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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「スピン流は科学を書き換える」(齊藤英治著/集英社インターナショナル)

2024-12-30 09:35:25 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:スピン流は科学を書き換える

著者:齊藤英治

発行:集英社インターナショナル

 日本がリードする科学の最先端。電子には「電荷」と「スピン」の二つの性質があるが、私たちはその一方の「電荷」だけを電気として利用してきた。近年のナノテクノロジーの成熟により、磁石の源になる「スピン」が流れることがわかると、微小世界の新しい物理法則の開拓と、従来の法則の修正までもが急務になった。スピン流の物理学の確立は、量子コンピューターを含むIT、エネルギー、センシングなど、さまざまなテクノロジーを次のフェーズへ後押しするとともに、暗黒物質の検出や幻のマヨラナ粒子の発見など、科学の未解決問題の突破口を開く可能性さえ秘めている。【目次】第1章 スピンとは何か 第2章 電荷が流れる電流、スピンが流れるスピン流 第3章 利用するためには計測を 第4章 スピン流の物理学が始まる 第5章 物質の性質をコントロールする 第6章 トポロジカル絶縁体は実在するか 第7章 スピン流で新たな物理法則が拡がる 第8章 スピン流は社会をどう変えるか【著者】齊藤英治 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授。1971年、東京都生まれ。博士(工学)。東京大学工学部物理工学科卒業、同大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。東北大学金属材料研究所教授などを経て、2018年から現職。科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)」研究総括。日本学術振興会賞など多くの賞を受賞。著書に『スピン流とトポロジカル絶縁体』(共著 共立出版 2014年)など。


 <お知らせ>2024年は、12月30日(月)で終了いたします。2025年は、1月6日(月)から開始します。新年が皆さまにとって良い年になりますように。 勝 未来 
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◇科学技術書・理工学書<新刊情報>●「半導体物理学」(中山正敏、塚田捷、名取研二、名取晃子、齋藤理一郎、福山秀敏著/裳華房)

2024-12-05 09:45:15 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:半導体物理学

著者:中山正敏、塚田捷、名取研二、名取晃子、齋藤理一郎、福山秀敏

発行:裳華房
 
 同書は、半導体をテーマとする多くの教科書では十分に扱われることの少ない、半導体の「物理」の基礎をていねいに記述し、さらに、半導体物理の研究の最前線までを紹介することを目的とした本格的な書。『「半導体とは何か?」について学習するなかで、現代物理学の基本とその基礎の上に成立する半導体デバイスの本質に触れ、半導体の科学と技術のさらなる飛躍への意欲を抱いていただけるとしたら、著者一同のこの上ない幸せである』(「まえがき」より)【目次】1.序論──半導体とは 2.電子状態と量子力学 3.結晶格子と格子力学 4.金属・半導体・絶縁体の電子論 5.電子の輸送現象 6.半導体の分光物性 7.半導体デバイスの物理 8.2次元電子と2次元物質 9.半導体研究の新展開「広がる半導体の世界」
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ラズパイ5対応 カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作」(金丸隆志著/技術評論社)

2024-10-28 09:42:14 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:ラズパイ5対応 カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作

著者:金丸隆志

発行:技術評論社 

 ラズパイを使った電子工作の基本から応用までが、この1冊でまるわかり。「演習プログラムのダウンロードサービス」と「公式のパーツセット」を用意してあるので、どなたでもすぐに始められ、手を動かして体験しながら学習できる。【同書で学べる主な演習】LEDの点滅(いわゆるエルチカ)、タクトスイッチを使ったLEDの点灯と消灯、タクトスイッチを使ったカメラシャッター操作やMP3ファイルの再生,ラズパイ本体のシャットダウン、フォトレジスタを使った周囲の明るさによるLEDの制御、半固定抵抗を使った音声のボリューム変更、温度をLCDに表示するデジタル温度計、RGBフルカラーLEDの明るさや色の制御、DCモーターやサーボモーターの制御、PCやスマホ,タブレットからのLEDやモーターの制御、キャタピラ式模型の遠隔制御
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「エヌビディア」(津田建二著/PHP研究所)

