日本原子力研究開発機構(原子力機構)原子力科学研究部門量子ビーム応用研究センター分子構造ダイナミクス研究グループの玉田太郎グループリーダーらは、がん細胞に特異的に細胞死を引き起こす抗体の立体構造とその作用の「鍵」となる基本単位を、原子レベルで明らかにすることに成功した。
同研究グループは、細胞表面のタンパク質と抗体と呼ばれるタンパク質の複合体結晶を作製し、X線結晶構造解析の手法を利用して、これらのタンパク質が結合した状態を原子レベルで高精度に観測することに成功したもの。
さらに詳細な観察により、抗体が作用するメカニズムの「鍵」となる基本単位を結晶中に見出し、様々な検証を行った結果、抗体がこの「鍵」により、がん細胞の表面でタンパク質を高度に会合(複数の分子が一定の決まりで結びついた状態)させて、細胞死を誘導するというメカニズムを世界で初めて明らかにした。