京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

「愛」は「藍」

2015年05月08日 04時30分17秒 | 社寺・和菓子

↑東福寺愛染堂

朱塗り柿葺きの八角円堂。南北朝時代の建築物で、愛染明王を祀っている。
「愛染明王って?」とおっしゃる方は多いでしょうね。
仏教、それも密教系になるとやたら色々な神様がでてくる。
密教で、最高神は「大日如来」です。会社で言えば「社長」です。もっとも最近は、CEOなどと訳のわからないのもでてきます。日本の社会ってすぐにカタカナやアルファベットを使う傾向がありますね。ああやって責任の所在を曖昧にするんだろうな。
神様社会だって会社組織と同じ構造になっている。
社長を中心に色んな部門があります。
その組織図が「曼荼羅」というやつです。
社長の下部に専務が複数いる。専務→如来
部長→菩薩、課長→明王、セキュリティ→天
明王は、口で言ってもわからない存在に対して実力行使をする存在。
武力行使にも専門分野があります。



愛染明王は、エネルギー変換兵器を使います。「愛欲(煩悩)」のエネルギーを消すのでなく、「大欲」の為のエネルギーに変換してくれる。
素晴しいと思いませんか。「大欲?」となるでしょ。いわゆる「釈迦の大欲」というやつのことです。みなさんが社寺で願う小さな欲望じゃなく、人類・地球・宇宙のためというような大きな欲望のことです。
「愛染明王」は「愛染かつら」と違う存在です。
後者は、どうやら病院関係の話らしい。一応歌は歌えます。





直江兼続の兜の「愛」は、「LOVEの愛」ではなく、軍神としても愛染明王の信仰から「愛」という字にしていたそうです。


↑この写真は、智積院です。

一方、民間の愛染明王の信仰は「恋愛・縁結び・家庭円満」「愛染→藍染」で染色業界・織物職人の守護仏。愛欲を否定しないということから水商売系の信仰の対象にもなっている。
立場で全然違うのがいかにも日本的ですね。


↑長久堂「行者径」

お寺って面白い所ですね。
厳しい修行を愛染明王や辯才天に修行の成就を祈願する。
生身の人間が悟りを開くのは、並大抵のことじゃない。
悟った高僧になると祗園に行ってもびくともしないのです。
京都は、面白い街です。




↑こなし、備中白こしあん

この東福寺の愛染堂は、もともと塔頭の万寿寺※にあったそうです。
1934年(昭和9年)の室戸台風で倒壊し、その後現在の地に移された。
台風のエネルギーは変換できなかったようです。
※万寿寺/本来このお寺は京都五山の五位として栄えていた。『都林泉名勝図会』には、南は六条通、北は六条坊門(今の五条通)、西は東洞院通、東は高倉通の大きさだった。でも火事等で最終的には、東福寺に合併され、今は東福寺塔頭として、現在もあります。非公開ですが。
※京都五山とは、京都のお寺ランキングではなく、臨済宗の中でのランキング。メンバーは、南禅寺(別格)、天龍寺(第一位)、相国寺(第二位)、建仁寺(第三位)、東福寺(第四位)、万寿寺(第五位)、提唱者は、足利さん。

本日の記事は、ただの雑文でした。
喜んでもらえると幸いです。

和菓子
中村 肇
河出書房新社

↑これから暫くの間、京男の和菓子本のお知らせをさせてもらいます。説明は1月27日の記事をご覧ください。(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
コメント (4)
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