万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国の在韓邦人退避活動への協力拒否-韓国政府は身勝手では?

2017年12月17日 15時16分05秒 | 国際政治
在韓邦人退避に陸自ヘリ 釜山−対馬ピストン輸送 北朝鮮有事を想定した政府計画
朝鮮戦争に際し、日本国内には、済州島等を経由して大量の避難民が密入国したとされております。戦時徴用で来日していた朝鮮半島出身者の大半が戦後に帰国したにもかかわらず、韓国・北朝鮮系の人々が多数日本国内に居住している理由の一つは、朝鮮戦争時の混乱に求めることができます。

 こうした過去の事例からしますと、仮に北朝鮮軍が38度線を越えて南下して地上戦となる、あるいは、ミサイル攻撃や砲撃を受ける場合には、韓国国民の難民化もあり得ないわけではありません。今般の有事に際しては、日本国もまた北朝鮮のミサイル攻撃の射程に入りますので必ずしも絶対に安全とは言えませんが、少なくない数の韓国人が、日本国への避難を試みるのも想定範囲に入ります。折も折、報道に拠りますと、対馬における増加し続ける韓国人による不動産購入の目的には、有事に際しての避難所の確保ではないかとする憶測もあるそうです。となりますと、戦端が開かれた途端に、対馬を目指して多数の韓国人渡航者、あるいは、避難者が押し寄せる事態もあり得る事態です。

 その一方で、有事における在韓邦人の退避策として、日本国政府は、航空自衛隊や海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊のヘリコプターをも動員して釜山から対馬へとピストン輸送する計画を検討中と報じられております。ところが、韓国政府は、自衛隊による邦人保護活動に対して極めて非協力的であり、日本国政府が求める事前協議にも応じないため、受け入れ国の同意なき事態に直面する可能性もあるそうです。日本国政府は、有志連合による協議を模索しておりますが、韓国政府の頑なな態度は、身勝手とした言いようがありません。何故ならば、韓国政府の協力が得られなければ、非合法な手段を使ってでも韓国人避難民が対馬等に上陸する一方で、在韓邦人の多くは、危険が迫る朝鮮半島に取り残される可能性があるからです。

 日本国政府は、仮に北朝鮮軍が韓国民間人を虐殺するような場合には、人道上の立場から一時的には収容所などで韓国人避難民を保護するのでしょうが(戦後は帰還措置では…)、一方の韓国政府の態度は正反対です。有事に際しての軍隊を以って民間人を避難させるのは、国際社会において相互に認め合う自国民保護のための一般的な手段でもあります。にも拘わらず、韓国が協力を拒否しているとしますと、その理由として考えられるのは、度を越した反日感情による人道からの逸脱、戦後の朝鮮半島情勢を睨んだ日本国を含む諸外国の影響力の事前排除(外国軍隊の展開を阻止したい…)、あるいは、日米韓同盟を禁じた中国への配慮(自衛隊の上陸を許さない…)などが推測されます。

 朝鮮半島有事が現実味を帯びる中、韓国政府の自己中心、かつ、その挙動不審は、対北朝鮮の足並みを乱れさせるともに、有事に際しての信頼性にも疑問が付されます。在韓邦人退避措置への同意を促す上にも、日本国政府は、韓国政府に対して自国民の難民化を想定した対策を準備しているのか、否かを、問いただすと共に、予め、日本国としての基本方針や具体的措置を策定し、同政府に伝達しておくべきではないかと思うのです。

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