先日、12/22の「コアサンプル廃棄差し止め訴訟」の判決をうけ、一級建築士であられる水谷氏が、まとめの文章を作成されました。
こちらでも、掲載をさせていただきます。
【コアサンプル廃棄差し止め訴訟について】
提訴から2年半、コアサンプル廃棄差し止め訴訟は22日判決を向かえました。当日は多数の傍聴[満席]をありがとうございました。
判決は不当にも「棄却」でした。原告団は直ちに控訴すること決め、来週月曜日(26日)に裁判所に提出の予定です。
判決は棄却であったものの、判決文には「1、汚染の認定」「2、人格権に基づく権利の認定」「3、安全配慮義務
に基づく権利の認定」など原告の主張が認められました。
弁護団の多大な努力によって、仲卸や消費者の二つの大きな権利が勝ち取られたことは大変意義深いものでした。
改めて、8名の弁護団の方々のご尽力に感謝したいと思います。
梓 澤 和 幸 弁護士 [弁護団長]
渡 邉 彰 悟 弁護士
本 田 麻 奈 弥 弁護士
出 口 裕 規 弁護士
大 城 聡 弁護士
殷 勇 基 弁護士
福 田 隆 行 弁護士
仲 村 渠 桃 弁護士
判決文が下記原告団HPに発表されましたのでご覧ください。
http://tsukiji-wo-mamoru.com/index.html
「判決文には原告の主張が認められた点が3点ある」と、梓澤弁護団長から「評価すべき点」として発表されました。
1、汚染の認定(これは裁判史上異例のことだそうです)
P23.24 (17),(18)
2、人格権に基づく権利の認定
P29
「そして、原告らが主張するとおり、築地市場から豊洲新市場予定地に移転するにあたっては、そこで働くことになる仲卸業者や豊洲新市場予定地で販売される生鮮食料品を口にする消費者の生命、身体等に危険が生じないよう豊洲新市場予定地の土壌調査が十分に行われ、適切な汚染土壌処理が行われ、豊洲新市場予定地の安全が確保されるべきである。」
3、安全配慮義務に基づく権利の認定
P32
「このように、仲卸業者は、被告の認可のもと、指定された場所に配置され、被告の供給する設備を用いて、業務を行い、被告に対して使用料を支払うのであるから、仲卸業者が業務を行うために設置する場所、施設を使用する過程において、被告は施設の設置者・提供者として、仲卸業者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮することが要請されるともいえる。
また法形式上は、築地市場の中卸業者は、自動的に豊洲市場予定地に移転するというものだはなく、改めて豊洲新市場予定での市場施設の使用の申請をして認可された者が豊洲新市場予定地で仲卸業者をすることができるのであるが、築地市場の仲卸業者は、希望者は全員が豊洲新市場予定地に移ることが予定されているようであり(甲32)、現実には、築地市場が閉鎖されれば、まずは多数の仲卸業者が豊洲新市場予定地での業務の継続を希望することが予定され、事実上、築地市場と豊洲新市場予定地での関係は連続性があるとみる余地もある。
以上アンダーライン 梓澤弁護士
以下勉強会を終えて (原告 水谷)報告
判決は上記の権利とコアサンプルの廃棄による影響が関連付けられないとして棄却されました。
判決文は「・・・しかし、仮にこのような危険が高い蓋然性をもって存在するとしても、本件コアサンプルが、このような危険の予防に直接つながるわけではない。」と、しています。
こちらの主張したコアサンプルの有用性【=現調査が「不透水層」の確認の要件を満たしておらず、深度方向の汚染の範囲が確定していない。また複数調査間の整合性が無く、柱状図が土質の実態を正確に反映していることが疑わしく、コアサンプルによる検証が必要。】について、判決文では「かかる再調査によって、原告らの人格権の保全が直接図られるものでもない(P30)」
と切って捨てています。
土壌汚染対法やその運用を規定した環境省のガイドラインでは、不透水層が連続し、かつ50cm以上を確認することができなければ10mの汚染の状況調査が必要な旨を明記していますが、都の調査はその要件を満たしていません。裁判で展開した様に不透水層が確認出来ない以上、10m(操業時の地盤面から)の調査は必要であるにも関わらず、ほぼ全域で調査は10mに至っていません。そもそも10mまでは汚染が至達する可能性が高いので法律は10mまでの調査を求めているのです。実際、田町の東京ガス工場跡地でも、ベンゼンやシアン化合物は10mを超えて汚染が多数箇所で検出していることが、開示請求した土対法関連の書類からも明らかになっています。
この不十分な汚染の「状況調査」にもかかわらず、都は自ら申請した土壌汚染対策法の届けを認め、不当にも「状況調査に不足は無い」と結論付けました。これにより手続き的には汚染対策工事の着工が可能となり、まさに不完全な工事が始まったところです。
残置汚染の予測される深さ10mは砂層のベルト地帯にも近く、多くで液状化判定も出ています。しかもそのほとんどが液状化対策範囲外であることから、液状化による残置汚染の噴出は十分に考えられます。また残置汚染の揮発による大気への暴露汚染も日常的に起ることですから、危険は目に見えています。「不透水層」が確認できないことは、汚染の残置につながり、仲卸や消費者の健康被害をもたらすことは十分予測が可能なのだから「予防」すべきは今であると云うべきです。
また都の汚染対策は、ヒ素、鉛について、基準の10倍以上の汚染のみの調査及び、対策にとどまっています。土壌汚染対策法上、基準を超える大量の汚染が残置されていることは、東ガスの残置汚染のデータからも分ります。
都はこれら多くの問題に蓋をして、いずれ破綻することが目に見えている泥沼の計画(豊洲の計画地も泥沼ですが)をさらに一歩踏み込みました。これに対して、私たちはさら一回り陣形を広げ、この不条理に打ち勝ちたいと思います。
皆様のなお一層のご協力をお願いします。
【(豊洲計画地)汚染地購入問題―公金支出金賠償請求裁判について】
今年購入の土地について、差し止め訴訟をおこなった裁判は予算の執行と共に一旦取り下げましたが、新たに住民監査請求から再出発をすることが決定しました。22日公表された内容を添付します。
東京都職員措置請求書
<築地市場移転予定地の取得に関する監査請求>
1.請求の要旨
東京都知事石原慎太郎は、東京都中央卸売市場築地市場の移転予定地とされる江東区豊洲の東京ガス工場跡地等(以下、「本件各土地」という。(別紙1))を取得するために各契約を締結し、公金を支出した(以下、これらの一連の行為を「当該行為」という。(別紙2))。
当該行為は、本件各土地には有害物質による重大な汚染が存するにもかかわらず、これを築地市場の移転予定地として購入したもので食の安全及び経済的合理性にも反するものである。さらに当該行為は、本件各土地における土壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入したものである(別紙3)。したがって、当該行為は、地方自治法2条14項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法である。
当該行為により東京都が被る損害額は、食の安全を確保できず経済合理性に反する本件各土地の取得自体が不当かつ違法であるため土地取得額の合計1162億1318万5000円である。もし仮に本件各土地の取得自体が違法でないとしても、損害額は汚染された土地を土壌汚染なしの高い価格で購入したのであるから東京都が負担する汚染対策費を購入予定の土地の購入予定地全体に占める割合で按分した額である292億4855万4825円を下らない(別紙4)。
よって、請求者らは、当該行為について監査を求め、当該行為により東京都が被った損害を回復するように東京都知事石原慎太郎に対し損害額の返還を求めるように請求する次第である。
2.請求者
別紙請求者一覧のとおり
地方自治法242条1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
平成24年1月 日
東京都監査委員 御中
別紙1
本件各土地
豊洲新市場予定地 区画整理事業区内合計37.32haのうち東京都中央市場既取得分13.78haを除く全部23.54ha。
内訳(所有者別)
(1)東京都港湾局
江東区豊洲 5街区-4 2.61ha
同 6街区-1-� 4.03ha
同 7街区-2 6.10ha
小計 12.74ha
(2)東京ガス(株)
江東区豊洲 6街区-1 0.65ha
(3)東京ガス豊洲開発(株)
江東区豊洲 5街区-3 2.16ha
同 6街区-1-� 7.72ha
小計 9.88ha
(4)東京電力(株)
江東区豊洲 5街区-5 0.25ha
(5)財務省
江東区豊洲 5街区-2 0.02ha
上記(1)から(5)の合計 23.54ha
別紙2
本件各土地の取得に関する契約書及び支払伝票
別紙3
土地の購入価格が土壌汚染を価格に反映させないものであること
1、本件各土地の購入価額
(1)東京都港湾局 58,533,273,000円
(2)東京ガス(株) 3,226,500,000円
但し、510,518,000円は地下埋蔵物撤去等費用として控除
