読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

春の庭  柴崎友香 第51回芥川賞受賞作 文芸春秋9月号  

2014-08-23 22:53:58 | 読んだ
そもそも、純文学と呼ばれる小説は読まない。
なぜなら、なんだかよくわからないからである。

私が感じる「面白さ」というのと、純文学の面白さは違うんだと思う。
それでも、読めば、ある程度「理解」できるんだろうとは思うのだが・・・

文芸春秋は毎月購入しているので、芥川賞受賞作品は毎回読むことはできる。
しかし、まず読まない。
そもそも、選評を読んでもよく解らない。

面白いとも、理解したとも思わずに、ただひたすら読めばいいのだ。
とも思う。
そのうち、なんとなく面白いとかわかったとか言えるのではないだろうか。

そうなのであるが、今回は「受賞作全文掲載」というので読んでみた。

しかし、今回もダメだった。

物語の「筋」というか「事件」がない。
物語が、時系列(時がいったり来たりする語り方も含めて)で語られているとか、目線が一致しているとか、そういう形ではないのが、どこか不安である。

日常を過ごす中で、登場人物たちのなんだかよくわからない心情がつづられている。
なんだかわからない心情、というのは、私が登場人物たちに感情移入できないでいるからだと思う。

「春の庭」を読んでみて改めて思ったのは、私は「文学」というものを理解できないんだなあ、ということ。

登場人物たちが尋常ではなくてその人物たちが通常の世界で尋常ではない行動をとる。
あるいは、設定が尋常ではなくて、そのなかで登場人物たちが通常の思いをする。

これが、私が面白いと思う物語の形だと思っていたが、普通でない背景の中で普通でない人たちが行動するパターンは、なんだかつまらないと思うのである。

純文学は読めない、ということを痛感したのであるが、まあ、また次回に機会があったならばチェレンジするのはやぶさかでない、と、弱く思っている。

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古代史謎解き紀行Ⅲ 九州邪馬台国編  関裕二 文春文庫

2014-08-19 22:27:04 | 読んだ
この古代史謎解き紀行は「封印されたヤマト編」と「神々の故郷出雲編」があり、それを読まずにこの「九州邪馬台国編」にとっかかったのであった。

それぞれ独立したものだと思っていたのだが、やっぱりというか、実はというか、続きものであった。
まあ、それほど明確に続いているとは感じなかったのだが、多分それは読み込みが足りなかったのではないだろうか。

ともかくも「邪馬台国」の謎を読みたかった。

で、どうだったか?

ある程度、なるほどそういう考え方があるのか、という感想であった。

あまり興奮しないのは、センセーショナルな書き方ではないことがある。
どうも難しい、という言い方もある。

つまり、どんどん登っていってこれが頂上という形態ではなく、こちらからも、あちらからも、そっちの方向からも検証して、あるいは全体的に俯瞰して見て「そうだよね」という形なのだ。

これは読む方としてはつらい。
一気にドーンと読んでも、ちびりちびりと読んでもつらい。
なかなか覚えていられないことが多い。
途中でメモをしようかな、と思ったけれど、それではさらにスピードが落ちるので、ともかく一気に読んでしまった。

それにしても、日本書紀や古事記に出てくる人たちの名前や地名の呼び方が難しい。
これなら、ロシア文学の人名のほうがいいかもしれないと思える。

前から思っていたのであるが、邪馬台国を考えるとき「魏志倭人伝」だけでは謎が解けないだろう。中国や韓国の他の文献や、日本書記や古事記などと合わせて考えなければならないと思っていたら、本書はそういう形で邪馬台国の謎に挑んでいてうれしかった。

でも、まだなんだか心の底から納得がいかないのは、やっぱり邪馬台国の謎というのは難しいということなんだろう。

というわけで、第1巻から読んで、もう一回本書を読んでみようかな、と思っている。

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日本軍艦戦記 半藤一利編 文春文庫

2014-08-16 16:11:11 | 読んだ
お盆に入ったら雨模様の天気で、今日などは長袖を羽織っている。

野球はといえば、昨年と違って楽天は負け続け、夏休みの絵日記の雨模様の「●」が続く。
一方、甲子園も盛り上げってはいるものの、出だしに台風で2日延期して以来、なんだかすっきりしない天気で、東北勢ががんばっているのに比して、私の心の中では今一つ盛り上がっていない。

さて、日本軍艦戦記である。

軍艦というのは、男の子にとって「憧れ」である。
この憧れは、戦争を肯定するものではなく、ただひたすらに「カッコイイ船」であるからだ。

軍艦の目的は明確である。
戦いに勝つという目的そのものは平和を求める人にとっては「おぞましい」ものであるだろうが、モノとしてはやっぱりカッコよく、あこがれるものだと思う。
そして明確である物を具体化すると「カッコイイ」ものになると思う。

太平洋戦争(第2次世界大戦)前に、日本海軍の軍備には軍縮会議において制限が加えられた。
その制限のなかで猛訓練(月月火水木金金)があり、日本海軍の精度は向上した。
更に、軍縮の中で「戦艦」を準備することで、他の海軍を圧倒しようとした。
しかし、それは日露戦争で勝った方式を踏襲するもので、実は航空母艦がこの戦争の主役になるということを想像できなかった。
もっとも、この思想は多くの海軍の主流だったのではあるが・・・

日本の軍艦といえば「大和」と「武蔵」がまずは思い浮かぶのだが、この2隻の戦艦を活用できなかったのが痛い。
そして、活用しようとしたときにはすでに敗色濃く、戦前に思い描いていたものではなかった。

