京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

青年よ大欲を抱け・・・愛染堂

2013年04月28日 06時08分58秒 | 社寺・和菓子
ここは東福寺境内にある愛染堂。
名前の通り「愛染明王」をお祀りしてあります。
「愛」という漢字がついているので、恋愛や縁結びの仏さまかなと思いますよね。
そうだ「愛染かつら」というテレビドラマがありましたね。
内容は、わからないけど歌は憶えています。
「旅の夜風」かな?「はぁ~なぁ~も あらしもぉぉ~」と口ずさんでおりました。
そういうようなソフトなイメージがあるので、臨済宗のお寺と関連性がよくわからなかった。



愛染明王は、衆生(まあわれわれのような立場の人間)が仏法を信じない原因の一つに「煩悩・愛欲により浮世のかりそめの楽に心惹かれている」ことがある。
でもこれは生きていると全面的に否定できないし、無くすこともできない。
愛染明王は「煩悩や愛欲」を否定するのではなく、そのエネルギーを向上心に変換して仏道を歩ませる功徳があるのです。



なるほどエネルギーを無くすのでなく、方向性を変えてくれるのか。
これはすごいことですよ。
我々がもっている小さな欲を集積して、大欲にするのか。
大欲はみなさんもっていないですよね。



お釈迦さんと我々の差は、「(小)欲」と「大欲」の差です。
お釈迦さんもしっかり欲をもっていたのですよ。
色々な修行をして普通の欲をコントロールし、悟りの境地を開いた。
それから大きな欲を持っていた。
衆生を悟らせたいという欲を持っていたのです。
これを「大欲」と呼んでもいいでしょう。



「青年よ、大志を抱け!」と言ったのはクラーク博士ですが、この言葉と「大欲」というのは同じようなことだと思う。
それは金銭に対してでも、自己の利益に対してでもなく、 また世の人間が名声と呼ぶあのむなしいものに対してでもない。 人間が人間として備えていなければならぬ、 あらゆることをなし遂げるために大志を抱け。
転じて「青年よ大欲を抱け」して衆生のために尽くせ、愛染明王はそのために守護してくれているのですよ。
もちろん、大欲を抱くのは「少年」でも「老年」でもいいのですよ。

禅宗のお寺の境内に愛染明王が祀られているのはそういう訳なんです。
愛染さんのファンになりたくなったでしょ。


↑京都鶴屋鶴壽庵「青陽」


↑こなし、黄あん

和菓子
中村 肇
河出書房新社

↑これから暫くの間、京男の和菓子本のお知らせをさせてもらいます。説明は1月27日の記事をご覧ください。(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする