6月議会が、26日午後8時45分ごろ終了しました。
今議会の会期は、11日間と短かったのですが、非常に内容の濃い、
私にとっては強く印象に残るであろう議会となりました。
初日は、議員15年表彰となる藤野議員、10年表彰となる金野議員、
岩渕議員、岡田議員、私の5人の表彰からスタートしました。
今議会では、「新コロナウイルス対策」関連の補正予算が出されていたため、
多くの質問が出されることは予想されましたが、議会としてもう少し整理される
べきであったと認識します。
また、最終日には、「高速通信網整備事業費」およそ40億円という予算案が
追加提案され、審議内容は非常に大きいものとなりました。私は、小さな町や
村の年間予算に匹敵するような大きな予算を前日の議運で提案し、議場のみでの
審議を行うことに、無理があると思い急遽開催された「代表者会議」において、
議員全員協議会の開催を要請し、開催していただきました。この中身については、
改めてこの場ででも説明していきたいと思います。
そのような審議内容が、膨大となった最終日に、私が発議する「議員定数を26名
とする定数条例の改正案」が予定されていました。通常であれば、6月議会は、
夕方の早い時間で審議終了という事が多いのですが、議員10年の経験の中で、
最も遅い審議終了となりました。ICNのテレビ中継は、5時で終了しましたが、
インターネット中継は、終了まで生放送を行いました。
その様子は、市議会のホームページ「一関市議会議会中継」で見れますので、
議会の様子をご覧になっていただきたいと思っています。
今回の議員定数に対する発議は、改選期から設置された議会運営委員会の「議会
改革」議論の中で、最も重要なものであり、慎重に2年半にわたり議論を続けてきました。
最終的に議論は平行線となったため、今回の発議となりました。
発議案の内容は以下の通りです。
発議第1号 「一関市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定について」、一関市議会会議規則第14条第1項の規定により提出するものであります。
提出者は勝浦伸行、賛成者は小野寺道雄議員、橋本周一議員、岩渕優議員、佐藤浩議員であります。
地方自治法(昭和22年法律第67号)第91条第1項の規定により、一関市議会議員の定数は、26人とする。
附則、この条例は、公布の日以後初めてその期日を告示される一般選挙から施行する。
それでは、提案理由の説明をさせていただきます。
一関市議会では、平成12年の地方分権一括法の施行を受け、住民自治及び団体自治の原則に則り、真の地方自治の実現に向け、他市に先駆け平成19年に「議会基本条例」を制定し、議員各位の積極的な参画の元、議会改革に取り組んできたところであります。平成29年10月の改選後には、直ちに議会改革に取り組むべきであるという意見を踏まえ、議会基本条例第23条の規定に基づき議会運営委員会において議会改革に取り組むこととしました。各会派、各議員より改革について取り組むべき内容について意見を求め、最終的に16項目を重点項目としてその課題解決に取り組んできたところです。今回の議会改革で、私たちが真剣に議論を続けてきたのは、今後ますます地方議会の果たす役割が重要となる中、急激に進む人口減少を前提に、市議会においては住民の関心が低く、投票率が下がり、今後において議員のなり手不足が深刻な問題となっていることを踏まえ、いかに市民に開かれた議会を形成していくかという事でした。
委員会では、これまで2年半に渡りおよそ40回を超える会議を重ねてきました。16項目の実現に向けては、議会改革に積極的に取り組む滝沢市議会や岐阜県可児市議会などの先進地視察を行い、昨年3月定例会からは、施政方針に対する「代表質問」を導入したほか、新たに策定した「災害対策行動指針」により、災害情報が各議員に適宜提供され、災害時の議員活動に生かせる体制となりました。令和元年12月議会からはタブレットを導入しICT化の推進とペーパーレスによる議会運営の効率化を図っています。そして令和3年1月からの通年議会の導入を目指し話し合いを進めており、着実に改革を進めてきたところです。
議員定数に関しましては、平成23年の地方自治法の一部改正により、これまで人口区分に応じて定められていた議員定数の上限が撤廃され、各自治体が条例で定める仕組みへと変わり、地方議会自らの裁量と判断によって決定するところとなったところであります。
そのような中、議員定数に関しては、情報収集を進め、幅広く意見を共有し結論を出す事が必要であるという認識で一致し、時間をかけ慎重に議論を続けてきました。また、広く市民の意見を聞く機会が重要であるという共通認識のもと、毎年「市民と議員の懇談会」を開催し、市民からご意見をいただいてきました。また、令和2年1月には、市内8か所でパワーポイントの資料を使い、これまで進めてきた「議会改革」の取り組みについて説明を行った後に、意見交換を行いました。特にも、議員定数・報酬・政務活動費について多くのご意見をいただきました。同年2月には、一関青年会議所ほか各種団体から男性9名、女性10名、市議会議員12名により、ワークショップ方式での新しい形の意見交換会「ワールド・カフェ」を開催し多様なご意見をいただきました。その際に利用した資料は、ホームページに掲載し、広く市民に公開させていただいているところです。