(3)東京ガス豊洲開発(株) 52,727,564,000円
但し、9,797,434,500円は地下埋蔵物撤去等費用として控除
(4)東京電力(株) 1,725,848,000円
(5)財務省 134,366,000円
契約金額の合計は、116,213,185,000円
購入単価は、493,684円/�
2、不動産鑑定評価書
(1) 本件各土地に関する鑑定評価書には、「対象不動産内の土壌汚染については、処理費用の負担について、依頼者と従前地権者との間で協議の上、別途取り扱うこととしていることから、本件評価に当たっては考慮外とすること」との鑑定評価の条件が明記されている(同鑑定評価書3頁)。
(2) 鑑定評価額の合計は、116,347,551,000円であり、上記1の本件各土地の購入価額とほぼ同じである(同鑑定評価書2頁)。
3、結論
上記1及び2から本件各土地の購入価格が土壌汚染を反映したものでないことは明らかである。
別紙4
汚染対策費(豊洲新市場土壌汚染対策工事)
5街区 11,917,500,000円(契約番号23-00229)
6街区 33,342,750,000円(契約番号23-00240)
7街区 8,914,500,000円(契約番号23-00232)
合計 54,174,750,000円
上記汚染対策費のうち平成23年3月31日付「豊洲地区用地の土壌汚染対策の費用負担に関する協定書」によって、東京瓦斯株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社が78億円を負担することになった。
したがって、東京都が負担する汚染対策費は、463億7475万0000円である。
463億7475万0000円を市場用地全体面積に占める本件各土地の合計面積で按分すれば下記のとおり、294億4855万4825円となる。
(記)
46,374,750,000円×23.54ha〔予算執行対象面積〕/37.32ha〔市場用地全体面積〕
=46,374,750,000円×0.6307
=29,248,554,825円
都民、都内法人の皆様へ
「築地市場移転予定地の取得に関する監査請求」を実施するに当たり、請求者となる
ことのご協力をお願いいたします。
別紙 請求者一覧にご記入いただき、「築地市場移転問題原告団 事務局」までお
送りください。
お願い)
* 印鑑は、個人の場合、個人印。法人の場合、法人印で明確に区別をしてくださ
い。
* お送りくださった場合、ご連絡を取れる方の記載とその連絡方法(メールア
ドレスがたいへんありがたいです。もしくは、ファックス)を、事務局にお教えいた
だけますようにお願い申し上げます。
(下記、フォームを同封して、別紙請求者一覧をお送りください。)
* 今後、監査請求のお知らせは、上記の連絡を取れる方にお知らせをするとと
もに、監査の状況は、「築地市場移転問題原告団 ホームページ」でお伝えいたしま
す。
「築地市場移転問題原告団 ホームページ」:http://tsukiji-wo-mamoru.com/
お問い合わせ)
築地市場移転問題原告団 事務局
〒104-0052 東京都中央区月島3-30-4飯島ビル1F
電話03-5547-1191、ファクス03-5547-1166
メール info@ tsukiji-wo-mamoru.com
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
------------------------------------キリトリ--------------------------------
ご連絡を取れる方を記載し、別紙請求者一覧と合わせて事務局にお送りください。
氏名:
ご職業、ご所属など:
郵便番号:
住所:
電話番号:
ファックス:
メールアドレス:
今後、ご連絡をする場合のご希望の手段に丸をしてください。
( メール / ファックス /
その他:その手段名: )
***********以上****************
【国と都への要請行動について】
22日(公判の後)、国と都へ要請行動をしました。下記その内容です。
******************
平成23年12月22日
農林水産大臣 鹿野道彦殿
環境大臣 細野豪志殿
国土交通大臣 前田武志殿
築地市場移転問題原告団 一同
弁護団 代表 梓澤 和幸
要望書
私たちは、「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」及び「豊洲市場用地購入費公金支
出金返還訴訟」二つの築地市場移転問題に関わる裁判の原告団及び弁護団です。
築地市場は、東京ドームの5.9倍の広さ、世界70数か国から品物が集まり、取引量
は年間5千億円、都民の消費量の9割を担ってきた世界最大の水産物市場であり、業者
の三代による努力によって維持されて参りました。今や、築地は世界のブランドとな
り、世界中から人々が訪れる大きな観光名所でもあります。
一方、移転先とされる豊洲は東京ガスの工場跡地、都市ガスを生産する工程で、作
られたタール等の廃棄物を敷地内に捨てていたところから,ベンゼン,ベンゾピレン,
シアン化合物,ヒ素,鉛、水銀、六価クロムなどの毒物が検出されているところであり
ます。象徴的な数字とすれば、東京都の専門家会議のレポートでも発がん性の強いベ
ンゼン、妊娠中の胎児の奇形をもたらすとされるベンゼンで環境基準の4万3000倍が
検出され、シアン化合物では930倍のシアン化合物が検出されています。
移転を強行すれば市場で働く仲卸業者、労働者の健康、生命等への被害は蓋然性が
高い。加えて、このような市場から出荷される生鮮食料品を食べる都民の健康被害も
見逃せません。
本年11月、東京都知事は都の提出した豊洲新市場用の土壌汚染対策法14条の申請を
認め、土壌汚染指定区域「形質変更時要届け出区域」に指定しました。土壌汚染対策
法上の要求する「状況調査」が決定的に不足しており、汚染の状態が確認されていな
い状態であるにも関わらず、汚染対策工事に着手可能とした、今回の「指定」は、ま
さに国民の健康保護する目的の同法を骨抜きにするものです。
またその「状況調査」不足を裏付ける唯一の証拠物である、土壌コアサンプルを捨て
ると主張する都は、確信的に証拠隠滅を図ったと言われても仕方のない状況です。
併せて、3月11日の震災により、浦安市の4分の3の液状化が起こったが、移転先の
江東区にも液状化現象が見られました。浦安では、マンホールの筒が地上2メートル
に突き上げ、交番、コンビニ等の施設が使用不能になり、市内の道路は凹凸化しまし
た。
築地市場は、震度5の揺れに対しびくともしなかった一方で、市場の移転予定地
にも108カ所もの液状化があったことは、広く周知の事実であり、震災時の食糧供給
基地たり得ない点は、移転反対の理由がもう1つ明確になりました。
なぜ世界で一番の食べ物の市場、文化の中心が、日本最大規模の土壌汚染地、液状
化が容易に起こる軟弱地盤の地に行かねばならないか、東京都からの積極的理由の提
示は一度もなされてはいません。
食の安全及び経済的合理性にも反する有害物質による重大な汚染土壌の土地を、土
壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入した行為自体も、地方自治法2条14
項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法であると認識をする
ところです。
認可者である赤松農林水産大臣(当時)は、平成21年9月「安全が確認できない限
り移転を認可しない」と言明をされています。
食の安心安全を守るために、国による適切な指導、監督を御願いしたく、以下の事
項を、要望いたします。
要請
【主に農林水産省関連事項】
一、土壌汚染対策法が東京都により適正に運用されず、「状況調査」が不十分な点に
ついて
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工する都に対してどの様にお考えになりますか。またどの様
な指導をされますか。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事を着工するように都
を指導することを要望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施することの都への指導について
ヒ素、鉛に関しては、土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、人為
的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処すること
になっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自然
由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速記
録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛が残
