万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本の油断―北朝鮮有事に備えを

2012年01月09日 16時54分58秒 | 日本政治
正恩氏、「テポドン2」打ち上げに立ち会いか(読売新聞) - goo ニュース
 北朝鮮では、金正恩体制が成立して以来、指導者の求心力の低下による体制の動揺と不透明感が漂っているようです。国内体制を引き締めるために、対外的な冒険主義に打って出ることは、独裁者の常套手段ですので、北朝鮮は、危険な兆候に満ちています。

 北朝鮮で盛んに報じられている金正恩礼賛の美辞麗句は、主としてその軍事的な才に向けられています(砲撃の天才?)。指導者礼賛の文言を誰が書いているのかは不明ですが(自画自賛?)、金正恩氏の後継者としての正統性は、軍人としての卓越した”優秀さ”に依拠しているようです。逆から見ますと、その才を実際に証明しないことには、国民から軽視され、指導者としての地位も失いかねない、ということでもあります。すなわち、このことは、金正恩氏の前には、軍事行動というレールが敷かれていることを意味しているのです。思慮の浅い若干29歳?の指導者は、このレールを走りだす可能性は、決して低くはありません。軍への過度な依存は、自らの選択肢を狭め、戦争へと自らを追い込んでいるようにも見えるのです(あるいは、その背景には、黒幕がいるのかもしれない…)。

 一方、日本国では、昨年、東日本大震災が発生したこともあり、復興や内政に国民の関心が集まり、外部の脅威に対して警戒が疎かとなっています。震災で苦しむ国に対して、攻撃を加えるような卑劣な国は存在しない、と考えているとしますと、それは、危険な油断です。北朝鮮の軍事行動が、日本国ならびに在日米軍を標的とするかもしれないのですから、日本国政府も国民も、有事への備えを怠ってはならないのです。しかも、一旦、戦端が開かれますと、中国の軍事介入による米中戦争、さらには、イランの動向を考慮すれば、第三次世界大戦にまで発展する可能性がありますので、最悪のシナリオを想定した対応の準備を急ぐべきと思うのです。

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コメント (2)
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