<新刊情報>
書名:カミオカンデとニュートリノ
監修:鈴木厚人
発行:丸善出版
存在自体は確認されていたものの、「謎の粒子」や「幽霊粒子」と呼ばれていたニュートリノ。他の素粒子と比較すると、きわめて反応力が弱く、その正体は、なかなか捉えることができなかった。1世紀に一度遭遇するかどうかという陽子崩壊の探索を主目的に建設されたカミオカンデは、そのニュートリノの性質の解明に向け潮流を築いた。従来の素粒子実験装置には無い大容量の3000トン水チェレンコフ検出器が大きな利点を生み、ニュートリノの検出に成功した。さらに、ニュートリノ反応とよく似た現象を引き起こす検出器内の自然放射物質を除去する方法を開発し、観測の精度を高めた。 同書は、カミオカンデの始まりから、現在の最前線までのニュートリノ研究について、研究者たちが何を追い求めて実験を進めたのか、どのように新しい発見を成し遂げてきたのかを紹介。ニュートリノ研究の生の声を書き留めており、発見現場の興奮が、読者の方々にも伝わる。