置される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの都へ
の指導を要望致します。
一、十分な液状化対策工事を実施することの都への指導について
東日本大震災で、108カ所の液状化を起こしました。
現在、都が計画をしている液状化への対応は、その調査自体の不足や計画される液状
化対策工事が不十分であることが指摘をされています。震災時にも食糧供給拠点とし
て機能しうる市場となるように都を指導することを要望致します。
【主に環境省関連事項】
一、土壌汚染対策法が東京都により適正に運用されず、「状況調査」が不十分な点に
ついて
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工する都に対してどの様にお考えになりますか。またどの様
な指導をされますか。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事を着工するように都
を指導することを要望致します。
一、土壌汚染コアサンプルの保存することの都への指導について
東京都は、汚染対策のため、水を通さない不透水層の上を土壌入れ替えするとの構
想で調査をしたということですが、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の
江戸川層にまで建築物が貫通していることからも都の構想は破綻しています。
また、その地質調査のため行われたボーリングの中で採取されたコアサンプルと
ボーリング柱状図を対比しなければ、この構想の核心ある不透水層(有楽町層)の存在
を客観的に検証する手段がなくなります。
コアサンプル保存は、1)汚染物質の所在を確認し、安全対策が有効かを検証のた
め必要であるし、有毒性の程度を示す欠かすことのできない物的証拠であり、2)専
門家会議の立てた汚染対策は、水を通さない有楽町層(不透水層)に切れ目がないか、
有楽町層の深さと強さがどれだけであるかということを検証する、これまた不可欠の
物的証拠であるから故に、必要であります。
廃棄せず、検証材料として保存することを東京都に指導を要望致します。
一、有楽町層以下の汚染状況調査実施することの都への指導について
東京都の汚染対策の構想は、有楽町層を不透水層とすることに根ざしています。
ところが、不透水層とするための余堀調査が不十分であることと、その連続性がな
いことが指摘されています。(添付資料2)水谷和子の裁判陳述書 添付資料3)『選
択』(2011.10 p.100-101) 添付資料4)『選択』(2011.12 p.108-109) )
さらに、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の江戸川層にまで建築物が
貫通していること、一万八千本に上る杭が存在していることから汚染の広がりを否定
できません。
有楽町層以下に汚染土壌が存在すれば、東京都の土壌汚染対策は、その前提が覆さ
れることになります。
有楽町層以下の汚染状況調査実施することの都への指導を要望致します。
一、液状化に伴う汚染状況の再実施することの都への指導について
東日本大震災で108カ所の液状化を起こしました。しかし、東京都は液状化に伴
う土壌調査を十分に行っていないことを複数の専門家が指摘しています。(添付資料
5)日本環境学会土壌汚染問題WG長坂巻幸雄氏『豊洲汚染地の液状化問題に関する
コメント』、添付資料6)日本環境学会顧問(前会長)・元大阪市立大学大学院教授
畑明郎氏『「豊洲新市場予定地の液状化問題についての公開質問状」に対する回答に
ついて』、添付資料7)NPO日本地質汚染審査機構理事上砂正一氏『豊洲新市場予
定地の液状化問題についての公開質問状の回答について』、添付資料8)『現代化
学』2011年8月(p.68-69) )
土壌及び地下水の土壌汚染の分布状況が大きく変化したことが考えられることよ
り、改めて土壌汚染調査をすることを東京都に指導を要望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施することの都への指導について
ヒ素、鉛に関しては、改正土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、
人為的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処する
ことになっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自
然由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速
記録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
改正土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛
が残置される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの
都への指導を要望致します。
一、一部地域ではなく都民とのリスクコミュニケーション及び公開討論会を実施する
ことの都への指導について
専門家会議で約束されたリスクコミュニケーションの場が作られることなく、市場
建設がなされようとしています。
豊洲新市場建設工事説明会は、豊洲の一部地域の住民への周知のみで一日実施さ
れ、中央区に対しては、「まちづくり協議会」という非公開の場(開催日程の住民周
知や会議内容の広報がなされない、傍聴者からの質疑・発言の機会がない点は、中央
区議会で再三指摘されている。)での説明に終わりました。
食の安心安全に関わる都民全体に関わる問題であり、再度、都民とのリスクコミュ
ニケーションをとることと、併せて、液状化問題を含め土壌汚染調査及び対策工事に
疑義を抱く専門家もおられる状況下、専門家同士の公開討論の場をつくることを東京
都に指導することを要望致します。
一、土壌汚染対策工事を評価する都民や土壌汚染の専門家も委員として含めた第三者
評価機関設置をすることの都への指導について
東京都は再三にわたって事実を隠蔽し、都民の指摘により、その誤りを認めてきま
した。
信頼を構築するためには、土壌汚染対策工事がきちんとなされていることを、評価
検証するための第三者評価機関の設置が必要と考えます。
都民や土壌汚染の専門家も委員として参加する第三者評価機関の設置することを東
京都に指導することを要望致します。
【主に国交省関連事項】
一、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃止の認可がされるまでは、一
切中止することの都への指導について
土壌汚染対策法の指定区域に指定を受けた以上、現段階で豊洲での市場建設は認め
られる状況ではありません。汚染指定が解除され、豊洲新市場開設及び築地市場廃止
の認可がなされて初めて築地市場の移転がなされることとなります。
築地市場で計画されている環状二号線工事は、市場業務に多大な影響を与えること
は、市場内関係団体からも指摘をされているところです。
築地市場の移転を前提にした、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃
止の認可がされるまでは、一切中止することを都に指導することを要望致します。
一、補助315号線土壌汚染の土壌汚染対策工事が適切になされることの都への指導
について
補助315号線予定部分にも高濃度に土壌汚染が存在をしていました。
東京都による汚染対策工事説明では、説明が落とされている箇所ではありますが、
汚染処理対策がきちんとなされることを都に指導することを要望致します。
*****************************************
2011年12月22日
東京都知事 石原慎太郎殿
中央卸売市場市場長 中西 充 殿
港湾局長 中井 敬三殿
環境局長 大野 輝之殿
建設局長 村尾 公一殿
築地市場移転問題原告団 一同
弁護団 代表 梓澤 和幸
要望書
私たちは、「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」及び「豊洲市場用地購入費公金支
出金返還訴訟」二つの築地市場移転問題に関わる裁判の原告団及び弁護団です。
築地市場は、東京ドームの5.9倍の広さ、世界70数か国から品物が集まり、取引量
は年間5千億円、都民の消費量の9割を担ってきた世界最大の水産物市場であり、業者
の三代による努力によって維持されて参りました。今や、築地は世界のブランドとな
り、世界中から人々が訪れる大きな観光名所でもあります。
一方、移転先とされる豊洲は東京ガスの工場跡地、都市ガスを生産する工程で、作
られたタール等の廃棄物を敷地内にすてていたところから,ベンゼン,ベンゾピレン,
シアン化合物,ヒ素,鉛、水銀、六価クロムなどの毒物が検出されているところであり
ます。象徴的な数字とすれば、東京都の専門家会議のレポートでも発がん性の強いベ
ンゼン、妊娠中の胎児の奇形をもたらすとされるベンゼンで環境基準の4万3000倍が
検出され、シアン化合物では930倍のシアン化合物が検出されています。
移転を強行すれば市場で働く仲卸業者、労働者の健康、生命等への被害は蓋然性が
高い。加えて、このような市場から出荷される生鮮食料品を食べる都民の健康被害も
見逃せません。
本年11月、東京都知事は都の提出した豊洲新市場用の土壌汚染対策法14条の申請を
認め、土壌汚染指定区域「形質変更時要届け出区域」に指定しました。土壌汚染対策
法上の要求する「状況調査」が決定的に不足しており、汚染の状態が確認されていな
い状態であるにも関わらず、汚染対策工事に着手可能とした、今回の「指定」は、ま
さに国民の健康保護する目的の同法を骨抜きにするものです。
またその「状況調査」不足を裏付ける唯一の証拠物である、土壌コアサンプルを捨て
ると主張する都は、確信的に証拠隠滅を図ったと言われても仕方のない状況です。
併せて、3月11日の震災により、浦安市の4分の3の液状化が起こりましたが、移
転先の江東区にも液状化現象が見られました。
浦安では、マンホールの筒が地上2メートルに突き上げ、交番、コンビニ等の施設が
使用不能になり、市内の道路は凹凸化しました。
築地市場は、震度5の揺れに対しびくともしなかった一方で、市場の移転予定地
にも108カ所もの液状化があったことは、広く周知の事実であり、震災時の食糧供給
基地たり得ない点は、移転反対の理由がもう1つ明確になりました。
なぜ世界で一番の食べ物の市場、文化の中心が、日本最大規模の土壌汚染地、液状
化が容易に起こる軟弱地盤の地に行かねばならないか、東京都からの積極的理由の提
示は一度もなされてはいません。
食の安全及び経済的合理性にも反する有害物質による重大な汚染土壌の土地を、土
壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入した行為自体も、地方自治法2条1
4項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法であると認識
をするところです。
認可者である赤松農林水産大臣(当時)は、平成21年9月「安全が確認できない限り
移転を認可しない」と言明をされています。
食の安心安全を守るため、東京都に対し、以下の事項を、要望致します。
要請
一、土壌汚染コアサンプルの保存すること
東京都は、汚染対策のため、水を通さない不透水層の上を土壌入れ替えするとの構
想で調査をしたということですが、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の
江戸川層にまで建築物が貫通していることからも都の構想は破綻しています。
また、その地質調査のため行われたボーリングの中で採取されたコアサンプルと
ボーリング柱状図を対比しなければ、この構想の核心ある不透水層(有楽町層)の存在
を客観的に検証する手段がなくなります。
コアサンプル保存は、1)汚染物質の所在を確認し、安全対策が有効かを検証のた
め必要であるし、有毒性の程度を示す欠かすことのできない物的証拠であり、2)専
門家会議の立てた汚染対策は、水を通さない有楽町層(不透水層)に切れ目がないか、
有楽町層の深さと強さがどれだけであるかということを検証する、これまた不可欠の
物的証拠であるから故に、必要であります。
廃棄せず、検証材料として保存することを要望致します。
一、土壌汚染対策法に則った「状況調査」を実施すること
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工しようとしています。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事に着工することを要
望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施すること
ヒ素、鉛に関しては、土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、人為
的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処すること
になっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自然
由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速記
録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛が残置
される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの都への
指導を要望致します。
一、有楽町層以下の汚染状況調査実施すること
東京都の汚染対策の構想は、有楽町層を不透水層とすることに根ざしています。
ところが、不透水層とするための余堀調査が不十分であることと、その連続性がな
いことが指摘されています。(添付資料2)水谷和子の裁判陳述書、添付資料3)『選
択』(2011.10 p.100-101) 添付資料4)『選択』(2011.12 p.108-109) )
さらに、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の江戸川層にまで建築物が
貫通していること、一万八千本に上る杭が存在していることから汚染の広がりを否定
できません。
有楽町層以下に汚染土壌が存在すれば、東京都の土壌汚染対策は、その前提が覆さ
れることになります。
有楽町層以下の汚染状況調査実施することを要望致します。
一、液状化に伴う汚染状況の再実施すること
東日本大震災で108カ所の液状化を起こしました。しかし、東京都は液状化に伴う
土壌調査を十分に行っていないことを複数の専門家が指摘しています。(添付資料
5)日本環境学会土壌汚染問題WG長坂巻幸雄氏『豊洲汚染地の液状化問題に関する
コメント』、添付資料6)日本環境学会顧問(前会長)・元大阪市立大学大学院教授
畑明郎氏『「豊洲新市場予定地の液状化問題についての公開質問状」に対する回答に
ついて』、添付資料7)NPO日本地質汚染審査機構理事上砂正一氏『豊洲新市場予
定地の液状化問題についての公開質問状の回答について』、添付資料8)『現代化
学』2011年8月(p.68-69) )
土壌及び地下水の土壌汚染の分布状況が大きく変化したことが考えられることよ
り、改めて土壌汚染調査をすることを要望致します。
一、十分な液状化対策工事を実施すること
現在、都が計画をしている液状化への対応は、その調査自体の不足とともに、計画さ
れる液状化対策工事が不十分であることが指摘をされています。
震災時にも食糧供給拠点として機能しうる市場となるよう十分な液状化対策工事を実
施することを要望いたします。
一、一部地域ではなく都民とのリスクコミュニケーション及び公開討論会を実施する
こと
専門家会議で約束されたリスクコミュニケーションの場が作られることなく、市場
建設がなされようとしています。
豊洲新市場建設工事説明会は、豊洲の一部地域の住民への周知のみで一日実施さ
れ、中央区に対しては「まちづくり協議会」という非公開の場(開催日程の住民周知
や会議内容の広報がなされない、傍聴者からの質疑・発言の機会がない点は、中央区
議会で再三指摘されている。)での説明に終わりました。
食の安心安全に関わる都民全体に関わる問題であり、再度、都民とのリスクコミュ
ニケーションをとることと、併せて、液状化問題を含め土壌汚染調査及び対策工事に
疑義を抱く専門家もおられる状況下、専門家同士の公開討論の場をつくることを要望
致します。
一、土壌汚染対策工事を評価する都民や土壌汚染の専門家も委員として含めた第三者
評価機関設置をすること
東京都は再三にわたって事実を隠蔽し、都民の指摘により、その誤りを認めてきま
した。
信頼を構築するためには、土壌汚染対策工事がきちんとなされていることを、評価
検証するための第三者評価機関の設置が必要と考えます。
都民や土壌汚染の専門家も委員として参加する第三者評価機関の設置することを要
望致します。
一、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃止の認可がされるまでは、一
切中止すること
土壌汚染対策法の指定区域に指定を受けた以上、現段階で豊洲での市場建設は認め
られる状況ではありません。汚染指定が解除され、豊洲新市場開設及び築地市場廃止
の認可がなされて初めて築地市場の移転がなされることとなります。
築地市場で計画されている環状二号線工事は、市場業務に多大な影響を与えること
は、市場内関係団体からも指摘をされているところです。
築地市場の移転を前提にした、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃
止の認可がなされるまでは、一切中止することを要望致します。
一、補助315号線土壌汚染の土壌汚染対策工事が適切になされること
補助315号線予定部分にも高濃度に土壌汚染が存在をしていました。
東京都による汚染対策工事説明では、説明が落とされている箇所ではありますが、
汚染処理対策がきちんとなされることを要望致します。
一、市場業者の意向調査を実施すること
豊洲移転は、いままで培われてきた「築地のブランド」を損なうことが危惧されま
す。市場業者の多くは意向調査を求めるが、東京都は実施をしようとしません。よっ
て、市場業者の意向調査を行うことを要望致します。
以上
こちらでも、掲載をさせていただきます。
【コアサンプル廃棄差し止め訴訟について】
提訴から2年半、コアサンプル廃棄差し止め訴訟は22日判決を向かえました。当日は多数の傍聴[満席]をありがとうございました。
判決は不当にも「棄却」でした。原告団は直ちに控訴すること決め、来週月曜日(26日)に裁判所に提出の予定です。
判決は棄却であったものの、判決文には「1、汚染の認定」「2、人格権に基づく権利の認定」「3、安全配慮義務
に基づく権利の認定」など原告の主張が認められました。
弁護団の多大な努力によって、仲卸や消費者の二つの大きな権利が勝ち取られたことは大変意義深いものでした。
改めて、8名の弁護団の方々のご尽力に感謝したいと思います。
梓 澤 和 幸 弁護士 [弁護団長]
渡 邉 彰 悟 弁護士
本 田 麻 奈 弥 弁護士
出 口 裕 規 弁護士
大 城 聡 弁護士
殷 勇 基 弁護士
福 田 隆 行 弁護士
仲 村 渠 桃 弁護士
判決文が下記原告団HPに発表されましたのでご覧ください。
http://tsukiji-wo-mamoru.com/index.html
「判決文には原告の主張が認められた点が3点ある」と、梓澤弁護団長から「評価すべき点」として発表されました。
1、汚染の認定(これは裁判史上異例のことだそうです)
P23.24 (17),(18)
2、人格権に基づく権利の認定
P29
「そして、原告らが主張するとおり、築地市場から豊洲新市場予定地に移転するにあたっては、そこで働くことになる仲卸業者や豊洲新市場予定地で販売される生鮮食料品を口にする消費者の生命、身体等に危険が生じないよう豊洲新市場予定地の土壌調査が十分に行われ、適切な汚染土壌処理が行われ、豊洲新市場予定地の安全が確保されるべきである。」
3、安全配慮義務に基づく権利の認定
P32
「このように、仲卸業者は、被告の認可のもと、指定された場所に配置され、被告の供給する設備を用いて、業務を行い、被告に対して使用料を支払うのであるから、仲卸業者が業務を行うために設置する場所、施設を使用する過程において、被告は施設の設置者・提供者として、仲卸業者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮することが要請されるともいえる。
また法形式上は、築地市場の中卸業者は、自動的に豊洲市場予定地に移転するというものだはなく、改めて豊洲新市場予定での市場施設の使用の申請をして認可された者が豊洲新市場予定地で仲卸業者をすることができるのであるが、築地市場の仲卸業者は、希望者は全員が豊洲新市場予定地に移ることが予定されているようであり(甲32)、現実には、築地市場が閉鎖されれば、まずは多数の仲卸業者が豊洲新市場予定地での業務の継続を希望することが予定され、事実上、築地市場と豊洲新市場予定地での関係は連続性があるとみる余地もある。
以上アンダーライン 梓澤弁護士
以下勉強会を終えて (原告 水谷)報告
判決は上記の権利とコアサンプルの廃棄による影響が関連付けられないとして棄却されました。
判決文は「・・・しかし、仮にこのような危険が高い蓋然性をもって存在するとしても、本件コアサンプルが、このような危険の予防に直接つながるわけではない。」と、しています。
こちらの主張したコアサンプルの有用性【=現調査が「不透水層」の確認の要件を満たしておらず、深度方向の汚染の範囲が確定していない。また複数調査間の整合性が無く、柱状図が土質の実態を正確に反映していることが疑わしく、コアサンプルによる検証が必要。】について、判決文では「かかる再調査によって、原告らの人格権の保全が直接図られるものでもない(P30)」
と切って捨てています。
土壌汚染対法やその運用を規定した環境省のガイドラインでは、不透水層が連続し、かつ50cm以上を確認することができなければ10mの汚染の状況調査が必要な旨を明記していますが、都の調査はその要件を満たしていません。裁判で展開した様に不透水層が確認出来ない以上、10m(操業時の地盤面から)の調査は必要であるにも関わらず、ほぼ全域で調査は10mに至っていません。そもそも10mまでは汚染が至達する可能性が高いので法律は10mまでの調査を求めているのです。実際、田町の東京ガス工場跡地でも、ベンゼンやシアン化合物は10mを超えて汚染が多数箇所で検出していることが、開示請求した土対法関連の書類からも明らかになっています。
この不十分な汚染の「状況調査」にもかかわらず、都は自ら申請した土壌汚染対策法の届けを認め、不当にも「状況調査に不足は無い」と結論付けました。これにより手続き的には汚染対策工事の着工が可能となり、まさに不完全な工事が始まったところです。
残置汚染の予測される深さ10mは砂層のベルト地帯にも近く、多くで液状化判定も出ています。しかもそのほとんどが液状化対策範囲外であることから、液状化による残置汚染の噴出は十分に考えられます。また残置汚染の揮発による大気への暴露汚染も日常的に起ることですから、危険は目に見えています。「不透水層」が確認できないことは、汚染の残置につながり、仲卸や消費者の健康被害をもたらすことは十分予測が可能なのだから「予防」すべきは今であると云うべきです。
また都の汚染対策は、ヒ素、鉛について、基準の10倍以上の汚染のみの調査及び、対策にとどまっています。土壌汚染対策法上、基準を超える大量の汚染が残置されていることは、東ガスの残置汚染のデータからも分ります。
都はこれら多くの問題に蓋をして、いずれ破綻することが目に見えている泥沼の計画(豊洲の計画地も泥沼ですが)をさらに一歩踏み込みました。これに対して、私たちはさら一回り陣形を広げ、この不条理に打ち勝ちたいと思います。
皆様のなお一層のご協力をお願いします。
【(豊洲計画地)汚染地購入問題―公金支出金賠償請求裁判について】
今年購入の土地について、差し止め訴訟をおこなった裁判は予算の執行と共に一旦取り下げましたが、新たに住民監査請求から再出発をすることが決定しました。22日公表された内容を添付します。
東京都職員措置請求書
<築地市場移転予定地の取得に関する監査請求>
1.請求の要旨
東京都知事石原慎太郎は、東京都中央卸売市場築地市場の移転予定地とされる江東区豊洲の東京ガス工場跡地等(以下、「本件各土地」という。(別紙1))を取得するために各契約を締結し、公金を支出した(以下、これらの一連の行為を「当該行為」という。(別紙2))。
当該行為は、本件各土地には有害物質による重大な汚染が存するにもかかわらず、これを築地市場の移転予定地として購入したもので食の安全及び経済的合理性にも反するものである。さらに当該行為は、本件各土地における土壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入したものである(別紙3)。したがって、当該行為は、地方自治法2条14項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法である。
当該行為により東京都が被る損害額は、食の安全を確保できず経済合理性に反する本件各土地の取得自体が不当かつ違法であるため土地取得額の合計1162億1318万5000円である。もし仮に本件各土地の取得自体が違法でないとしても、損害額は汚染された土地を土壌汚染なしの高い価格で購入したのであるから東京都が負担する汚染対策費を購入予定の土地の購入予定地全体に占める割合で按分した額である292億4855万4825円を下らない(別紙4)。
よって、請求者らは、当該行為について監査を求め、当該行為により東京都が被った損害を回復するように東京都知事石原慎太郎に対し損害額の返還を求めるように請求する次第である。
2.請求者
別紙請求者一覧のとおり
地方自治法242条1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
平成24年1月 日
東京都監査委員 御中
別紙1
本件各土地
豊洲新市場予定地 区画整理事業区内合計37.32haのうち東京都中央市場既取得分13.78haを除く全部23.54ha。
内訳(所有者別)
(1)東京都港湾局
江東区豊洲 5街区-4 2.61ha
同 6街区-1-� 4.03ha
同 7街区-2 6.10ha
小計 12.74ha
(2)東京ガス(株)
江東区豊洲 6街区-1 0.65ha
(3)東京ガス豊洲開発(株)
江東区豊洲 5街区-3 2.16ha
同 6街区-1-� 7.72ha
小計 9.88ha
(4)東京電力(株)
江東区豊洲 5街区-5 0.25ha
(5)財務省
江東区豊洲 5街区-2 0.02ha
上記(1)から(5)の合計 23.54ha
別紙2
本件各土地の取得に関する契約書及び支払伝票
別紙3
