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「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

参院特別委、意見陳述した参考人3人全員法案への慎重姿勢を表明。与党はそれでも採決の環境整ったとするか

2013-12-03 00:49:19 | 国政レベルでなすべきこと
 参院国家安全保障特別委員会は3日午前、特定秘密保護法案に関する参考人質疑を行った。意見陳述した3人の参考人全員が法案への慎重姿勢を表明。

 それでも、与党側は参考人質疑を行ったことで採決の環境は整ったと主張し、会期末の6日までの成立を目指している。

 民意と大きくかい離した、強引な政治が、行われようとしています。

 残念。

**************************************
http://mainichi.jp/select/news/20131203k0000e010227000c.html
秘密保護法案:参考人、懸念相次ぐ…参院特別委

毎日新聞 2013年12月03日 11時41分(最終更新 12月03日 11時51分)


 参院国家安全保障特別委員会は3日午前、特定秘密保護法案に関する参考人質疑を行った。意見陳述した3人の参考人全員が法案への慎重姿勢を表明。全国地方銀行協会の元会長、瀬谷俊雄・東邦銀行相談役は「国家権力に対して、民間までが処罰の対象になるのは疑問だ」と述べ、法案が民間人を処罰対象としていることに疑問を呈した。

 日本弁護士連合会の江藤洋一・秘密保全法制対策本部長代行は「刑罰規定があいまい、かつ広すぎる」と述べ、何が犯罪か法律で明確にする罪刑法定主義に反すると懸念を表明。新聞労連の日比野敏陽委員長も、法案にある取材・報道の自由への配慮規定について「捜査当局に配慮してもらうために『良い子でいろ』と記者に言っているようなものだ」と批判し、廃案を訴えた。

 一方、自民党は3日午前の参院国家安全保障特別委員会理事会で、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を実施し、午後からさいたま市で地方公聴会を開催することを提案した。野党側は応じず、引き続き協議することになった。与党側は参考人質疑を行ったことで採決の環境は整ったと主張し、会期末の6日までの成立を目指している。【木下訓明】
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特定秘密保護法案。どうか、参議院で強行採決なきよう。良識の府を信じたい。

2013-12-02 18:11:55 | 国政レベルでなすべきこと

 それでも、強行採決をするのだろうか。

 一国民として、見守りたい。

 良識の府を、信じたい。




*************東京新聞********
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120201002097.html

野党、石破氏発言に抗議声明 秘密法案の慎重審議要求

2013年12月2日 17時44分

 民主党、日本維新の会、みんなの党など野党7党の幹事長・書記局長らは2日、特定秘密保護法案に反対する市民デモを「テロ行為」になぞらえた自民党の石破茂幹事長に強く抗議し、法案の慎重審議を求める共同声明を発表した。国会内で会談し、3日に抗議集会を開く方針も確認した。

 石破氏は2日付のブログで陳謝したが、大音量のデモについて重ねて批判しており、憲法で保障された表現の自由を脅かしかねない問題として、野党側は責任追及していく構えだ。

 声明は、石破氏のブログでの記述に関し「言語道断の暴言」と非難。

(共同)
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石破氏発言の問題点:デモを見て、テロの要件具備を想像してしまう政権・政治家を選んでいること

2013-12-02 09:42:23 | 国政レベルでなすべきこと
 記事によると、石破氏は、記者団に、デモについて「(テロの)全ての要件を具備するわけではない」と説明し、「テロと同じと見たと受け取られる部分があるとすれば、撤回する」と表明したとのこと。

 あらためて、驚きました。
 

 石破氏は、デモを見たとき、テロの要件にあてはまるか判断されるようです。

 
 一般通常人なら、デモを見て、テロかデモか、区別がつきます。テロの要件具備を持ち出す以前に考えることはない。
 
 石破氏発言の根本的な問題は、デモを見て、テロの要件具備を想像してしまう政治家を選んでしまっている点にあるということです。


***************************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120202000114.html

石破幹事長 国会前デモ 重ねて批判


2013年12月2日 朝刊


 ブログで、特定秘密保護法案や原発再稼働に反対する国会周辺などでのデモを「テロ」と例えた自民党の石破茂幹事長は一日、富山県南砺(なんと)市で講演し、デモについて「人が恐怖を感じるような音で『絶対にこれを許さない』と訴えることが、本当に民主主義にとって正しいことなのか」と重ねて批判した。ブログの「テロ」との記述は撤回する考えを記者団に示した。石破氏のブログに、多くの市民らが街頭などで抗議の声を上げた。 


 石破氏は講演で、デモを「本質においてテロ行為と変わらない」とブログで指摘したことについて「表現に足らざるところがあれば、おわびしなければならない」と謝罪した。


 その後、記者団に、デモについて「(テロの)全ての要件を具備するわけではない」と説明し、「テロと同じと見たと受け取られる部分があるとすれば、撤回する」と表明した。ただし、ブログは削除せず、真意を加筆するとした。


 石破氏は、デモ活動について「整然と行われるデモは、民主主義の当然の手段として許される」と述べた。


 その上で、国会や議員会館周辺などで現在行われている、秘密保護法案への抗議や脱原発を訴える活動に関しては「一般人に対して大音量という有形の圧力を加えるという点で、民主主義とは相いれない部分がある」と指摘した。


 デモは、警察の許可を得て行われているが、石破氏は「規制のやり方に問題がある。一般人の静穏は必ず守られなければならない」と、警備の在り方に疑問を示した。


 石破氏は十一月二十九日付のブログで、デモ活動について「単なる絶叫戦術はテロ行為と本質において変わらない」と記していた。

◆ブログの該当部分


 今も議員会館の外では「特定機密(原文のまま)保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。


 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。

◆1日の講演要旨 


 人が恐怖を感じるような音で「絶対にこれを許さない」と訴えることが、本当に民主主義にとって正しいことなのか。民主主義とは路線を異にするのではないかと思うが、もし表現に足らざるところがあれば、おわびしなければならない。
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学者の皆様立ち上がる。特定秘密保護法案の衆議院強行採決に抗議し、ただちに廃案にすることを求めます

2013-11-29 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと


 どうか、日本の民主主義を守るため、廃案となることを祈っています。

 少なくとも、不十分な形での、強硬採決は行うべきではないと考えます。


 学者の皆様も、立ち上がり、特定秘密保護法案の反対をされています。

 http://www.anti-secrecy-law.blogspot.jp/




*******************************





特定秘密保護法案の衆議院強行採決に抗議し、ただちに廃案にすることを求めます

 国会で審議中の特定秘密保護法案は、憲法の定める基本的人権と平和主義を脅かす立法であり、ただちに廃案とすべきです。
 特定秘密保護法は、指定される「特定秘密」の範囲が政府の裁量で際限なく広がる危険性を残しており、指定された秘密情報を提供した者にも取得した者にも過度の重罰を科すことを規定しています。この法律が成立すれば、市民の知る権利は大幅に制限され、国会の国政調査権が制約され、取材・報道の自由、表現・出版の自由、学問の自由など、基本的人権が著しく侵害される危険があります。さらに秘密情報を取り扱う者に対する適性評価制度の導入は、プライバシーの侵害をひきおこしかねません。
 民主政治は市民の厳粛な信託によるものであり、情報の開示は、民主的な意思決定の前提です。特定秘密保護法案は、この民主主義原則に反するものであり、市民の目と耳をふさぎ秘密に覆われた国、「秘密国家」への道を開くものと言わざるをえません。さまざまな政党や政治勢力、内外の報道機関、そして広く市民の間に批判が広がっているにもかかわらず、何が何でも特定秘密保護法を成立させようとする与党の政治姿勢は、思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせます。
 さらに、特定秘密保護法は国の統一的な文書管理原則に打撃を与えるおそれがあります。公文書管理の基本ルールを定めた公文書管理法が2011年に施行され、現在では行政機関における文書作成義務が明確にされ、行政文書ファイル管理簿への記載も義務づけられて、国が行った政策決定の是非を現在および将来の市民が検証できるようになりました。特定秘密保護法はこのような動きに逆行するものです。
 いったい今なぜ特定秘密保護法を性急に立法する必要があるのか、安倍首相は説得力ある説明を行っていません。外交・安全保障等にかんして、短期的・限定的に一定の秘密が存在することを私たちも必ずしも否定しません。しかし、それは恣意的な運用を妨げる十分な担保や、しかるべき期間を経れば情報がすべて開示される制度を前提とした上のことです。行政府の行動に対して、議会や行政府から独立した第三者機関の監視体制が確立することも必要です。困難な時代であればこそ、報道の自由と思想表現の自由、学問研究の自由を守ることが必須であることを訴えたいと思います。そして私たちは学問と良識の名において、「秘密国家」・「軍事国家」への道を開く特定秘密保護法案に反対し、衆議院での強行採決に抗議するとともに、ただちに廃案にすることを求めます。
 
2013年11月28日

 

