第55回原子力安全委員会が開催。
記者会見を見ておきます。
ポイントは、
*安全委員会としては、ストレステストを運転再開みたいなものの条件にするという意見を持っているわけでは必ずしもございません。ですから、保安院の方で、そういうふうに判断されているのであれば、それで結構だと思っています
*原子炉の安定性というか、恐らくメルトダウンを起こしている原子炉ですので、現在、注水を続けている限りは、温度的にも非常に安定な状態にあると思っております。
*プラントの状態については、多分、今後の冷温停止になっているかどうか、ということと絡んで、一定のものが出てくるのではないかというふうに思っているところです。
*一次評価は、欧州のストレステストが3か月ぐらいでしたか、それがひとつの目安
*ND(ノットデテクィッド)の解釈
データベースにしようとすると、先ほど検出感度の話がありましたが、今、ノットディテクテッド(ND)がわっと並んでいます。ただし、検出の感度がそれぞれまちまちで、例えば海水中にセシウムはありませんでした。あるところでは25Bq/kgとか、そういうような状況、それからあるところでは、それが1Bq/kgだったりというものがみんな並んでいるわけですね。だから、NDを見ても、ノットディテクテッドと書いてあっても、本当にないのではなくて、あるんですよね。
など
****原子力安全委員会ホームページより*****
第55回 原子力安全委員会臨時会議
平成23年7月21日(木)
14:00~
内閣府643会議室
議 題
(1) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画について
(2) 東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 進捗状況のポイントについて
(3) 福島県内における学校等のモニタリング結果等について
(4) 今後の放射線モニタリングに関する基本的考え方について
(5) その他
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年7月21日(木)16:06~17:02
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久木田委員、代谷委員、水間課長、都筑課長、
○産経新聞伊藤記者 産経新聞の伊藤です。3点ほどお願いします。
まず、ちょっと基本的なことからですけれども、ストレステストについて、その流れなのですけれども、まず保安院が評価を出してくる。それは、裕度の数字、点数のみということで、それに対して安全委員会は、その評価の手法、され方が正しいかどうかについてのみ評価する。それで、炉、原発が安全であるかどうかというのは、別途、政府が判断するという考え方でよろしいのでしょうか。
○班目原子力安全委員長 まず、原子力発電所が安全であるかどうかというのは、現在の法体系でいうならば、定期検査で技術基準に適合していれば、もうそこで安全だと、これが今までの考え方です。それに対して、ストレステストというものを課しているということは、その技術基準等に比べて、更にどれだけ余裕があるか、あるいはロバストネスといいますか、頑健性があるかとか、そういうことまで調べているわけですから、どこかに合格点があるというものではなくて、それでよしとするかどうかというのは、むしろ行政判断になるのだというふうに、我々は理解しております。
○産経新聞伊藤記者 分かりました。委員長は、前々回の会見で、その1次評価の結果について、政府が原子炉再稼働の判断の目安にするであろうという一般的な認識を踏まえた上で、「裕度が1割程度では国民が納得しないだろう」という言い方をされました。ちょっと重複するかもしれませんが、委員長としては、どれぐらいの裕度が必要と考えられるのか。線引きはどの辺りで行われるべきであるのか、その辺りの考え方を聞かせていただければと思うのですが。
