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蚊焼です。日記です。
旅のこぼれ話や没写真の再利用、
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「その他」がメインのブログ。

【ブラ】古い町並みは1週遅れのトップランナー

2009年11月12日 | テレビ


 すでに、去年のパイロット版から
見てはいるのですが、ここで
言及するのは初めてです。
 NHKの「ブラタモリ」という
東京の歴史散策の番組です。
 この番組を観ての感想、感動は、
多分分かってくれる人がここでは
少なかろうと思って、あえて
話題から避けてきました。
 しかし今日は、言いたいのです。

 今回のゲスト解説者は、
イタリア建築学の陣内先生でした。
 3年前のNHKのイタリア世界遺産の旅で
解説をされていたのですが、
その喋りっぷりというか明るさが
とても好きになってしまいました。

 その陣内先生が、ものすごく楽しそうに
町の景観を解説したり、見入っていたのが、
見ているこちらもなんだか楽しくなります。



 陣内先生は今日付けの新聞まで50回、
イタリアと世界遺産に関するエッセイを
連載されていました。

 その連載中、私の中に一番残った言葉は、
「イタリアは1週遅れのトップランナー」
でした。
 つまり、交通が不便だったり
金融業没落など諸事情により
古い町並みが残った村々が、
却って古の町並みをよく保存していて
学術的にも貴重かつ郷愁を誘う景観美が
高く評価され、今や注目の的に
なっているということを表現していました。

 そういった古い町並み、
例えばアマルフィやアルベロベッロ。
 これらは観光客が多く訪れ、
そして若い人も定住するようになり、
世界的にもその価値が認められて、
世界遺産に登録されました。

 それは日本でも同じではないかと
言いたくなりそうですけれども、
いやしかし事情は全然違う。
 国内でその風景その建造物が評価され、
人気が出た所で世界遺産に登録される。
 登録されてから、人気が出るのとは
順序が違うわけです。
 このことからイタリアは、世界遺産の
普遍性より先んじて、地域の遺産の価値を
しっかりと認識していたというわけでしょう。
 そして今やイタリアは、
世界最多の世界遺産保有国です。名実ともに
トップランナーといった所でしょうか。



 それに比べて日本は…。
 番組の冒頭、イタリア大使館の中を
見学する件(くだり)です。
 大使館の敷地には、大名庭園が
大事に残されていました。
 しかしもともと江戸は、数多くの
大名庭園があったそうですが、
残りの殆どは悉く、3ヶ月ほどで無残な姿に、
とはタモさん談です。

 そして最後に紹介された「ガマ池」も、
外国人の住人の声によって守られたという話です。

 これらを総括すると、日本は
よほど貴重な文化財でもない限り、
いや貴重な文化財さえも、
大事にしてきただろうかと
考え込んでしまいます。
 風景や、建築物の価値が分かる
審美眼というものを、もっと育てて
いかねばならんのではなかろうかと
思惟する次第なのですが如何。

 くしくも、今日の最終回のエッセイでは、
鞆の浦について言及されていました。
 そしてここが将来世界遺産になったら、
観光客がわぁっと来て、素晴らしいだのと
口々に叫ぶのでしょうか。
 世界遺産になる前に、その価値が
分かるようになれたら、好いのですがね。