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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●NEDOと東北緑化環境保全、地熱開発における優良事例形成に役立つマニュアル・参考集の改訂版を公開

2021-11-19 09:39:06 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、東北緑化環境保全と「地熱発電技術研究開発」の一つとして2019年8月から「優良事例形成の円滑化に資する環境保全対策技術に関する研究開発」に取り組んでおり、このたび、その事業成果として「自然環境・風致景観配慮マニュアル【改訂版】」と「配慮手法パタン参考集【改訂版】」を作成し、「地熱発電導入事業者向け環境・景観配慮マニュアル」として11月15日からNEDOウェブサイトに公開した。

 同成果が地表調査から環境アセスメントまで幅広い場面で活用され、地熱開発適地選定の判断基準と手順の明確な指針となることで、地元自治体や地域住民などのステークホルダーと地熱開発事業者との円滑なコミュニケーションを促す。これにより、自然環境・風致景観に調和した地熱発電所の導入加速化が期待できる。

 NEDOは、「地熱発電技術研究開発」の一つとして「エコロジカル・ランドスケープデザイン手法を活用した設計支援ツールの開発」で、エコロジカル・ランドスケープデザイン手法(エコラン手法)を用いた設計支援ツールを2018年に開発した。

 エコラン手法とは、地域の自然生態系や地形などの潜在能力を借りて環境を保全・創出する技術であり、エコシステム(生態系、地形、地質、水循環、土壌、植生など)、エンジニアリング(造成、排水、構造物など)およびデザイン(ランドスケープ、景観など)の三要素の機能をバランスよく発揮させて進める設計手法。

 さらにこれを踏まえて、「優良事例形成の円滑化に資する環境保全対策技術に関する研究開発」では、国立・国定公園特別地域の3カ所の事業地(それぞれ地表調査段階、坑井調査段階、環境アセスメント段階)を対象にこのツールの試験運用を行った。そしてこのたび、その有効性評価の結果を示すとともに、事業者が地熱開発に際しさらに使いやすいツールとして再構築した。

 すでに、環境省の「令和3年度地域共生型の地熱利活用に向けた方策等検討会」で国立・国定公園内における地熱開発の取り扱いなどが議論されており、同事業の成果としてまとめた「エコラン・マニュアル【改訂版】」や「パタン参考集【改訂版】」も参考資料として活用されている。今後も地熱開発における優良事例形成に向けた取り組みに際し、多くの事業者や地熱に関わる技術者などに活用してもらうことで、作業効率の向上や手戻り軽減といった円滑な事業の推進に役立つことを目指す。また、ステークホルダーと地熱開発事業者のコミュニケーションに活用されることで、自然環境・風致景観に調和した地熱発電所の導入加速化に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●日立製作所、発電・蓄電・設備保守などの技術を結集させたエネルギーマネジメントシステムの実証環境を構築し運用を開始

2021-10-21 09:34:24 |    エネルギー
 日立製作所は、研究開発拠点「協創の森」に、日立の発電・蓄電・設備保守などの技術を結集させたエネルギーマネジメントシステムの実証環境を構築し、運用を開始した。

 同環境は、太陽光発電システム・蓄電池・ガスコジェネレーションシステム・EV急速充電器などを接続した直流型分散グリッドに、日立の高精度な電力需給調整システムや発電設備の故障・寿命予測技術、AIを活用した効率的な電力取引システムなどのエネルギーマネジメントシステムを組み合わせたもの。

 実際の設備やシステムを自由に組み合わせることで、再生可能エネルギーの安定的・効率的・経済的な運用やゼロエミッション化をめざすユーザーに実証実験の場を提供することが可能になる。

 また、同エネルギーマネジメントシステムの効果を国分寺サイトで2020年度に検証した結果、2018年度との比較で、CO2排出量を20%削減しながら、エネルギーコストを30%削減できることを確認した。

 今後、日立は同環境を活用し、日立とユーザーのゼロエミッション化を推進するとともに、環境分野での顧客協創を推進し、新たなエネルギーソリューションの創出をめざす。

 また、ローカル水素やバイオエネルギー、5G、エネルギー託送技術による多拠点連携などを組み込むことで、同実証環境をさらに進化させ、完全ゼロエミッション化や持続可能な社会の実現に貢献していく。<日立製作所>
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●科学技術ニュース●電力中央研究所とエンジニアリング協会、小規模地熱発電事業者向けに事業支援ツールを開発

