いつか読もうと思っていた小説である。
本書の解説を読んで知ったのであるが、伊達騒動を題材にしたものは歌舞伎の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」と、山本周五郎の小説「樅の木は残った」の2作が決定打となっていて、著名な小説は「樅の木は残った」以後現れていないという。
従って、森村誠一は「敢然として挑んだ」ということである。
さて、私は旧伊達藩に住んでいるので、伊達騒動には大いに関心がある。
NHKの1970年(昭和45年)大河ドラマは山本周五郎の「樅の木は残った」が原作であり、ドラマのタイトルもそのとおりであったが、当時、例えば私の祖母などは「原田甲斐」が善人であるわけがない、というようなことを言っており、つまりは歌舞伎の「伽羅先代萩」のイメージしかなったようなのである。
私の地元には、原田甲斐のお墓(首塚?)があるし、また当時の地元領主の娘が原田甲斐の妻であったことから改易されたことが伝わっている。
そして、伊達騒動のいわば原因である、伊達安芸と伊達式部の領地争いのひとつの地元であり、伊達式部の領地である。
さて本書は、伊達騒動を、伊達家だけの問題ではなく、4代将軍の後継問題、幕府の権力争い、或いは皇室と幕府の関係などと絡めて描いている。
「伽羅先代萩」でも「樅の木は残った」でも悪人である、一関の伊達兵部は本書でも悪役である。
原田甲斐は、本書でも伊達兵部の一味ではなく、そして伊達安芸の一味でもなく、独立した考えの存在とされている。
森村誠一の描く物語は「悪」を激しく憎むが、しかしだからといってその「悪」が滅び去るものではない。
我々は過去の歴史を通して、いかに「悪」に対峙していかなければならないのかをうったえているように思える。
伊達騒動は、悪人とされている伊達兵部だってそれなりの正義感をもっていただろうし、いわゆる正義派であるとされる伊達安芸や伊東一族だって、全てが正義であったとはいえないところがあるように思える。
そして原田甲斐だって・・・
伊達騒動をとおして描かれる人間模様。
人はその生涯を終えるときに、正しく生きた、と思い返すことができるのだろうか。
そんなことを考えさせられた。
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本書の解説を読んで知ったのであるが、伊達騒動を題材にしたものは歌舞伎の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」と、山本周五郎の小説「樅の木は残った」の2作が決定打となっていて、著名な小説は「樅の木は残った」以後現れていないという。
従って、森村誠一は「敢然として挑んだ」ということである。
さて、私は旧伊達藩に住んでいるので、伊達騒動には大いに関心がある。
NHKの1970年(昭和45年)大河ドラマは山本周五郎の「樅の木は残った」が原作であり、ドラマのタイトルもそのとおりであったが、当時、例えば私の祖母などは「原田甲斐」が善人であるわけがない、というようなことを言っており、つまりは歌舞伎の「伽羅先代萩」のイメージしかなったようなのである。
私の地元には、原田甲斐のお墓(首塚?)があるし、また当時の地元領主の娘が原田甲斐の妻であったことから改易されたことが伝わっている。
そして、伊達騒動のいわば原因である、伊達安芸と伊達式部の領地争いのひとつの地元であり、伊達式部の領地である。
さて本書は、伊達騒動を、伊達家だけの問題ではなく、4代将軍の後継問題、幕府の権力争い、或いは皇室と幕府の関係などと絡めて描いている。
「伽羅先代萩」でも「樅の木は残った」でも悪人である、一関の伊達兵部は本書でも悪役である。
原田甲斐は、本書でも伊達兵部の一味ではなく、そして伊達安芸の一味でもなく、独立した考えの存在とされている。
森村誠一の描く物語は「悪」を激しく憎むが、しかしだからといってその「悪」が滅び去るものではない。
我々は過去の歴史を通して、いかに「悪」に対峙していかなければならないのかをうったえているように思える。
伊達騒動は、悪人とされている伊達兵部だってそれなりの正義感をもっていただろうし、いわゆる正義派であるとされる伊達安芸や伊東一族だって、全てが正義であったとはいえないところがあるように思える。
そして原田甲斐だって・・・
伊達騒動をとおして描かれる人間模様。
人はその生涯を終えるときに、正しく生きた、と思い返すことができるのだろうか。
そんなことを考えさせられた。
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