○班目原子力安全委員長 これは、どういう1次評価の結果が出てくるかによりますので、定量的な値は申し上げにくいのです。というのは、2次評価ですと、本当の意味での限界値が出てきますから良いのですが、1次評価の場合は、昨日、保安院の方から私が受けている説明では、あるところまでいけば、もうそれでよし、とするというふうな形で出てきますので、多分、本当の限界は、もっと更に先にある。その手前か何かで止めた値で出てきますので、我々としては、そこに更にある程度、エンジニアリング・ジャッジを加えなければいけなくなりますので、今の段階で、どれどれだったら我々としてもよしと考えるか、そういうことはちょっと申し上げにくい。あくまでも、今までのルールによれば、もう合格なものに対して、更に、どれだけ余裕があるかというのを見ているだけですので、ちょっと、そういう数値というものを、今の段階で議論はしない方が良いというふうに考えています。
○産経新聞伊藤記者 分かりました。このストレステストをやるということは、つまり、福島原発の事故以降、国民がもはや、法あるいは指針を満たすだけでは、原発の安全性に納得することができない、ということを受けてのものと理解しておりますけれども、そこで、国民の理解を得るために原発の安全をどう判断するか、その考え方について、委員長の考え方をお聞かせいただきたいのですが。
○班目原子力安全委員長 原子力発電所の安全の考え方をきちんとさせるためには、やはり指針類とか安全基準類というものを、もう一度、全部見直して、明確化すべきだと思います。
ただ、実際には、今度の事故を受けて、原子力安全・保安院の方で緊急対策をとった。これは良い方向だし、これで基本的にはよしとするというのが、安全委員会の基本的な立場でございます。そういう意味からいくと、行く行くは原子力安全委員会の方でも指針の見直しをきっちりやる、ということが第1点。それで、国民の方々にしっかりと納得していただく。それからもう一点、このストレステストみたいなものというのは、非常に有効な方法であって、基準を満たしているからといいながらも、実は、その基準をちょっと超えたところか何かに、クリフエッジがあって、一気に、多重防護の考え方が崩れていた、というのが今回、発見されてしまったわけですから、そういうことについても、今後も、何らかの形でやり続けるべきものであろう、というふうに考えているという次第です。
○産経新聞伊藤記者 分かりました。ありがとうございました。
○朝日新聞西川記者 朝日新聞の西川といいます。
また1次と2次の違い、なぜ分けるのかということなのですけれども、どうせなら、素人目に見ると、1次評価でやるところを、全体的な余裕を見る2次評価でやるようなことをやれば良いのではないか、と思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○班目原子力安全委員長 あくまでも、保安院の方の指示はこういう形になっていますけれども、これを実施する主体は電力会社、事業者自身ですよね。事業者自身の方で工夫して、場合によっては、2次評価に近いようなものを出してくる可能性もありますし、今後、どういうふうになってくるかというのを、ちょっと、こちらとしては見守らせていただきたいと思っております。
○朝日新聞西川記者 こういう形で、原発の立地している地元の方々なり国民の方が、この評価の手法なり実施計画で、納得する形になったと思われますでしょうか。
○班目原子力安全委員長 我々としては、昨日も議論して、こういう形で、どれだけご理解いただけるかどうかというのは、必ずしも自信があるところではないのですが、こういうことを更に積み上げることによって、是非、こういう安全確保のあり方というものに対する信頼を、少しでも取り戻せればと思っている次第です。
○朝日新聞西川記者 ありがとうございます。
○朝日新聞石塚記者 朝日新聞の石塚といいます。
まず、先ほどの文科省の表土除去の件なのですけれども、表土除去する前後で75%の減少率となったと。これについての感想と、今後、どういうことに繋げることが考えられるか、そのことについてお願いします。
○代谷原子力安全委員 私の方からお答えさせていただきます。
75%という平均的に出てきたというのは、これぐらいの値が出るのは当たり前のことだと思っていまして、というのは、セシウム等については、非常に表面近くにある。それを、少なくとも、恐らく2㎝ぐらい取っただけで、かなりそれに近いところまでいくのだろうと思うのですが、5㎝ほど取られていますので、これぐらいになるだろうというようには思っておりました。
このやり方というのは、全てのところにこれが適用できるかどうか、というのは分かりませんけれども、ひとつの方法として、こういう方法で表土を除去して、それを地中に埋めるというような形で線量率が低下する。ただ、線量率は低下するのですけれども、そこに埋めてあるということだけは、きっちりとそれは残しておいて、管理しないといけないということになるかと思います。そういうことに気を付ければ、こういうようなやり方もあるでしょう。
これが、例えば、畑とか何とかで、全て活きるかどうかというのはまた違って、どの辺まで根が張るのかどうか、それから、どのように植物が吸収していくのかというものによっても、変わってくると思いますので、そこのところはまた別途、いろいろな実験をやりながら考えていく必要があるというように思っております。
○朝日新聞石塚記者 もう一点なのですけれども、今日、食品安全委員会の作業部会が開かれておりまして、そこで食品からの放射線被ばくの影響について、生涯の累積線量が何mSvといった取りまとめ案が今日にも出る予定です。その件なのですけれども、食品安全委員会には放射線の専門家がいなくて、ある専門家からは「本来は原子力安全委員会がやるべき話だ」という指摘もあります。そのことについてどう思われるか、まず見解をお願いします。
○都筑管理環境課長 食品安全の観点からは、食品安全委員会が決めるべきものだと、我々としては考えております。我々としては、原子力安全、それから放射線防護の考え方から、しかるべき助言をこれまで行ってきたということでございます。食品安全委員会からの評価を踏まえた上で、厚生労働省におきまして、具体的な指標を作っていくことになると思います。それで、こういったものは放射線防護の基準になりますので、文部科学省に放射線審議会というものがございますが、この放射線審議会というところは、放射線防護に関する基準の斉一化を図るということでございますので、そういったところに諮問することになろうかと思います。そういった形で、最終的にはその諮問を経て、厚生労働省において決めるということになるかと思います。
○朝日新聞石塚記者 今回、原子力安全委員会の方には、そのことについて相談なりというのは来ているのでしょうか。
○都筑管理環境課長 まだ具体的には来ておりません。食品摂取の関係については、以前、助言を既に何回も行っております。その中で、我々としては、早急に決めていただきたいという助言を行っておるところでございます。
○朝日新聞石塚記者 ありがとうございます。
○ニコニコ動画七尾記者 ニコニコ動画の七尾です。よろしくお願いします。3点ほどございます。
まず、1Fにおきまして、推定値ではありますが、いまだに毎時10億Bq放出されているわけですが、この点につきまして、非常に不安の声が上がっておりまして、環境や人体への影響について、これはどう見れば良いのかというのを教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。
○班目原子力安全委員長 毎時10億Bqというか、109Bq/hで出ているという推定値なのですが、これはかなり安全側というか、最大に見積もっての値だろうと思っております。
現時点では、こういう形で押さえるしかないというのはよく理解できますけれども、今後は、もうちょっといろいろな方法を試してみて、本当にどれだけ出ているのかというのを、しっかり調べることが、まず先決であるというふうに思います。更に先になると、しっかり放出源で管理するということになっていくかと思いますけれども、これはやはり、ちょっと、中長期的な検討が必要なのだろうというふうに思っています。
○代谷原子力安全委員 今の件についてなんですが、実際に、その分が炉から出ているかというと、かなりそういうように断定するのは難しい。先ほど再浮遊というのが、学校のところで出てきましたけれども、あの敷地の中というのは、かなり降り積もったものがあって、それが再浮遊していると。まだ飛びやすい状況にあると考えて、その再浮遊係数で本当に落ちた時、その時の値ぐらいを使うと、十分にそれぐらいの値になってしまう。初めに、1016 Bq/hぐらいのものがあったりしたわけですよね。そういうものが降り積もっている、ということにした場合は、十分にそれぐらいの値になるということなんです。
だから、実際に、先ほど委員長の方からもお話がありましたように、それが全て、今は、それもひっくるめて測っているわけで、施設からという形で分けることが、今のところできていないわけですね。それは、分けるという形で測る方法というのを、もう少し、いろいろなところにアクセスできたり、あるいは測定できるようなものがセットできれば、また、それなりのことが考えられると思いますので、そういうことについてはできるだけ、そういう方向で考えてくださいというのは、我々の方からお願いはしているところです。
○ニコニコ動画七尾記者 分かりました。
あと、では1点なんですが、ロードマップについてなんですけれども、ステップ2で、原子炉格納容器の損傷部分の密閉作業は、ステップ2の期間内での達成を断念したわけなんですけれども、この作業の見通しについて、原子力安全委員会としては、どう考えていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。結局、先送りしたというのは、ある意味かなり、当然、作業が困難だと、そういう前提が考えられるわけなんですけれども。
○班目原子力安全委員長 こういうものをどうするかというのは、やはり作業には当然、作業に従事する人の被ばくだとか、そういうことも考えて、総合的に判断が要るかと思っています。あえて今、必死になってそれをやるかどうかというのは、これはやはり慎重な判断が必要かと思っています。
それから、格納容器のそういう損傷部を見つけて、それを修理することができれば、それはそれで、大変結構なことなんですが、放射性物質の外部への放散を防ぐ方法は、必ずしもそれだけではないと思います。例えば、今は窒素を封入していますけれども、そこから逆に吸い出してやって、むしろ、そういうあいている穴のところからは負圧で、逆に吸い込むような形にする形での制御というのもできるかもしれませんし、それから今、カバーをかぶせています。これがどれだけ放出の抑止に役立つかは、ちょっと難しいところがいろいろあるんですが、これもひとつの方法だと思いますし、いろいろな選択肢の中のひとつとしての格納容器の修理であるので、これはもういろんなことを総合しての判断があるべきで、そういう意味では、妥当な判断が今のところなされているのではないかというふうに、安全委員会としては見ています。
○ニコニコ動画七尾記者 ありがとうございます。
○読売新聞山田記者 読売新聞の山田といいます。工程表に関して、続けて。
新たに冷温停止の定義についても出てきたんですが、これについて、安全委員会の方でも求めていたと思うんですが、それについて見解というか、ご覧になってどうかという部分をお願いします。
○班目原子力安全委員長 底部が100℃になれば良いというだけで良いかどうか、というご質問ですか。
○読売新聞山田記者 それと、もう1点、放出する放射性物質の量、その2点について、という表現だったと思うんですけれども。
○班目原子力安全委員長 一番大事なのは安全の確保で、現在の、その状態で、どういう状態で温度分布がどういう状態になっているかとか、あるいは、その状態でどれだけ放射性物質が外界に出ていっているかという以上に大切なのが、やはりその状態がどれだけ安定か、安定であるかということだろうというふうに思っております。そういう意味では、是非、そういう視点も入れていただきたいなと思っている次第です。例えば、何でも良いんですけれども、今、循環冷却方式というのをとっているわけですけれども、循環冷却方式というのが、これは普通の原子力の世界でいくと、もう、ある意味では信頼性が非常に落ちるものに頼らざるを得なかった。現段階まではそうなんですけれども、これが十分な信頼性を持っているということ。万一、それが更に、これが多重防護の観点から信頼性があったとしても、更にそれが壊れたとしても、大きな問題は起きないということが確認されていること等々も、やはり大事な問題点ではないかというふうに思っています。
○読売新聞山田記者 安全委員会の方で、以前に保安院側にやはり冷温停止の定義を求めていたと思うんですが、今回、統合対策室の方で出してきたものについては、それにマッチする、要は十分なものということでよろしいんでしょうか。今のお話を聞くと、もう少し改善の余地があるなり何なりという注文になるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 冷温停止の定義として、この文章の読み方なんですけれども、「圧力容器底部の温度が概ね100℃以下になっていること。」、ここについてはオーケーなんですが、この次の定義が大切でして、「格納容器からの放射性物質の放出を管理し、追加的放出による公衆被ばく線量を大幅に抑制していること。」、この「抑制していること」の中に、今申し上げた安全性という話、信頼性という話が入っているわけで、更に3行書いてございまして、この2条件を維持するために、中期的安全、つまり多重性、独立性とか、異常時にはどれだけ余裕の時間があるのかとか、いろいろなことが書いてあるわけですね。