特定秘密保護法案に反対する学者の会


池内 了  (総合研究大学院大学教授・理事、天文学)
伊藤 誠  (東京大学名誉教授、経済学)
上田 誠也 (東京大学名誉教授、地震学)
上野 千鶴子(立命館大学特別招聘教授、社会学)
内田 樹  (神戸女学院大学名誉教授、哲学)
内海 愛子 (大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター特任教授、歴史社会学)
宇野 重規 (東京大学教授、政治学)
大沢 真理 (東京大学教授、社会政策)
小熊 英二 (慶応義塾大学教授、社会学)
小沢 弘明 (千葉大学教授、歴史学)
加藤 節  (成蹊大学名誉教授、政治学)
加藤 陽子 (東京大学教授、歴史学)
金子 勝  (慶応大学教授、経済学)
姜 尚中  (聖学院大学全学教授、政治学)
久保 亨  (信州大学教授、歴史学)
栗原 彬  (立教大学名誉教授、政治社会学)
小森 陽一 (東京大学教授、文学)
佐藤 学  (学習院大学教授、教育学)
佐和 隆光 (京都大学名誉教授、経済学)
白川 英樹 (科学者・市民)
杉田 敦  (法政大学教授、政治学)
高橋 哲哉 (東京大学教授、哲学)
野田 正彰 (元関西学院大学教授、精神医学)
樋口 陽一 (東北大学名誉教授、憲法学)
廣渡 清吾 (専修大学教授、法学)
益川 敏英 (京都大学名誉教授、物理学)
宮本 憲一 (大阪市立大学・滋賀大学名誉教授、経済学)
鷲田 清一 (大谷大学教授、哲学)
鷲谷 いづみ(東京大学教授、生態学)
和田 春樹 (東京大学名誉教授、歴史学)
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特定秘密保護法案の問題点を、図示すると。

2013-11-27 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと

 問題点をうまく言い得ているため、掲載します。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=546901692065835&set=a.196725810416760.46415.100002380288234&type=1&theater

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衆議院が死んだ日、平成25年(2013年)10月26日。

2013-11-26 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと

 日本は、2011年3月の大震災を克服し、立ち上がることを期待していました。

 しかし、その期待を裏切られる一方です。


 日本は、暗い時代へと突入しつつあります。
写真: !!!!!

 平成25年(2013年)10月26日、ついに衆議院は死にました。

https://www.facebook.com/kosaka.kazuki.9/posts/654563984594216

 


 

 残念な歴史的一日となりました。

 NewYorkTimes報道→http://www.nytimes.com/2013/11/29/world/asia/secrecy-bill-could-distance-japan-from-its-postwar-pacifism.html?smid=fb-share&_r=0

 

 国会議員としての自らの国政調査権をも否定につながりかねない特定秘密保護法案を、なぜ、審議不十分な形で強行採決せねばならないのか。

 一国民として、残念でなりません。

 日本国が、他国に知られてはならない秘密が絶対にないとはいいません。
 
 ①きちんと、守るべき秘密がなになのか、明らかにしたうえで、②本当に守るべき秘密であるかどうかを裁判所を含めた検証できるシステムをきちんと構築し、③時期がくればきちんと公開できる体制をもち、④報道を委縮させず(市民、ジャーナリストは処罰対象外)に、作るならば法律をつくるべきです。

 いまのままでは、まったくの不完全です。

 

 

https://twitter.com/product1954/status/406983102779514880/photo/1/large 
 
 
 なぜ、衆議院は死んだか。

田中角栄bot @t_kaku_ei_bot 11月23日 世論とは新聞やテレビではない。世論は選挙。世論は選挙の結果が世論。

 私達国民が民主主義の否定につながる法案をやすやすと通す政権を選択をしたせい。

 国民は、もうこれ以上、誤った選択をしてはならない。
 

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ウィキリークスがTPP交渉資料を公開 知財の条文案か?

2013-11-14 11:50:48 | 国政レベルでなすべきこと

 真偽のほどはわかりませんが、こちらでも掲載します。


知財関連情報・ニュース by 法なび ‏@hounavi_chizai [News] ウィキリークスがTPP交渉資料を公開 知財の条文案か (SankeiBiz)

 

 https://wikileaks.org/tpp/

 

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行政事件訴訟法の改正(H16年)、よりよい方向への改正に感謝、たとえそれが当たり前でも。

2013-11-13 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 行政事件訴訟法は、是非とも、おさえるべき法律です。

 その法律が、よりよくなったのが、平成16年改正。

 国で、がんばって下さっているかたがおられるのだと思います。
 よりよい形で、変わっています。使いやすさが増しています。

 当たり前の方向で、変わっているとも思われますが、当たり前でなかったものを当たり前に変えるのも結構大変なのだと思います。
 今回の非嫡出子の相続分の民法改正もようやくなされるのを見てみても。


*********『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)*********************

行政事件訴訟法の改正(平成16年)

 改正の概要

上記行訴法改正は、国民の権利利益のより実効的な救済手続を整備する観点から、

①救済範囲の拡大、

②審理の充実・促進、

③行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備、

④本案判決前における仮の救済制度の整備を図るものである。


以下、項目ごとにその概要を説明する。

ア 救済範囲の拡大
(ア) 取消訴訟における原告適格の拡大
裁判所は、取消訴訟における原告適格の判断に当たり、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するなどの事項が定められた(行訴法9条2項関係)。
(イ) 義務付けの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める「義務付けの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条6項、37条の2、3関係)。
(ウ) 差止めの訴えの法定
一定の要件の下で、行政庁が処分又は裁決をすることを事前に差し止める「差止めの訴え」の訴訟類型が法定された(行訴法3条7項、37条の4関係)。
(エ) 公法上の法律関係に関する確認訴訟
当事者訴訟の一類型として「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が例示された(行訴法4条関係)。


イ 審理の充実・促進(釈明処分の特則)
裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、行政庁に対し処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出を求めること等ができることとされた(行訴法23条の2関係)。


ウ 行政訴訟をより利用しやすく分かりやすくするための仕組みの整備
(ア) 抗告訴訟における被告適格の簡明化
取消訴訟等の被告は、処分等をした行政庁から原則として処分等をした行政庁の所属する国又は公共団体に改められた(行訴法11条関係)。
(イ) 抗告訴訟の管轄裁判所の拡大
取消訴訟等につき、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所にも管轄を認め、また、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴えを提起することができることとされた(行訴法12条関係)。
(ウ) 取消訴訟の出訴期間の延長
取消訴訟の出訴期間は、処分又は裁決があったことを知った日から3か月とされていたのが6か月に延長された(行訴法14条関係)。
(エ) 出訴期間等の情報提供(教示)制度の新設
行政庁は、処分又は裁決をするときは、その相手方に対し、取消訴訟の被告とすべき者及び出訴期間等を書面で教示しなければならないこととされた(行訴法46条関係)。


エ 本案判決前における仮の救済制度の整備
(ア) 執行停止の要件の緩和
執行停止の要件である「回復の困難な損害」を「重大な損害」に改め、重大な損害を生ずるか否かの判断に当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされた(行訴法25条関係)。
(イ) 仮の義務付け及び仮の差止め制度の創設
一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第1項、第3項関係)。
また、一定の要件の下で、裁判所は、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることができることとされた(行訴法37条の5第2項、第3項関係)。


行政事件訴訟実務研究会編『行政訴訟の実務』(ぎょうせい・平成19年)6頁より。
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民意と政治が大きくかい離:秘密保護法案反対59%、賛成29%毎日新聞本社世論調査

2013-11-12 10:00:38 | 国政レベルでなすべきこと
 民意と政治が大きくかい離しています。

 毎日新聞本社世論調査:秘密保護法案「反対」59%


 強硬に成立させるなら、その党は、民意のほうにむいていないといえます。



***********************************************************
http://mainichi.jp/select/news/20131112k0000m010104000c.html

本社世論調査:秘密保護法案「反対」59% 

毎日新聞 2013年11月12日 00時02分(最終更新 11月12日 01時37分)


 毎日新聞は9、10両日、全国世論調査を実施した。今国会で審議中の特定秘密保護法案について賛否を尋ねたところ、「反対」との回答が59%を占め、「賛成」は29%にとどまった。政府・与党は12月6日までの会期内成立を目指しているが、「今の国会にこだわらず、慎重に審議すべきだ」が75%に上った。国会審議などで法案の問題点が明らかになりつつあり、世論の慎重論につながったとみられる。

 特定秘密保護法案を「廃案にすべきだ」も11%あり、「慎重審議」と合わせると86%が会期内成立に否定的。「今の国会で成立させるべきだ」は8%だった。安倍内閣を支持する層では「慎重審議」は81%とさらに上昇し、自民支持層でも79%に達した。法案に賛成する層でも「慎重審議」は76%を占めている。ただ、自民党国対幹部は11日、「21日までに参院に送付する」と述べ、会期内成立の方針に変わりはないことを強調した。

 行政機関の長が指定した特定秘密の有効期間は原則5年以内だが、内閣が承認すれば30年を超えて非公開にできる。この規定について「問題だ」との答えは64%で、「問題ではない」の27%を大きく上回った。また、法案成立後、政府が都合の悪い情報を隠すおそれがあると思うかどうかを尋ねたところ、「思う」が85%を占め、政府の「情報隠し」への懸念が強いことを裏付けた。「思わない」は10%だった。自民支持層でも30年超の非公開を問題視する意見は55%と過半数。情報を隠すと「思う」も78%と高率だった。

 野党は国会審議で「政府が特定秘密の指定や解除を恣意(しい)的に行うおそれがある」と追及しているが、政府答弁で疑問点が十分に解消されたとはいえない。特定秘密保護法案の内容を「あまり知らない」(36%)と「まったく知らない」(15%)を合わせると51%で、「少しは知っている」(41%)と「よく知っている」(6%)の計47%より多い。

 一方、外交・安全保障の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案についても、「あまり知らない」(43%)と「まったく知らない」(23%)を合わせると3分の2に上った。安倍内閣の支持率は54%で、10月の前回調査より3ポイント低下した。不支持率は26%で前回と変わらなかった。【鈴木美穂】

 ◇調査の方法

11月9、10日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1585世帯から、955人の回答を得た。回答率は60%。
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「特定秘密保護法案」衆議院特別委員会11日理事会で合意→13日委員会で学識経験者参考人質疑

2013-11-12 09:41:48 | 国政レベルでなすべきこと
 「特定秘密保護法案」は、廃案に。

 国民が知るべき情報が、隠ぺいされることになります。


  
 正しい情報が共有されていれば、人災である福島第一原発事故も防げたはずであるのに。
 築地市場移転の問題も、現在地再整備の方向で進んだはずであるのに。

 同様なことが、「特定秘密保護法案」により、さらに簡単になされる結果となる。


 正しい情報が国から出され、ジャーナリズムと国民が監視する、そのことによって、国のあるべき方向性が決まる。
 最も大切な民主主義の過程です。


*************NHK***********************
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131111/k10015963261000.html

特定秘密保護法案 11日参考人質疑
11月11日 14時51分



 「特定秘密保護法案」を審議している衆議院の特別委員会は、11日の理事会で、13日、委員会を開いて、情報の保護に詳しい学識経験者などを招いて参考人質疑を行うことで、与野党が合意しました。

 特に秘匿が必要な安全保障に関する情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした公務員らに最高で10年の懲役刑を科すことなどを盛り込んだ「特定秘密保護法案」を審議している衆議院の特別委員会は、11日の理事会で、今後の審議日程を協議しました。

 その結果、13日、委員会を開いて、与野党がそれぞれ推薦する、情報の保護に詳しい学識経験者などを招いて参考人質疑を行うことで与野党が合意しました。

 一方、11日の委員会で、法案を担当する森・少子化担当大臣は、「特定秘密」について、「一般の人が『特定秘密』と知らずに情報に接したり、その内容を知ろうとしたりした場合でも、一切処罰の対象にならない」と述べました。
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積極的平和主義でやるべきことは、積極的留学生の受け入れ、留学生が学びたくなる国造り

2013-11-05 10:36:13 | 国政レベルでなすべきこと

 資源がない国だから、知を財にしていくしかない。

 積極的平和主義で、第一にやるべきことのひとつは、積極的留学生の受け入れ、その前に、留学生が学びたくなる教育研究活動の場づくりである。




 私達国民は、言葉に騙されてはならない。
 安倍晋三首相が、「積極的平和主義」という言葉を巧みに操ってやりたいことは、何なのか、よく見極めねばならない。


 自民党改憲草案では、その姿勢が、全く現れていない。http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/98ebbc20603d093623644c64acb5b933
 真に「積極的平和主義」をいうなら、憲法改正案にも、国防軍など軍備だけでない内容も盛り込むべきでしょう。
 憲法の章の題目を、「第二章 戦争の放棄」から、「第二章 安全保障」に題目を変えておきながら、書いている主たる内容は、国防軍を作るということのみ。
 言っていることと、やっていることが、あっていません。



******自民党改憲案******
 
第二章 安全保障

(平和主義)
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。〔新設〕
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保す
るために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

(領土等の保全等)
第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。〔新設〕

**********************************


****現行の日本国憲法 9条*****

第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
*****************


 



***************************************************
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201311/0006471143.shtml
2013/11/04


積極的平和主義/軍事面に偏っていないか


 「積極的平和主義」。安倍晋三首相が最近、この言葉を盛んに口にするようになった。国連総会や臨時国会の所信表明演説でも取り上げ、自身の考えを披露した。

 年内の策定を目指す外交・安全保障の指針「国家安全保障戦略」の基本理念として掲げ、政権のキャッチフレーズとして使われている。

 戦後の日本には外交と安全保障を統合した国家戦略がなかったとされるだけに、発言には力がこもる。

 「積極的に世界の平和と安定に貢献する国になる」と首相は語る。そのことに異論はない。日本が激動する21世紀の国際社会でどんな役割を果たせるか、国の進むべき道を考える上で大きな意味がある。

 ただ、首相自身はどんな「貢献」を思い描いているのか。発言にじっくり耳を傾けると、むしろ「平和国家」としての在り方を見直そうとしているのでは、との疑念が膨らむ。

 折しも、政府は集団的自衛権の行使容認に向けて従来の憲法解釈の変更を検討している。与党の公明党に配慮して結論は来春に持ち越す方針だが、安倍首相がかねて実現に意欲を示してきたテーマだ。

 「積極的」という言葉に、日本が堅持してきた専守防衛の枠を踏み越えようとの狙いが込められているとしたら、話は全く違ってくる。

 実際、国連演説では次のように語っている。「PKOをはじめ、国連の集団安全保障措置に積極的に参加できるよう、図ってまいります」

 国連の安全保障活動は重要だが、自衛隊の参加には制約がある。復興支援や和平の環境づくりなど、さまざまな貢献の仕方があるはずだ。

 憲法解釈の変更自体を疑問視する専門家は少なくない。国の根幹が時の政権の思惑で左右されかねないからだ。その議論をする前に多国籍軍参加に意欲を示したと受け取れる発言は、明らかに行き過ぎている。

 積極的平和主義はもともと、ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング氏らが提唱してきた言葉である。本来、貧困や搾取、差別など、争いや暴力につながる問題を取り除く地道な取り組みを指す。

 国連総会で、安倍首相は女性や難民などへの支援も約束した。力による封じ込めでなく、紛争の原因を見極めて当事者同士の対話と和解を後押しする。平和的な解決を促す姿勢こそ、日本にはふさわしい。

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たとえ山本議員の行為が不適切だとしても、議員辞職勧告決議案を考える国会議員は、国会議員失格です。

2013-11-03 11:57:35 | 国政レベルでなすべきこと

 たとえその行為が不適切だとしても、議員辞職勧告決議案は、民主主義の否定です。

 なぜならば、多数派により少数派を排除してよいという論理に通じるからです。

 もし、この手法が取れると考える国会議員がいるなら、そのひとこそ、民主主義をわかっていません。


 以下、沖縄タイムスにもご指摘のように、「この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない」ということに同感です。

 自民党の憲法改正草案では、天皇を「元首」に位置づけ、政治利用する意図が見えているため、あわせて議論していただきたいものです。


*********
*現行憲法

(天皇の地位と国民主権)
第一条  天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。


*自民党改憲草案

(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

*********


<自民党改憲草案が、天皇を政治利用する意図があると見える根拠は、以下。>
日本が壊されぬように。 日本国憲法第1条ー自民党改憲草案の問題点 象徴天皇制を否定するのか

日本が壊されぬように。 日本国憲法第2条ー自民党改憲草案の問題点 国会の議決を絶対略すな

日本が壊されぬように。 日本国憲法第3条ー自民党改憲草案の問題点 違和感、なぜ3条に?

憲法4条 自民党改憲案問題点:これまた大事な条文の条ずれ/「のみ」を略している!天皇の非政治化を否定?

憲法5条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案7条には、同6条3項も準用する規定を置くべきでは?

憲法6条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案6条1項で内閣と最高裁の規定を一緒くたになぜ?

憲法7条 自民党改憲案問題点:天皇の「国事行為」や「公的行為」が安易に拡大される危険性あり。

憲法8条:皇室財政を皇室自立主義から国会中心主義に転換。「国会の議決」の文言のままでよいのでは?



