読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

仏教抹殺-なぜ明治維新は寺院を破壊したのかー 鵜飼秀徳 文春新書kindle

2019-03-04 22:00:18 | 読んだ
日経新聞の土曜日に連載されている本郷和人の「日本史ひと模様」が面白く、毎週楽しみにして読んでいる。
「本郷和人はイイ」というのが私の感想であるが、3月3日「ビートたけしのTVタックル」に出演していたのを見て、この顔かあ!と思った。
申し訳ないが、顔からの印象では「あやしい奴」なのである。
『えーっ!』と思ったが、文章から見ると信頼できるので、自分自身で「まあまあ」となだめたのである。

で、この「日本史ひと模様」2月2日付で紹介されていたのが、本書「仏教抹殺」なのである。



どういうことかというと、いわゆる明治維新後の「廃仏毀釈」のことなのだ。
私の記憶では教科書もしくは授業で「廃仏毀釈」を習い、それは明治政府の命令だと思っていた。

そうしたら、違うらしいのだ。
明治政府が出したのは「神仏分離令」で、神と仏の分離だった。
「廃仏毀釈」とは「廃仏毀釈運動」のことなのだそうだ。

では、なぜ神仏分離が廃仏毀釈になったのか、というと4つの要因を著者(鵜飼)は上げる。

1.権力者の忖度
2.富国策のための寺院利用
3.熱しやすく冷めやすい日本人の民族性
4.僧侶の堕落

なのだそうだ。

そして、
「明治維新というエポックは、宗教詩的に見れば『国家仏教』から、『国家神道』への突然の転換」
「廃仏毀釈は日本が古来醸成してきた文化、精神性をことごとく毀した」
ということなのだそうだ。

私は、大きな誤解をしていたのだが、天皇家は神道であったが、仏教も厚く信仰していたのだ、ということが分かった。
私は、神道の天皇家が実質的権力を得たのだから神への信仰を求めることは当たり前であると思っていた。
どうもそうではないことが本書を読んでわかった。

更に、これも今まで知らなかったことだったのだが、廃仏毀釈運動によってその地域に寺院がすべてなくなったところがあるということだ。

寺院と神社が同じ敷地内にあり、双方が深くかかわっていた、いわゆる「神仏習合」(神仏混淆)は、仏教伝来以来1350年間続いたものであり、神仏分離しているのは明治以降150年間だけなのだそうだ。

いやあ、読むもの読むもの「目に鱗」なのであった。

これで、これから「御朱印」をいただくにあたって、更に深く考えることができる。

著者にはもう2冊ほど著作があるらしい。
ただし、キンドル本ではないようなので、迷っているけれど、読んでみたい。

いやあいい本に出会った。
本郷和人に感謝、である。
コメント
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