2021-10-15 09:36:02 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、地熱発電の普及を目指し、2013年度より「地熱発電技術研究開発」に取り組んでいるが、その一環としてこのたび、電力中央研究所とエンジニアリング協会は、小規模地熱発電事業の設備の最適な運転管理を支援するツール「GeoShink(ジオシンク)」と、収益向上を後押しする「事業性評価支援ツール」を開発した。

 「GeoShink」は、対象設備全体の熱効率解析にかかる労力を大幅に削減し、機器や配管単位での対象設備の健全性評価を実現する。「事業性評価支援ツール」は、事業収支の観点から設備の点検・修理時期を最適化するとともに、点検情報やトラブル事例をデータベース化することにより、関係者間での部品調達などの最適化、トラブルの再発防止などに寄与する。

 これらのツールによって事業性や運転効率を見える化することで、従来コスト面の課題から大規模事業者と同等レベルの運転管理が困難であった小規模事業者でも事業収益を向上させる効果が期待できる。

 「GeoShin」は、IoT技術を活用しバイナリー発電設備を一元的に状態監視する。電中研が開発した発電プラント向け熱効率解析ソフト「EnergyWi」と連携することにより、機器などの異常予兆を検知するとともに、最適な運転管理を支援する。

 また、「事業性評価支援ツール」は事業収支を見える化する機能と設備の点検・修理時期の検討など最適な運用をサポートするシミュレーション機能により、地熱発電事業の収益向上を支援する。

 これらのツールは地熱発電のほか、バイオマス発電や廃熱発電などにも使用できる。

 従来、小規模発電事業者は、コスト面の課題などから大規模発電事業者と同等の運転管理が困難なため、発電所の事業性や運転効率、各データの変動、異常の兆候などは感覚的あるいは定性的な把握にとどまっていました。しかし今回開発したIoTを適用したこの支援ツールを導入することで、これらを具体的な数値やグラフとして見える化することができ、事業収益の向上が期待できる。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●NEC、「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」に参画

2021-10-12 09:34:51 |    エネルギー
 NECは、経済産業省が公募する実証事業「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」に、東芝ネクストクラフトベルケをリーダーとしたコンソーシアム内の再エネアグリゲーターとして参画する。

 同事業の中でNECは、容量1.7MWhの大型蓄電システムを2021年12月にNEC我孫子事業場へ設置し、再エネアグリゲーターの事業にとって重要となるインバランス回避と収益性向上に関する検証を行う。

 今回、東急不動産の協力のもと、自社事業場外にある発電設備と連携してならし効果によるインバランス回避の実証を行う予定。

 同事業は、変動性の高い太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー発電設備と蓄電池等の分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resource=DER)を組み合わせ、需給バランス確保のための発電量予測や、リソース制御に必要となる技術等の実証を行うことで、DERを活用した安定かつ効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的として行われるもの。

 NECは、経済産業省の助成事業「VPP構築実証事業」に初年度の2016年から参加するなどノウハウを蓄積してきており、今回再エネアグリゲーターとして初めて実証に参画する。

 同本事業では、自社事業場内に設置した大型蓄電システムと太陽光発電設備を活用し、発電量予測技術、蓄電池制御技術、市場取引戦略技術、発電バランシンググループ(BG)と需要BGとの連携によるインバランス回避手法、再エネアグリゲーターの事業性などを検証する。

 なお需要BGとの連携については、VPP実証で培った技術を基盤に開発した「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」でシステム連携し、検証を行う予定。<NEC>
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●科学技術ニュース●伊藤忠商事、東シベリア-日本間のブルーアンモニアバリューチェーン事業化調査フェーズ2を開始

2021-08-06 09:33:28 |    エネルギー
 伊藤忠商事は、イルクーツク石油会社(IOC)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、東洋エンジニアリング(TOYO)と共同で、東シベリアと日本間のブルーアンモニアバリューチェーン構築に向けて2020年度実施のフェーズ1に続きフェーズ2として事業化に向けた詳細検討を実施することで合意した。