******************************
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-11-03_56119 
社説[山本議員「直訴」]辞職要求はやり過ぎだ

沖縄タイムス 11月3日(日)9時27分配信



 園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参院議員(無所属)のとっぴな行動が、問題になっている。

 閣僚や自民党幹部からは「議員辞職もの。政治利用そのものだ」(下村博文文部科学相)などと厳しい処分を求める意見が噴出、野党からも批判の声が相次いだ。
 山本議員の手紙は、東京電力福島第1原発事故による子どもの被ばくや、作業員の労働環境の現状を記したもので、当の本人は「実情をお伝えしたいという気持ちがあふれ出た」と釈明している。
 日本国憲法は第4条で天皇の地位について「国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定める。これを受けて第7条は、国事に関する行為について具体的に10項目を列記している。天皇の国事に関する行為はすべて、内閣の助言と承認が必要だ。
 国会議員が政治家として、天皇に対し、政治的問題についての手紙を渡すことは、天皇を政治の場に引き込む恐れのある行為である。
 思慮分別を欠いた軽率な行動だという批判は免れない。
 それにしても、市民派として脱原発を訴えて当選した新人議員のやむにやまれぬ行動が天皇への直訴だったことを、どう考えればいいのだろうか。民主主義への絶望が天皇直訴という手段を選ばせたとすれば、戦後憲法は根付いていないことになる。
 直訴は天皇の政治利用に当たり議員辞職は当然だ-と主張する強硬派議員の言い分にも強い違和感を感じる。

    ■    ■

 天皇の政治利用に関する規定は憲法にも他の法律にもなく、どのような行為が天皇の政治利用に当たるか、あいまいだ。
 安倍政権は、サンフランシスコ講和条約が発効した日にちなんで、4月28日、天皇・皇后両陛下を招いて「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開いた。沖縄にとって「4・28」は、日本本土の主権回復と引き換えに、沖縄に対する一切の統治権を米国に委ねた日である。
 そのような事情を考慮して歴代政権は式典開催を避けてきた。
 それなのになぜ、安倍政権は沖縄の強い反対を押し切って式典開催に踏み切り、天皇・皇后両陛下を招いたのか。
 時の政権は、政治的主張や施策のために天皇の権威を利用することを厳に慎まなければならない。それが、憲法の趣旨だ。
 この際、あらためて政府や政党に問いたいのは、山本議員の行動と、天皇の「4・28式典」出席と、どちらが天皇の政治利用度が高いのか、という点である。

    ■    ■

 自民党の中には、議員辞職勧告決議案を提出すべきだとの意見もあるようだ
 国会として、議長による注意、けん責処分を検討するのは理解できるが、山本議員は、主権者である国民の信を得て参院選に当選した議員である。辞職要求は議論の走りすぎであり、議員辞職する必要はない。
 この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない
.
最終更新:11月3日(日)9時27分


***************************

日本が壊されぬように。 日本国憲法第1条ー自民党改憲草案の問題点 象徴天皇制を否定するのか

2013-08-01 19:15:33 | 国政レベルでなすべきこと

 8月1日から、自民党改憲草案(日本国憲法改正草案 平成24年4月27日http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf  http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf )を一日一条ずつ、その問題点を考えていきたいと思います。(8月31日までで、31条を終わらせるのをひとつの目標とします。31条まででも、日本国憲法の重要な基本部分はカバーできます。)

 自民党改憲草案は、日本の危機を感じさせる案です。「自民党壊憲草案」というひとがいましたが、申し訳ないですが、言い得ていると思います。
 日本国憲法96条改正を主張するような勉強不足の政治家、法律を知らない政治家に、日本を絶対に壊されたくない思いです。
 

 一小児科医師として、また、法律を学ぶ一法科大学院生として、不偏不党の立場から、憲法学の視点をもって分析をして行きます。自分の憲法学のベースは、故芦部信喜先生です。
 日本を守りたい一心で、一日一条ずつ進めたいと思っています。まだまだ学ぶ過程の初学の身であり、考えが至らぬ点は、ご指摘をいただけましたら幸いです。

 なお、自民党改憲草案の口語訳は、http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1372.html を参照させていただだくことを考えています。この場を借り、感謝申し上げます。


 では、まず、第一章天皇 一条から


*********
*現行憲法

(天皇の地位と国民主権)
第一条  天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。


*自民党改憲草案

(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

*********

 自民党改憲案では、いきなり、「元首」の登場です。


 自民党による元首としたことの説明は、以下。
「Q4 「日本国憲法改正草案」では、天皇を「元首」と明記していますが、これについてどのような議論があったのですか?

憲法改正草案では、1 条で、天皇が元首であることを明記しました。
元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します。明 治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していました。また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。
したがって、我が国において、天皇が元首であることは紛れもない事実ですが、それ をあえて規定するかどうかという点で、議論がありました。
自民党内の議論では、元首として規定することの賛成論が大多数でした。反対論とし ては、世俗の地位である「元首」をあえて規定することにより、かえって天皇の地位を 軽んずることになるといった意見がありました。反対論にも採るべきものがありました が、多数の意見を採用して、天皇を元首と規定することとしました。」
(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7ページhttp://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf


 自民党内の議論が足りていないと思います。
 
 現行憲法で、「象徴」という言葉を選んだのは、「「象徴」とは、法的に特定的な意味を持たない言葉であり、憲法制定時の議論からは、国民が天皇の権力性を「必要以上に」考えるおそれがないよう、あえてそのような言葉が選択された」(貴族院帝国憲法憲法改正案特別委員会9・11国務大臣・金森徳次郎)ことがうかがわれます。

 憲法学者芦部信喜先生も、「わが国では、元首という概念自体が何らかの実質的な権限を含むものと一般的に考えられてきたので、天皇を元首と解すると、認証ないし接受の意味が実質化し、拡大するおそれがあるところに、問題がある。」(『憲法』5版 岩波書店 48ページ)と指摘されています。

 認証:一定の行為が正規の手続で成立したことを公に証明する行為

 接受:接見する事実上の行為



 自民党改憲案では、「象徴」という言葉を「元首」に変えて、なんらかの実質的な意味を天皇に与えて行こうとする意図があるのではないかと考えます。
 すなわち、明治憲法における天皇は、「統治権の総覧者であって、国家のすべての作用を統括する権限を有するとされた」(『憲法』5版 岩波書店 45ページ)わけですが、形式的・儀礼的な権能としての現在の象徴天皇制としての有り様から、明治憲法下の体制に時代を巻き戻したい意図でもあるのでしょうか?
 もし、自民党に、そのような意図や、象徴天皇制を否定する意図があるなら、その必要性までわかりやすく、国民に説明すべきと考えます。

以上

************************************

日本が壊されぬように。 日本国憲法第2条ー自民党改憲草案の問題点 国会の議決を絶対略すな

2013-08-02 00:00:01 | 国政レベルでなすべきこと

 第二条はほぼ同じです。

***************
日本国憲法
(皇位の継承)
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。


自民党改憲案
(皇位の継承)
第二条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

大日本帝国憲法
第二条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス


****************

 違いをみつけて下さいと言った場合、細かいことをいうと日本国憲法「世襲のものであつて」→自民党改憲案「世襲のものであって」と「つ」が小さな「っ」へと自民党改憲案では、現代口語体に表記が改められています。
 
 わざわざ、現代口語体に近づけようと自民党改憲案は修正していますが、それが逆に自民党改憲案の格調のなさに影響をしているように、私は感じます。
 


 さて、第二条は、皇位についての世襲制が定められています。

 憲法上は、皇位継承者を皇男子孫とは規定されていませんが、皇室典範1条により、「皇統に属する男系の男子」たる皇族が皇位継承資格を有するものとされています。
 逆に、女性が天皇であることを意味する「女性天皇」や、母方だけが天皇の血筋を引く天皇を意味する「女系天皇」については、現行制度上認められていません。

 世襲制や男系男子主義を採用している点について、憲法学者の芦部先生は、「世襲制は、本来、民主主義の理念および平等原則に反するものであるが、日本国憲法は天皇制を存置するためには必要であると考えて、世襲制を規定したものであろう。そういう世襲制を憲法が認めている以上、女子の天皇即位を否定して男系男子主義を採用する(皇室典範1条)ことも、憲法14条の男女平等の原則の例外として許されることになる。」と説明されています。(『憲法』5版 岩波書店 46ページ)

 

 現行の「皇室典範」全文を以下、掲載します。
 皇室典範は、明治憲法の下では、議会の関与の及ばない、憲法と対等の地位にある独自の法規範(「皇室ノ家法」)でしたが(皇室自律主義)、日本国憲法においては、「国会の議決」によって定められる法律の一形式となり、その性格は大きく変わりました。
 よって、今後、自民党改憲案においては、「国会の議決した皇室典範」の文章から、「国会の議決した」が省かれないかについて、注意して見て行かなければなりません。

******「皇室典範」全文*******
皇室典範
(昭和二十二年一月十六日法律第三号)

最終改正:昭和二四年五月三一日法律第一三四号

   第一章 皇位継承

第一条  皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第二条  皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
一  皇長子
二  皇長孫
三  その他の皇長子の子孫
四  皇次子及びその子孫
五  その他の皇子孫
六  皇兄弟及びその子孫
七  皇伯叔父及びその子孫
○2  前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
○3  前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。
第三条  皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。
第四条  天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。


   第二章 皇族

第五条  皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
第六条  嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。
第七条  王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は、特にこれを親王及び内親王とする。
第八条  皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
第九条  天皇及び皇族は、養子をすることができない。
第十条  立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
第十一条  年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○2  親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
第十二条  皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
第十三条  皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びその妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。
第十四条  皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
○2  前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○3  第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
○4  第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、これを準用する。
第十五条  皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。


   第三章 摂政

第十六条  天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
○2  天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
第十七条  摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
一  皇太子又は皇太孫
二  親王及び王
三  皇后
四  皇太后
五  太皇太后
六  内親王及び女王
○2  前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。
第十八条  摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えることができる。
第十九条  摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲ることがない。
第二十条  第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。
第二十一条  摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。


   第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓

第二十二条  天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする。
第二十三条  天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
○2  前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。
第二十四条  皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。
第二十五条  天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。
第二十六条  天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。
第二十七条  天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する。


