“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「地域間共生と技術」(吉野 孝編著/早稲田大学出版部)

2023-11-07 09:44:10 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:地域間共生と技術~技術は対立を緩和するか~

編著:吉野 孝

著者:綾部広則、前嶋和弘、須田祐子、山本達也、詫摩佳代、福田八寿絵、太田 宏、森村将平、モルタ・アリン、有村俊秀、小林直人、須賀晃一

発行:早稲田大学出版部

 1980年代末に米ソ冷戦構造が終焉し、西欧諸国、東欧諸国、アジア諸国、さらにはある程度まで中東諸国が少しずつ接近し、地域間の共生が進むと思われた。ところが、途上国の生活水準の上昇と、先進諸国の経済の低迷や政治の混乱により、地域間共生の動きが近年停止している。一方、多くの国が自国だけでは対応できない困難な状況にあり、それを打破するのは科学技術といえる。同書では粒子加速器、オンライン空間、新型コロナウイルス感染症、再生エネルギー、カーボンプライシングなどを取り上げ、地域間の共生への影響と効果を考察する。情報・医療・環境の3領域の技術を国際社会の歩み寄りとつなげるには、どのような仕組みが必要なのか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●住友化学、エタノールからプロピレンを直接製造する環境に配慮した新プロセスの確立へ

2023-11-07 09:43:21 |    化学
 住友化学はこのたび、サステナブルな化学品原料として注目されるエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着手した。

 同技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成を受けている開発案件の一つ。2025年前半に同社の千葉工場袖ケ浦地区に同設備を完成させるとともに、早期の社会実装を目指す。

 プロピレンは、今日主にナフサなど化石資源の分解により製造されており、石油化学製品の上流に位置付けられる基幹化学品の一つ。

 一方、エタノールは、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから製造することができ、また今後、可燃ごみや廃プラスチック、CO2から大量生産する技術の確立が見込まれるなど、サステナブルな基幹化学原料として期待が高まっている。

 こうしたなかで、住友化学は、エタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場内に新設するとともに、プロピレンについては、独自の新製法の開発を進めている。

 同社が取り組むエタノールからのプロピレンの直接製法は、複数の中間体を経る既存プロセスと比べ、コンパクトかつ低コストなプロセスとすることが可能であり、堅調な需要が続くプロピレンと同時に水素を併産する利点がある。

 同設備により、工業化に向け必要なデータを取得するほか、得られたプロピレンを用いたポリプロピレンのサンプルワークなどを併せて実施する計画。その後、2030年代前半の同社での事業化や他社へのライセンス供与を目指していく。<住友化学>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●NEDO事業でNECとノーチラス、世界最速レベルの性能を持つリレーショナルデータベース「劔(Tsurugi)」を開発

2023-11-07 09:42:57 |    情報工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」でNECと(株)ノーチラス・テクノロジーズは、世界最速レベルの性能を持つリレーショナルデータベース管理システム「劔(Tsurugi)」を開発した。

 劔は、次世代のデータベースに用いられるハードウエア環境(メニーコア・大容量メモリーなど)に適合したシステムであり、ハードウエアの性能が向上するほどシステムの性能も高まる特性を有している。

 32以上のコア数を有するハードウエアにおいては、世界最速レベルの処理性能456万TPSと219ナノ秒の応答遅延を実現した。

 劔の導入によって、複雑なバッチ処理とオンライン処理をハイスピードで同時に行うことが可能となり、例えば画像データをカメラで取り込みながらリアルタイムでの解析や、ペタバイト級データの高速処理を実現するなど、情報処理基盤を一層強力にすることができる。

 劔は、次世代のデータベースに用いるハードウエア環境(メニーコア・大容量メモリーなど)に適合したシステムであり、ハードウエアの性能が向上するほどシステムの性能も高まる特性を有している。32以上のコア数を有するハードウエアにおいては、世界最速レベルの処理性能456万TPSと219ナノ秒の応答遅延を実現した。

 劔は、バッチ処理中にデータの編集や、新規データの追加ができない制限(シングルバージョン・ロック制御・ストレージと並行性制御の癒着による非効率なアーキテクチャー)がある従前のデータベースとは異なり、データベースの分散化を前提とし、ほとんどすべての構成要素(コンポーネント)を従来とは異なる方針で設計・実装することによって、世界最高レベルの性能を実現することに成功した。

 開発にあたって、限定的な環境での検証ではなく、実運用に耐える管理システムとしての実地検証も行い、その性能を検証した。例として、大量のデータを効率的な分析が求められる定点観測カメラを用いた人流解析のリアルタイムデータベース処理や時間がかかる業務系のバッチ処理、3D(3次元)モデルを利用した災害対策地理情報システム(GIS)アプリケーションなどで検証を行い、その有効性を確認した。

 NECおよびノーチラス・テクノロジーズでは、2023年7月10日に劔のアーリーアクセス版を公開するとともに、別ウィンドウで開く劔のコミュニティサイトをオープン。アーリーアクセス版は、劔のコミュニティサイトより申し込みでき、希望者に直接提供する。また、コミュニティサイトでは、劔を活用するために必要となる情報として、更新情報や活用事例の紹介など、当該技術が広く社会で活用されるための情報を公開するプラットフォームとして整備していく。2023年9月に、劔のオープンソース版を公開。公開版はインストーラにとって自身でセットアップできるほか、検証を早く行えるようオープンプラットフォームであるDockerでも各種情報を提供する。また一般公開版のリリースに合わせて、劔について解説した書籍も刊行する予定。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Excelで“時短”システム構築術」(佐藤嘉浩著/技術評論社)

2023-11-07 09:42:29 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Excelで“時短”システム構築術~案件管理の効率化を簡単に実現しよう!~

著者:佐藤嘉浩

発行:技術評論社

 同書では、チュートリアル形式で役立つExcelの各種機能の使い方を解説しながら、案件管理のシステム作り上げる。まずはテーブル機能をベースとして、さまざまな関数、新たに追加された計算機能「スピル」、操作をアシストする書式設定、繰り返し作業を簡略化するマクロ、そして自動化の肝であるVBAまで挑戦。各機能の特長を理解して、Excelに無理をさせず、そして自身の業務も無理がないように自動化・効率化を素早く図ろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする