今回の「THE世界遺産」(TBS)は、アメリカの「自由の女神像」でした。
この世界遺産は、まさに世界遺産とは何たるかを教えてくれる、集大成的な象徴であるように思えました。
飛行機が全盛の時代、アメリカを訪れる人たちがまず目にするのは、飛行場。はたまた、窓から見える摩天楼。よーく観たら、自由の女神像が会場に浮いているのが分かる程度でしょう。
けれどもかつては船の時代、アメリカを目指した人たちが命懸けでたどり着いた大陸で最初に目にするのは、この自由の女神像だった。そこで人々は希望や勇気を与えられたといいます。
しかし時代は変わった。さすればもう自由像にはその役割が無い。ということは、これはまさに「遺跡」ではないか。つい1世紀前まで、役割を果たしていただけ。
勿論今でもニューヨークの象徴として、また観光の名所として親しまれているけれども、そこに「希望」を見出す偶像としての崇拝心はあるや否や。
けれども歴史上には確かにそういった時間もあった。その時間の片鱗を伝えるものが遺跡の価値とするならば、鉄で作られた近代の建造物においても認められるのではないか。
そう考えられるようになると、世界遺産及び文化とは時空を越え、そして今も尚進行中にある価値観ではないだろうか、と思い至るのであります。