尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

超ワイルド! 川原毛大湯滝のド迫力ー日本の温泉⑥

2021年06月22日 22時35分35秒 |  〃 (日本の山・日本の温泉)
 普段は見てない「鶴瓶の家族に乾杯!」を昨日(6月21日)見ていたのは、四万温泉(群馬県中之条町)が出て来るから。先週フラッと見たら、元サッカー日本代表の中澤佑二が沢渡温泉を歩いていた。沢渡や四万は僕が大好きな温泉で、特に四万温泉は何度も行っている。いろんな番組に取り上げられる四万温泉の「積善館」は日本ベスト級の温泉旅館。最近は外見だけ見て素晴らしいと言う人があるが、外見だけなら長野県渋温泉金具屋の方が凄いと思う。積善館は有名な「元禄風呂」が素晴らしいが、それと同じぐらい料理が美味しい。

 しかし、このシリーズでは四万温泉みたいにテレビの旅番組でよく取り上げられる有名温泉は扱わない。そこで「名旅館」の反対にワイルドな温泉を書いてみたい。日本では温泉法上、金属イオンが一定程度含まれている他に「泉源の水温が25度以上」のものを温泉と呼んで良いことになっている。(25度未満だと「冷泉」「鉱泉」などと呼ばれる。)しかし、地下深く掘れば掘るほど水温が上がる。100メートルで3度上がるともいうから、深く掘って地下水に当たれば大体温泉ということになる。そこで地下千メートルも掘った「温泉」が全国に乱立する。

 法的に認められているんだから、僕が文句を言う筋合いではないが、やはり温泉というのは自然湧出の方が「らしい」と思う。そして自然湧出の極みは、そのまま大自然の中で湯に入れるというものだろう。全国を探せばそういうところが幾つかある。川を掘ればお湯が出る「川湯温泉」(和歌山県)や「尻焼温泉」(群馬県)、宿の前を流れる川がそのまま露天風呂になっている那須の「大丸温泉」などもある。また北海道の知床には滝が温泉になってる「カムイワッカ湯の滝」がある。これは相当行きにくくて、通行止めになっていることもある。僕もまだ行ってない。

 しかし、知床と同じぐらい大胆にワイルドな大自然の湯が東北地方にあることを案外知らない人が多い。それが秋田県湯沢市の「川原毛(かわらけ)大湯滝」である。秋田県東南部で、宮城県の鳴子温泉をさらに奥へ行って県境を越える。東京からだと早立ちしないと一日では厳しい距離だ。ここは川の上流で温泉が湧いていて、滝となって落ちるところの滝壺に入れる。源泉は96度だというが、沢水とブレンドされて滝壺は適温になるという奇跡みたいな滝である。滝に打たれるも良し、その気になれば滝壺で泳ぐも良し。ただ、強酸性なので(PH1.41とウィキペディアに出ている)、注意が必要。
(川原毛大湯滝)
 この湯滝は近くでは有名で、特に夏は多くの人が訪れる。男女とも来るから水着で入ることになっていて、更衣所も出来ている。でもかなり広いし、滝壺も複数あるから休日を避ければ混雑というほどでもないと思う。ここの開放感、ワイルドさは絶対に他では味わえない。車がないと行きにくいが、一度は訪れたい知られざる名所、宝物だ。観光バスで行くプランを見たことがないから、やはり何とか自分で行くしかない。ここに入らずして「ワイルドだろ~」とか言ってはいけない。
(川原毛大湯滝)
 滝は標高700メートルだというが、そこからさかのぼったら(まあ車で登ることになるが)、「川原毛地獄」になる。日本各地で硫黄臭漂うガスが噴出して熱水があちこちから湧き上がる灰色の景色を「地獄」と呼んだりする。日本三大地獄が「恐山」「立山」「川原毛」だと言うけど、川原毛だけ名前を知らない人が多いと思う。箱根の大涌谷、登別温泉や別府温泉の地獄などが有名だが、スケールでは川原毛が圧倒的に大きい。立山は行ってないけど、恐山は霊場として開発されているが、川原毛は荒涼感が強い。ここから強酸性泉が湧き出ているわけである。
(川原毛地獄)
 そこまで行ったら一日では帰れない。泊まるなら泥湯温泉になる。奥山旅館ともう一つがある。奥山旅館は日本秘湯を守る会の会員だが、2016年に火事で全焼した。再建されたようだが、最近はどうなっているのか。名前通り、泥のような成分が沈殿していて凄い温泉だ。ただし、硫化水素で死者が出た事故も起きているので、湯滝は大丈夫だけど、地獄や泥湯温泉には注意が必要。湯沢市には他にもたくさんの温泉がある。前回触れた稲住温泉鷹ノ湯温泉小安温泉郷など。また湯沢といえば「稲庭うどん」の産地でもある。最近は東京にも出店しているけど、「八代目佐藤養助商店」の本店で食べたのも忘れられない思い出だ。
(泥湯温泉)
コメント
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