土地の購入価格が土壌汚染を価格に反映させないものであること
1、本件各土地の購入価額
(1)東京都港湾局 58,533,273,000円
(2)東京ガス(株) 3,226,500,000円
但し、510,518,000円は地下埋蔵物撤去等費用として控除
(3)東京ガス豊洲開発(株) 52,727,564,000円
但し、9,797,434,500円は地下埋蔵物撤去等費用として控除
(4)東京電力(株) 1,725,848,000円
(5)財務省 134,366,000円
契約金額の合計は、116,213,185,000円
購入単価は、493,684円/�
2、不動産鑑定評価書
(1) 本件各土地に関する鑑定評価書には、「対象不動産内の土壌汚染については、処理費用の負担について、依頼者と従前地権者との間で協議の上、別途取り扱うこととしていることから、本件評価に当たっては考慮外とすること」との鑑定評価の条件が明記されている(同鑑定評価書3頁)。
(2) 鑑定評価額の合計は、116,347,551,000円であり、上記1の本件各土地の購入価額とほぼ同じである(同鑑定評価書2頁)。
3、結論
上記1及び2から本件各土地の購入価格が土壌汚染を反映したものでないことは明らかである。
別紙4
汚染対策費(豊洲新市場土壌汚染対策工事)
5街区 11,917,500,000円(契約番号23-00229)
6街区 33,342,750,000円(契約番号23-00240)
7街区 8,914,500,000円(契約番号23-00232)
合計 54,174,750,000円
上記汚染対策費のうち平成23年3月31日付「豊洲地区用地の土壌汚染対策の費用負担に関する協定書」によって、東京瓦斯株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社が78億円を負担することになった。
したがって、東京都が負担する汚染対策費は、463億7475万0000円である。
463億7475万0000円を市場用地全体面積に占める本件各土地の合計面積で按分すれば下記のとおり、294億4855万4825円となる。
(記)
46,374,750,000円×23.54ha〔予算執行対象面積〕/37.32ha〔市場用地全体面積〕
=46,374,750,000円×0.6307
=29,248,554,825円
都民、都内法人の皆様へ
「築地市場移転予定地の取得に関する監査請求」を実施するに当たり、請求者となる
ことのご協力をお願いいたします。
別紙 請求者一覧にご記入いただき、「築地市場移転問題原告団 事務局」までお
送りください。
お願い)
* 印鑑は、個人の場合、個人印。法人の場合、法人印で明確に区別をしてくださ
い。
* お送りくださった場合、ご連絡を取れる方の記載とその連絡方法(メールア
ドレスがたいへんありがたいです。もしくは、ファックス)を、事務局にお教えいた
だけますようにお願い申し上げます。
(下記、フォームを同封して、別紙請求者一覧をお送りください。)
* 今後、監査請求のお知らせは、上記の連絡を取れる方にお知らせをするとと
もに、監査の状況は、「築地市場移転問題原告団 ホームページ」でお伝えいたしま
す。
「築地市場移転問題原告団 ホームページ」:http://tsukiji-wo-mamoru.com/
お問い合わせ)
築地市場移転問題原告団 事務局
〒104-0052 東京都中央区月島3-30-4飯島ビル1F
電話03-5547-1191、ファクス03-5547-1166
メール info@ tsukiji-wo-mamoru.com
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
(住所)
(職業)
(氏名) 印
------------------------------------キリトリ--------------------------------
ご連絡を取れる方を記載し、別紙請求者一覧と合わせて事務局にお送りください。
氏名:
ご職業、ご所属など:
郵便番号:
住所:
電話番号:
ファックス:
メールアドレス:
今後、ご連絡をする場合のご希望の手段に丸をしてください。
( メール / ファックス /
その他:その手段名: )
***********以上****************
【国と都への要請行動について】
22日(公判の後)、国と都へ要請行動をしました。下記その内容です。
******************
平成23年12月22日
農林水産大臣 鹿野道彦殿
環境大臣 細野豪志殿
国土交通大臣 前田武志殿
築地市場移転問題原告団 一同
弁護団 代表 梓澤 和幸
要望書
私たちは、「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」及び「豊洲市場用地購入費公金支
出金返還訴訟」二つの築地市場移転問題に関わる裁判の原告団及び弁護団です。
築地市場は、東京ドームの5.9倍の広さ、世界70数か国から品物が集まり、取引量
は年間5千億円、都民の消費量の9割を担ってきた世界最大の水産物市場であり、業者
の三代による努力によって維持されて参りました。今や、築地は世界のブランドとな
り、世界中から人々が訪れる大きな観光名所でもあります。
一方、移転先とされる豊洲は東京ガスの工場跡地、都市ガスを生産する工程で、作
られたタール等の廃棄物を敷地内に捨てていたところから,ベンゼン,ベンゾピレン,
シアン化合物,ヒ素,鉛、水銀、六価クロムなどの毒物が検出されているところであり
ます。象徴的な数字とすれば、東京都の専門家会議のレポートでも発がん性の強いベ
ンゼン、妊娠中の胎児の奇形をもたらすとされるベンゼンで環境基準の4万3000倍が
検出され、シアン化合物では930倍のシアン化合物が検出されています。
移転を強行すれば市場で働く仲卸業者、労働者の健康、生命等への被害は蓋然性が
高い。加えて、このような市場から出荷される生鮮食料品を食べる都民の健康被害も
見逃せません。
本年11月、東京都知事は都の提出した豊洲新市場用の土壌汚染対策法14条の申請を
認め、土壌汚染指定区域「形質変更時要届け出区域」に指定しました。土壌汚染対策
法上の要求する「状況調査」が決定的に不足しており、汚染の状態が確認されていな
い状態であるにも関わらず、汚染対策工事に着手可能とした、今回の「指定」は、ま
さに国民の健康保護する目的の同法を骨抜きにするものです。
またその「状況調査」不足を裏付ける唯一の証拠物である、土壌コアサンプルを捨て
ると主張する都は、確信的に証拠隠滅を図ったと言われても仕方のない状況です。
併せて、3月11日の震災により、浦安市の4分の3の液状化が起こったが、移転先の
江東区にも液状化現象が見られました。浦安では、マンホールの筒が地上2メートル
に突き上げ、交番、コンビニ等の施設が使用不能になり、市内の道路は凹凸化しまし
た。
築地市場は、震度5の揺れに対しびくともしなかった一方で、市場の移転予定地
にも108カ所もの液状化があったことは、広く周知の事実であり、震災時の食糧供給
基地たり得ない点は、移転反対の理由がもう1つ明確になりました。
なぜ世界で一番の食べ物の市場、文化の中心が、日本最大規模の土壌汚染地、液状
化が容易に起こる軟弱地盤の地に行かねばならないか、東京都からの積極的理由の提
示は一度もなされてはいません。
食の安全及び経済的合理性にも反する有害物質による重大な汚染土壌の土地を、土
壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入した行為自体も、地方自治法2条14
項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法であると認識をする
ところです。
認可者である赤松農林水産大臣(当時)は、平成21年9月「安全が確認できない限
り移転を認可しない」と言明をされています。
食の安心安全を守るために、国による適切な指導、監督を御願いしたく、以下の事
項を、要望いたします。
要請
【主に農林水産省関連事項】
一、土壌汚染対策法が東京都により適正に運用されず、「状況調査」が不十分な点に
ついて
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工する都に対してどの様にお考えになりますか。またどの様
な指導をされますか。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事を着工するように都
を指導することを要望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施することの都への指導について
ヒ素、鉛に関しては、土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、人為
的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処すること
になっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自然
