“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「津波」(ジェイムズ・ゴフ、ウォルター・ダッドリー著/)

2024-02-08 09:34:11 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:津波~暴威の歴史と防災の科学~

著者:ジェイムズ・ゴフ、ウォルター・ダッドリー

訳者:千葉敏生

解説:河田惠昭

発行:みすず書房

 「世界のあらゆる場所や時代から津波の例を収集した本作は、ある意味では、津波生存者たちへのオマージュであり、そして別の意味では、変化に富んだ津波の世界へのふたつとないのぞき窓でもあるのだ」(「はじめに」より)ハワイとオーストラリアを拠点に世界各地で長年調査に携わるふたりの研究者が、古今東西の事例をもとに、この地球規模の現象を解き明かす。登場するのは、約250万年前の小惑星衝突で起きたメガ津波から、2004年のインド洋大津波、2011年の東日本大震災まで。海洋学、生物地理学、地質学、歴史学、考古学などの科学的な知見、日本の「稲むらの火」やアイヌの言い伝え、400名を超える津波生存者へのインタビューを組み合わせ、さまざまな津波のメカニズムと防災の心得を生き生きと説く。「われわれにできることはあるし、実際に行なわれていることもあるし、科学は前に進んでいる。自分自身や弱い人々を世話する義務は全員にある。だから、備えよう。(中略)津波は過去に起きてきたし、これからもまちがいなく起きるのだから」(「おわりに」より)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●エアバス、NTT、ドコモ、スカパーJSATの4社、高高度プラットフォームの早期実用化に向けた覚書を締結

2024-02-08 09:33:50 |    通信工学
 エアバス、NTT、NTTドコモ、スカパーJSATの4社は、成層圏(上空約20km)を飛行する高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)の早期実用化に向けた研究開発、実証実験の実施に関する協力体制構築の検討を推進するための覚書を締結した。

 この覚書の締結は、HAPSの早期実用化に向けた研究開発の推進を目的としている。

 エアバスのHAPS「Zephyr(ゼファー)」とNTT、ドコモ、スカパーJSATの通信ネットワークのコラボレーションにより、HAPSの接続性およびHAPSを利用した通信システムにおける有用性の発見、および技術やユースケースの開発に向け、4社間の連携を推進する。

 4社は5Gのさらなる高度化、および6Gに向けた取り組みとして、空・海・宇宙などを含むあらゆる場所への「カバレッジ拡張」の検討を進めている。

 中でもHAPSによるネットワーク構築は空・海へのカバレッジ提供を容易に実現できることから、災害対策やイベント会場など人が密集する場所での通信容量の確保、建設現場での重機の遠隔操作などに有効であると考えられている。

 また、この「カバレッジ拡張」の実現に向け、HAPSに加え、静止軌道衛星(geostationary orbit satellite:GEO)および低軌道衛星(low earth orbit satellite:LEO)を用いた非地上ネットワーク(Non Terrestrial Network:NTN)技術が期待されている。

 4社は、GEO、LEO、HAPSなどのNTN技術を用いたアクセスサービスを「宇宙RAN(Radio Access Network)」と称し、検討を進めている。

 宇宙RANを提供して超広域カバレッジを実現することで、災害対策だけでなく、離島やへき地のエリア化、飛行機や船などの通信環境の飛躍的な改善など、利便性の向上や新たな付加価値の提供が可能となる。
 
 今後4社は、HAPSによる成層圏からの通信に焦点を当てた技術に関する研究開発に加えて、HAPSの機体開発やHAPSの運用に向けた標準化・制度化への働きかけ、およびHAPSによるネットワークサービスの商用化に向けたビジネスモデルに関する検討も行う。
 
 主な研究開発の対象として、地上の移動機との接続や基地局バックホールなどにHAPSを適用する可能性に関する検討や、HAPSを利用した通信システムにおけるさまざまな周波数帯の通信性能の評価、およびHAPSと衛星および地上基地局との連携に向けた技術的な検討を行い、宇宙RAN事業を促進する。

 また、今後は衛星・HAPSなどのNTN技術によるネットワーク構築の実証実験を視野に入れた協力体制も構築していく予定。

 なお、ドコモ、エアバスの2社は、エアバスが開発したHAPS「Zephyr S」を用いた成層圏と地上間の電波伝搬の実証試験に成功している。この実験により、HAPSによる成層圏から地上への持続的なネットワーク提供が可能であることを実証した。<NTT>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●東京大学など、GKP量子ビットを世界で初めて生成し大規模誤り耐性型高速光量子コンピューター実現へ道

2024-02-08 09:33:21 |    物理
 東京大学 大学院工学系研究科の紺野 峻矢 大学院生(研究当時)およびアサバナント ワリット 助教、古澤 明 教授らの研究チーム、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、チェコ共和国のPalacký UniversityのPetr Marek 准教授およびRadim Filip 教授、ドイツ連邦共和国のUniversity of MainzのPeter van Loock 教授は、伝搬する光の論理量子ビットであるGottesman-Kitaev-Preskill量子ビット(GKP量子ビット)を世界で初めて生成した。

 誤り耐性型量子コンピューターを実現するため、通常は非常に多数の量子ビットを用いて、それらを1つの論理量子ビットとして構成する(区別のため、通常の量子ビットを物理量子ビットと呼ぶ)。

 この方法では用いる物理量子ビットの数が膨大であることが、実用的な量子コンピューターへの最大の障壁となっていいる。

 一方、GKP量子ビットは、1つの光パルスの中で1つの物理量子ビットを用い1つの論理量子ビットの生成を実現できる。

 これまでGKP量子ビットは有力視されてきましたが、光では実現に至っていなかった。

 同研究では、東京大学とNICTが共同開発した超伝導性を用いた光子検出器を用いて、光におけるGKP量子ビットの生成を世界で初めて実現した。

 このGKP量子ビットは同研究グループで実現された大規模光量子プロセッサーと相性がよく、大規模な誤り耐性型光量子コンピューターの誤り耐性につながると期待される。<科学技術振興機構(JST)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「超高層住宅の未来絵図」(高井宏之、髙田光雄、鈴木雅之編著/技法堂出版)

2024-02-08 09:32:52 |    建築・土木



<新刊情報>



書名:超高層住宅の未来絵図~アジア4都市からみた日本~

編著:高井宏之、髙田光雄、鈴木雅之

発行:技法堂出版

 超高層住宅が積極的に建設されているアジア4都市(シンガポール・香港・北京・台北)の設計と住まい方を紹介し、日本の超高層住宅の未来像を展望する書。今日的課題である大規模災害時の対応や新型コロナ対応にも関連づけ、今後の計画のあり方への提言を行う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする