万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

軍隊では国は統治できない

2007年09月26日 19時55分52秒 | アジア
軍政、デモに実力行使=僧侶ら殴打、200人拘束-情勢一気に緊迫・ミャンマー (時事通信) - goo ニュース

 ミャンマーのみならず、これまで多くの国々が、軍事政権を経験してきました。そうして、これらの軍事政権の多くは、戦争における敗北、国民の抵抗と反発、あるいは、穏便な手段による民主化によって、早晩、消滅する運命を辿ったのです。

 軍事政権が長期的に持続できない理由は、その制度的な欠陥にあります。国家の防衛は、政府の重要な役割ですが、軍隊とは、この目的のみに適した上意下達の組織です。このため、国民各層の利害を調整したり、経済発展を促したり、あるいは、公正な司法制度を整えるといった作業を行う能力も政策手段も持たないのです。もちろん、国民の声を吸収するための民主的な制度もありませんので、当然に、国民の不満が高まれば、デモや反乱を招くことになります。

 おそらく、ミャンマーもまた、軍事政権が、国民に対して武器を用いた激しい弾圧を行わない限り、民主化への方向に向かうことでしょう。少なくとも、内外の多くの人々が、ミャンマーの軍事政権の崩壊を願っているのです。

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