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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●産総研、チタン酸バリウムナノキューブ単層膜とグラフェンの交互積層プロセス技術を開発し積層セラミックコンデンサーの飛躍的な薄層化に道筋

2023-09-12 09:31:32 |    電気・電子工学
 産業技術総合研究所(産総研)極限機能材料研究部門 板坂 浩樹 研究員、劉 崢 上級主任研究員、三村 憲一 主任研究員、濱本 孝一 研究グループ長は、誘電体材料であるチタン酸バリウム(BTO)の立方体単結晶(ナノキューブ)単層膜と多層グラフェン膜の交互積層プロセス技術を開発した。

 同研究で開発した技術では、約20nmサイズのBTOナノキューブを二次元的に規則配列させた単層膜と、2~3 nmの厚さの多層グラフェンを交互に重ね合わせた極めて薄い積層構造を作製することが可能であり、積層セラミックコンデンサー(MLCC)内部の誘電層と電極層の交互積層構造の飛躍的な薄層化を実現するための基盤技術として期待できる。

 産総研は、MLCCの誘電体層の主要な原料であるBTOの微小粉末の合成技術と、合成した粉末を薄膜化する成膜技術の開発に関する研究に取り組んできた。

 これまでに、水熱法によりBTOのナノサイズの立方体単結晶(ナノキューブ)の合成に成功しているとともに、分散液の溶媒の蒸発に伴う自己組織化を利用することでBTOナノキューブを二次元的に規則配列させた厚み約20nmの単層膜を作製する成膜技術を開発した。

 BTOナノキューブは一般的なBTOナノ粒子に比べて結晶性が高く、1000℃未満の比較的低い処理温度でも優れた誘電性を示すことが期待できる材料。

 また、従来のBTO粉末を用いて緻密な膜を作製するためには高温での熱処理を必要としていたが、サイズと形状の均一なBTOナノキューブを規則的に配列させることで、熱処理をすることなく緻密な膜が得られることもわかっている。

 今回は、これらの技術により得られるBTOナノキューブ単層膜をMLCC内部の誘電層として応用することを目指し、電極層との交互積層化技術を開発した。

 今後は、作製した積層構造のコンデンサー性能向上に向けた熱処理などのプロセスの最適化を行うとともに、量産化が可能なプロセスの開発に取り組むことにより、MLCCの飛躍的な小型化や大容量化につながる次世代プロセス技術の実現を目指す。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「総合電機企業の形成と解体」(谷口明丈編著/有斐閣)

2023-09-07 09:43:30 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:総合電機企業の形成と解体~「戦略と組織」の神話、「選択と集中」の罠~

編著:谷口明丈

著者:谷口明丈、田中洋子、宮田憲一、平本 厚、金 容度、長谷川信、ピエール=イヴ・ドンゼ

発行:有斐閣

 総合電機企業の生成・発展・衰退のプロセスをとらえる。日本・アメリカ・ドイツの総合電機企業に焦点を当て、各国における生成と発展、解体のプロセスを比較経営史の手法により明らかにする力作。2部構成として、各章では豊富な図表と明快な記述をもとに個別企業を掘り下げ、序章と終章にて全体像に言及する。【目次】 序章 課題と方法〔谷口明丈〕 第1部 総合電機企業の形成:「戦略と組織」の神話 第1章 ジーメンス:自立的事業部にもとづく世界初の国際的総合電機企業:1840~1940年代〔田中洋子〕 第2章 ゼネラル・エレクトリック:多角化戦略の展開と分権化〔谷口明丈〕 第3章 ウェスチングハウス:2番手企業の多角化と組織革新〔宮田憲一〕 第4章 日立製作所:創発的戦略形成と工場独立採算制〔平本厚〕 第2部 総合電機企業の解体:「選択と集中」の罠 第5章 ゼネラル・エレクトリック:コングロマリット化から解体へ〔谷口明丈〕 第6章 ウェスチングハウス:消滅への道〔宮田憲一〕 第7章 日立製作所:総合電機から社会イノベーション企業へ〔金容度〕 第8章 東芝:選択経営の帰結〔長谷川信〕 第9章 ジーメンス:収益性の向上をめざす選択と集中の戦略〔ピエール=イヴ・ドンゼ〕 終章 総括と結論〔谷口明丈〕
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●科学技術ニュース●NEC、鹿島建設とNTT東日本、世界初となる通信用光ファイバを用いた工事振動の検知に成功

2023-09-01 09:34:48 |    電気・電子工学
 NEC、鹿島建設、NTT東日本は、共同で、光ファイバセンシング技術を応用し、既に電柱に共架している通信用光ファイバを振動センサとして活用する実証実験を行った。

 この実験により、通信用光ファイバによるトンネル掘削工事の振動検知に世界で初めて成功した(実証実験期間:2022年1月~2024年3月予定)。

 これにより、新たにセンサを設置することなく、建設工事に伴って周辺の地域で発生する振動状況を広範囲かつリアルタイムに把握しながらの施工が期待できる。

 3社は今後、同成果を踏まえ、様々な工事に対応可能な振動状況の計測や可視化方法の検討等を進めていきたいと考えている。<NEC>

【同技術の特長】


 ①市中に張り巡らされている通信用光ファイバが振動センサとなるため、新たなセンサの設置が不要②センシング装置を接続した通信用光ファイバの全長でかつ同時に、振動分布のモニタリングが可能③計測から可視化まで人手を介さないため、常時(24時間、365日)モニタリングし続けることが可能④工事に由来する振動のみをリアルタイムに抽出して、地図上へのマッピングが可能
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ワイヤレス電力伝送技術の研究開発と実用化の最前線<普及版>」(篠原真毅ほか著/シーエムシー出版)