こういう条件をしっかり満たしているということが大切だということでは、安全委員会の意見としては、まさにこのとおりだというふうに思っているわけですけれども、その内容がいかがなものかということについては、まだ、しっかりとした議論を保安院とやっていない状態ですので、その辺りをしっかり安全委員会としては見ていきたいと思っている次第です。
○読売新聞山田記者 分かりました。
概略としてはオーケーで、詳細については今後詳しく見ていきたい、そういうことでよろしいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 そういうことになります。
○読売新聞山田記者 分かりました。
あと1点、すみません。本日、今後の放射線モニタリングに関する基本的考え方について、出されているんですが、それで、これを見ると、やはり全般的に、例えば、食品から中長期的なもの、あと海洋まで含めて書かれていると。
先ほども食品安全の件で出たお話と関連するんですけれども、例えば、最近紙面でにぎわっているセシウムを含んだ牛肉の話ですか。これはまた話が複雑で、要は、えさのわらから始まっている話で、そう考えると、例えば、これも複数の省庁が絡むような話になっています。そういう部分については、安全委員会の方としては、今回のセシウムの牛肉の話についてもそうなんですが、どう考えておられるのか。
例えば、まずその考え方を見ても、1行、「市場流通食品のモニタリング」とあるんですが、多分、この中に包含される事象だと思うんですね。「市場流通食品」といった場合に、私なんかは短絡的に見ると、食品しか見ていないと。その前段階になる、いろいろな環境とか食べるものについては、余り目が行き届かないというふうなこともあって、今回のようなことになったと思いますが、その点についての見解というか、どうあるべきかというか、そういった点。
○代谷原子力安全委員 これについては、我々の方としては、基本的考え方ということで出したわけです。
実際には、今、大臣の下に、モニタリングの調整会議というのが、各省庁が含まれてあるという、そういう状況になっている。一度開かれていますので、あるという状況になっていると思うんですが、そういうものがあるということを念頭に置いて、このまとめをしたと、考え方を出したということです。
現実には、ここの省庁間の調整等まで含めて、安全委員会がやるというのは、単なる諮問機関がそういうことをやるというのは不可能ですので、そこについては、きっちりと、そういうものができ上がっているので、そこのところに、これをお出しするということで、これをそこだけではないんですけれども、提示するということで、我々としては、こういう考え方を出したという、そういうようにご理解いただければと思います。
○読売新聞山田記者 分かりました。
あとは、その考え方についてもなんですけれども、例えば、今回も発覚して分かった頃には、もう全て市場に出回っていて、量的には問題ないんですけれども、後手後手になっているというふうな感じなんですけれども、これについては、もっと先手先手に、いろいろなことを考えて、幅広く、そういう場で協議するなり、想定していくということについては、どのようにお考えでしょうか。
○代谷原子力安全委員 そこの部分については、いろいろな省庁がこういうことで、今回、ひとつこういうことが起こってしまったわけですけれども、いろいろなところに関連して、最終的に食品のところに来るんだよと。そこに行くには、単に、厚生労働省とか、そういうところだけではなくて、農水省とか他のところも全て入ってくると。そこのところが、やはり全体を防ごうとすると、これは私のところではありません、あなたのところですと言っている状況ではだめだ、ということは明らかですよね。
そういうことがありますので、こういう基本的考え方を出して、そういう調整会議等があって、そこで各省庁が全部入っているということがありますので、情報の共有、それから調整ですね、まさに、そういうことが行えるであろうというように期待している、というところでございます。
○読売新聞山田記者 分かりました。結構です。
○朝日新聞杉本記者 朝日新聞の杉本と申します。よろしくお願いします。
