ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

松竹大歌舞伎「襲名披露・口上」「菅原伝授手習鑑・加茂堤」「同・車引」 「奴道成寺」@岐阜県多治見市・バロー文化ホール

2019年04月14日 | 歌舞伎・文楽

松竹大歌舞伎「襲名披露・口上」「菅原伝授手習鑑・加茂堤」「同・車引」「奴道成寺」 (4月10日・バロー文化ホール)

御園座に続き、今度は多治見市で開催された歌舞伎の巡業公演へ。1年以上も前に始まった白鸚、幸四郎の襲名披露はまだ全国を回っている。歌舞伎の名跡を継ぐというのがどれだけ大きなイベントなのかが伺い知れて興味深い。雨模様のこの日は周辺の駐車場の混雑を予測して少し遠くの駐車場に車を停め、昼食を摂ってから歩いて会場へ。会場入りすると2階席の真ん中と両脇の悪くない席がどういうわけかごっそりと空いている。こちとら頑張ってすぐにチケット取っているんだけどなァ…。

まずは襲名披露の口上の後に幕間が入り、歌舞伎の定番演目「菅原伝授手習鑑」のうち<加茂堤>の段。梅玉と高麗蔵の夫婦役が芝居を回していく。梅玉演じる桜丸は”和事”という優しい人柄の役。それが逢引の手助けをするのだが、夫婦間の台詞の中にもセックスを想像させる内容があり、思いのほか艶めかしい。<車引>の段では「待ってました!」と幸四郎が登場(この日は大向うの掛け声の威勢がよかった)。今の彼を観ていると全身から力がみなぎって、動きにもメリハリがあり、まさに脂の乗った役者というのが雰囲気だけからでも分かる。よく見ると白塗りをしただけの時の顔はとぼけた顔なのだが(笑)、隈が描かれているとやはり華がある。口跡にも迫力がありカッコイイ。比較するのもあれだが、團十郎襲名を控えている海老蔵は、自分の少ない観劇経験からすると独特の節回しの口跡に何となく迫力が足りない気がするのだが…(←偉そうな口を…)。

閑話休題。<奴道成寺>では幸四郎がお面の早変わりの技(瞬時にお面を何度も変え3役を踊り分ける”三ツ面<みつおもて>”)を見せる。黒子という特殊な役回りのサポートがあるとはいえ、こういう奇抜で楽しい演出を考えた昔の人は偉いものだ。様々なトリックが溢れている現代から見ても、あれ?どうやっているんだろうとダマされる。客席からも思わず歓声が。歌舞伎役者の超人ぶりは色々な演目で感じられるが、台詞のある主演目の他に、こういう長い舞踊の振り付けをこなし(どうやって覚えるのか…)、また翌月には全く違う演目を数種こなすんだから恐れ入る。そのほかにも取材やら何やらがあるんだから遊んでいる暇なんて全く無いだろうと思うのだが、しっかり遊んでいるらしいのも凄い(←想像です・笑)。花形役者ともなると濃密な毎日なんだろうなァ。

 

一、襲名披露 口上(こうじょう)

  • 幸四郎改め 松本白鸚
  • 染五郎改め 松本幸四郎
  • 幹部俳優出演  

二、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

<加茂堤>

  • 桜丸              中村梅玉
  • 斎世親王        澤村宗之助
  • 桜丸 女房八重 市川高麗蔵

<車引>

  • 松王丸         幸四郎改め 松本白鸚
  • 梅王丸         染五郎改め 松本幸四郎
  • 杉王丸         大谷廣太郎
  • 藤原時平公   松本錦吾
  • 桜丸           中村梅玉

三、奴道成寺(やっこどうじょうじ)

  • 白拍子花子実は狂言師左近  染五郎改め 松本幸四郎
  • 所化文珠坊                     市川高麗蔵
  • 所化不動坊                     澤村宗之助
  • 所化西念坊                     大谷廣太郎

 


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