万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

天皇訪英は何を意味するのか?

2020-01-15 13:57:40 | 国際政治

 英王室は、緊急の王族会議が開かれるほど、目下、ヘンリー王子夫妻の一件で揺れています。いわばお取込み中なのですが、その英王室が、今春、即位から間もない日本国の天皇皇后を国賓として招待するそうです。天皇訪英については、日本の皇室と英王室が親交を深める機会と捉え、令和の時代における日英友好促進を期待した報道が目立ちますが、その一方で、唐突に公表された今般の訪英は、国民には知らされていない両者の間の特別な関係を歴史の表に浮かび上がらせるかもしれません。今般の天皇訪英は、日英両国にとりまして歴史における一つの節目になるようにも思えるのです。

 

日本国内では、国民の大半は、日本国の皇室と英王室は同格、否、前者のほうが‘エンペラー’の称号を有するために国際的な序列では格上とする見方さえあります。しかしながら、明治以降の所謂“天皇”は、英王室の‘家臣’であった可能性は低くはありません(明治天皇は、国際勢力、すなわち、維新勢力によって据えられた人物であり、日本古来の天皇家の血筋を引いていないという有力な説がある…)。明治維新を陰から支えた、あるいは、仕掛けたのは英王室の勅許会社である東インド会社系の勢力でしたし、明治天皇をはじめ、歴代の天皇は、1348年、エドワード3世の治世に創設された英国王を主君とするガーター騎士団の一員です。上皇も1998年に叙任されていますが、今般の訪英に際しては、エリザベス女王による新天皇への叙勲も推測されえます。封建的な位階秩序にあっては、英国王は天皇より上位にあると言えましょう。

 

英王室が、外国人に同勲章を準メンバーとして授けるようになったのは、1813年のロシア皇帝であるアレクサンドル1世に始まります。1813年とは、まさにナポレオンのロシア遠征においてロシア側が勝利を収めた直後の年に当たります。対仏大同盟の文脈から英露間の関係強化が図られた時期にあり、同叙任には、軍事・政治的な意味が込められていたのでしょう(唯一独立を保っていたイギリスは、ロシアに対して優位な地位にあった…)。そして、ヴィクトリア女王の時代に至ると、ガーター勲章の授与の対象者は、ヨーロッパ以外の王家や皇室にも広がります。最初の事例は、1856年のオスマン・トルコ皇帝アブデュルメジド1世への授与であり、次いでペルシャ皇帝ナーセロッディーン・シャーにも同勲章は与えられているのです。つまり、ガーター勲章とは、イギリスが自らの世界戦略を展開するための極めて有効、かつ、重要な道具であったと言えるのです。明治天皇への1906年の叙勲も、日英同盟の絆の象徴なのでしょうが、封建的な位階秩序からしますと、日本国の天皇は、英国王に忠誠を誓い、盾となって主君を護る騎士団の一員なのです。

 

また、ガーター勲章の授与に拘わらず、イギリスが外国の君主や有力者一族を自らの支配の‘駒’としてきたことは、植民地諸国との関係からも伺えます。しばしばイギリスを舞台とする小説などでは、パブリックスクールに留学してきた外国の王族の子弟が登場してきます。また、『王様と私』にも描写されているように、宮廷や朝廷に自国の教育係を送り込むことは、支配のための第一歩でもありました。支配者、並びに、その一族の伝統的な意識や考え方を変えさせ、外国支配に対する抵抗感を取り去ってしまえば、より効率的、かつ、安全に植民地化することができるからです。支配側からすれば教育というよりも‘調教’に近い感覚なのでしょうが、支配層において宗主国への忠誠心が盤石となれば、植民地支配もまた永続性を得ることができます。日本国の“皇族”も英国留学が半ば慣習化していますが、英国留学の必要性は日本国側ではなく、英国の側にこそあるのでしょう。

 

今般の訪英に際しても、英国が招待するという形で発表されていますので、裏を返しますと、日本国には決定権はなかったことを意味します。つまり、訪英を命じられているのであり、日英友好は表看板に過ぎず、その真の狙いは、イギリス、そして、そのイギリスをも陰で操る国際組織による日本支配の永続化なのでしょう。このように考えますと、世界の王室や皇室とは、一体、何なのか、と頭を抱えてしまいます。2020年の年明けは、歴史の事実が明らかとなり、世界レベルで過去の歴史が清算される時代の始まりを告げているのかもしれません。

 

 

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