万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

インフレ率より国民所得の増加率を目標に

2012年11月28日 15時47分28秒 | 日本政治
日本の成長率、下方修正 OECD「中国に影響受ける」(朝日新聞) - goo ニュース
 年率2%のインフレ目標を選挙公約として掲げた自民党に対して、日銀は、当面は1%で良いとする見解を示し、金融緩和策をめぐる攻防戦が続いています。ところで、政治が目指すべきは、インフレ率ではなく、国民所得増加率の上昇ではないかと思うのです。

 かつて、池田隼人政権では、所得倍増計画を打ち上げ、高度成長へと日本経済を邁進させました。低成長時代に入った今日では、”倍増”とまでは行かないまでも、いつの世でも、国民は、生活の糧である所得に関心があるはずです。インフレーションとは、語源からしますと、量的膨張を意味しますが、経済現象としては、物価上昇率や通貨価値の下落を意味します(対外的には自国通貨安…)。単なる物価上昇を目的としたのでは、むしろ、国民所得や預貯金の実質的な目減りとなり、国民へのアピール度が低下します。一方、経済政策として、産業の空洞化を抑えると同時、企業競争力の強化を図り、かつ、国内投資も増加するように努めれば、悪性のインフレを回避することができます。この結果、企業の業績が改善されれば、雇用の拡大、並びに、給与や配当の上昇を通して国民所得が増え、自ずと国内消費も拡大します。国民の可処分所得の増加は、個人投資や金融商品の購入、さらには保険加入にも向かいますので、消費拡大の恩恵を受ける製造業やサービス業のみならず、金融業にとりましても、決してマイナスではないはずです。日本国は、共産党幹部に富が集中する中国や、大企業だけに利益が集まる韓国のような格差国(搾取国家?)になってはならず、良き先進国として、国民生活の豊かさこそ追求すべきなのではないでしょうか。

 経済のメカニズムは複雑ではあるものの、政府は、量的緩和による経済効果が、国民所得の増加に繋がる政策を心がけるべきです。民主党政権は、国民負担を増やすことに躍起になってきましたが、次期政権には、国民の所得増加政策を期待したいと思うのです。

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コメント (2)
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