議長に就任して1年余りが経過しました。新型コロナ禍での議事運営ですが、
9月議会において、条例改正が議会運営委員会の発意で提案され、オンライン会議
が可能となりました。11月2日には、この取り組みを進めてきた「広聴・広報常任委員会」
が初めてオンライン会議を開催しました。ただし現状では、本会議のオンライン化は
認められていないため、議事の採決は本会議場でこれまでと同じように進められます。
6月に、市議会として「新型コロナ」に対する、議会の視察、視察受け入れをすることを
決めました。その後、多くの市議会、区議会の皆様が当市の先進事例の視察に訪れています。
議長として、可能な限り出席していますが、その際に議場を見学される事が多くあります。
一関市では、議場に大型モニターが設置され、議決も着座したままで「表決システム」を
利用して、採決を行います。私が議員になった頃は起立採決でした。個人的に、賛否が
拮抗する時、どのように数えるのか少し不安になった事が思い出されますが、まだ多くの
議会が起立採決となっています。ネットで検索すると
「・・・民主政治の基本原則は、住民が全員参加し、十分な討論、討議を前提とするが最終的には
多数決、通常には、過半数議決により決定される。一般に、全国民を代表する国会、地域住民を
代表する地方議会の議案、政策は議員の過半数以上の多数意思によって可決されたり、否決
されたりする。しかし、その議案の採決の時、賛成者と反対者が同数、可否同数の場合は、
否決するという「現状維持の原則」がある。これは、「可否同数は否決する原則」とも言われる。
この議案を可決するということは、現在の状況を変える、改革、変革することである。
新し い制度を導入したり、現在の制度を変更することである。これには、より大きな力、勢力 が
必要であるとする考えである。・・・」
や、「過半数議決の原則って?」などが検索できますが、「原則として出席議員の
過半数をもってその案件の可否が決定されます(地方自治法116条)。この例外として
「裁決」と「特別多数決」があります。表決の結果、賛否それぞれ同数になったときは、
議長がその案件の可否を決定することができ、これを「裁決」といいます(同条)。」
と明記されており、「採決」と「裁決」の違いが記されています。
先般、友好都市である新宮市の市長、と議長、副議長が当市に表敬訪問されましたが、
その際、新宮市の議長さんにお話を伺うと就任して数年経過したが、3度の可否同数
があったとお聞きしました。そのうち1件は、市長提案の議決という事で、議長の
職務の重要さをおもいました。
一関市議会では、改選前の6月議会、9月議会における「NEC関連予算」の賛否が
拮抗しました。また、先日開催開催された10月臨時会議においては、発議第2号の
「刑事訴訟法の再審規定の速やかな改正を求める意見書について」が、原案可決となり
ましたが、これは、委員会付託(議決に先立ち、詳しく検討を加えるため所管(総務委員会)
に審査や調査を委ねること)され、慎重審議され、原案反対となった案件が、本会議
において、一転可決となりました。基本的に、議員数は、議長を除く議員で表決を行う
ため、偶数(26名)となっており、可否同数にはならない仕組みとなっていますが、
当日は、1名の欠席があり、賛否が拮抗していたため、可否同数となる可能性があり
ました。
あらためて、地方自治法116条の「裁決」の重みについて考えを深めています。