物質・材料研究機構(NIMS)は、機能性材料研究拠点医療応用ソフトマターグループの川上亘作グループリーダーをプラットフォーム長として、製薬企業11社とともに医薬品に関するマテリアルズオープンプラットフォーム (同業多社が企業の壁を越えて共同研究に取り組む場 : MOP) を発足させた。
同MOPには、アステラス製薬、エーザイ、沢井製薬、塩野義製薬、第一三共、大鵬薬品工業、武田薬品工業、田辺三菱製薬、中外製薬工業、東和薬品、日本新薬の11社が参画している。
医薬品開発に関わる候補化合物の物性評価と製剤開発に関わる共同研究を進め、研究開発の基盤力強化、開発技術の共有、および開発手法の標準化を目指した活動を行う。
従来の医薬品は低分子化合物が中心だったが、近年は抗体や核酸などの生体高分子を利用するなど治療様式 (モダリティ) が多様化しており、コロナワクチンも核酸の一種であるmRNA技術によって実用化されたことは記憶に新しいところ。
同MOPにおいては、抗体医薬や核酸医薬などを中心に、物性評価・製剤開発に関わる研究を行うが、これら新モダリティの開発技術は未だ発展途上であり、その基礎となるマテリアルサイエンスが手薄なことが課題であった。
そこで医療材料の基礎研究を長年にわたり行い、また化学・鉄鋼などのMOPを推進してきたNIMSを核に、国内の主要製薬企業が共同で基礎研究を行う医薬品開発MOPを立ち上げることにした。
各企業が保有技術を結集して共同で基礎技術力を磨くことで、国際競争力の高い技術を共有できるものと期待される。(物質・材料研究機構<NIMS>)