない心の痛みをひっそりと抱えていて、時にはそれが生きる支えになったりもする。」


今の日本人は一つの不幸を大事にしすぎ、忘れないように努め、一生被害者として生きていこうとしているように思える。
忘れることは悪いことではなく、許すことも悪いことではないように思える。

「再びこのような事件が起きないように・・・」
というコトバの持つ意味はよくわかるが、しかし、とも思うのである。

これからの社会はどうなっていくのだろうか?
という漠然とした不安は、今の日本人の心のあり方が揺れ動いているからなのではないか、なんて「るい」さんと共に思ったのであった。

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暁の密使 北森鴻 小学館文庫

2009-10-21 23:43:39 | 読んだ
蓮杖那智シリーズのなかで出てくる「国家的陰謀」のもとは何か?と思っていたら、この「暁の密使」らしいということがなんとなくわかったので読んでみた。

主人公の能海寛(のうみゆたか)は仏教者である。
彼は、明治の廃仏毀釈によって廃れかけている仏教を救うため、仏教の聖地であるチベットへ向かう。

しかし、チベットは当時鎖国をしていて容易に入国できそうにもない。
また、そうでなくてもその旅程には大きな困難がある。つまり高山やら砂漠やら、そして盗賊などの出没。

それでも能海は行きたいと所属する東本願寺の上層部に何度も願いをだす。
しかし、許可されない。
それでも、彼は仏教のほかに英語、中国語を学び、更に高山対策として富士山登山を行う。

そして、ある日、ごくあっさりと許可される。

能海は中国に渡り、長江を遡り漢口・重慶・成都を経て、チベットの首都ラッサを目指す。
というならば、単に仏教者の苦難の道のり、という物語なのであるが、明治期のチベットがもつ世界的価値にまつわる、各国の思惑と陰謀が絡むのである。

更に、日本がもっている思惑が能海の旅をややこしくさせる。

能海寛は実在し、チベットを目指して志半ばで斃れた。

ということで、この物語は実在の人物と架空の人物が入り乱れて進む。

「面白い」といえば面白い小説で、一気に読んでしまった。
ただし、日本がたくらんだ陰謀というのにどうも腑に落ちない。そんな陰謀がこの物語の柱になるのか?と思った。
そのあたりが、もうひとつピンとこなかったのであるが、こういう人物がいたのか、という驚きで読み終えたのであった。

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街の灯 北村薫 文春文庫

2009-10-18 14:32:04 | 読んだ
第141回直木賞受賞作「鷺と雪」のいわゆる『ベッキーさん』シリーズの第1作である。
オール読物に掲載されていたのであるが、読んだり読まなかったりしていたので、今回の受賞を機に初めっから読んでみようと思ったのである。

ベッキーさんシリーズ、というからにはベッキーさんといういわゆる外人さんが登場するのではないかと思うのであるが、ベッキーという名の外人さんは登場しない。

主人公は士族出身の花村家の令嬢・英子である。
年代は昭和7年。
花村英子の父は「日本でも5本の指に折られる財閥の系列の、商事会社の社長」であり、彼女は専属運転手の送迎で女子学習院へ通い家族の級友との交際もある。

この設定ではなんとなく「イヤラシイ」というか「イヤミ」というか親近感がないというか、なのであるが・・・
お嬢様は無垢なのである。

無垢なくせにその気になれば情報を手に入れることも、場合のよっては権力さえも行使することができる。

そういうお嬢様の専属運転手が交代する。
その時、英子はサッカレーの書いた「虚栄の市」を読み、その主人公の一人である「ベッキー」に感銘を受ける。
新たにやってきた運転手は、なんと女性。
別宮みつ子(べっく みつこ)という名前に、英子は「ベッキー」を連想する。

ということで、ベッキーさんとは花村英子の専属運転手の名前なのである。

さて、この物語は「ミステリー」なのである。
といえば、探偵役はこのベッキーさんで、助手的役割を果たすのが英子、というのが思い浮かぶのだが、これが期待を裏切って英子が探偵で謎を解くのである。

その謎を解くにあたって重要なサジェスチョンをするのがベッキーさんなのである。

読むにあたっては、エピソードや背景をわかっていないと深く楽しめない、というところがあるようだ。

とはいうものの、私のようにそんなところに構わないでいても十分面白い。
続いてシリーズ第2編「玻璃の天」を読もうと思っている。

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楽天イーグルス CS第1ステージ突破

2009-10-17 21:51:06 | イーグルス
東北楽天ゴールデンイーグルスが、パリーグのクライマックスシリーズ第1ステージで福岡ソフトバンクホークスを破り、第2ステージへ進むこととなった。

昨日は岩隈が完投して11対4で勝利。
そして本日は田中が完投し4対1で勝利。

こういってはナンだが、思っていたより「楽勝」であった。

昨日は打線が爆発し、岩隈も4回以外はよかった。
今日は田中のピッチングを安心してみていることができた。

CSチケットに挑戦をしたのだがことごとくはねつけられた。こうなったら日本シリーズである。
ゼヒ、第2ステージで日本ハムを破ってもらいたい。

楽天は先発投手陣が安定していること、打撃陣は一気に爆発する力があること、といった面に加えて、モチベーションが明確にある。

野村監督の退陣の花道とファンへの恩返し、という表向きの理由と、この4年間の悔しさをはらす(チーム的にも個人的にも)ということである。

こういうチームは強いと思う。

公式戦の最終盤にはいろいろとゴタゴタがあったが、このゴタゴタもうまく利用しているように思える。

兎も角、第2ステージを制して事実上の「優勝」をしてもらいたいものである。

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Bランクの恋人  平安寿子  光文社文庫

2009-10-15 23:01:02 | 読んだ
本書は、タイトルにある「Bランクの恋人」をはじめとして他6編の短編小説集である。

いずれも「恋する女」がテーマである。
ただそれが、女性の視線から描かれたものだけではなく、男の語り口であったりする。

標題の「Bランクの恋人」は、男の語り口である。
語る男は「女にもてる」ということを人生の主題にしている。
なのに彼はイケメンでもなければ金を持っているわけではない。
「マメ」で「下手」なのである。

彼、七塚次郎は常時12~3人の女とつきあっている。
さて、そういう男がどうなるのか?
このあたりが、平安寿子の面白さなのである。

「アイラブユーならお任せを」でも、信友氏(54歳・自転車屋)が主人公である。
彼は、故・春風亭柳昇の教えである「愛してる」を言い続けてきた。
その言い続けてきた上に現在の幸せがある、と思い込んでいる。

そういう信友氏がどのような事件に巻き込まれるのか。
非常にわかりやすいキャラの主人公に対し、脇役たちがどのような動きをするのか?
これがこの物語の面白いところだろう。

次からの「サイド・バイ・サイド」「はずれっ子コレクター」「ハッピーな遺伝子」「利息つきの愛」「サンクス・フォー・ザ・メモリー」はいずれも女性サイドから描かれている物語である。

このなかでは「ハッピーな遺伝子」と「サンクス・フォー・ザ・メモリー」が平作品としては異色である。
他の作品はいわゆる「アラ・フォー」系の女たちが主人公であるのに対して、この2作品はわりと若い女が主人公である。

私的には「ハッピーな遺伝子」が好きである。
売れないミュージシャンでかつラーメン屋の店主・チャーリーを父にもつ・ルミが主人公。

ルミの両親は離婚している。
離婚した両親の間でルミはゆれている。
その『ゆれさ加減』がいい。
そして父親の人生訓というか座右の銘というか口癖というか、いい加減さをごまかすコトバで、ルミが嫌いな
「ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー」
が、最後の効果的に使われている。

まっ、いずれも平安寿子ワールドを堪能でき、満足、満足なのである。

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美味しんぼ<103>日本全県味巡り 和歌山編 作・雁屋哲 画・花咲アキラ

2009-10-12 21:56:59 | 読んだ
とうとう103巻である。
いつまで続くのか?
というのが、この漫画の主題になってしまったようである。

日本全県味巡りだって、まだまだ行ってないところがある。
これをやり続けるだけでも大変である。

そう思っていたら、この巻の第1編で、東西新聞も帝都新聞も不況のあおりで「究極のメニュー」「至高のメニュー」をやめるという話がでてきた。

この話は、海原雄山が和歌山の茶粥を両社長に食べさせ、茶粥の由来を語り、継続をすることとなる。
しかし、その中にこんな台詞がある。
「今度の日本全県味巡りがうまくいかなかったら究極のメニュー自体も止めにする。」

