読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

シモネッタの本能三昧イタリア紀行 田丸公美子 講談社文庫

2011-10-30 23:04:08 | 読んだ
お昼休みに少しずつ読んでいた。

イタリア語の通訳の田丸公美子が、イタリアを旅したものを地域ごとに11章にまとめたものである。

シモネッタとは、故米原万里が、彼女につけたあだ名である。
で、この本にも「シモネタ」満載である。

シモネタ大好きというが、イタリアの紹介をするとシモネタが多くなってしまう、というのが、まあエクスキューズになっているのだが、別に紹介しなければそれはそれなので、やっぱりシモネタ好きなのであろう。

この本を読むと、イタリアというか西洋の文化と東洋・日本の文化は大いに違っていることがわかる。

この本を読む限りイタリアでは、恋愛や性については、自分の気持ちにまっすぐである。
他人の目なんて気にしない。

それから、女性を見たら口説く、というのがエチケットのように声をかけるということ。
もっとも、女性はそれを真に受けてはいけないらしい。

「ローマ人の物語」(塩野七生:著)を読んでいて、イタリアを旅してみたいと思っていた。
これから、ローマ人の物語の「スペシャル・ガイドブック」を読もうと思っていたのだが、このシモネッタの本を読んで、相当怖気づいている。

何しろ、見ず知らずの女性に声をかけるなど、道を尋ねる、くらいなので、イタリアのようにはいかない。

そもそもイタリア語は話せない、聞き取れない。

例えば、ローマ人の物語ツアーみたいのに参加して、日本語で過ごして、後は通訳の人に頼る、というのであれば、別に構わないのだが、この本を読むと、それではイタリアに行ったことにならないらしい。

ではあきらめなければならないのか。

と思って読み進めると、最終章に「ペルージャに熟年留学」というものがあった。
そういうことまで紹介してくれるのである。

シモネッタはやっぱりイタリア大好きなのである。


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ソロモンの偽証 宮部みゆき 小説新潮11月号連載終了

2011-10-25 23:06:35 | 読んだ
連載107回。ほぼ9年である。
説明には
「足かけ10年に及ぶ大長編、遂に完結!」
とある。
本当に長かった。

さて、物語は、中学校の屋上から2年生の生徒が転落した事件をめぐるものである。

この事件は『自殺』として処理された。
しかし、死亡した生徒の同級生達の間では、彼は殺された、という噂が広まった。
そして、彼が殺されたという怪文書も流れた。

また、そのことでマスコミも動き、騒然となる学校。
担任も校長も辞めざるを得ない状態となってします。

事件はクリマスにおきたが、ザワザワした落ち着かない状況が広まる中、生徒達が何とかしようとする。

そして、学校内裁判、を行うこととした。
で、中学生が、判事、陪審員、検事、弁護人になり、殺したとされる生徒を被告人にして、生徒や先生、家族や刑事そしてテレビ局の記者までも証人として招き、質問をして真実を追求するのである。

そして、意外な事実が意外な人物から語られる。

最終回では、陪審員達が評決を協議する。
そして、判決は・・・

物語の筋は複雑ではないが、登場人物たちが多いので、1ヵ月後に覚えていられるのか?というのが心配ではあったが、まあまあ覚えていることが出来た。

この物語を読んでいると、面白いのではあるが、ときどき『そんなこと中学生が考えるか?』とか『そんな中学生がいるか?』という疑問が起きることである。
登場する中学生達が大人なのである。
それも、非常に優秀な大人なのである。

学校内裁判、という舞台で物語を作るには「中学校」が一番いいとは思う。
思うのだが、中学生にとっては難しいのではないだろうか。

面白かった、とはいえるが、常になんだかひっかかりながら読んでいた。
だから、本になったときにあらためて通読するのかどうかは、今のところ未定である。

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きのこ狩り

2011-10-13 23:01:15 | 観た、聴いた
10月8日(土)に「きのこ狩り」に行ってきた。

昨年に引き続き「まいたけ」がメイン。
そして今年は「しいたけ」も。

どちらも「天然」ではない。
まいたけは森の中にある「まいたけ畑」のようなところに案内されてとる。



この赤い部分にまいたけがある。



本来は、箱にひとつなのだが、四隅に杉の枝をたてて、箱を拡張する。
これでも他の人に比較して少ないほうだ。

で、家に持って帰ってきてちょっと飾ったものがこれ


そして「しいたけ」


更に、山から降りてきて買った「なめこ」と「ひらたけ」


で、その晩は秋の恒例「きのこ鍋」をたらふく食べたのでした。


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ガリレオの苦悩 東野圭吾 文春文庫

2011-10-11 21:46:25 | 読んだ
ガリレオシリーズ第4弾である。

ガリレオは、テレビで福山雅治がやっていたときも知らなくて、オール読物で連載されていたものを読んで「これは面白い!」と思い「この面白さを誰かに教えなくては!」という義務感にかられたら、なんと言うことはない、もう世間では大人気だったわけで・・・