班目委員長は、先ほど原子炉の安定性について、循環注水冷却を例におっしゃっていましたけれども、それでは、原子炉の安定性そのものについては、具体的にはどういうこと、どういう状態が考えられるのかということを、ひとつ教えてください。
○班目原子力安全委員長 原子炉の安定性というか、恐らくメルトダウンを起こしている原子炉ですので、現在、注水を続けている限りは、温度的にも非常に安定な状態にあると思っております。
しかしながら、放射性物質が一定量は多分、外に出ているということも事実だと思います。より上を目指すとするならば、更に温度を下げることによって、放射性物質の放出も抑制することが大切である。更に、先ほど申し上げたように、それが全体として信頼度の高いものであること、何かあった場合でも、確実に行えるようなものであるということが大切だというふうに思っております。
○朝日新聞杉本記者 ありがとうございます。
○共同通信大倉記者 共同通信の大倉といいます。
今日の安全評価の件で、今日の会議で「妥当だ」というふうな評価をされていましたけれども、会議の中でもおっしゃっていたんですけれども、前回と今回、変わった点で、特にどこら辺を重視されて妥当だ、というふうに判断されたかと。地震と津波の重畳の話とか、あるいは、より分かりやすい説明だった、というところはあるのかもしれないですけれども、その中身なのか、むしろイメージがわきやすいような形になったとか、そういうところ、どこら辺を評価されたかをちょっと教えてください。
○久木田原子力安全委員 両方ということになります。
前回、安全委員会に報告していただいた資料は文字だけのもので、我々としては、今日の会議の中でも言いましたけれども、工学的な言語で表現した、そういった資料を見たかったというところがありました。本日の資料の第1-3号でしたか、横長の資料の中では、炉心損傷に至る道筋とか、それを防ぐために幾つもの要素が多重性を持って、どういった組合せで役割を果たすか、ということが示されています。
今回の総合評価では、こういったことが、より体系的に、それから多くの機器類について行われるであろう。本日の資料を見ても、大体100個かそこいらの構成要素を対象とした評価が行われるだろう、少なくとも100個ぐらい。そういうことで、原子炉自体の性能評価をかなりの手間ひまをかけて、体系的に行われるであろうというふうなことが、我々としては見ることができたというふうに考えています。
○共同通信大倉記者 そうしますと、素人目には細かい用語の変更とかというところは、そんなに大きな違いではないのかなと思うんですけれども、その中身が一歩進んだというよりは、より具体的な説明があったということで、そこが一番大きな評価ということになるんでしょうか。
○久木田原子力安全委員 そうですね。具体的な説明をやることによって、どれぐらいの深さで、どれぐらいの広さでこういった評価が行われるかということが分かった。その抽象的な文言だけではなくて、そういうことが分かったというところが大きいと思います。
○毎日新聞比嘉記者 毎日新聞の比嘉と申します。
原子炉の安定性について、班目委員長に確認したいんですけれども、緊急時避難準備区域の解除の協議が来月から始まるということですけれども、それに関しても、原子炉の安定性というのは、冷温停止の考え方と同じように、現在、原子炉が安定的に冷却できているという結果ではなくて、多重的に防護されているとか、そういった結果ではなくて、現状の安全性の確保というところを重視するものになるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 まさに緊急時避難準備区域ですから、安全性の確保が重要で、この条件として、例えば、多重性とか独立性とか書いてありますけれども、例えば、異常時の余裕時間の評価なんかも、これも大切ですよね。あってはならないことなんですけれども、万一、もう一回例えば、津波か何かが襲ってきて、何か冷却が失われた場合でも、どれぐらいの余裕があれば、また冷却システムを復活させることができるかとか、そういうような評価もしっかりしていただいた上で、緊急時避難準備区域については解除するべきだろう、というふうに思っております。
○毎日新聞比嘉記者 そうすると、細かいんですけれども、今ある冷却システムに、新たにもう一つ別の系統を加えた、というだけでは満足できるものではないということですか。
