秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(ありがとう・祖谷八景)

2023年11月22日 | Weblog

晴天の初冬。日曜日。
スダチ以来の、祖谷八景への訪問だ。
訃報続きの東祖谷。この3年間、特に仏様が増えたように感じる。
祖谷八景のオーナー様のお母様も仏様になられた。
生前に元気でおられた頃、度々お話をした記憶がある。
夫唱婦随を地で行っているような、ご夫婦に思えた。

綺麗に祀られた祭壇。着物姿の遺影の笑顔は昔と変わらない。
お線香を一本立てて、りんをならす。
大往生ですね。と言葉をかけたが、遺族として、病院に対する幾つもの不信感が拭えないまま、
堪えて病室を後にしたとの事。長寿とか大往生とか、関係ない。

親は永遠に愛しく、大切な存在だ。その最期の時間に際して、
悔しい思いをして連れて帰った家族の胸中を想うと、かける言葉は、途絶えた。
オーナー夫婦とお茶を飲みながら、直接伺いたかった大事な話があった。
祖谷八景無期限休業。

リピーターを始め、多くのお客様に愛されている祖谷八景。 
コロナ禍も、必死で乗り切った。
自腹で東奔西走し、いやしの温泉郷を黒字経営にした手腕を活かし、祖谷八景をオープンさせた。

臆することなく、行政に対して意見し、一部の方からの攻撃も受けながら、
それでも怯まず、独立不羈の精神を貫いた。
14年の間に、この場所で、6000人以上の宿泊者が、其々の想い出をつくれた。

一人で宿泊された方は、自分を静かに見つめ直す時間だったり、
仲間と共に宿泊された方々は、愉快な想い出を共に共有できた。
誰もがかけがえのない時間の宝物を、この場所で頂いた。
無期限休業を、決意するまでの、夫婦の葛藤は、どれほど辛かっただろう。

守るべきは、お客様ではない。
守るべきは、夫婦のこれからの健康である為の平穏な時間。
私はこの場所を何回も利用させて頂いて、想い出を沢山つくれた。
感謝しても、感謝しきれない。
ありがとう。祖谷八景。
ありがとう。祖谷八景のご先祖様。

で、リピーターさん達は、オーナー様の独演会を、これからどこに行けば、聞けるんでしょう?
TA KA TA KA劇場は、誰が餌食になるんでしょう?
『カフェ・祖谷八景』
『貸し会議室・祖谷八景』
それを再オープンさせて、独演会の場所にしたらいいのに。などと、無責任に提案したくなる。

お茶を頂いている間に、予約の電話がかかってきた。
民宿を閉めたことを伝え、東祖谷の民宿や、ホテルを勧められていたオーナー。
『民宿は辞めましたが、いつでも此方においでた際は、コーヒーでも飲みに寄って下さいよ』
と言って電話を切っていた。
『辞めたらわし、老け込まんか?心配しよんよー』と笑うが、多分その心配は無い。
集落を維持する活動力がある限り、ココロが健康である限り、老化現象はおまけのようなものだ。

ご夫婦がいつまでも、長く健康で、あの縁側に座り、落合重伝建の夕刻の灯りを見ながら、
のんびりと過ごして欲しい。
私やC子ちゃんには、果たせなかったささやかな幸福を、守っていって欲しい。 
ありがとう祖谷八景。
お疲れ様祖谷八景。

春を待ち、記憶のままに咲く、あの福寿草のように、
祖谷の春夏秋冬を私達の記憶と共に、いつまでも、発信して下さい。

         敬具




















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2 コメント

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Unknown (峠 美千子)
2023-11-30 15:11:22
どう この想いを言の葉に乗せたらいいんだろう
湧いてくる想いを言葉に繋ぎとめて
どう 綴ればいいんだろう

 井上さんと出会い 祖谷八景さんと出会い
落合集落の○○さんお元気かなぁ と出会い・・・
 武家屋敷で 長岡家住宅で 出会い 語ったご婦人・・・あれこれが・・・

 祖谷八景さん 出会っていただきありがとうございました
同じ年 これからを ゆっくり 楽しみ味わいながら過ごして生きましょうね

 また 東祖谷に出かけられたら 会いに行かせていただきます
 と お伝えくださいね

   菜菜子さまも お体大切に。
Unknown (菜菜子時々SANE)
2023-11-30 22:42:54
峠美千子様
コメント、ありがとうございます。
老いていく事は、様々なことを、諦めて生く事なのだと、利用者に添いながら、実感しております。
お会い出来る日を、楽しみに致しております。
祖谷八景の縁側に、終焉はありません。
美味しいコーヒータイムを満喫する為に、お身体ご自愛下さい。

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