由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速記
録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛が残
置される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの都へ
の指導を要望致します。
一、十分な液状化対策工事を実施することの都への指導について
東日本大震災で、108カ所の液状化を起こしました。
現在、都が計画をしている液状化への対応は、その調査自体の不足や計画される液状
化対策工事が不十分であることが指摘をされています。震災時にも食糧供給拠点とし
て機能しうる市場となるように都を指導することを要望致します。
【主に環境省関連事項】
一、土壌汚染対策法が東京都により適正に運用されず、「状況調査」が不十分な点に
ついて
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工する都に対してどの様にお考えになりますか。またどの様
な指導をされますか。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事を着工するように都
を指導することを要望致します。
一、土壌汚染コアサンプルの保存することの都への指導について
東京都は、汚染対策のため、水を通さない不透水層の上を土壌入れ替えするとの構
想で調査をしたということですが、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の
江戸川層にまで建築物が貫通していることからも都の構想は破綻しています。
また、その地質調査のため行われたボーリングの中で採取されたコアサンプルと
ボーリング柱状図を対比しなければ、この構想の核心ある不透水層(有楽町層)の存在
を客観的に検証する手段がなくなります。
コアサンプル保存は、1)汚染物質の所在を確認し、安全対策が有効かを検証のた
め必要であるし、有毒性の程度を示す欠かすことのできない物的証拠であり、2)専
門家会議の立てた汚染対策は、水を通さない有楽町層(不透水層)に切れ目がないか、
有楽町層の深さと強さがどれだけであるかということを検証する、これまた不可欠の
物的証拠であるから故に、必要であります。
廃棄せず、検証材料として保存することを東京都に指導を要望致します。
一、有楽町層以下の汚染状況調査実施することの都への指導について
東京都の汚染対策の構想は、有楽町層を不透水層とすることに根ざしています。
ところが、不透水層とするための余堀調査が不十分であることと、その連続性がな
いことが指摘されています。(添付資料2)水谷和子の裁判陳述書 添付資料3)『選
択』(2011.10 p.100-101) 添付資料4)『選択』(2011.12 p.108-109) )
さらに、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の江戸川層にまで建築物が
貫通していること、一万八千本に上る杭が存在していることから汚染の広がりを否定
できません。
有楽町層以下に汚染土壌が存在すれば、東京都の土壌汚染対策は、その前提が覆さ
れることになります。
有楽町層以下の汚染状況調査実施することの都への指導を要望致します。
一、液状化に伴う汚染状況の再実施することの都への指導について
東日本大震災で108カ所の液状化を起こしました。しかし、東京都は液状化に伴
う土壌調査を十分に行っていないことを複数の専門家が指摘しています。(添付資料
5)日本環境学会土壌汚染問題WG長坂巻幸雄氏『豊洲汚染地の液状化問題に関する
コメント』、添付資料6)日本環境学会顧問(前会長)・元大阪市立大学大学院教授
畑明郎氏『「豊洲新市場予定地の液状化問題についての公開質問状」に対する回答に
ついて』、添付資料7)NPO日本地質汚染審査機構理事上砂正一氏『豊洲新市場予
定地の液状化問題についての公開質問状の回答について』、添付資料8)『現代化
学』2011年8月(p.68-69) )
土壌及び地下水の土壌汚染の分布状況が大きく変化したことが考えられることよ
り、改めて土壌汚染調査をすることを東京都に指導を要望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施することの都への指導について
ヒ素、鉛に関しては、改正土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、
人為的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処する
ことになっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自
然由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速
記録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
改正土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛
が残置される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの
都への指導を要望致します。
一、一部地域ではなく都民とのリスクコミュニケーション及び公開討論会を実施する
ことの都への指導について
専門家会議で約束されたリスクコミュニケーションの場が作られることなく、市場
建設がなされようとしています。
豊洲新市場建設工事説明会は、豊洲の一部地域の住民への周知のみで一日実施さ
れ、中央区に対しては、「まちづくり協議会」という非公開の場(開催日程の住民周
知や会議内容の広報がなされない、傍聴者からの質疑・発言の機会がない点は、中央
区議会で再三指摘されている。)での説明に終わりました。
食の安心安全に関わる都民全体に関わる問題であり、再度、都民とのリスクコミュ
ニケーションをとることと、併せて、液状化問題を含め土壌汚染調査及び対策工事に
疑義を抱く専門家もおられる状況下、専門家同士の公開討論の場をつくることを東京
都に指導することを要望致します。
一、土壌汚染対策工事を評価する都民や土壌汚染の専門家も委員として含めた第三者
評価機関設置をすることの都への指導について
東京都は再三にわたって事実を隠蔽し、都民の指摘により、その誤りを認めてきま
した。
信頼を構築するためには、土壌汚染対策工事がきちんとなされていることを、評価
検証するための第三者評価機関の設置が必要と考えます。
都民や土壌汚染の専門家も委員として参加する第三者評価機関の設置することを東
京都に指導することを要望致します。
【主に国交省関連事項】
一、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃止の認可がされるまでは、一
切中止することの都への指導について
土壌汚染対策法の指定区域に指定を受けた以上、現段階で豊洲での市場建設は認め
られる状況ではありません。汚染指定が解除され、豊洲新市場開設及び築地市場廃止
の認可がなされて初めて築地市場の移転がなされることとなります。
築地市場で計画されている環状二号線工事は、市場業務に多大な影響を与えること
は、市場内関係団体からも指摘をされているところです。
築地市場の移転を前提にした、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃
止の認可がされるまでは、一切中止することを都に指導することを要望致します。
一、補助315号線土壌汚染の土壌汚染対策工事が適切になされることの都への指導
について
補助315号線予定部分にも高濃度に土壌汚染が存在をしていました。
東京都による汚染対策工事説明では、説明が落とされている箇所ではありますが、
汚染処理対策がきちんとなされることを都に指導することを要望致します。
*****************************************
2011年12月22日
東京都知事 石原慎太郎殿
中央卸売市場市場長 中西 充 殿
港湾局長 中井 敬三殿
環境局長 大野 輝之殿
建設局長 村尾 公一殿
築地市場移転問題原告団 一同
弁護団 代表 梓澤 和幸
要望書
私たちは、「コアサンプル廃棄差止め請求訴訟」及び「豊洲市場用地購入費公金支
出金返還訴訟」二つの築地市場移転問題に関わる裁判の原告団及び弁護団です。
築地市場は、東京ドームの5.9倍の広さ、世界70数か国から品物が集まり、取引量
は年間5千億円、都民の消費量の9割を担ってきた世界最大の水産物市場であり、業者
の三代による努力によって維持されて参りました。今や、築地は世界のブランドとな
り、世界中から人々が訪れる大きな観光名所でもあります。
一方、移転先とされる豊洲は東京ガスの工場跡地、都市ガスを生産する工程で、作
られたタール等の廃棄物を敷地内にすてていたところから,ベンゼン,ベンゾピレン,
シアン化合物,ヒ素,鉛、水銀、六価クロムなどの毒物が検出されているところであり
ます。象徴的な数字とすれば、東京都の専門家会議のレポートでも発がん性の強いベ
ンゼン、妊娠中の胎児の奇形をもたらすとされるベンゼンで環境基準の4万3000倍が
検出され、シアン化合物では930倍のシアン化合物が検出されています。
移転を強行すれば市場で働く仲卸業者、労働者の健康、生命等への被害は蓋然性が
高い。加えて、このような市場から出荷される生鮮食料品を食べる都民の健康被害も
見逃せません。
本年11月、東京都知事は都の提出した豊洲新市場用の土壌汚染対策法14条の申請を
認め、土壌汚染指定区域「形質変更時要届け出区域」に指定しました。土壌汚染対策
法上の要求する「状況調査」が決定的に不足しており、汚染の状態が確認されていな
い状態であるにも関わらず、汚染対策工事に着手可能とした、今回の「指定」は、ま
さに国民の健康保護する目的の同法を骨抜きにするものです。
またその「状況調査」不足を裏付ける唯一の証拠物である、土壌コアサンプルを捨て
ると主張する都は、確信的に証拠隠滅を図ったと言われても仕方のない状況です。
併せて、3月11日の震災により、浦安市の4分の3の液状化が起こりましたが、移
転先の江東区にも液状化現象が見られました。
浦安では、マンホールの筒が地上2メートルに突き上げ、交番、コンビニ等の施設が
使用不能になり、市内の道路は凹凸化しました。
築地市場は、震度5の揺れに対しびくともしなかった一方で、市場の移転予定地
にも108カ所もの液状化があったことは、広く周知の事実であり、震災時の食糧供給
基地たり得ない点は、移転反対の理由がもう1つ明確になりました。
なぜ世界で一番の食べ物の市場、文化の中心が、日本最大規模の土壌汚染地、液状
化が容易に起こる軟弱地盤の地に行かねばならないか、東京都からの積極的理由の提
示は一度もなされてはいません。
食の安全及び経済的合理性にも反する有害物質による重大な汚染土壌の土地を、土
壌汚染を価格に反映させず著しく高い価格で購入した行為自体も、地方自治法2条1
4項、地方財政法4条1項、東京都公有財産規則第47条に反し、違法であると認識
をするところです。
認可者である赤松農林水産大臣(当時)は、平成21年9月「安全が確認できない限り
移転を認可しない」と言明をされています。
食の安心安全を守るため、東京都に対し、以下の事項を、要望致します。
要請
一、土壌汚染コアサンプルの保存すること
東京都は、汚染対策のため、水を通さない不透水層の上を土壌入れ替えするとの構
想で調査をしたということですが、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の
江戸川層にまで建築物が貫通していることからも都の構想は破綻しています。
また、その地質調査のため行われたボーリングの中で採取されたコアサンプルと
ボーリング柱状図を対比しなければ、この構想の核心ある不透水層(有楽町層)の存在
を客観的に検証する手段がなくなります。
コアサンプル保存は、1)汚染物質の所在を確認し、安全対策が有効かを検証のた
め必要であるし、有毒性の程度を示す欠かすことのできない物的証拠であり、2)専
門家会議の立てた汚染対策は、水を通さない有楽町層(不透水層)に切れ目がないか、
有楽町層の深さと強さがどれだけであるかということを検証する、これまた不可欠の
物的証拠であるから故に、必要であります。
廃棄せず、検証材料として保存することを要望致します。
一、土壌汚染対策法に則った「状況調査」を実施すること
土壌汚染対策法を適正に運用せず、「状況調査」不足を糊塗し、汚染範囲が確定しな
いまま汚染対策工事を着工しようとしています。
土壌汚染対策法に則った「状況調査」をした上で、汚染対策工事に着工することを要
望致します。
一、自然由来のヒ素、鉛の土壌汚染調査を実施すること
ヒ素、鉛に関しては、土壌汚染対策法においては、自然的原因(自然由来)、人為
的原因を問わず、人の健康への被害を防止するために、特定有害物質に対処すること
になっているにも関わらず、東京都は、ヒ素、鉛は、環境基準値の10倍以下を自然
由来と見なし、放置する方針をとっています。(添付資料1)経済・港湾委員会速記
録第十八号平成二十二年十一月十六日(火曜日)議事録抜粋)
土壌汚染対策法を逸脱した考え方であり、このままでは、自然由来のヒ素、鉛が残置
される恐れがあります。それらを含め土壌汚染調査及び対策を実施することの都への
指導を要望致します。
一、有楽町層以下の汚染状況調査実施すること
東京都の汚染対策の構想は、有楽町層を不透水層とすることに根ざしています。
ところが、不透水層とするための余堀調査が不十分であることと、その連続性がな
いことが指摘されています。(添付資料2)水谷和子の裁判陳述書、添付資料3)『選
択』(2011.10 p.100-101) 添付資料4)『選択』(2011.12 p.108-109) )
さらに、ゆりかもめ、東京ガスの建築物は有楽町層の下の江戸川層にまで建築物が
貫通していること、一万八千本に上る杭が存在していることから汚染の広がりを否定
できません。
有楽町層以下に汚染土壌が存在すれば、東京都の土壌汚染対策は、その前提が覆さ
れることになります。
有楽町層以下の汚染状況調査実施することを要望致します。
一、液状化に伴う汚染状況の再実施すること
東日本大震災で108カ所の液状化を起こしました。しかし、東京都は液状化に伴う
土壌調査を十分に行っていないことを複数の専門家が指摘しています。(添付資料
5)日本環境学会土壌汚染問題WG長坂巻幸雄氏『豊洲汚染地の液状化問題に関する
コメント』、添付資料6)日本環境学会顧問(前会長)・元大阪市立大学大学院教授
畑明郎氏『「豊洲新市場予定地の液状化問題についての公開質問状」に対する回答に
ついて』、添付資料7)NPO日本地質汚染審査機構理事上砂正一氏『豊洲新市場予
定地の液状化問題についての公開質問状の回答について』、添付資料8)『現代化
学』2011年8月(p.68-69) )
土壌及び地下水の土壌汚染の分布状況が大きく変化したことが考えられることよ
り、改めて土壌汚染調査をすることを要望致します。
一、十分な液状化対策工事を実施すること
現在、都が計画をしている液状化への対応は、その調査自体の不足とともに、計画さ
れる液状化対策工事が不十分であることが指摘をされています。
震災時にも食糧供給拠点として機能しうる市場となるよう十分な液状化対策工事を実
施することを要望いたします。
一、一部地域ではなく都民とのリスクコミュニケーション及び公開討論会を実施する
こと
専門家会議で約束されたリスクコミュニケーションの場が作られることなく、市場
建設がなされようとしています。
豊洲新市場建設工事説明会は、豊洲の一部地域の住民への周知のみで一日実施さ
れ、中央区に対しては「まちづくり協議会」という非公開の場(開催日程の住民周知
や会議内容の広報がなされない、傍聴者からの質疑・発言の機会がない点は、中央区
議会で再三指摘されている。)での説明に終わりました。
食の安心安全に関わる都民全体に関わる問題であり、再度、都民とのリスクコミュ
ニケーションをとることと、併せて、液状化問題を含め土壌汚染調査及び対策工事に
疑義を抱く専門家もおられる状況下、専門家同士の公開討論の場をつくることを要望
致します。
一、土壌汚染対策工事を評価する都民や土壌汚染の専門家も委員として含めた第三者
評価機関設置をすること
東京都は再三にわたって事実を隠蔽し、都民の指摘により、その誤りを認めてきま
した。
信頼を構築するためには、土壌汚染対策工事がきちんとなされていることを、評価
検証するための第三者評価機関の設置が必要と考えます。
都民や土壌汚染の専門家も委員として参加する第三者評価機関の設置することを要
望致します。
一、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃止の認可がされるまでは、一
切中止すること
土壌汚染対策法の指定区域に指定を受けた以上、現段階で豊洲での市場建設は認め
られる状況ではありません。汚染指定が解除され、豊洲新市場開設及び築地市場廃止
の認可がなされて初めて築地市場の移転がなされることとなります。
築地市場で計画されている環状二号線工事は、市場業務に多大な影響を与えること
は、市場内関係団体からも指摘をされているところです。
築地市場の移転を前提にした、環状二号線工事は、豊洲新市場開設及び築地市場廃
止の認可がなされるまでは、一切中止することを要望致します。
一、補助315号線土壌汚染の土壌汚染対策工事が適切になされること
補助315号線予定部分にも高濃度に土壌汚染が存在をしていました。
東京都による汚染対策工事説明では、説明が落とされている箇所ではありますが、
汚染処理対策がきちんとなされることを要望致します。
一、市場業者の意向調査を実施すること
豊洲移転は、いままで培われてきた「築地のブランド」を損なうことが危惧されま
す。市場業者の多くは意向調査を求めるが、東京都は実施をしようとしません。よっ
て、市場業者の意向調査を行うことを要望致します。
以上