万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国の対日要求―”戦後補償”はドイツへの便乗?

2012年11月25日 15時34分56秒 | 国際政治
韓国大統領選、公示 野党統一候補は「超反日」(産経新聞) - goo ニュース
 大統領選挙を来月に控え、韓国では、対日強行姿勢も有権者に対する重要なアピール要素となっているようです。与党も野党も、反日政策には大きな隔たりはないようですが、日本国もまた、韓国の対日要求に対しては、反撃のための理論武装する必要がありそうです。

 第一次世界大戦までは、講和条約において、戦勝国が敗戦国に対して賠償を請求することはあっても、個人の戦争被害が問題となることはありませんでした。それもそのはず、敗戦国に請求される賠償額は、戦勝国の国民の被害をも合算して算定されたからです。この点、第二次世界大戦では、ドイツに課せられた賠償義務が過酷であったことに対する反省から、サンフランシスコ講和条約第14条において、連合国は、日本国に対する賠償を放棄しています。ましてや、連合国の一員ではない韓国が、この条約を根拠に日本国に賠償を求めることは不可能です。しかしながら、1965年に締結された日韓請求権協定においては、日本国は、国際法上の義務がないにも拘わらず、朝鮮半島に残した莫大な資産(個人も含む…)の請求権を放棄し、経済協力資金を提供すると同時、韓国側も日本国に対する請求権を放棄しました。戦時中、朝鮮半島は戦場にはならず、日本軍が、攻撃を加えることもありませんでしたので、実質的には、被害はゼロに等しく、韓国側の主張する”強制連行”も、日本人が等しく課せられた戦時徴用であり、特別に朝鮮籍の人々に被害を与えたわけでもないのです(むしろ、朝鮮半島での徴用実施期間は短い…)。この条約が、極めて韓国に有利であったされる理由は、日本国が、韓国に対して法的義務以上に寛大な措置をとったため、日韓双方の賠償請求権が不釣り合いだったからです。しかも、日韓交渉に際しては、韓国側は、個人を含めた被害額を日本国政府に提示したはずなのです。

 韓国側は、”慰安婦問題”は人道上の問題であって、日韓請求権協定の枠外と主張していますが、そもそも、個人に対する”戦後補償”なるものは、国際法上において存在していないのではないでしょうか(全ての国が、戦争の勝敗に関係なく、人道上の罪を根拠として過去の戦争における個人補償を言い出したら、収拾が付かなくなり、また、韓国の場合は、根拠となる事実そのものが捏造…)。あるいは、新たに韓国が、こうしたジャンルを、自らの利益のために、造り出そうとしているのではないでしょうか。とかくに日本はドイツと比較されますが、自国民でありながら迫害されたユダヤ人と迫害の事実のない韓国・朝鮮人とは全く状況が異なっております(ドイツの戦後賠償が個人が対象なのは、ユダヤ人が国を持たなかったことにもよる…)。韓国は、ドイツのユダヤ人に対する戦後補償に、狡猾にも便乗しているのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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