○班目原子力安全委員長 少なくとも東芝のが加わるということで、設備的には増強されるんですけれども、むしろ評価ですよね。何か、これから先、外的事象とか、あるいは、内的事象もかもしれませんけれども、何もないというふうに安心しているわけにはいかないわけであって、最悪のことを考えた時でも、大丈夫だという評価はしっかりしてもらわなければいけないというふうに思っています。
○時事通信野中記者 時事通信の野中と申します。
委員長にお伺いしたいんですけれども、工程表の評価なんですけれども、ステップ1に関して、作業員の並々ならぬ努力があったとおっしゃいましたけれども、今回、19日に出した新しい工程表そのものについての評価を教えていただきたいのと。
それと、小山田委員が指摘していたように、現在の炉の状況把握というのは、これまで安全委員会の中でも、再三結構指摘してきたと思うんですけれども、工程表の中で、中期的な目標の中にも、プールから燃料を出すということしか書いてなくて、例えば、小山田委員の指摘しているのも、究極的にはカメラでメルトダウンした様子を確認とか、そういう炉の状況の把握という意味だと思うんですけれども、そういう目標とか段取りについて触れられてない点については、どうお感じなのかというのを教えてください。
○班目原子力安全委員長 工程表みたいなものを示すということ自体は、これは非常に大切なことだと思うんです。とにかく頑張ってやっていますからと言っただけでは、なかなか国民の皆さんが納得するわけではないので、工程表を示すということ自体が、非常に大切なことであるというふうに理解しています。
それで、この工程表を実現時期が3か月から6か月と非常に幅があるものですし、子細に見た場合には、いろいろ今後、もっと議論していくことも必要だろうと思っていますし、今までもそうであったように、この工程表自体の見直しというのも、適宜なされるべきものだというふうに思っていますので、今の時点で細かいことを申し上げる気はございません。しかし、こういう工程表が示されたということ自体は評価したい、というふうに思っています。
プラントの状態については、多分、今後の冷温停止になっているかどうか、ということと絡んで、一定のものが出てくるのではないかというふうに思っているところです。
○NHK横川記者 NHKの横川と申します。
3つお伺いさせてください。
最初に、これは多分、先ほどのストレステストの関係なんですが、原子力安全委員会にお伺いすることではないということは分かっているんですけれども、念のためお伺いしたいんですが、今回、妥当ということが出たことで、保安院がすぐにでも全国の電力会社に発注していくことになると思うんですが、ステップ1について、どれぐらいの期間で大体まとまって出てくるというふうに、この具体的な内容になった場合、どれぐらいで出てきそうかなというふうに感じていらっしゃるか、というめど感をもしお伺いできれば、念のためお願いします。
○久木田原子力安全委員 1次評価のことだと思いますが、それは各事業者がどれぐらい準備しているか、これまでにということとも関係すると思います。準備というのは、今回の事故を踏まえてということもありますし、それからここで使われる手法等について、どれぐらいふだんの安全評価等で習熟しているか、ということによると思いますので、要するに事業者によって、多分、ばらつきがあって当然だというふうに思います。
欧州のストレステストが3か月ぐらいでしたか、それがひとつの目安にはなるだろうと思いますけれども、それは今、申し上げたような準備状況によって、当然、違いは出てくるかと思います。
○NHK横川記者 ありがとうございました。
確か欧州ですと、中間で大体3か月から4か月ぐらいだと思うんですけれども、今おっしゃったように、準備次第だと思うんですが、やはり月単位はかかってしまうだろうし、一番長く見積もっても数か月はかかってしまうというような感覚といいますか、感じでとらえてよろしいでしょうか。
○久木田原子力安全委員 その深さ等についても、具体的な内容については、保安院マターだと思いますので、安全委員会としては、ちょっと、今の時点では、これ以上は申し上げられないと思います。
○NHK横川記者 無理に聞いてすみません。
ちょっと別件で、あと2つお伺いさせてください。