   第五章 皇室会議

第二十八条  皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
○2  議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。
○3  議員となる皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、各々成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。
第二十九条  内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。
第三十条  皇室会議に、予備議員十人を置く。
○2  皇族及び最高裁判所の裁判官たる議員の予備議員については、第二十八条第三項の規定を準用する。
○3  衆議院及び参議院の議長及び副議長たる議員の予備議員は、各々衆議院及び参議院の議員の互選による。
○4  前二項の予備議員の員数は、各々その議員の員数と同数とし、その職務を行う順序は、互選の際、これを定める。
○5  内閣総理大臣たる議員の予備議員は、内閣法 の規定により臨時に内閣総理大臣の職務を行う者として指定された国務大臣を以て、これに充てる。
○6  宮内庁の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する宮内庁の官吏を以て、これに充てる。
○7  議員に事故のあるとき、又は議員が欠けたときは、その予備議員が、その職務を行う。
第三十一条  第二十八条及び前条において、衆議院の議長、副議長又は議員とあるのは、衆議院が解散されたときは、後任者の定まるまでは、各々解散の際衆議院の議長、副議長又は議員であつた者とする。
第三十二条  皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員及び予備議員の任期は、四年とする。
第三十三条  皇室会議は、議長が、これを招集する。
○2  皇室会議は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、四人以上の議員の要求があるときは、これを招集することを要する。
第三十四条  皇室会議は、六人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
第三十五条  皇室会議の議事は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、出席した議員の三分の二以上の多数でこれを決し、その他の場合には、過半数でこれを決する。
○2  前項後段の場合において、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第三十六条  議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には、参与することができない。
第三十七条  皇室会議は、この法律及び他の法律に基く権限のみを行う。

   附 則
○1  この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
○2  現在の皇族は、この法律による皇族とし、第六条の規定の適用については、これを嫡男系嫡出の者とする。
○3  現在の陵及び墓は、これを第二十七条の陵及び墓とする。

**************************

   附 則 (昭和二四年五月三一日法律第一三四号) 抄
1  この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。




******************************************

日本が壊されぬように。 日本国憲法第3条ー自民党改憲草案の問題点 違和感、なぜ3条に?

2013-08-03 00:00:01 | 国政レベルでなすべきこと

 8月3日の今日は、日本国憲法三条。

 これまた大問題といいますか、3条に来て早々に、自民党改憲草案は、自己矛盾を起こしております。

 
**********
日本国憲法
〔内閣の助言と承認及び責任〕
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。


自民党改憲草案
(国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。

大日本帝国憲法
第三条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
*************

 現行日本国憲法、自民党改憲草案、大日本帝国憲法とそれぞれの三条の内容が大きく異なるのがわかります。

 自民党改憲草案は、なぜ、「天皇」の章にわざわざ、今までなかった国旗や国歌の規定を新設し、条ずれを起こすことを覚悟で、三条に規定をおいたのか、何か不自然さ、違和感を感じさせます。

 自民党案として、第一章を「第一章 天皇」と題名をつけたのであれば、「天皇」に関わることのみで統一すべきであり、「国旗」「国歌」を入れたいのであれば、第一章の表題は、「第一章 天皇、国旗、国歌」とすべきです。自民党改憲草案は、三条にして早々に、自己矛盾を来していることになります。



 それは、さておくとしても、第三条は、大きな問題点をはらんでおります。

 〇1 国旗、国歌を憲法に規定することの是非
   国旗、国歌を、憲法においても、わざわざ改正をして、新設すべきであるかどうか。

 〇2 国旗、国歌を具体名まで出して規定することの是非
   わざわざ、「日章旗」「君が代」の文言を出さずとも、規定をおけるのではないか。
  「国旗及び国歌に関する法律」があるわけだから、「第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」のように、例えば、「国旗、国歌は、国旗及び国歌に関する法律により、これを定める。」でよかったのではないか。

 〇3 国旗、国家を天皇の章の第三条に規定し、天皇の章に条ずれを起こすことの是非。
  万が一、国旗、国歌の規定を新設すべきとしても、天皇の章に条ずれを来してまで、第三条に規定をすべきであるかどうか。
  国家の形式面という点であれば、天皇の章に条ずれを起こすよりは、憲法の後半の方で規定をおけるのではないか。

 〇4 憲法の本質に反する規定を第三条2項に置くことの是非。
  憲法は、本質的には、現行憲法が規定(参照 〔憲法尊重擁護の義務〕第99条天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。)するように、権力側を縛るもの。
  にもかかわらず、すでに3条2項から、自民党改憲案では、「日本国民は、・・・尊重しなければならない。」などと国民を縛る内容の規定においている点は、憲法の本来の趣旨に反し大いに問題がある。
  3条2項で、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」という文言を置きたいのであれば、置けないこともないと思われるが、99条がすでにあるわけだから不要であろう。





 自民党側の説明は以下。

「Q5 国旗・国歌及び元号について規定を置いていますが、これについて
どのような議論があったのですか?

答(国旗・国歌について)

 我が国の国旗及び国歌については、既に「国旗及び国歌に関する法律」によっ
て規定されていますが、国旗・国歌は一般に国家を表象的に示すいわば「シン
ボル」であり、また、国旗・国歌をめぐって教育現場で混乱が起きていることを踏まえ、
3 条に明文の規定を置くこととしました。
 当初案は、国旗及び国歌を「日本国の表象」とし、具体的には法律の規定に委ねるこ
ととしていました。しかし、我々がいつも「日の丸」と呼んでいる「日章旗」と「君が
代」は不変のものであり、具体的に固有名詞で規定しても良いとの意見が大勢を占めま
した。
 また、3 条2 項に、国民は国旗及び国歌を尊重しなければならないとの規定を置きま
したが、国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のことであり、これによっ
て国民に新たな義務が生ずるものとは考えていません。」
(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7-8ページ)

 

 自民党案は、「国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のことであり、」と述べられておりますが、だからと言って、「日の丸及び君が代を国民が尊重すべきであることは当然のこと」まで言いえるかは、別問題です。 先の太平洋戦争の経験により、日の丸及び君が代を尊重できない方々もおられることを考慮に入れて、規定に十分な配慮をすべきであるのではないかと考えます。


*****国旗及び国歌に関する法律(全文)**************


国旗及び国歌に関する法律
(平成十一年八月十三日法律第百二十七号)



(国旗)
第一条  国旗は、日章旗とする。
2  日章旗の制式は、別記第一のとおりとする。

(国歌)
第二条  国歌は、君が代とする。
2  君が代の歌詞及び楽曲は、別記第二のとおりとする。

   附 則


(施行期日)
1  この法律は、公布の日から施行する。
(商船規則の廃止)
2  商船規則(明治三年太政官布告第五十七号)は、廃止する。
(日章旗の制式の特例)
3  日章旗の制式については、当分の間、別記第一の規定にかかわらず、寸法の割合について縦を横の十分の七とし、かつ、日章の中心の位置について旗の中心から旗竿側に横の長さの百分の一偏した位置とすることができる。


別記第一 (第一条関係)

  日章旗の制式


   一 寸法の割合及び日章の位置
       縦 横の三分の二
      日章
       直径 縦の五分の三
       中心 旗の中心
   二 彩色
      地 白色
      日章 紅色
別記第二 (第二条関係)

  君が代の歌詞及び楽曲
   一 歌詞
      君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで
   二 楽曲 



*************************************************

憲法4条 自民党改憲案問題点:これまた大事な条文の条ずれ/「のみ」を略している!天皇の非政治化を否定?

2013-08-04 11:53:33 | 国政レベルでなすべきこと
 8月4日は、4条関連の問題点を考えます。

**************
日本国憲法
(天皇の機能の限界、天皇の国事行為の委任)
第四条  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。



自民党改憲案
(元号)
第四条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。

(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
***************


 日本国憲法で4条のところに、自民党改憲案では、元号の新設がなされて入れられています。

 わざわざ、3条の君が代、日の丸の新設と共に、元号も、憲法に新設して、条ずれを起こしてまでも「第一章天皇」の第三条、第四条の大事な場所に規定を置くべきかは、大いに議論すべきところです。

 現行の「元号法」と「元号を改める政令」を後掲します。
 これら法律と政令だけでも十分であると思われるが、どのような理由から、憲法に規定を置くべきと、自民党側はお考えなのでしょうか。

 自民党側の説明では、「(元号について)さらに、4 条に元号の規定を設けました。この規定については、自民党内でも特に異論がありませんでしたが、現在の「元号法」の規定をほぼそのまま採用したものであり、一世一元の制を明定したものです。」(自民党 日本国憲法改正草案 Q&A 7-8ページ)
 このような自民党の側の説明だけでは、なぜ、憲法にも、規定を置きたいと思ったのか、理由が伝わりません。



 さて、自民党改憲草案では、日の丸と君が代、元号の規定に場所をとられ、追いやられる形になった憲法3条も4条もものすごく大事な規定です。
 3条は、条の形から、項に格下げされ、6条4項に移動されました。
 4条は、条ずれをおこし、5条に移動させられました。
 こんな大事な条文を、なぜ、追いやるのかなと思います。


 現行日本国憲法3条は、昨日8月3日にも取り上げたのですが、
日本国憲法
〔内閣の助言と承認及び責任〕
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

⇒天皇の国事行為は、すべて内閣の責任で行っており(内閣自身の責任であって天皇の責任を代位するものではない)、天皇の意思ではなされません(天皇の発意を禁ずる)。
 

日本国憲法
第四条  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

⇒天皇は、一切政治に関わらないことを、規定した、大事な条文です。
 第2項は、臨時代行の規定。⇒後掲、「国事行為の臨時代行に関する法律」参照


 自民党改憲草案では、実は、気を付けてみなければならないのですが、国政に関わらないとする重要な規定(天皇の非政治化)において、「のみ」の文言が落ちています。

 「のみ」をとることのリスクのほうが大きくないかなと、気になるところです。
 国事行為以外に、国会開会式における「おことば」、国内巡行、海外親善旅行、外国元首の接受といった、純粋な私的行為ではない行為を天皇はされていますが、それら行為の位置づけのために、「のみ」を取ったのかもしれませんが、「のみ」がないばかりに、あれもこれもと天皇の行為が拡大してくことを許す結果になりリスクの方が大きいと私は考えます。


自民党改憲案
(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。

 現行憲法4条1項と比較してください。「のみ」が落ちてます!!!

 

 
<下のブログにつづく>
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上からの続き

2013-11-03 11:55:30 | 国政レベルでなすべきこと





***************************************

憲法5条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案7条には、同6条3項も準用する規定を置くべきでは?

2013-08-05 13:44:02 | 国政レベルでなすべきこと

 8月5日は、憲法5条を見ます。

 現行憲法5条にあたると思われる自民党改憲草案の条文は、7条です。

 
*********************
日本国憲法
第五条  皇室典範 の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

参照:
1)前条第一項
⇒第四条一項  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

*実質的に準用していると解される条文で、準用の明記がない条文
2)三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

3)四条二項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。


自民党改憲案
(摂政)
第七条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。
第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。

参照:
1)第五条
⇒第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。

2)前条第四項
⇒第六条四項 
天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。

*準用規定をすべて明記するのであれば、明記すべきと私は考える条文
3)六条三項 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。

*********************

 

 憲法5条が、自民党改憲案でどのように変えられるのか。

 自民党改憲案では、3条の日の丸、君が代規定と4条の元号の規定の挿入に伴い、条ずれを起こし、なおかつ、この摂政に関する規定は、現行5条から7条へとうしろの方に行きました。
 また、また、準用する規定は、現行5条では、4条のみのところ、自民党改憲案では、現行憲法4条にあたる5条と、現行憲法3条にあたる6条4項(条文であったものが項のひとつに格下げされた大事な条文)が準用されています。



 現行憲法5条は、天皇が自ら国事行為を行い得ないような状態のときに、法廷代行機関として摂政を置くことを規定しています。
 どのような場合に置くかは、皇室典範16条に規定されています。

******皇室典範16条******
第十六条  天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
○2  天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
******************

 摂政の順位は、皇室典範17条に規定されています。


******皇室典範17条******
第十七条  摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
一  皇太子又は皇太孫
二  親王及び王
三  皇后
四  皇太后
五  太皇太后
六  内親王及び女王
○2  前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。
******************


 現行憲法5条は、4条1項のみを準用していますが、4条2項及び3条も実質的に準用されていると解されます。
 そのことを自民党改憲草案では、明文で規定したため、準用条文が多くなっているのだと思います。
 しかし、だとするなら、現行憲法4条2項にあたる自民党改憲草案の6条3項も、準用することを明文規定すべきであろうと思います
 現行憲法で、書かれていないけど、実質的に準用してきた内容を、明文規定におこうとした努力は認めますが、不十分です。実質的なものも明文におくなら、すべて明文におくべきです。
 ただ、6条3項が現行憲法と大きく内容を異なるものにされているため、あえて準用から外したのかもしれません。


 明日とりあげる現行憲法6条に関わりますが、

現行憲法:四条二項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

自民党改憲草案:六条三項 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。

 自民党改憲草案では、委任できる国事行為が狭められています。


 なお、摂政を置くまでに至らない場合(例えば海外旅行や長期にわたる病気の場合)は、「国事行為の臨時代行に関する法律」により、臨時の代行が国事行為を行います(憲法4条2項⇒昨日8/4記載。)




(参考文献:『判例憲法 1』第一法規)


*****皇室典範 第三章摂政 第三章の全文抜粋**************
第三章 摂政

第十六条  天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
○2  天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。

第十七条  摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
一  皇太子又は皇太孫
二  親王及び王
三  皇后
四  皇太后
五  太皇太后
六  内親王及び女王
○2  前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。

第十八条  摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えることができる。

第十九条  摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲ることがない。

第二十条  第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。

第二十一条  摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。


*************************************
 


******************************

憲法6条 自民党改憲案問題点:自民党改憲案6条1項で内閣と最高裁の規定を一緒くたになぜ?

2013-08-06 14:11:35 | 国政レベルでなすべきこと
 8月6日、一日一条の自民党改憲草案の問題点の分析。

 今日は、日本国憲法6条。1項2項があります。

 自民党改憲草案では、5つの項で構成される6条の第1項に、2項分をまとめて規定されました。


****************
日本国憲法
(天皇の任命権)
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
二項  天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

自民党改憲案
(天皇の国事行為等)
第六条 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。
****************

 現行日本国憲法6条は、天皇の二つの国事行為が規定されています。

 1項では、天皇が、内閣総理大臣を任命するが、その実質的決定権は、国会にあることを、

 2項では、天皇が、最高裁判所の長たる裁判官を任命するが、その実質的決定権は、内閣にあることを、

 それぞれ明らかにしています。

 内閣総理大臣任命、最高裁裁判所裁判長を任命するというそれぞれ大事な条文は、その重要性に鑑み、少なくとも別の項に分けて規定しておくべきと考えます。

 なぜ、内閣と裁判所という別のものを一緒くたにしたのか、理解に苦しみます。


 また、自民党改憲草案で、現行日本国憲法ではなかった「国民のために」という文章が入れられました。
 任命は、あくまで、形式的・儀礼的になされるものであり、主観的な目的や意図は入りようがない話です。
 主観的な意図ともとれる文章を、なぜ入れたのか疑問です。
 あたかも、天皇が、実質的決定権をもって、任命しているかのように誤解するひとがでないでしょうか?
 当たり前の語句、しかし、誤解を生み出す可能性のある語句は、入れるべきでないと考えます。

以上


**************************************
 
 

憲法7条 自民党改憲案問題点:天皇の「国事行為」や「公的行為」が安易に拡大される危険性あり。

2013-08-07 10:38:49 | 国政レベルでなすべきこと

一日一条ずつ進む自民党改憲草案の問題点分析。

 8月7日は、7条です。

 憲法7条に相当する条文は、自民党改憲草案では6条であり、その6条と比較して見ます。


*************
(日本国憲法)
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。


(自民党改憲草案)
(天皇の国事行為等)
第六条 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。

2 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。

3 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。

4 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。

第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。

**************************

1)自民党側の説明

 以下、6条関連の自民党側の説明を見ます。

*****自民党Q&A*****

Q6 その他、天皇に関して、どのような規定をおいたのですか?

6条に天皇の行為に関する規定を置きましたが、現行憲法を一部変更してい
る所があります。

(国事行為には内閣の「進言」が必要)
現行憲法では、天皇の国事行為には内閣の「助言と承認」が必要とされていますが、
天皇の行為に対して「承認」とは礼を失することから、「進言」という言葉に統一しま
した(6 条4 項)。従来の学説でも、「助言と承認」は一体的に行われるものであり、区
別されるものではないという説が有力であり、「進言」に一本化したものです。

(天皇の公的行為を明記)
さらに、6 条5 項に、現行憲法には規定がなかった「天皇の公的行為」を明記しました。
現に、国会の開会式で「おことば」を述べること、国や地方自治体が主催する式典に出
席することなど、天皇の行為には公的な性格を持つものがあります。しかし、こうした
公的な性格を持つ行為は、現行憲法上何ら位置付けがなされていません。そこで、こう
した公的行為について、憲法上明確な規定を設けるべきであると考えました。
一部の政党は、国事行為以外の天皇の行為は違憲であると主張し、天皇の御臨席を仰
いで行われる国会の開会式にいまだに出席していません。天皇の公的行為を憲法上明確
に規定することにより、こうした議論を結着させることになります。

(国事行為の基本に変更なし)
なお、6 条2 項では、天皇の国事行為について列記されていますが、規定を分かりや
すく若干整理したものの、基本は変えていません。

********************




2)さて、以下、問題と感じることを書きます。

問題点1 整理して書いたというが、整理されていなく、逆にわかりずらい。

問題点2 現行憲法3条の大事な条文「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」が、条文から項に格下げされ、自民党案のこの6条4項に追いやられている。

問題点3 「進言」という言葉を持ち出しているが、現行憲法の「助言と承認」のままでよいのではないか。

問題点3 1項は、内閣と司法のことを、日本国憲法では2項に分けて書いていたものを一緒くたに書いている。これは、よろしくない。2項に分けて書くべき。

問題点4 衆議院の解散は、「内閣」ではなく、「内閣総理大臣」の「助言と承認」(自民党の言葉では、進言)でよいか。

問題点5 5項で、「天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。」と「公的な行為」の規定がなされている。
    議論が必要で、必要最小限の「公的行為」となるようにすべき。そのための手立てはあるのか。
    現行憲法では、国事行為を限定して書くことを目指していたのが、自民党案5条で、大事な「のみ」(現行憲法4条には入っていた)をとったことと相まって、天皇の「国事行為」や「公的行為」が安易に拡大される素地がつくられている。

cf.
自民党案5条
(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。

現行憲法
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。





3)自民党改憲案は、天皇の国事行為を整理して書いたということだが、逆にわかりにくくされてしまったため、改めて整理します。

 日本国憲法では、天皇の国事行為を13明文規定(日本国憲法4条2項、6条1、2項、7条1号~10号)しています。これらは、すべて、内閣の助言と承認を必要とする行為です(現行憲法3条「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」)

 それら規定の文言が、どのように自民党改憲案でなっているのか。



○4条2項
現行憲法:天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

自民党案:天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。(自民党改憲案では、6条3項)




○6条1項
現行憲法:天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

自民党案:天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。(自民党改憲案では、6条1項)

⇒自民党案では、内閣は内閣、司法は司法で条文をわけるべき。



○6条2項
現行憲法:天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

自民党案:天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。(自民党改憲案では、6条1項)

⇒自民党案では、内閣は内閣、司法は司法で条文をわけるべき。


○7条1号~10号
現行憲法:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

自民党案:天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。

⇒自民党案では、「内閣の助言と承認により」が削られています。後の条項で補足するのではなく、柱書きに入れるべきだと思います。自民党案6条4項だけでは、わかりにくい。

現行憲法:
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

自民党案:
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。


以上


************************************

 

憲法8条:皇室財政を皇室自立主義から国会中心主義に転換。「国会の議決」の文言のままでよいのでは?

2013-08-08 12:20:31 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

 一日一条づつ自民党改憲案の問題点を見ていきます。  

 8月8日の今日は、8条。第一章天皇は、この8条で終わり、9条からは第2章に入ります。

***************************
日本国憲法
(財産授受の制限)
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

自民党改憲草案
(皇室への財産の譲渡等の制限)
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。
***************************  

 憲法8条は、88条とともに、皇室経費に関する規定です。  
 (うまく皇室経費に関する条文は、「8」でそろえたのかな?それは、さておき)

****日本国憲法88条*****
第八十八条  すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

自民党改憲草案
(皇室財産及び皇室の費用)
第八十八条 全て皇室財産は、国に属する。全て皇室の費用は、予算案に計上して国会の議決を経なければならない。
****************  

 さて、新憲法の施行とともに、天皇の財産(御料)および皇族の財産(これを合わせて皇室財産と言う)は、「国に属する」ことになりました。  
 そして、天皇および皇族の活動に要する費用は、「すべて…予算に計上して国会の議決を経なければならない」と規定されました。内閣により「日本国憲法第8条の規定による議決案」として国会に付議されます。  

 予算に計上される皇室経費には、皇室経済法(最後に全文を掲載します。)で、三つの区分がされています。  

〇内廷費 皇室経済法4条  

〇宮廷費 皇室経済法5条  

〇皇族費 皇室経済法6条  

 一定の種類の行為については、その度ごとに国会の議決を経ることを要しないとされています(皇室経済法2条)。  

 8条と88条により、明治憲法下の皇室自立主義を国会中心主義に、皇室財政制度においても変更することとなりました。  

 「皇室に再び大きな財産が集中したり、皇室が特定の個人ないし団体と特別の関係を結び不当な支配力をもつことを防止することを目的」としています(『憲法第5版』岩波新書 芦部信喜 53ページ)。  

 自民党改憲草案では、「国会の議決」の文言が、「国会の承認」とされています。  

 わざわざ、文言を変えなくてもよいのではないでしょうか。


*****皇室経済法 全文****


皇室経済法
(昭和二十二年一月十六日法律第四号)


最終改正:平成一一年一二月二二日法律第一六〇号

 

第一条  削除

第二条  左の各号の一に該当する場合においては、その度ごとに国会の議決を経なくても、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。
一  相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合
二  外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合
三  公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合
四  前各号に掲げる場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、皇室がなす賜与又は譲受に係る財産の価額が、別に法律で定める一定価額に達するに至るまでの場合

第三条  予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする。

第四条  内廷費は、天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとし、別に法律で定める定額を、毎年支出するものとする
○2  内廷費として支出されたものは、御手元金となるものとし、宮内庁の経理に属する公金としない。
○3  皇室経済会議は、第一項の定額について、変更の必要があると認めるときは、これに関する意見を内閣に提出しなければならない。
○4  前項の意見の提出があつたときは、内閣は、その内容をなるべく速かに国会に報告しなければならない。

第五条  宮廷費は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるものとし、宮内庁で、これを経理する

第六条  皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範 の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基いて、これを算出する
○2  前項の場合において、皇族が初めて独立の生計を営むことの認定は、皇室経済会議の議を経ることを要する。
○3  年額による皇族費は、左の各号並びに第四項及び第五項の規定により算出する額とし、第四条第一項に規定する皇族以外の各皇族に対し、毎年これを支出するものとする。
一  独立の生計を営む親王に対しては、定額相当額の金額とする。
二  前号の親王の妃に対しては、定額の二分の一に相当する額の金額とする。但し、その夫を失つて独立の生計を営む親王妃に対しては、定額相当額の金額とする。この場合において、独立の生計を営むことの認定は、皇室経済会議の議を経ることを要する。
三  独立の生計を営む内親王に対しては、定額の二分の一に相当する額の金額とする。
四  独立の生計を営まない親王、その妃及び内親王に対しては、定額の十分の一に相当する額の金額とする。ただし、成年に達した者に対しては、定額の十分の三に相当する額の金額とする。
五  王、王妃及び女王に対しては、それぞれ前各号の親王、親王妃及び内親王に準じて算出した額の十分の七に相当する額の金額とする。
○4  摂政たる皇族に対しては、その在任中は、定額の三倍に相当する額の金額とする。
○5  同一人が二以上の身分を有するときは、その年額中の多額のものによる。
○6  皇族が初めて独立の生計を営む際に支出する一時金額による皇族費は、独立の生計を営む皇族について算出する年額の二倍に相当する額の金額とする。
○7  皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額による皇族費は、左の各号に掲げる額を超えない範囲内において、皇室経済会議の議を経て定める金額とする。
一  皇室典範第十一条 、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額
二  皇室典範第十三条 の規定により皇族の身分を離れる者については、第三項及び第五項の規定により算出する年額の十倍に相当する額。この場合において、成年に達した皇族は、独立の生計を営む皇族とみなす。
○8  第四条第二項の規定は、皇族費として支出されたものに、これを準用する。
○9  第四条第三項及び第四項の規定は、第一項の定額に、これを準用する。

第七条  皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣が、これを受ける。

第八条  皇室経済会議は、議員八人でこれを組織する。
○2  議員は、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、財務大臣、宮内庁の長並びに会計検査院の長をもつて、これに充てる。

第九条  皇室経済会議に、予備議員八人を置く。

第十条  皇室経済会議は、五人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
○2  皇室経済会議の議事は、過半数でこれを決する。可否同数のときは、議長の決するところによる。

第十一条  皇室典範第二十九条 、第三十条第三項から第七項まで、第三十一条、第三十三条第一項、第三十六条及び第三十七条の規定は、皇室経済会議に、これを準用する。
○2  財務大臣たる議員の予備議員は、財務事務次官をもつて、これに充て、会計検査院の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する会計検査院の官吏をもつて、これに充てる。

   附 則 抄


○1  この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
○2  この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となつたものは、第一条第二項の規定にかかわらず、皇室経済会議の議を経ることなく、これを皇室用財産とする。
○3  この法律施行の際、従前の皇室会計に所属する権利義務で国に引き継がるべきものの経過的処理に関し、必要な事項は、政令でこれを定める。

   附 則 (昭和二四年五月三一日法律第一三四号)抄


1  この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。

   附 則 (昭和二七年二月二九日法律第二号)


1  この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。
2  この法律施行の際既婚者たる親王は、改正後の皇室経済法第六条第三項の適用については、独立の生計を営む親王とみなす。
3  この法律施行の際未婚者たる親王又は内親王は、改正後の皇室経済法第六条第三項の適用については、独立の生計を営まない親王又は内親王とみなす。

   附 則 (昭和二八年六月三〇日法律第四七号)

 この法律は、昭和二十八年七月一日から施行する。


   附 則 (昭和四〇年五月二二日法律第七六号)

 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十年四月一日から適用する。


   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄


(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

 

 

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自民党の最高裁軽視には、あきれるとの毎日新聞社説。私達国民がきちんと国会議員を取捨選択をせねば!