 伊藤忠商事とTOYOはフェーズ1同様JOGMECの委託調査として実施し、東シベリアでIOCが産出する天然ガスをアンモニアに変換し、日本へ輸送するバリューチェーンのマスタープランを構築する。

 フェーズ2では、東シベリアから日本への大規模なブルーアンモニアバリューチェーンの事業化に向けて、IOCの 東シベリアの油田で産出される天然ガスから水素、さらにはアンモニアを製造するための概念設計を行う。

 この概念設計では、生産過程で排出するCO2を同社が東シベリアに保有する油田増産のためのCO2-EORを組み合わせることを想定している。またアンモニア内陸輸送については鉄道とパイプラインの適用を検討する。これらについて、事業化の時間軸を踏まえた段階的なアプローチを立案する。(伊藤忠商事)
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●科学技術ニュース●ENEOS、仏BWイデオルと浮体式洋上風力発電の共同事業開発契約締結

2021-07-13 09:36:11 |    エネルギー

 ENEOSは、浮体式洋上風力発電のエンジニアリング技術を有する仏BWイデオルと、日本国内における商業規模の浮体式洋上風力発電ファームの共同事業開発契約を締結した。

 日本は陸上風力発電の適地が限られることから、再エネ海域利用法によって洋上風力発電事業開発が進められている。日本周辺海域における水深が海岸から急に深くなる等の地形条件により、風車自体を海洋に浮かせる浮体式は、支柱を海底に埋設する着床式に比べて約3倍のポテンシャルを持つと推定されている。

 BWイデオルは、保有する特許技術であるダンピングプールを用いた浮体式洋上風力発電において、フランスと日本という気象・海象条件の異なるエリアで異なる認証機関の認証を取得し実証運転を成功させている唯一のエンジニアリング企業であり、また世界各国で商業プロジェクトの開発を牽引している、浮体式洋上風力発電のグローバルリーダーの 1 社。

 BWイデオルが特許を保有するダンピングプール技術は、浮体の中央をドーナツ形に空洞にすることで洋上での浮体の揺れを抑制する技術で、この技術を用いた浮体式基礎は、小型でシンプルな形状のため施工性が良く、またスチールのみならずコンクリートを材料とすることができ、製造や設置において大きなコスト優位性を有している。(ENEOS)

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●科学技術ニュース●東芝ESSとCO2O、国内における太陽光発電所の運用保守事業に関する業務提携を締結

2021-07-08 09:37:47 |    エネルギー

 東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)および、太陽光発電所の運用保守を行うCO2Oは、国内における太陽光発電所の運用保守事業に関する業務提携に向けて検討を開始することについて覚書を締結した。

 今回の合意により、両社が得意とする事業領域をより有効に活用し、500kW以上の特別高圧・高圧分野におけるEPC・運用保守事業のワンストップサービスの提供、日本全国拡大を目指した事業提携に向けて検討していく。
 
 事業提携に向けては、隣接地域の複数の発電所の運用保守を一括で管理する「群管理体制」の構築、発電所診断から設備の入れ替えにより出力増強を図る「リパワリング」サービスの提案・提供、VPPやデジタル技術を駆使し、より効率的に保守を行う「スマート保安」にも対応できる技術開発などについて、検討を進めていく。

 両社は、2030年度までに15GWの太陽光発電所運用保守サービスを実現することを目指し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。(東芝)

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●科学技術ニュース●NEDO、アンモニア混焼技術の実用化へ向けた技術開発2件のテーマを採択

2021-06-08 09:40:58 |    エネルギー

  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、石炭火力発電所で燃料にアンモニアを利用するための技術開発として、このたび2件のテーマを採択した。

 アンモニア混焼技術の開発や実証に取り組み、燃焼時にもCO2を排出しないアンモニアを石炭と混焼させる技術を確立します。これによりアンモニアを燃料として利用できる体制を構築し、石炭火力発電所から排出されるCO2を一層削減することを目指す。

 アンモニアをはじめとする水素エネルギーの社会実装につながる技術開発を推進し、将来的には、アンモニア専焼も視野に入れ、日本が目標として掲げる「2050年までのカーボンニュートラル」実現に貢献する。

 このたび採択した2テーマでは、石炭火力発電所でのアンモニア混焼技術に関する研究開発(委託事業)と実証研究(助成事業)を行う。既設の石炭火力発電設備へのアンモニアバーナーの導入による石炭との混焼技術の開発を行うとともに、燃料としてアンモニアを安定的かつ安価に調達する可能性について調査する。また、100万kW級商用石炭火力発電設備において、アンモニア混焼バーナーによるアンモニア20%混焼時の実証運転を行う。(新エネルギー・産業技術総合開発機構<NEDO>)

 

 

事業名:カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/アンモニア混焼火力発電技術 研究開発・実証事業

【委託事業・助成事業】

事業期間:2021年度~2024年度

全体予算:110億円程度

採択テーマ 委託・助成予定先

CO2フリーアンモニア燃料 火力発電所での利用拡大に向けた研究開発(委託事業) 

   電源開発
   中外炉工業
   電力中央研究所
   産業技術総合研究所
   大阪大学

100万kW級石炭火力におけるアンモニア20%混焼の実証研究(助成事業) 

   JERA
   IHI

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●科学技術ニュース●伊藤忠商事と伊藤忠エネクス、シンガポールにおける舶用アンモニア燃料サプライチェーン構築に向けた共同開発を加速

2021-05-21 09:33:52 |    エネルギー

 伊藤忠商事と伊藤忠エネクスは、この度、VOPAK Terminal Singapore Pte Ltd (VOPAK社)、 商船三井、Pavilion Energy Singapore Pte. Ltd. (PAVILION ENERGY社)、TOTAL MARINE FUELS PRIVATE LIMITED(TOTAL社)との間で、シンガポールにおける舶用アンモニア燃料供給に関する共同開発に取り組んでいくことに合意した。

 伊藤忠商事は、2020年6月にシンガポールにおいてアンモニア貯蔵タンク及び関連設備を保有運営するVOPAK社と同目的の覚書を締結している。今回、各事業分野で高い専門性と経験を持ち、シンガポールでLNG燃料供給事業を展開している商船三井、PAVILION ENERGY社、TOTAL社を迎え、シンガポールにおける舶用アンモニア燃料サプライチェーン構築の更なる進展を目指す。同3社の参画によりどうプロジェクト実現に向けた貢献が期待される。

 今回の合意により、シンガポールにおける舶用アンモニア燃料のサプライチェーン(陸上・海上施設およびアンモニア燃料供給船)の共同開発を加速させる。同件は、伊藤忠商事が他パートナーと共同で推進しているアンモニア燃料船開発統合型プロジェクトの一環として位置付けており、国内外の各企業、関係省庁とも協力し、GHG(温室効果ガス)削減に向けた取り組みを進めていく。

 伊藤忠商事は、これらの取り組みを通じて持続可能なエネルギーシステム構築を加速し、新中期経営計画の基本方針である『「SDGs」への貢献・取組強化』を着実に実行し、低炭素化社会の実現を目指す。(伊藤忠商事)

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●科学技術ニュース●双日、アラブ首長国連邦にて天然ガス火力発電・淡水化事業へ参画

2021-05-14 09:34:56 |    エネルギー

 双日は、アラブ首長国連邦アブダビ首長国においてミルファ天然ガス火力発電・淡水化事業を運営する同国法人ミルファ・インターナショナル・パワー・アンド・ウォーター社(Mirfa International Power and Water Company)の株式20%を取得した。

 同社は、ドバイ首長国金融大手シュア・キャピタル(SHUAA Capital)が保有する同事業の全株式を買収し、既存株主のアブダビに本社を置く、欧州・中東・アフリカ地域最大級の総合エネルギー会社であるAbu Dhabi National Energy Company PJSC(TAQA)と世界各国で大型IPP/IWPP事業の開発・運営実績を多数有するフランスの大手エネルギー会社Engieと共に事業運営を開始する。

 同事業は出力1,600MWの天然ガス火力発電設備および日量52.500万英ガロンの淡水化設備を保有・運営し、エミレーツ水電力公社(Emirates Water and Electricity Company)に対し残存契約期間約22年の長期契約に基づき売電および売水を行うもの。

 環境負荷の少ないクリーンエネルギーである天然ガスを利用し、アブダビ首長国の経済発展に伴い需要が拡大する電力・水の安定供給に貢献していく。(双日)

 

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