議員定数に関しましては、議会運営委員会での十分な議論によって、全会一致を目指し発意となるよう協議を進めてまいりましたが、残念ながら議論は平行線が続きました。4月には、議員全員協議会を開催し、その経過を説明させていただきました。その中で、全会一致にならないとすれば、議会運営員会において何らかの方法で結論を出すようにご意見をいただき、それを踏まえ、ご同意をいただいた会派により今回提案させていただくものです。
議員定数を26名とする根拠について説明します。
一関市議会では、平成24年に定数を30名としてこれまで2回の市議会議員選挙が執行されました。この間、地方自治体を取り巻く環境は、大きく変わり、本市においては、人口減少・少子高齢化は深刻な状況にあります。本市の6月1日現在の人口は、114,389人となっていますが、議員定数を30人とした平成24年9月からおよそ7年8ヶ月が経過しますが、この間に、本市の人口は、13,356人減少しており、次期改選期までには、15,000人を超える人口減少が予測されます。
また、議会運営委員会で、議員定数のあり方を検討する際の資料によると平成28年12月現在で、人口10万人を超え、12万人未満の49市の平均の議員定数は、23.3人であり、面積が500㎢未満の42市を除いた7市の平均は、26.3人であります。
県内の市議会の議員定数を見ても30人以上は、盛岡市の38人を除くと本市のみとなっており、本市の人口を上回る奥州市は、28人となっています。本市と奥州市、北上市の人口動向を見ると。昨年度1年間で本市の人口が1,929人減少したのに対し、奥州市は、1,377人の減少、北上市は、38人増加している状況にあります。
また、令和2年度の一般会計当初予算を見ると、市税収入は、本市は126億円で、内個人市民税43億5300万円に対し、奥州市は132億円、46億8200万円であり、北上市は137億円、47億円であります。市税収入、個人収入においても下回っている状況にあります。
また、歳出における議会費は、本市の3億3100万円に対し、奥州市は2億7800万円、北上市は2億9800万円であり、当市が上回っている状況にあります。地域経済の動向を見ても本市の財政基盤は、今後ますます厳しくなる事が想定されます。このような事態を解決していくためには、議員一人ひとりが身を切る覚悟が求められていると認識するものです。今回の定数削減に関しては、各会派において協議が重ねられました。最終的に提案する際には、当市の人口減少の現状、自治法に記載された「常にその組織、運営の合理化に努めるべし」とする趣旨に則り、今後の5年、10年先を見据えた定員が望ましい事、定数に関しては偶数が望ましいという事で提案させていただいたものです。
また、意見交換会や先般の「市民の願いが届く議会を求める請願」で出された定数削減により市民の声が届きにくくなり、市民の意見が市政に反映されにくくなるとのご心配に関しては、これまで実施してきた市民と議員の懇談会等の開催に加え、ワークショップ形式での開催や常任委員会単位の意見交換会の開催などにより、広く市民の声を聞く仕組みづくりを構築していくことを前提に議会改革の議論を進めています。
これまで、改選1年前の提案を目処として議論を進めてまいりましたが、「新型コロナウイルス感染拡大」により、市民生活に大きな影響が出ています。この問題の審議が重要となることを踏まえ、今後の議会改革で重要な案件となる「議会基本条例の検証」、「通年議会の導入」、議員間討議の活性化による常任委員会のあり方等を十分な時間をかけ進めるため、議員定数の削減について今議会において提案することといたしました。
今後においては、一関市議会の基本である「議会基本条例」の検証を進め、開かれた議会、市民に期待される議会を目指し、通年議会の導入、常任委員会における議員間討議の活発化により政策提言できる仕組みづくりの確立を進めていく事が重要となります。
今回の提案に関しては、先に述べましたが、住民の意見を聞き、議員間で十分な討議がなされたものと認識します。最終的には、議会の意思決定となることからその時期が来たと判断するものです。
今、時代は大きく変革しようとしています。今私たちができることは、地方自治の根幹をなす市議会の重要性を広く市民に理解いただき、これから一関を背負っていく世代、男女共同参画の時代にふさわしい新しい市議会のあり方を描き、実現していく事が私たち議員の使命であり、責務であると考えます。議員各位のご賛同をいただく事をお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。