一日一冊読了。
これは我が人生に於いて
初の快挙ではあるまいか。
大好きな椎名誠氏の本でさえ
2日がかりがやっとだと
いう有り様だったのに。
何の事はない、
休みだのに天候がすぐれず、
何処にも出る気が失せ、
いっそ家に籠ることに
決め込んだから、
読む時間が有り余る程出来たのだ。
あと、帰省も近い折、
なるだけ荷を軽くして
おきたいという算段もあった。
読了して、売りにだすのだ。
そもそも古本屋で手に入れた
文庫本だった。
奥付けに鉛筆にて
2002.1.1 と記してある。
高校時代に買ったものだ。
わざわざ正月に、
新春セールとて勇んで
古書(とて文庫本ばかり)を
求めたのだ。
70円で手にしたのが、
出久根達郎著『漱石を売る』だった。
本書のあとがきにもあるが、
大好きな夏目漱石の
関連書であろうという
期待は裏切られたが、
同じくあとがきにあるように、
浮世絵離れどころか小説のような、
様々な人間ドラマを綴った
エッセイがとても気に入った。
すっかり飲み込まれて、
何故かは涙しそうになること
度々であった。
価値とは何か、贅沢とは何か。
黙阿弥の「人間万事金世間(かねよのなか)」
たるは今も尚脈々と横溢せん。
哲学に耽る一日を過ごせ、
感謝の一冊である。