緒戦の真珠湾において、うまく航空母艦を活用したことをその後生かせなかったのも大きい。
多分、航空母艦による戦いが海軍の戦いの主流であるという認識を、海軍首脳部、あるいは提督たちの多くが理解していなかったのだろう。
だから、その後の戦いもぎくしゃくしたものになっている。

さて、多くの軍艦がこの本には収録されているが、どの軍艦が好きか、ということになると難しい。

では、どの軍艦に乗ってみたいか?
ということになるとどうか。

私は、先ず空母に乗ってみたい。
空母から戦闘機が飛び出していくところを見てみたい。
多分、多くの乗務員が一つになって、一機を送り出すんだろう。

また、潜水艦にも乗ってみたい。
ただ、あまり深く潜らないで欲しい。

そして、駆逐艦。
颯爽として、いろいろな任務を活発にこなすイメージである。

いろいろ乗りたい軍艦はあるが、やっぱり戦艦大和に乗ってみたい。

軍艦は戦うことが目的の船である。
平和を求めるのであれば軍艦なんていらない。
でも、平和はこちら側だけでは達成できない。

平和を守るための軍艦であればと思うのだけれど・・・

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現代中国悪女列伝 福島香織 文春新書

2014-08-11 22:29:52 | 読んだ
現代の中国のことを知っていますか?

と聞かれれば「全然知らない」と言ってしまう。
最も、アメリカだってイギリスだって知らないのだけれど・・・

でも、アメリカやイギリスの世の中の仕組みってなんとなく理解できる。
つまり、指導者たちは「選挙」で選ばれる。
したがって、指導者になるためには選挙で勝たなければならない。
でも、中国ってどのようにして指導者が選ばれているのかわからない。
そこのところが「中国ってなんだかわからない」理由なのかもしれない。

「悪女」というのもよくわからない。
何を持って悪女というのだろうか?
世界の悪女とか日本の悪女というようなものを読んだりすると、一方的な視点からの悪女で、悪女というのは作られるもんだなあ、と思った。

悪女といわれる人たちの中に、国を滅ぼすという部類があるが、あれは、国が滅びた一つの小さな要因であって、何者かが悪女を仕立ててそれに全部背負わさせているに違いない。

また、市井の中の悪女というのは、どうも「愛」が強すぎるような気がする。

さて、本書のはじめに中国における悪女の条件というのが紹介されている。

1.美女である
2.才媛である
3.世間を驚愕させる事件を起こす
4.政治権力とかかわりがある


美女で才媛であれば「魅力」がある、魅力のある女は金と権力を呼び寄せる、だから世間を驚愕させるような事件を引き起こす。
というのが筆者の考えである。

本書で紹介されいる現代中国の悪女は3人である。
そのうち「江青」だけが、聞いたことがある。

それにしても、彼女たちは魅力的である。
本書のカバーに3人だけ写真が掲載されているが、ネットで検索すると多くの写真が出てくるし、いろいろなことが書かれている。
それを観たり読んだりしても魅力的である。

魅力的な人は自分の魅力を知っていて、それをうまく利用しているのだと思う。
ただ、魅力的というのは全ての人が感じるわけではなく、ぜったに受け入れらない人がいる。
そのあたりまで知っていると悪女にはならないのではないか。

本書は、悪女、に興味を持って読み始めたのだが、実は現代中国を知ることになっている。

それにしても、中国って良くも悪くもスケールが大きい。
このスケールにどう対応していかなければならないのか、日本はもっと中国を知るべきである。

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BARレモン・ハート 29巻 古谷三敏 双葉社

2014-08-09 21:48:46 | 読んだ
この漫画を読むといつもきまって思うのだ。

こんな店とこんなマスターがいる店ないかなあ、と。

今回の第29巻には全部で13話が収められている。
『漫画アクション』2013年4月16日号から2014年4月15日までに掲載されたものである。

この漫画の特徴というか私の感想なのだが、出てくる酒をぜひ飲みたいと思わない。つまり、やっぱりこのような店とマスターのほうへの興味というか焦点が行く。

今回登場した酒だって、読み流しているので覚えていないが、そもそも覚えられないような名前の酒である。
たとえば
「マム・コルドン・ルージュ・ディナージャケット」
これシャンパンであります。

この名前を憶えてどっかの店に行って言いますか?
言えば言ったでキザでいやらしいし、メモしてわざわざ飲まなければならないものでもないし。

そもそもお酒って、美味しいものは確かにおいしいけれど「誰」とか「何処」そして「気分」というのも、美味しいの要素ではなかろうか。

たとえば、私、今週に2年がかりの懸案事項についてひとまずの区切りがついた。
その晩に飲んだお酒は、飲み放題の生ビールだったけど、うまかったなあ。それに、相当呑んだのに、次の日にまで持ち越さなかった。

で、いいお酒をご馳走されても、気を使う相手だったり、楽しくない宴会だったりすると、少量でも悪酔いとなる。

ということで、レモン・ハートでお酒を飲むということは、酒の種類によらず、美味しいのだと思う。それはやっぱりマスターの「誰であろうと、お酒は美味しく飲んでほしい」という『こころ』、今流行のお言葉でいうと『おもてなし』ろなんだとおもう。

今回の物語に登場する親父がこんなことを言っている。(PART372「氷らない日本酒」)

『そこのマスターが酒のことなら何でも知ってる。ウンチクおやじでさ』

酒のことを何でも知っているというのは、その酒自体のうまさだけでなく、どうしたらそしてどのような気分ならおいしく飲めるかを知っているのだと思う。

で、常連の松ちゃんがいうのだ。(PART375「三つのラベル」)

『酒に詳しすぎるというのも考えもんだね』

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