19日に示された工程表の中で、冷温停止の定義の中で、その紙には記載されていないんですが、口頭で目安のひとつとして、放出量について、敷地の境界で年間1mSvという数字をひとつの目安としたい、ということを園田政務官がおっしゃっていまして、低温部の100℃とそこに書いてある放出管理がしっかりされていること、多分、その2つ目の放出量がしっかり管理されていることに関連して、年間1mSvということを出してきたと思うんですけれども、これは恐らく一般の公衆の年間の1mSvというのにかこつけてといいますか、合せて言っているんだと思うんですが、余り明確な根拠といいますか、具体的に技術的整合性があって1mSv/年というものを出してきているような感じがしないんですけれども、この数字について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
○代谷原子力安全委員 これは普通今言われたとおりの話だと思うんですね。通常、放射線源を使うようなところからの計画的な被ばくというのは、1mSv/年以下にしなさいという話があるので、それを持ってこられたというように思っています。
だから、計画的に抑えられる範囲というのは、安定的に制御されている状況、線源が制御されている状況ということがありますので、それと引っかけられたというようには思っております。
○NHK横川記者 その数字そのものは、ということは妥当だというふうに考えてよろしいですか。つまり、新たな放出量と例えば、その場所に既にある量というのとはまた別、その場所には既にある量を全く無視した上で、新たな放出量をベースに1mSv/年というふうに出てきているんですけれども、そういったものを無視してひとつの基準というか、ひとつの目安として1mSv/年を出してくることは、妥当だというふうにお考えかどうか。
○代谷原子力安全委員 だから、そこのところは先ほど来お話ししておりますように、十分にコントロールされているというところが大切でして、そういう条件であれば、その1mSv/年というのが出てくるのだろう。
そういうことがなくて、線源があって1mSv/年という状況というのは、余り考えられませんよね。だから、それの目安として、だからあくまでも十分にコントロールされてますよという、そういう状況ができているというのが前提でしょう。その上で、その値が出てきたのではないかというふうに思います。
○NHK横川記者 そこの点は理解しました。
あと最後にもう1点だけ、今、モニタリングが福島県中心にいっぱいなされているわけですけれども、例えば、今回の牛肉の関連で言うと、例えば、宮城県のわらの方でのがひとつの大きなソースであったと。余り実は、宮城県とか、そのもっと先である岩手県とかのモニタリングというのは、ほとんどなされていない状況にあるわけですけれども、そこのつまり、もっと広域的にモニタリングの必要性というのを、どのように感じていらっしゃいますでしょうか。
○代谷原子力安全委員 今、恐らくこれは、私も今のところはっきりと聞いているわけではないんですが、例えば、航空機モニタリングについても、かなり広域的に、もっと広くやっていこうという計画があるやに聞いています。まだ、それが決まったというわけではないんですけれども、そういうような話が出ているということでございますので、広くやっていくんだろうと。
どこまでの詳細さでやっていくのかというのは、これは、まさにリソースの問題もありますので、そこのところは、状況を見てということになると思います。
今回、問題になっているわらの話については、これは初期の頃の放出の話ですので、現在の状況というのとまた違うと思うんですね。だから、当初、そういうことがあったということで、その影響がいまだに残っているということですよね。
非常に極端な話をしますと、そういうわらが地面に敷き詰められていたとすると、そのわらが吸収してくれて地面は低くなっているということも考えられるわけですよね。だから、そういうことも併せて考えないといけないかなと思います。いずれにしても、今後のことについては、もう少し広域にやった方がいい部分もあろうかと思います。
例えば、宮城県の航空機モニタリングの結果を見ても、会津とかその辺と同じぐらいのところが、宮城の仙台市の辺りよりも遠いところで、少し線量の高いところが出ていると、そういうところの大体の状況の把握といいますか、それをするというのは、非常に重要なことだとは思っております。
(以下、次のブログに続く)
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