万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

映画に怒る北朝鮮-テロ国家に再指定?

2014年12月18日 15時38分49秒 | 国際政治
北朝鮮“揶揄”の映画中止、テロ攻撃予告に配慮 ソニー米子会社(産経新聞) - goo ニュース
 ハリウッドでは、北朝鮮の金正恩氏の暗殺をテーマとした『The Interview』なる映画を作製したそうです。おそらく、チャップリン映画の『独裁者』のような奇妙な国の独裁者という設定でパロディー化した作品なのでしょうが、北朝鮮は、本気に起こっているようなのです。

 1940年に公開された『独裁者』もまた、ドイツをはじめ同盟国であった日本などでも放映禁止となり、政治的な圧力がかかった作品でした。それは、笑って済ませられない、何らかの独裁体制の本質を描き出していたのかもしれません。独裁者のカリスマに魅せられてる間は気が付きませんが、独裁体制には、常識や理性的な感性からしますと、滑稽に映る”何か”があるからです。ヒトラーも、それを敏感に感じ取ったからこそ、国民に見せたくはなかったのでしょう。笑いの渦と共に、自らの体制が崩壊するかもしれないのですから。北朝鮮の反応もまたヒトラーに近いのですが、”放映禁止”の手段はより過激で暴力的です。『独裁者』は、製作地であるアメリカを含む各地で自由に放映されましたが、『The Interview』は、北朝鮮のテロ予告を受けたことによって上映が中止されたというのです。北朝鮮の命令によって、ハッカーがネットの掲示板に「世界は恐怖に包まれるだろう」とか、「9.11を思い出せ」とか、「上映時間には映画館から離れるよう忠告する」…といった脅迫文が書き込まれたというのですから驚きです。クリスマスプレゼントと称して…。

 北朝鮮は、暴力と脅迫こそ最大の武器と信じている国ですが、果たして、これは、北朝鮮の”大勝利”なのでしょうか。明白にテロを示唆したことによって、米捜査当局は北朝鮮の犯行と断定し、既に捜査に動き出していると報じられております。この事件によって、北朝鮮がテロ国家に再指定される日が近づいたのではないでしょうか。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2014-12-18 20:08:44
こんばんは。北朝鮮こそ世界で唯一残る儒教国家です。
共産主義国家でも指導者が世襲で独裁を続けている国はありません。
拉致問題の解決も、遺骨返還の問題にしても、金日成・金正日が決定をした事を間違いだったと認める事は、金正恩にはできません。
先代・先々代の過ちを認めてしまえば金正恩とその関係者は一族の者によって処刑され、永久に国を売った漢奸として北朝鮮の歴史に刻まれることになります。
北朝鮮こそが李氏朝鮮の後継国なのです。
韓国は李承晩の時に皇室を廃止してしまいましたが、朝鮮王朝は儒教の思想とともに北朝鮮に受け継がれているのです。
現実には、儒教を奉じ中国の援助を受け存続してきた北朝鮮より、韓国の方が物質的にも経済的にも豊かであり、李氏朝鮮から続く儒教による統治は誤りである事は証明されています。
韓国も儒教の影響下にある事には違いないのですが、米軍の統治と朴正熙大統領の政策によって形式的には民主主義を取り入れ、経済を自由化する事で北朝鮮より豊かなのです。
パロディ映画に北朝鮮が過敏に反応するのは、点描としての歴史ではなく、国家としての物語が無い事が原因でしょう。
北朝鮮独立のパルチザンとしての物語・・実は、ただの銀行強盗だったことが文献に残されていますし、金日成の出自にまつわる物語も創作されたものである事がはっきりしています。
李氏朝鮮も支那の属国であり、琉球よりも地位が低かった事も文献に書かれているとおりです。
北朝鮮・韓国のたどった歴史を支那と我が国に残されている歴史書で検証すれば・・・何も残りません。
朝鮮そのものに正統性が無いのです。
朝鮮という国号も支那に与えられてものですから。
拉致や偽札・偽タバコ・麻薬などの北朝鮮による国家ぐるみの犯罪が明らかになった時に、総連から民団に鞍替えする者が続出し、在日と偽って様々な工作活動を続けているのは巷で騒がれているとおりです。
朝日新聞・毎日新聞・日教組・連合・総評・自治労・官公労などは全て北朝鮮の手先と思って間違いございません。
日教組は槇枝路線を堅持していますし、旧社会党(現在の社会民主連合・民主党)は北朝鮮労働党と友党関係にありましたし。
連合を始めとする労組は殆どが北朝鮮労働党と友党関係にありました。
この構図は現在も続いております。
北朝鮮の崩壊を望まない国・・・中国です。
北朝鮮が民主化し普通選挙が行われるようになりますと、中国国内でも民主化を求める暴動が発生し、中共政府が崩壊の危機を迎える事になります。
中国に取っては北朝鮮も緩衝地帯として体制を維持させておきたいのです。
金一族による体制が崩壊したとしても、軍事独裁という形で体制を維持させておきたいのです。
北朝鮮としては軍事独裁という形よりも、金一族による体制である事が、何かと動きやすい面もあるのです。
北朝鮮が中国よりだった張成沢氏を処刑しようとも、中国としては北朝鮮の体制だけは維持しておきたい、それが本音です。
米国での上映中止の裏には、中国の意思が働いていた可能性があります。
また、北朝鮮はサイバー攻撃の分野では大国です。
中国に人間を派遣し学んでいますので、此の分野も侮ることはできません。

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ねむ太さま (kuranishi masako)
2014-12-19 08:13:59
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 中国が世界各地で建設している孔子学院は、アメリカでは、反発を受けているそうです。儒教の思想を広めることを目的としていながら、その実、中国の思想戦略の出先機関となっているからなのでしょうが、儒教の影響を強く受けた朝鮮半島の二国を見れば、徳が抜け落ちて、序列絶対主義に陥りかねないリスクを内包しているようです。あるいは、儒教では、”過ちては新改むるに憚ることなかれ”とも”巧言令色、鮮なし仁”とも申しておりますので、統治者無誤謬主義は、朝鮮半島において儒教が変質し、”異端化”あるいは”カルト化”した結果なのかも知れません(統一教会のように、キリスト教もカルト化する…)。日本国の儒教の受容が、精神のあり方としての徳育に重点が置かれていたことは、幸いでした。イスラム原理主義にも見られるように、人類の多様性の中には、”危険思想”も含まれていることを認識しませんと、人類は、ますます不安定化するのではないかと思うのです、
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