2023-08-15 09:35:00 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:ワイヤレス電力伝送技術の研究開発と実用化の最前線<普及版>

監修:篠原真毅

筆者:篠原真毅ほか

発行:シーエムシー出版

 2016年刊「ワイヤレス電力伝送技術の研究開発と実用化の最前線」の普及版。ワイヤレス給電について、携帯電話や医療機器などのデバイスから自動車まで、国内のみならず海外の応用事例も広く紹介した1冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「省エネモーターの原理と設計法」(森本茂雄、真田雅之著/科学情報出版)

2023-08-11 09:31:12 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:省エネモーターの原理と設計法~永久磁石同期モーターの基礎から設計・制御まで~

著者:森本茂雄、真田雅之

発行:科学情報出版

 省エネモーターの開発・設計に携わる研究者・技術者へ。同書は、PMSM(永久磁石同期モーター)を中心に基礎事項や現場で生きる実践的な内容を網羅しているので、スムーズに技術を習得できる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「トコトンやさしい半導体パッケージとプリント配線板の材料の本」(髙木 清、大久保利一、山内 仁、長谷川清久、村井 曜著/日刊工業新聞社)

2023-08-03 09:33:40 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:トコトンやさしい半導体パッケージとプリント配線板の材料の本

著者:髙木 清、大久保利一、山内 仁、長谷川清久、村井 曜

発行:日刊工業新聞社(今日からモノ知りシリーズ)

 半導体パッケージやプリント配線板はその多用化、高機能化、環境への配慮などが進み、次々と新しい基板材料が登場している。同書ではそれらについて、製造工程で使われるプロセス材料なども含めて、基礎知識、技術動向、特性、将来展望などをやさしく紹介。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「基礎電磁気学」(細川敬祐著/東京化学同人)

2023-07-21 09:36:16 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:基礎電磁気学~電磁気学マップに沿って学ぶ~

著者:細川敬祐

発行:東京化学同人

 概念の相関地図を使って電磁気学を学ぶ新しいスタイルの教科書。・電磁気学マップで俯瞰的に全体像を捉えることができる・豊富な図から物理量や物理法則のイメージがつかめる・マクスウェル方程式まで最短距離で到達できる・静電界と静磁界の“つくり”を意識することで理解が進む。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「カラー版 目で見てナットク!はじめての鉛フリーはんだ付け作業」(野瀬昌治著/日刊工業新聞社)

2023-07-14 09:34:09 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:カラー版 目で見てナットク!はじめての鉛フリーはんだ付け作業

著者:野瀬昌治

発行:日刊工業新聞社

 はんだ付け作業時にトラブルが起こりやすい、鉛フリーはんだの作業について、カラー写真で解説。実際の作業の流れを見ながら解説していくので、作業のポイントがわかりやすい。鉛フリーはんだのトラブルを解決する一冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ゼロからよくわかる! Arduinoで電子工作入門ガイド<改訂2版>」(登尾徳誠著/技術評論社)

2023-07-07 09:33:57 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:ゼロからよくわかる! Arduinoで電子工作入門ガイド<改訂2版>

著者:登尾徳誠

発行:技術評論社
 
 Arduinoによる電子工作の入門書。プログラミングも電子工作もはじめてという人に向けて、Arduinoの使い方を解説。書籍の前半では、基本となる入力と出力の制御方法を解説。LEDランプやスイッチなどのよく使う部品を用いながら、手を動かして学ぶ。後半では入出力の命令をさらに発展させる方法を紹介。イルミネーション、ミニ扇風機、インターネットとの連携、そして「しゃべるラジコンカー」といった、やりごたえのある作例に挑戦できる。さらに、小型のバリエーションであるArduino Nanoの使い方も付録で掲載。小さいボードならではの電子工作の楽しみを体験できる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「半導体立国ニッポンの逆襲」(久保田 龍之介著/日経BP)

2023-06-30 09:35:01 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:半導体立国ニッポンの逆襲~2030復活シナリオ~

著者:久保田 龍之介

発行:日経BP

 2022年11月11日。この日、初めて公となった新会社ラピダスは、日本半導体復権のけん引役となるべくして生まれた。その使命は、日本国内で最先端半導体を量産し、過去30年の遅れを取り戻すことである。2027年の実現を目指す。設立から5年後に量産開始――。字面から受ける印象以上に、その目標の達成は難しい。日本が世界において半導体製造の最先端にいた30年前は、もはや遠い昔。人も製造のノウハウも日本にはほとんど残っていない。そこで、日本政府が資金援助も含めてラピダスを全面的にバックアップし、米IBMからノウハウを導入するのだという。しかし、IBMは量産技術を持たない。たとえ量産にたどり着けても、そこから先がさらに重要だ。量産はできたが「お客はいなかった」では未来がない。世界中で争奪戦が繰り広げられる半導体人材の確保も頭の痛い問題だ。果たして、あと5年でこうした課題をクリアし、再び半導体立国として復活できるだろうか。同書では、半導体業界の現在の姿、ラピダス設立の裏側にある日米の思惑、失敗続きの国家プロジェクトなどをひもときながら、日本半導体の未来を見通す。【目次】 数字で分かる半導体世界情勢 知っておきたい半導体用語 プロローグ  第1章 ラピダス、始動 第2章 経産省が描く復活シナリオ 第3章 死んだ自由貿易 第4章 米国が狙う新サプライチェーン 第5章 「国プロ」の黒歴史を越えて 半導体重大事件年表 おわりに
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