秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷初夏に誘い

2010年06月03日 | Weblog
六月に入りいよいよ容赦なく新緑が脳裏を抉り出すごとに
疾風が緑の血を垂れ流す様は、自画像を苦悶させる。

果たして記憶の埒外に疾風が運び出すものは何であろうか
訝りと戸惑いの狭間に揺れる自画像は醜く歪み、空間の悪魔風と生らんか。

祖谷の山々では鹿の血液がドクドクと流れ、新緑の風が楽しげに四方の峰峰に
とろりとろりと撒き散らして垂れ下がる風景を眺める自画像の苦悶。

オドロオドロの垂れ下がる鹿の血液は山々の肌に絡み付いてササを枯らして
木々を押し倒して、荒涼とした風景を醸して、楽しげに歌い、踊る。

疾風に乗って静かに眺めていた山の神が呻いた
鹿よ、諦めるな、粘り強く嘗め尽くせ、お前をこの様な目に遭わせたのは
人間どもだ、お前が悪いわけではない、容赦するな、人間どもに罰を与えよ
山を喰らい尽くすのは人間ども、貪欲な人間どもに荒涼とした山を与えてやれ。

疾風のごとき呻きは続いた。












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奥祖谷初夏に誘い

2010年06月01日 | Weblog
静寂、容赦ない静寂、脳裏を弄りつつ山中を当ても無く歩いて清楚とした新緑の
果ては、あれは宇宙の無意識であったか、埒も無い。

無意識の果てにわたしは静かに横たわり、空間を一つ一つ丁寧に埋めてゆく作業は
何時果てるとも、瑞々しいカニコウモリのいかのも勝ち誇った青々しい絵の具で
わたしをジワジワと締め付けて土に還る業を毒々しく見守る精。


途切れた廃線を手繰り寄せて苦笑した、なんだ、これは、倒木ではないか
役立たずめ、さっさと消えうせろ、脳裏を横切る新緑の悪魔が呻いた。













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