2024-10-23 09:36:59 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:エヌビディア~半導体の覇者が作り出す2040年の世界~

著者:津田建二

発行:PHP研究所

 半導体業界で独走するエヌビディアは時価総額3兆ドルを記録。今後、私たちにどのような影響を与えるのか、世界中に広がる技術を解説。①いきなり世界トップの企業になったのはなぜ? エヌビディアの強みは、ハード(GPU)だけではない。ソフト(CUDA)、加えてシステム化するために必要な技術を盛り込んだソリューション全てを提供するプラットフォーマー。②日本の半導体産業が凋落した意外な理由。これまで、メディアでは「日米貿易摩擦によって米国に潰された」「政府がバックアップしなかった」と報じられてきたが、半導体にかかわる人たちは、まったく違う見方をしていた。③これから、AI社会の未来はどうなる?あらゆる技術が開発され、現在エヌビディアは世界各国の政府や民間企業1137社と提携して事業を展開中。どのようなことに使われ、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。④時価総額世界一の“化け物”は、何を考えているのか?CEOのジェンスン・ファン氏は、10年単位でものを考える人物。少数精鋭の“熱狂するエンジニア”集団の活躍が、私たちの未来を変えていく。【著者】津田建二 国際技術ジャーナリスト、News & Chips 編集長。主な著作:『知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな』『欧州ファブレス半導体産業の真実』(以上、日刊工業新聞社)
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●科学技術ニュース●NIMS、ネオジム鉄化合物磁気物性値を上回る特性を持つレアアース新規磁石化合物の合成に成功

2024-10-23 09:35:54 |    電気・電子工学
 物質・材料研究機構(NIMS)は、ネオジム磁石を構成するネオジム鉄化合物磁気物性値を上回る特性を持つSmFe系新規磁石化合物SmFe8.8N1.1の合成に成功した。

 持続可能な社会の実現のために二酸化炭素排出量の低減が求められている。そのため多くの機器の電動化が進んでおり、駆動モータの高特性化が求められている。

 ネオジム磁石は、Nd2Fe14Bというレアアース・鉄・ホウ素の化合物で作られているが、それが強い磁力を発生するために電動自動車の駆動モータとして多く使われている。

 しかし、ネオジム磁石は、電動自動車の動作温度である高温での特性が悪く、ジスプロシウムなどの重希土類元素を添加することで熱減磁を補っていた。

 ネオジムやジスプロシウムは、サプライチェーンリスクが大きいため、これらの元素を使わない磁石化合物の探索が望まれていた。

 TbCu7型の結晶構造を持つSm-Fe(1-7系)化合物は、Fe濃度をSm:Fe=1:10まで増加させることが可能なため高い磁化が期待される。

 しかし、安定相であり異方性磁界が非常に大きいTh2Zn17型Sm2Fe17(2-17系)化合物が1-7系化合物組成の近くに存在するために、1-7系は注目されてこなかった。

 今回の研究では、Sm-Fe(1-7系)化合物をベースにFe濃度を増加させたSmFe8.8N1.1化合物の単結晶薄膜の合成に成功し、その磁気物性値を測定したところ、世界最強の磁石材料とされるNd2Fe14Bを凌ぐ磁気特性、室温で非常に高い異方性磁界(約22 テスラ)、より高い飽和磁化(1.64テスラ)、高いキュリー点(770ケルビン)を持つことを発見した。

 過去のSmFe7系合金粉の報告例では、信頼性の高い磁気測定ができなかったが、今回単結晶膜を作製することにより、その磁気特性が従来の化合物よりも極めて高いことが実証された。

 この化合物の磁気特性は高温でNd2Fe14Bを凌ぐことから、この化合物で磁石をつくることができれば、サプライチェーンの懸念のあるネオジムやジスプロシウムを使わなくても優れた磁石特性が得られると期待される。