でまあ、あわてて文庫本を買って「そうか、こういうれきしがあったのか」と思ってのであった。

でまあ、それ以来、オール読物に発表されるものは読んできたのだが、文庫本と発表される物語の間をなかなか埋められないでいたわけで・・・
やっと、今回第4巻まで来たのである。

4巻は次の物語からなる。

第1章 落下る おちる   オール読物 2006年9月号
第2章 操縦る あやつる  別冊文藝春秋 第274号
第3章 密室る とじる   GALLO 2008年夏号
第4章 指標す しめす   書き下ろし
第5章 攪乱す みだす   別冊文藝春秋 第276号


ちなみに 単行本は2008年10月に刊行されている。
(ということは、文庫化まで3年かかっているわけか・・・)

と言うわけで今回は、ガリレオこと湯川学が、犯罪捜査に協力すべきなのかということを悩むことが連作の柱となっている。

悩みながら協力をするわけであるが、徐々に積極的というか積極的にならざるを得なくなるところが面白い。

5つの作品の中では、第2章のラストの会話がいい。

「君は変わったな。昔は科学にしか興味がなかったはずなのに、一体いつの間に、人の心がわかるようになった」
湯川は微笑した。
「人の心も科学です。とてつもなく奥深い」


そして、一番面白かったのは「第5章攪乱す」である。
こういう「偏執者」には読んでいて非常に腹が立つ、しかし、どのようにしてそいつを追い詰めるのかが非常に楽しみで、最後にガリレオというかこっち側がしとめると、ほんとすっきりする。
どうも、近ごろは「勧善懲悪」形が好みになったようである。
もう一つ言えば、複雑怪奇なトリックや動機より簡単なほうがいい。

年老いたかなあ。

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女ごころ -お鳥見女房- 諸田玲子 小説新潮10月号

2011-10-08 17:57:11 | 読んだ
「お鳥見女房」の新シリーズ第1話である。

前シリーズでは、お鳥見女房こと矢島珠世の長男・久太郎が、お鳥見役の裏の仕事である「隠密」のため出かけた先で、手先というか協力者の裏切りにあい記憶喪失となり、更に助けてもらった娘に惚れられ、という事件を縦糸に、矢島家や石塚家の人々の生活を横糸に描かれていた。

さて、今シリーズは?と、楽しみに読み始めたのである。

矢島家は久太郎の事件以後「おめでた続き」だそうで、次女の君江が4月に初子を産んだ、夏には久太郎の妻で鷹姫こと恵以の懐妊がわかった。更に、石塚家の長女・里の祝言が行われた。
また、長女・幸江の長男の新太郎の元服も間近である。
ただ、次男の久之助の妻・綾が昨年流産していた。

というわけで、今回は次男・久之助の話である。
久之助は、妻とともに永坂甚兵衛の養子となったが、家督を譲られそうである。
家督を譲られると、来年、上方在番が回ってくる。
そうすると、傷心の妻を残していかなければならない。

というように妻を思いやる久之助であるが、ある日、赤子を抱いた女と長屋に入っていくところを綾に見られてしまう。

さて、その女は誰か?
綾は「書置き」というか「去り状」を残して、永坂家を出て行ってしまう。

これを珠世がものすごく上手に解決をするのである。

更に、綾もものすごく強く立ち直るのである。
そういう綾を珠世は「あっぱれ」と思う。

まあ、兎も角、お鳥見女房の1話一話ははずれがない。
秋の夜長に、1話づつ読むのも悪くない。というわけで文庫第5弾「巣立ち」が発売されたので、早速購入した。ゆっくり読むこととしよう。

更に、単行本では第6弾「幽霊の涙」が発売された。これが今回始まったシリーズの前のシリーズだ。でも、文庫まで待とう。


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宇能鴻一郎と会って 平松洋子 オール読物10月号

2011-10-06 22:17:31 | 読んだ
オール読物の10月号の特集は「官能的」である。
で、小説やらエッセイやらイロイロとあるのだが、一番に読んだのが、この「宇能鴻一郎と会って」である。

宇能鴻一郎と言えば、独特の文体で官能小説を書いていた人である。
なんというか、あっけらかんとしたセックスを描いて、よく読んだものだし、変にその文体をまねたりしたものだった。

「僕、失敗しちゃったんです。」とか「水をこぼして、ジュンと濡れちゃったんです」とかね。

で、まあ週刊誌や月刊誌などで読んでいたので、嵯峨島昭の名前で書いた推理小説以外は本を持っていないけれど、強烈な印象を持っている作家である。
しかし、どういう人なのか、ということはわからなかった。

