万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

世界の警察官を降りたアメリカ-国際社会は激変する

2013年09月16日 15時34分00秒 | 国際政治
シリアへの軍事圧力は本物=イスラエル首相と会談―米長官(時事通信) - goo ニュース
 先日、シリア問題に関連した演説の中で、オバマ大統領が”アメリカは、もはや世界の警察官ではない”と述べたことが、国際社会に静かな波紋を広げています。日本国もまた、アメリカは唯一の同盟国であり、同盟国の方針転換の影響を受けないはずはありません。

 それでは、アメリカが、世界の警察官を降りるということは、何を帰結するのでしょうか。国連の最初の構想は、米英仏ソ中の”5人の警察官”が、大国としての責任をもって世界の平和を護るというものでした。安保理において、常任理事国に特権が与えられいるのも、国際社会に対する重い責任と義務に根拠があります。もっとも、現実には、常任理事国の幾つかの国は、”警察官”どころか”無法者”になってしまいましたが…。それでも、アメリカが、世界の警察官を自負してきたからこそ、曲がりなりにも、国際社会には、警察官が存在している安心感があったのです。しかしながら、そのアメリカも、警察を辞めるとなりますと、国際社会もまた、警察官不在の状態に対応せざるを得なくなります。警察官不在とは、仮に、他国から侵害を受けた場合、何れの国も、自力で自己救済をせねばならないことを意味します。個別的自衛であれ、集団的自衛であれ、自己救済しか手段がないとなりますと、全ての国が、防衛と安全保障に関する対等な権限を持つことが許されなくては、不公平となります(特定の国に特権を認める理由がなくなる…)。すなわち、国連においては、常任理事国の拒否権等の特権制度を廃止し、核についても、NPT条約を改正して、全ての国に核保有を禁じるか、あるいは、全ての国に核武装を認めるかのいずれかを選択しなければならないのです。

 そして、第二次世界大戦の敗北の経緯から、戦闘機の自己開発などに制約が課せられている日本国もまた、こうした制約を全て解除し、軍事力を強化する必要があります。自国を確実に護ると共に、願わくば、アメリカに代わって悪を挫く世界の警察官の名乗りを上げるために(少なくとも、新たな”国際治安維持制度”ができるまでの間は…)。

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コメント (2)
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