特別定額給付金の話が、まだ噂にも?なっていなかった二ヶ月前。
従姉妹は、窮地に立たされていた。
高いテナント料に加え、繁華街から人通りが徐々に途絶え、お国の人から
「接客を伴う飲食店には、行ってはいけませーん」と、通達され、
日に日に感染者は増え、先の見えない不安に途方に暮れながら、悶々とした毎日をやり過ごしていた。
1日でも店を開ければ、少しは家賃の足しになる。閉めていれば、テナント料や、生活費が稼げない。
開ければ、自分自身も感染するかも知れない。最悪、クラスターの発生源になってしまう。
最悪、お客様の生命を脅かすことになるかも知れない。
従姉妹は、休業要請の前から、自主的に休業を決めた。苦肉の選択だった。
「製氷機のリース代とかねー、店を閉めとっても、なんやかんや、いるがでぇ〜。もうホンマに目処がたたん〜」
それを、聞いたワタシは、本当に気の毒になり、格好良く呟いた。
「リース代なんぼなん?」
「○万くらい…」
「カンパするわ」
「え〜悪いわ、菜ー子も生活大変なのにー」
「大丈夫じゃよ、仕事は今のところ、支障ないしー」
「悪いねー」
「大丈夫、大丈夫」
「山の木、いつか先で売れたら、返すきんねー。ありがとう」
高知の初夏が、動き始めていた静かな午後の話し。お礼は言われたが、この時点で、現金は動いていない。
それから、日々はあのように、流れ、
長女からかかる、毎日の安否確認の、ある日の電話。
「じゅうまんえん、出るなあー」
「そうみたいななあ。」
「なにに、つかうん?」
「高知のおばちゃんに、カンパする」
と、私が応えると、長女が速攻言った。
「それなら、母ちゃんに、じゅうまんえん、カンパするわ!」
母ちゃんは、考えた。
それは、長女に申し訳ない。
何故なら、貧困は世代を継ぎ、連鎖しているから。
長女には、丁寧にお断りした。
そして、日々は、このように流れ、
職場での会話。
「菜菜子さん、個人で注文している消毒剤、5月の末に入荷するって」
「消毒剤?」
私は、数ヶ月前に注文していた消毒剤のことを、すっかり忘れておりました。
箱買いしたトイレットペーパー、
何件も回って購入したアルコールウエットティッシュ。
効果の高い?消毒剤。
かなりの、支出を、今更ながら思い出した。
……で、シビアに我に返り、
我に返ると言うことは、釣り銭をイチイチ確認したり、ポイントを確認したり、
ついでに、何故か最近、よそ様の家族の人数を確かめて、
「あそこは、4人でよんじゅうまん、あそこはおじいさん、おばあさんを入れて、ろくじゅうまん」と、
おまんじゅうの数でも数えるみたいに、他人のお金を数える。本当にタチの悪い、オバさんに形成された。
月日が、ワタシを造った。
で、現実的にシビアになり、じゅうまんえんから、消毒剤やらの経費を差し引いた金額を、従姉妹にカンパすることにした。
この話には、余談があり、
今回の従姉妹の死活問題に直面し、従姉妹の山の木を売り、工面しようと二人で決めていて、
私は森林組合のT君に電話で相談した。
「もし、もし、○△□○○□で、山の境とかを、一緒に見てほしいのだけど」
「あー、あそこの山なあー」
「うん、うんっ!!」
*ここで、私の頭は既に賑やかに伐採された山の木を切り出す大型トラックが想像されて、
現金の札束を受け取る従姉妹が浮かび、その隣りでにこやかに笑う私がいて、従姉妹が
「あの時は世話になったねえー。これ、ちょっとお礼!」
「こっ、こんなに貰えんよ〜悪いわ〜」
「えーきん、とっといてー、悪いがやきん〜」
「え〜、ゴメンよー、なら、頂こうか〜」
頭を掻きながら、札束を貰う私。
が、居た筈だった。
パーフェクトな、シナリオだった。
「あそこの山、間伐したよなあー」
「カンバツ?」
「補助金で間伐した山は、5年間は売ってはいかんのよなぁ」
「はあ?」
「どうしても売りたかったら、補助金を返金せな、いかんのよなぁ」
「へぇ〜」
カラフルな色彩から、いきなりの白黒に、テンションは一瞬で下がるところまで下がり、天井も見えないっ!
おそるべし!補助金っシステムっ!