でも、私、あまり作家の私生活には興味ないんです。

とはいうものの、あのような小説を書く人はどういう人なのか、そこに書いてあれば積極的に読みたくなる。

著者の平松洋子は、宇能鴻一郎の「味な旅 舌の旅」を愛読してきたという。
フードジャーナリストであるから、宇能鴻一郎の官能小説より「食」に興味を持ったのである。
そして、オール読物編集部を通じて
「食と官能の関係についてうかがいたい」
という申し込みをしたのである。

宇能鴻一郎は、何十年にもわたってインタビューや取材、対談にも一切応じてこなかったという。
従って「諾」という返事をもらったとき、著者は『驚天動地』と感じた。

それだけ宇能鴻一郎はインタビューや取材や対談に応じていなかったのである。

宇能鴻一郎の横浜の邸は「日常からみごとに切り離された異空間」で、案内された部屋は広大なボールルーム、そして燕尾服姿のUが螺旋階段から降りてくる。

「官能と食べもの、この両方がないと僕のなかではバランスがとれないんです」

と宇能鴻一郎は言う。
インタビューでの話は、なんだか遠いところの人の言葉のようで、私には理解できない部分が多かったが、こういう人がいるんだなあ、となんだか感心したのであった。

すごい人がいるもんだ。
というのが一番の感想である。

それにしても、日本一高い原稿料で月産1,100枚を通産45年間おこなったという原動力となったものが、優雅な将来、であったというのは文学というものをつきぬけた、ある一面の小説家の姿であり、それもまた素晴らしいと思うのである。

ちなみに、暇つぶしにと今週の「週間ポスト」を買って読んでいたら、関川夏央がこの「宇能鴻一郎と会って」を取り上げていて、若干驚いた。

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新宿熱風どかどか団 椎名誠 朝日文庫

2011-10-03 18:59:26 | 読んだ
なんだかモヤモヤした気分だったので、ドーンと吹き飛ばすようなものを読みたかった。
で、本棚から取り出してきたのがこの本である。

2001年8月11日に、この本を読んだ感想を書いている。
ホームページの「嘉壽家堂本店」にある。

2001年と言えば、私がホームページを本格的に始めた年である。

というわけで、10年ぶりに読んだのだが、なんというかやっぱり「ドーン」という衝撃を受けた。

この物語は「自伝的」であるから、著者の椎名誠が主人公である。
そして、この物語のころの椎名誠はドンドングングン伸びていったころなので、なんともいえない活気というか「ドーン」というカンジがある。

その元気のよさは、今とっても響いてくるものだ。

周囲のことなどあまり考えず、自分のやりたいことをやるんだかんネ!、誘いがあれば全部受けるんだカンネ!という明確な生き方(明確と言うより適当なのかもしれない)が、単純でとってもいい。

勢いがあるというのはこういうことなんだろうと思う。
今の自分にないものがこの「勢い」である。
勢いを出すためには、やっぱし「ドーン」なのだ。
そんなことを思ったのである。

「何かをしなければ!」
という気持ちになっただけでも、読んだ甲斐があったと言うものである。


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散歩もの 作:久住昌之 画:谷口ジロー 扶桑社文庫

2011-10-01 23:11:56 | 読んだ
「孤独のグルメ」は、連載時に時々読んでいたかもしれない、と言う理由でパスして、こちらを選んだ。

作者の久住昌之が、作中の人物と同様にある条件により「散歩」する。
その条件とは
①調べない
②道草を食う
③ダンドらない
である。

つまり、思い立った時にブラブラとなんとなくダラダラと歩くのである。

「いいなあ」と思う。

そういえば、昔は知らない町に行ったとき、ブラブラ歩いていたような気がする。
といっても、目的はあった。
概ね「昼飯」か「夕飯」であった。
一人で食べなければならない時に、店を探して歩いた。
で、店をナカナカ決められない。だからずっと歩く。

今年の3月11日の昼飯もそうだった。
麻布十番の街の中を、昼飯を食べる店を探して2時間近く歩いた。
つまり決めかねて歩いた。
そのうち住宅街にまで入り込んでしまった。

この物語の主人公は、何かを探して、或いは、何かを決めかねて、歩いているわけではなく、「なんとなく歩く」ことが目的であり、それはそれは非常にうらやましいことだ。

それは私にはできないことだからだ。
日常的にそういう時間が取れないこともある。

というわけで、この本には8話収録されている、
そして、そのあとに「あとがきにかえて」というものが14ページあり、「原作うらばなし」が27ページもある。

8話のうち私のお気に入りは
第2話 品川の雪駄
そして
第8話 目白のかき餅
であった。

それにしても、谷口ジローの絵はいい。
こういう「こだわり系」の話には、谷口ジローだなあ、としみじみ思う。


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