2013-11-01 10:23:01 | 国政レベルでなすべきこと

 毎日新聞社説は、ごもっともなご指摘です。


 最高裁の判決は、当然あるべきものでした。
 子は、親を選んで生まれることはできないわけであり、婚外子であるから相続分が2分の1になるのは、自身にはいかんともしがたいいわれのない差別です。
 もちろん、憲法14条に反し違憲です。


 最高裁の判決を重視した法改正を期待いたします。


 新聞はじめジャーナリズムは、これからもひとりひとりの国会議員の発言、考え方をわかりやすく有権者に伝えていただき、

「国権の最高機関が、司法判断が出たからといって、ハイハイと従うわけにはいかない」

「自民党として最高裁の判断はおかしいというメッセージを発するべきではないか」

「違憲審査権があるからといって、オートマチックには受け入れられない」

「最高裁決定によれば、安心して婚外子を産めるようになってしまう」−−など

 信じられない発言をされる国会議員を、私達国民がきちんと取捨選択していきたいものです。


*****************************************************************
http://mainichi.jp/opinion/news/20131031k0000m070144000c.html

社説:最高裁を軽視 自民党は思い上がるな

毎日新聞 2013年10月31日 02時31分(最終更新 10月31日 02時43分)


 憲法で保障された最高裁の違憲審査権に異議をとなえ、軽視するかのような自民党の姿勢にあきれる。

 最高裁が9月、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を結婚した男女間の子の半分とした民法の相続格差規定について、違憲判断を示した。それを受け、政府は規定を削除し、差別を是正する民法改正案の今国会提出を目指している。だが、自民党の法務部会が「伝統的な家族制度を崩壊させる」として、法案の提出を了承せず、今国会での是正が不透明な状態になっている。

 憲法14条の「法の下の平等」という国民の基本的人権の擁護に基づく最高裁の結論だ。三権分立に照らしても、司法の判断をないがしろにすることは許されない。早急に党内手続きを進め、今国会で法改正を成し遂げねばならない。

 29日の部会での発言を紹介したい。「国権の最高機関が、司法判断が出たからといって、ハイハイと従うわけにはいかない」「自民党として最高裁の判断はおかしいというメッセージを発するべきではないか」「違憲審査権があるからといって、オートマチックには受け入れられない」「最高裁決定によれば、安心して婚外子を産めるようになってしまう」−−などだ。

 もちろん、個々の議員の意見だ。自民党総体としての考え方ではないだろう。最高裁の判断に従うべきだとの声も一部であった。だが、全体として反対意見に押され、部会の結論がまとまっていないのは確かだ。

 自民党よ思い上がるな、と言わざるを得ない。

 日本は法治国家として、憲法の規定で立法、行政、司法の役割や権限を定めている。三権が互いにチェック機能を働かせる中で、国民主権の実現を目指す仕組みだ。違憲審査権に基づく最高裁判断を立法府が尊重するのは当然のことだ。1票の格差問題にも通じるが、三権の一角である司法判断への鈍感さは目に余る。

 自民党の憲法改正草案では、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」との規定を新設する。そうした考えに基づき、正妻の相続分の引き上げなどを主張する意見も部会で出た。

 法務省にそれを検討させることを条件に、民法改正案を了承しようという動きもある。だが、交換条件はなじまない。まず、司法の最終結論を立法府が重く受け止める。その上で、必要ならば別途検討するのが筋ではないか。菅義偉官房長官は最高裁の決定後、「厳粛に受け止め、立法的な手当てを早くしたい」と述べていた。自民党総裁である安倍晋三首相のリーダーシップが問われる。
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危険な法案です。「特定秘密保護法案」 全文

2013-10-29 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 いち早くこのようなものを国民に知らせることが、ジャーナリズムの重要な役目だと思います。

 法案は全文が、まず手元にないと、抽象的な議論になってしまうため。
 

*********東京新聞******************
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html

特定秘密保護法案の全文は次の通り。

 第一章 総則

 (目的)

 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

 (定義)

 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)

 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの

 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

 六 会計検査院

 第二章 特定秘密の指定等

 (特定秘密の指定)

 第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。

 2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第四条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。

 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。

 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

 3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。

 (指定の有効期間及び解除)

 第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。

 3 行政機関(会計検査院を除く。)の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。

 4 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。

 (特定秘密の保護措置)

 第五条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。

 2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。

 3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。

 5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。

 6 第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 第三章 特定秘密の提供

 (我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)

 第六条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。

 3 第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 第七条 警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。

 2 前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。

 3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。

 第八条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 2 前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第八条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。

 3 第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。

 第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 (その他公益上の必要による特定秘密の提供)

 第十条 第四条第三項後段及び第六条から前条までに規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。

 イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの

 ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの

 二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合

 三 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

 四 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

 2 警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 3 適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 第四章 特定秘密の取扱者の制限

 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。

 一 行政機関の長

 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)

 三 内閣官房副長官

 四 内閣総理大臣補佐官

 五 副大臣

 六 大臣政務官

 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者

 第五章 適性評価

 (行政機関の長による適性評価の実施)

 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。

 一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。

 一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

 四 薬物の濫用及び影響に関する事項

 五 精神疾患に関する事項

 六 飲酒についての節度に関する事項

 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

 3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。

 一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨

 二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨

 三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨

 4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (適性評価の結果等の通知)

 第十三条 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。

 2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。

 3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。

 4 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。

 (行政機関の長に対する苦情の申出等)

 第十四条 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。

 2 行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。

 3 評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

 (警察本部長による適性評価の実施等)

 第十五条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。

 一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

 2 前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。

 (適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)

 第十六条 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。

 2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。

 (権限又は事務の委任)

 第十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。

 第六章 雑則

 (特定秘密の指定等の運用基準)

 第十八条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。

 2 政府は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。

 (関係行政機関の協力)

 第十九条 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。

 (政令への委任)

 第二十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (この法律の解釈適用)

 第二十一条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。

 2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。

 第七章 罰則

 第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。

 2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。

 3 前二項の罪の未遂は、罰する。

 4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

 第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

 2 前項の罪の未遂は、罰する。

 3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。

 第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。

 2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。

 第二十五条 第二十二条第三項若しくは第二十三条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十二条第一項若しくは第二項若しくは第二十三条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

 第二十六条 第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。

 2 第二十三条及び第二十四条の罪は、刑法第二条の例に従う。

 附則

 (施行期日)

 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

 第二条 この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第五条第一項及び第五項(第八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第五条第一項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同条第五項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の」とあるのは「同項の」とし、第十一条の規定は、適用しない。

 (自衛隊法の一部改正)

 第三条 自衛隊法の一部を次のように改正する。

 目次中「自衛隊の権限等(第八十七条―第九十六条の二)」を「自衛隊の権限(第八十七条―第九十六条)」に、「第百二十六条」を「第百二十五条」に改める。

 第七章の章名を次のように改める。

 第七章 自衛隊の権限

 第九十六条の二を削る。

 第百二十二条を削る。

 第百二十三条第一項中「一に」を「いずれかに」に、「禁こ」を「禁錮」に改め、同項第五号中「めいていして」を「酩酊(めいてい)して」に改め、同条第二項中「ほう助」を「幇(ほう)助」に、「せん動した」を「煽動した」に改め、同条を第百二十二条とする。

 第百二十四条を第百二十三条とし、第百二十五条を第百二十四条とし、第百二十六条を第百二十五条とする。

 別表第四を削る。

 (自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)

 第四条 次条後段に規定する場合を除き、この法律の施行の日(以下この条及び次条において「施行日」という。)の前日において前条の規定による改正前の自衛隊法(以下この条及び次条において「旧自衛隊法」という。)第九十六条の二第一項の規定により防衛大臣が防衛秘密として指定していた事項は、施行日において第三条第一項の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報と、施行日前に防衛大臣が当該防衛秘密として指定していた事項について旧自衛隊法第九十六条の二第二項第一号の規定により付した標記又は同項第二号の規定によりした通知は、施行日において防衛大臣が当該特定秘密について第三条第二項第一号の規定によりした表示又は同項第二号の規定によりした通知とみなす。この場合において、第四条第一項中「指定をするときは、当該指定の日」とあるのは、「この法律の施行の日以後遅滞なく、同日」とする。

 第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。旧自衛隊法第百二十二条第一項に規定する防衛秘密を取り扱うことを業務とする者であって施行日前に防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなったものが、その業務により知得した当該防衛秘密に関し、施行日以後にした行為についても、同様とする。

 (内閣法の一部改正)

 第六条 内閣法(昭和二十二年法律第五号)の一部を次のように改正する。

 第十七条第二項第一号中「及び内閣広報官」を「並びに内閣広報官及び内閣情報官」に改める。

 第二十条第二項中「助け、」の下に「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第 号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び」を加える。

 (政令への委任)

 第七条 附則第二条、第四条及び第五条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 別表(第三条、第五条―第九条関係)

 一 防衛に関する事項

 イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究

 ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究

 ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量

 ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法

 ト 防衛の用に供する暗号

 チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法

 リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法

 ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)

 二 外交に関する事項

 イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの

 ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)

 ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)

 ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号

 三 特定有害活動の防止に関する事項

 イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

 ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号

 四 テロリズムの防止に関する事項

 イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

 ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ テロリズムの防止の用に供する暗号



 理由

 国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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