多分作者ももうやめたいのではないかと、うがってみたくなるセリフである。

というわけで、和歌山の味巡りが、究極のメニュー、至高のメニューの存続をかけて始まるのである。

この日本全県味巡りであるが「美味」という点でそそらないのである。
「なんだかなあ」みたいな料理が出てくる。
食べたいものが少ないのである。

まあとりあえず、今後も究極・至高ともに続くようなのであるが、期待が薄い。

最初に美味んぼを読んだころの感激がなくなってきたように思える。
日本の食文化を考えるのはいいのだが・・・

そんなことを「吉田類の酒場訪問」を見ながら考えたのである。
このテレビ番組は近頃私のお気に入りである。
「ゆるーいカンジ」がステキである。

美味んぼは権威になってしまったので、「ハハーッ」とうかがうようになってしまった。そのあたりが「いかがか」と思うのである。

でも103巻までそろえたのであるから、なんだかんだ言いながらこれからも読んでいくと思うのである。

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蛍坂 北森鴻 講談社文庫

2009-10-09 21:51:17 | 読んだ
北森鴻の「香菜里屋」シリーズ第3弾である。

第3弾といったって文庫でだされたのが2007年である。それほど新しいものではない。

さて「香菜里屋」とは、東急田園都市線の三軒茶屋駅から路地を縫うように歩くこと5分あまりのところにある、ビアバーである。
アルコール度数の違う4種類のビールがある。一番アルコール度数の高いものは「ロック」で飲むのである。

これだけでも行ってみたい店ではないか。

加えてこの店のマスター・工藤哲也が作る料理が抜群なのである。
客はメニューを見ずに、マスターに任せておけばおいしいものが食べられるのである。

毎日でも行きたい店ではないか。

更に、工藤は客が持ち込む不思議な話を解決してくれるのである。

常連の客になりたい店ではないか。

というわけで、第3弾は
「蛍坂」
「猫に恩返し」
「雪待人」
「双貌」
「孤拳」
の5編が収められている。

ゼヒとお勧めしたい物語である。

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特集「官能小説グラマラス」小説新潮10月号

2009-10-07 22:18:03 | 読んだ
小説新潮10月号の特集は「官能小説グラマラス」である。

この巻頭を飾った団鬼六の『旅路の果て-倒錯一代女」は9月27日のブログをご覧ください。

さて「官能小説」とはいったいいかなるものなのか。

先ず「官能」とはなにか
大辞泉では
肉体的快感、特に性的感覚を享受する働き。
となっている。

また「官能小説」とはウィキペディアでは
男女間もしくは同性間での交流と性交を主題とした小説の一ジャンル。ポルノ小説とも。
となっている。

では、この特集の小説はどう「官能」だったか?また「官能小説」だったか?を第1の視点として見てみよう。

スライダーが投げられない 南綾子

ママさんソフトボールチームの投手でありバツイチの主人公は、主将の緑山にいつも「なっさけない」といわれチームをやめようと思っている。
ある日、一人で沖縄料理屋に行くと、その店のマスターが主将の旦那であった。そして主将へのあてつけのようにその旦那と関係を持つ。

まあ、その関係を持つところの描写は通常の小説よりは官能度は高いものの、それよりも物語のほうが面白く、別に官能小説でなければならないとも思えなかった。

犬笛 唯野未歩子

夫に自殺された妻・真樹が母と旅にでる。
思い出すのは、夫と遊んだ「満員電車の中でセックスをする」ということである。
まあ、個々まで到達するまでには、官能的ではないことを思い出しているのであるが・・・。兎も角「官能的」である場面は、この満員電車の思い出なのである。

これは、南綾子の小説よりは官能度は高いが、その満員電車の中のプレイだけを描くともっとよかったのではないかと思う。
この小説も、無理やり「官能小説」にした感が否めない。

エクスワイフ 大石圭

離婚した妻をお金で買う元夫。というのが主題。
妻・亜里沙は「金の亡者」であるが、素晴らしい美貌の持ち主。その美貌に惚れた私と金の亡者で不貞ばかりはたらいている妻との結婚生活は短く終わり、マンションのローンを抱えたまま妻にマンションを取られ、赤いポルシェを売り払って500万円の慰謝料を支払う。

私はもう100万円で亜里沙を鞭打つことを提示する。彼女は承知する。
鞭打つことでも飽き足りなくなった私は、もう100万円を出して・・・

あまり面白くなかった、官能度も私的には低かった。
それは亜里沙に魅力を感じないからである。

くさい。死にたい 三日月拓

小学校5年生の女の子が主人公。彼女の母は売春で生活の糧を得ている。しかし、あまりにも貧乏なるゆえ、主人公は学校へも行かない。
母は彼女の前でも客をとる。客は彼女にも手を出そうとする。

母が客を待つときは「窓を開ける」そしてただいま商売中のときは「窓を閉める」
主人公が一人で部屋にいるときは窓を閉めておかなければならない。そうすると「くさい」のである。そして彼女は思う「死にたい」