こんな時代だから、
みんな、優しくなろう。
こんな時代だから、
ココロに愛を持とう。
みんな、それぞれに選んだ場所で、
頑張って生きていよう。
いつか、必ず、笑って帰省できる日まで、
「また、いつか
もんてこいよ」
かしこ
従姉妹は、窮地に立たされていた。
高いテナント料に加え、繁華街から人通りが徐々に途絶え、お国の人から
「接客を伴う飲食店には、行ってはいけませーん」と、通達され、
日に日に感染者は増え、先の見えない不安に途方に暮れながら、悶々とした毎日をやり過ごしていた。
1日でも店を開ければ、少しは家賃の足しになる。閉めていれば、テナント料や、生活費が稼げない。
開ければ、自分自身も感染するかも知れない。最悪、クラスターの発生源になってしまう。
最悪、お客様の生命を脅かすことになるかも知れない。
従姉妹は、休業要請の前から、自主的に休業を決めた。苦肉の選択だった。
「製氷機のリース代とかねー、店を閉めとっても、なんやかんや、いるがでぇ〜。もうホンマに目処がたたん〜」
それを、聞いたワタシは、本当に気の毒になり、格好良く呟いた。
「リース代なんぼなん?」
「○万くらい…」
「カンパするわ」
「え〜悪いわ、菜ー子も生活大変なのにー」
「大丈夫じゃよ、仕事は今のところ、支障ないしー」
「悪いねー」
「大丈夫、大丈夫」
「山の木、いつか先で売れたら、返すきんねー。ありがとう」
高知の初夏が、動き始めていた静かな午後の話し。お礼は言われたが、この時点で、現金は動いていない。
それから、日々はあのように、流れ、
長女からかかる、毎日の安否確認の、ある日の電話。
「じゅうまんえん、出るなあー」
「そうみたいななあ。」
「なにに、つかうん?」
「高知のおばちゃんに、カンパする」
と、私が応えると、長女が速攻言った。
「それなら、母ちゃんに、じゅうまんえん、カンパするわ!」
母ちゃんは、考えた。
それは、長女に申し訳ない。
何故なら、貧困は世代を継ぎ、連鎖しているから。
長女には、丁寧にお断りした。
そして、日々は、このように流れ、
職場での会話。
「菜菜子さん、個人で注文している消毒剤、5月の末に入荷するって」
「消毒剤?」
私は、数ヶ月前に注文していた消毒剤のことを、すっかり忘れておりました。
箱買いしたトイレットペーパー、
何件も回って購入したアルコールウエットティッシュ。
効果の高い?消毒剤。
かなりの、支出を、今更ながら思い出した。
……で、シビアに我に返り、
我に返ると言うことは、釣り銭をイチイチ確認したり、ポイントを確認したり、
ついでに、何故か最近、よそ様の家族の人数を確かめて、
「あそこは、4人でよんじゅうまん、あそこはおじいさん、おばあさんを入れて、ろくじゅうまん」と、
おまんじゅうの数でも数えるみたいに、他人のお金を数える。本当にタチの悪い、オバさんに形成された。
月日が、ワタシを造った。
で、現実的にシビアになり、じゅうまんえんから、消毒剤やらの経費を差し引いた金額を、従姉妹にカンパすることにした。
この話には、余談があり、
今回の従姉妹の死活問題に直面し、従姉妹の山の木を売り、工面しようと二人で決めていて、
私は森林組合のT君に電話で相談した。
「もし、もし、○△□○○□で、山の境とかを、一緒に見てほしいのだけど」
「あー、あそこの山なあー」
「うん、うんっ!!」
*ここで、私の頭は既に賑やかに伐採された山の木を切り出す大型トラックが想像されて、
現金の札束を受け取る従姉妹が浮かび、その隣りでにこやかに笑う私がいて、従姉妹が
「あの時は世話になったねえー。これ、ちょっとお礼!」
「こっ、こんなに貰えんよ〜悪いわ〜」
「えーきん、とっといてー、悪いがやきん〜」
「え〜、ゴメンよー、なら、頂こうか〜」
頭を掻きながら、札束を貰う私。
が、居た筈だった。
パーフェクトな、シナリオだった。
「あそこの山、間伐したよなあー」
「カンバツ?」
「補助金で間伐した山は、5年間は売ってはいかんのよなぁ」
「はあ?」
「どうしても売りたかったら、補助金を返金せな、いかんのよなぁ」
「へぇ〜」
カラフルな色彩から、いきなりの白黒に、テンションは一瞬で下がるところまで下がり、天井も見えないっ!
おそるべし!補助金っシステムっ!
こんな時代だから、
みんな、優しくなろう。
こんな時代だから、
ココロに愛を持とう。
みんな、それぞれに選んだ場所で、
頑張って生きていよう。
いつか、必ず、笑って帰省できる日まで、
「また、いつか
もんてこいよ」
かしこ