歩く、あるく、歩く、立ち止まり、深呼吸する、深い夏の息吹が、いのちが、匂いが、風が
ぼくの身体いっぱいに、吹き抜け、染み渡り、心地よい
生きている心地よさ、死に近づいてゆく哀しみ、を質感として捕らえながら、山里を彷徨い
変わりゆく風景に魅せられて、抗いようもない時間を噛みしめてたのしいひと時を過ごす
高くない山の雑木林のなかであろうと、ひとりで山のなかを歩くということは、格別な味があり
独特の印象がのこるものである
過去何十年と変わりゆく風景の記憶を集めれば、自分の生きた証を垣間見つけても悪くない思いがする
人生の実に多様な苦しみや楽しみを掻い潜りながらも、深い迷い、苦労、喜び、をあの山のどこかに
ぼくの余生を托せることを考えだせば、次々と幻想は広がり、終止が付かない