万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

真の経済戦略は”産直型システム”への転換では

2014年07月14日 15時00分54秒 | 国際経済
そして誰もいなくなった──。人手不足を生む人口減少ショック 瓦解を始める日本の現実(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 減少傾向にはあるものの、生活保護が全世帯数の一定割合を占める中、マスコミによる人手不足の大合唱は、移民政策への誘導ではないかと疑うのですが、人口減による経済の衰退予測に対して、新自由主義者を中心に作成された日本国の戦略は、民営化と規制緩和一辺倒です。しかしながら、人口減少時代に必要とされる真の経済戦略とは、経済システム全体の効率化ではないかと思うのです。

 民営化絶対論者は、あらゆる公的事業も民営化すれば、事業者間に価格低下とサービス向上の競争が生じ、企業も消費者も利益を受けると説明しています。しかしながら、経済には、民営化に適した領域と、適さない領域があり、後者の場合には、民営化は、逆に非効率とコスト高を招く場合もあります。例えば、再生エネ法は、民間の事業者にエネルギー市場への参入機会を開いた点において、民営化、並びに、自由化の趣旨に合致しているように見えながら、その反面、電力会社に対する買い取り義務化によって消費者に高い電気代を転嫁しています。消費者には選択肢がほとんどない一方で、価格競争が働くのはパネル製造の部門だけなのです(それ故に、事業者は、安価な外国製品を大量に購入…)。こうした欠陥制度を導入するぐらいならば、国や地方自治体、あるいは、電力会社が直接に再生エネ事業を実施した方が、はるかに安い価格で再生エネ電力を国民に提供できたはずです。人材派遣業については先日のブログで指摘しましたが、民営化による市場や事業の細分化は、中間マージン取得者を増やすだけで、経済全体としては非効率なのです。

 社会・共産主義の失敗により、公営は全面的に否定されがちですが、民営化や自由化が逆に非効率をもたらすこともあるのですから、経済システムの制度設計に際しては、政府と民間の両者の間の線引きや棲み分けこそ重視すべきです。特に人口減の時代には、出来る限り流通を”産直”に近づけることこそ、無駄な人手とコストを省く手段ともなります。ITや流通システムが発展してきた現代にあってこそ、農産物に限らず、あらゆる分野における”産直型システム”への転換は可能なのではないかと思うのです。

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コメント (12)
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