この物語りも官能とは言いがたい。
なんだかやるせなくなってくるのである。

ラバーズ・ラヴァー 蛭田亜紗子

主人公のわたし(清花)は地方都市の27歳のモデル。仕事も減ってきている。
わたしの趣味はラバースーツに包まれること。

ラバーフェチの女の子の話である。
なんとなく「うら悲しい」感じなのである。

官能度ということで言えば点数は高めであるが、わたしが望んでいるレベルには達しない。

まとめ

まあ、小説新潮ではこのくらいが限界なのか、と思うのである。

どちらかといえば「官能」を少し強めにだした小説である。
そして、官能度が低いと物語的には面白い。
官能小説、なんていう冠がついていなければ、私的には評価は高い。

官能と人の心の動きは大いに関連している、ゆえにこの組み合わせの物語は面白いと思うのである。
それは、心の動きと官能は決して表に顕わにできないもの、もしくは表に顕したのでは物語にならないからではないかと思うのである。

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また逢う日まで 乃南アサ オール読物10月号

2009-10-04 17:43:34 | 読んだ
乃南アサは「女刑事・音道貴子」シリーズと「交番巡査・高木聖大シリーズ」が好きで読んでいる。

今回は「土門功太郎」という刑事が主役である。
この土門刑事を主役にした物語があるようだ。
というのは、目次に『名刑事にも、苦難の時代が』と紹介されているからなのである。
で、インターネットで探したのであるが、見つからなかった。

さて、この物語の時代は昭和45~46年である。
「よど号事件」「圭子の夢は夜ひらく」「三島由紀夫・盾の会」とか「鶴田浩二・傷だらけの人生」「成田空港の強制代執行」「走れコウタロー」そして「尾崎紀世彦・また逢う日まで」と時代背景となる事件や歌が物語に使われている。

この尾崎紀世彦の「また逢う日まで」がこの物語の題名になっている。

物語は二人の「こそ泥」とそれを負う土門をはじめとする刑事が描かれている。

二人のこそ泥は、主犯が『平田照美』昭和10年生まれ35歳、看護婦をしていたが父親の長患いの看病と借金から人生が狂ったらしい。
共犯の三田春男は34歳、千葉の田舎の寺の三男である。
男の春男が見張りをして、照美が盗むという犯行の手口。
二人に子供ができた。
しかし、泥棒行脚はやめずに続けている。

一方、追うほうは土門刑事と三沢主任。
土門は三沢が苦手。

いったんはふたりのアジトに近づくが逃げられる。
また、春男の実家である寺へ行き父と母から事情を聞いたりする。

追うほうも追われるほうもそして関わる人たちも、まだ戦争の影をひきずっている。
そして、日本に伝わる「倫理」が多くの人たちのなかに根づいている頃で、照美は共産同赤軍派の幹部・重信房子を格好いいという。
テレビで女が強い時代になった、とテレビが騒いだときに、春男は「女はずっと前から強いんだ」と毒づいた。
そういう時代である。

土門刑事の下積み時代というよりは、当時の時代を描いているようである。
そういえば、今はもう下積み時代なんてことはなくなった。経験を積ませるという悠長な考え方がなくなった。

土門刑事が張り込み先で、クレンザーで歯を磨き、床を掃除する洗剤で髪を洗ったのには笑った。

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オイロス・アンサンブル・クインテット

2009-10-03 22:41:16 | 観た、聴いた
本日は、私の住んでいる街で「NHK-FM ベストオブクラシック」の公開録音が行われ、聴きに行ってきた。

演奏は「オイロス・アンサンブル・クインテット」

フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの木管アンサンブルである。
これにピアノも加わり、最大で6重奏である。

木管のやさしいというか心地よい音がホールに響いて包まれて、至福の時、でありました。

この「音に包まれる」という感覚が素晴らしい。

ここのところ、身の回りがざわめいて落ち着かない日々が続いていたので、いい息抜きと癒しになった。

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東北楽天ゴールデンイーグルス クライマックスシリーズ進出

2009-10-03 22:08:30 | イーグルス
今年ぐらい、毎日毎日楽天イーグルスの結果が気になる年はなかった。

何しろ出だしが良かった。
期待させる出だしだったが、交流戦でつまづき、その後7月までは、いい時と悪い時の差があって一喜二憂ペース。

しかし、順位はそれほど落ちず、これは何とかなるのか、3位までにギリギリ入れるかもしれない、と思い始めていたら、8月は「快進撃」9月はペースは落ちたものの負け越しを続けず持ちこたえる。

そうこうしているうちにライバルチームが調子を落とし、このところは「神がかり」的な勝ちが続く。

2位になったと思ったら、昨日は「恵みの雨」いよいよ神がついているのではないかと思い始めて、今日は天敵・帆足をノックアウト。

いやいや期待は高まるばかり。
しかし、あまり期待するとその反動が怖い(年寄りだなあ)

というわけで、毎日ドキドキしながら楽天の試合を観ているのであった。

それにしても5年目でAクラスいり。
本日は本当にめでたい、のである。

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