 また同化合物は、レアアースの精製過程で生じる副産物であるサマリウムを用いていることから、レアアースのバランスの取れた利用の促進につながる。さらに高価なホウ素を必要としないために、資源的・価格的に有利な化合物と言える。

 今後、実用的な磁石の実現に向け、SmFe8.8N1.1を粉で大量に作る方法や、その粉を磁石の形に固めていくプロセスを開発していく。

 同研究は、NIMS 磁性・スピントロニクス材料研究センターのA.R. Dilipan NIMSジュニア研究員、高橋有紀子グループリーダーらによって行われた。同研究は、文部科学省データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業JPMXP1122715503の助成を受けたもの。<物質・材料研究機構(NIMS)
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「スピントロニクス―応用編―」(鈴木義茂、久保田 均、野﨑隆行、湯浅新治、中谷友也著/共立出版)

2024-10-17 09:34:55 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:スピントロニクス―応用編―

編者:日本磁気学会

著者:鈴木義茂、久保田 均、野﨑隆行、湯浅新治、中谷友也

発行:共立出版

 同書は、同シリーズ基礎編の続編として書かれたスピントロニクスの応用編である。物性物理学とエレクトロニクスの諸分野を取り込みながら急速に発展してきたスピントロニクスを、理系大学の一般教養程度の知識で読み解くことができるように書かれた入門書である。専門用語が多く他の分野からは分かりにくいと思われがちなスピントロニクスを、基礎から順を追って分かりやすく解説している。電磁気学・量子力学の基礎などの基礎的な予備知識については付録を多く設けて独学できるように工夫している。量子力学については、相対論的量子論や第二量子化、グリーン関数などの高度な予備知識は必要としない。そのような予備知識がなくても付録を参考にすることにより最先端のスピントロニクスの理解に到達できるように工夫している。大学の講義に使用できるように本文の内容をできる限り短く抑え、付加的な知識や基礎となる理論については付録に収めた。また、応用編として、実際にこの分野の研究・開発の携わる人の役に立つように実験技術の記述・実験データの解析に必要な具体的な表式の理解と導出、さらに解析や設計に必要な物性値の具体例を多く挙げることに努めた。このことにより実用的な書物になっている。
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●科学技術書・理工学書●「日本半導体物語」(牧本次生著/筑摩書房)

2024-10-14 09:41:51 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:日本半導体物語~パイオニアの証言~

著者:牧本次生

発行:筑摩書房(筑摩選書)

 1955年にトランジスタラジオをソニーが商用化して以降、日本の半導体産業は次第に地力をつけ、80年代末には世界トップの市場シェアを獲得した。だがその後、日米半導体摩擦の影響を受け弱体化が始まり、摩擦が収まった後も日本半導体の市場シェアの低落傾向は続いて今日に至っている。この栄枯盛衰のドラマの裏側には技術者たちの奮戦があった。日本の「ミスター半導体」と呼ばれ、生涯を半導体とともに歩んできたレジェンド技術者が語る、業界の内側から見た日本の半導体開発70年史。【著者】牧本次生 1937年、鹿児島県生まれ、ラ・サール高校卒業。東京大学工学部卒業、スタンフォード大学電気工学科修士、東京大学工学博士。日立製作所に入社し、半導体事業部長、専務取締役などを務めたのち、ソニー執行役員専務、半導体産業人協会理事長などを歴任。半導体産業における標準化とカスタム化のサイクル現象は「牧本ウェーブ」と名づけられた。1996年、日米半導体協定の終結交渉代表を務める。著書『デジタル革命』(共著、日経BP社、1996年)、『デジタル遊牧民』(共著、工業調査会、1998年)、『一国の盛衰は半導体にあり』(工業調査会、2006年)、『日本半導体 復権への道』(ちくま新書、2021年)など。主な受賞は市村賞(1973年)、ベルウェザー賞(2004年)、グローバルIT賞(2013年)、IEEEロバート・ノイスメダル(2018年)など。
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●科学技術ニュース●NTTアノードエナジーなど、エネルギーグリーン化のための電力流通モデル「Internet of Grid プラットフォーム」を開発

2024-10-02 09:39:23 |    電気・電子工学
 NTTアノードエナジー、大崎電気工業、NEC、NTTテクノクロス、三菱電機、NTTデータ東北、NTTテレコンおよびACCESSは、再生可能エネルギーが主流となるエネルギーグリーン化社会を支える新たな電力流通モデルとなる Internet of Grid プラットフォーム(IoGプラットフォーム)を開発した。
 
 また、今回開発した「IoGプラットフォーム」を用いた実証を、9月から岐阜県加茂郡八百津町において行う。

 具体的には、八百津町施設及び蓄電池を設置したNTT施設敷地内にスマートメーターを設置し、スマートメーターで計測した電圧等の潮流データについて「IoGプラットフォーム」内にある「潮流マネジメントシステム」で把握・管理を行い、電圧上昇の状況に応じて蓄電池を制御して電圧上昇の抑制を図る。

 「IoGプラットフォーム」は、電力系統の潮流データを把握する仕組みと、再生可能エネルギーの発電量が増え電力系統の電圧上昇や電流容量が大きくなった場合にこれらを抑制するための蓄電池とで構成される。
 
 電力系統の潮流データ把握は、新規開発したスマートメーターにより実現する。

 このスマートメーターは、電力計量部はそのままだが、通信部に新機能を追加することで、系統電流や電圧等の潮流データを把握することが可能となった。

 これにより、今まで想定が難しかった配電系統における再生可能エネルギーの連系可能量がより正確に把握できることになり、再生可能エネルギーの導入拡大に繋がる。
 
 晴れの日の昼間等、再生可能エネルギーの発電量が増えると、電力系統の電圧上昇や電流容量が大きくなり設備許容値を逸脱するリスクが発生する。

 このような事象が潮流データから予見された場合、「IoGプラットフォーム」の蓄電池を充電して電圧上昇や電流容量を抑制する。

 これにより、再生可能エネルギーの発電量や連系可能量の増加に繋がる。
 
 なお、「IoGプラットフォーム」の蓄電池はこれらの活用に加えて、夜間等には蓄電池に充電した電力を電力取引市場(卸電力取引市場、容量市場、需給調整市場)等に活用することができ、ブラックアウト等の非常時には代替供給力となる非常時マイクログリッドにも活用できる。
 
 また、電気給湯器やEV充電器等で標準化されているECHONETLite(エコーネットライト)等の通信対応機器であれば、HEMS等の機器を介さなくても監視・制御等が可能となる環境を新規開発したスマートメーターに搭載し、需要家向けエネルギーサービスのハブ機能としてスマートメーターを活用できるようにした。

 これにより、電気給湯器やEV充電器等の電気については再生可能エネルギーを利用しやすくなる。
 
 このように「IoGプラットフォーム」は、スマートメーターをハブとしてエネルギーデータをインターネットインフラにあげて蓄電池や需要家リソースを制御する仕組みであり、電力インフラに通信を融合させたプラットフォーム。

 エネルギーグリーン化社会において、再生可能エネルギーを増やし、再生可能エネルギーを利用しやすい新たな電力流通の基盤として、「IoGプラットフォーム」は活用できる。<NTT>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ネットオーディオのすすめ」(山之内 正著・講談社)

2024-09-26 09:43:02 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:ネットオーディオのすすめ~高音質定額制配信を楽しもう~

著者:山之内 正

発行:講談社(ブルーバックス)

 CDをはるかに凌駕する音質で、話題になったネットオーディオ。しかし、割高な価格とダウンロードのわずらわしさから一部のマニアにしか支持されなかった。それが、高音質定額制配信サービスの出現で、大きく変わろうとしている。月々のわずかな料金で、CDをはるかに凌駕する音質の1億曲のライブラリーが聴き放題になる。同書は、初めてネットオーディオに挑戦するオーディオファン・音楽ファンを対象に機材の選び方から、煩わしいネットの設定まで、具体的に分かりやすく解説。【目次】第1部 ネットオーディオのすすめ 第1章 ネットオーディオとは? 第2章 高音質音楽配信=ロスレス&ハイレゾ配信の楽しみ方 第3章 再生機器の変化と進化 第4章 ストリーミングサービスの選び方 第2部 クイック・スタート・ガイド 第5章 ネットワークプレーヤーの選び方 第6章 機材運びの基礎知識 第7章 ネットオーディオの設定 第8章 高音質ストリーミングのセッティング 第9章 「Roon」の設定と使いこなし 第10章 ネットオーディオのバリエーション
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●科学技術ニュース●NTTと東京工業大学、光のトポロジカル相転移を世界で初めて実現し新機能光集積回路につながる新しい光制御を開拓

2024-09-19 09:32:09 |    電気・電子工学
 NTTと東京工業大学理学院物理学系の納富雅也教授らの共同研究チームは、相変化物質と半導体の特殊なハイブリッドナノ構造の実現により、物質の相転移によって世界で初めて光のトポロジカル相転移を引き起こすことに成功した。
 
 1996年にノーベル物理学賞が授与された固体のトポロジカル物性の原理が、近年ナノ構造中の光に適用され新しい光の自由度として活発な研究が進んでいるが、これまで光のトポロジカルな性質は構造に固定され、作製後には変更することができなかった。

 同成果では、物質の相転移を利用して、構造作製後にオンデマンドに光のトポロジカル相を切り替えられることを実証した。

 この成果は、物質の相転移と光の相転移を結び付けた新しい学術分野の創造につながるとともに、光のトポロジカルな性質を利用した再構成可能な新機能光集積回路の実現により、光を用いた高度な情報処理基盤の開拓につながるもの。

 Ge2Sb2Te5(GST)は、よく知られた相変化材料の一つで、温度や光パルスによって結晶相とアモルファス相という異なる結晶構造の間で相転移が起き、屈折率が大きく変化することから、書き換え可能なDVDなどで実用化されている。

 相転移を起こしたあとその状態は無電源で保持されることから、近年GSTの相転移を用いた光メモリや光回路の研究が活発化している。

 同研究では、このGSTをシリコンフォトニック結晶の上に装荷することで、GSTの相転移によりフォトニック結晶に大きな屈折率変化を与えて、光トポロジカル相転移を引き起こすことを狙った。つまり、物質の相転移によって、光の状態の相転移を引き起こすことを狙う。

 ただし、GSTをフォトニック結晶の上に一様に成膜しただけでは、チャーン数を変化させることはできない。そこでNTTと東工大の研究グループでは、詳細に構造中の光状態を分析することにより、特殊な配置でパターニングしたGSTをシリコンフォトニック結晶の上に装荷することで、光トポロジカル相転移を引き起こせることを発見した。

 この特殊な構造では、GSTが結晶相からアモルファス相に相転移すると、フォトニック結晶のバンド構造が反転し、光の状態がノーマル相からトポロジカル絶縁相へ相転移する。このような原理はこれまで知られていなかった。

 GSTは光パルスによって相転移が可能であることから、今後光パルスによる光トポロジカル相転移の実現をめざす。また、この光トポロジカル相転移現象を用いて、チャーン数が変化する境界を作り、オンデマンドで再構成可能な光導波路を実現する予定。

 またさらに、これらの技術を用いて再構成可能な光回路への応用を狙い、最終的にはこのトポロジカルな性質による光の新たな自由度を活用して光による大容量の情報処理に適用し、情報処理基盤の高度化に寄与することをめざす。<NTT>
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