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独立行政法人

 愛知県では昨日梅雨が明けた。例年よりも2週間も遅いようだが、残念なことに夏空は長続きせず、ゲリラ豪雨に襲われることもあると予想されているので、ひょっとしたら夏らしい夏を味わえるのはほんの数日のことになってしまうかもしれない。
 と言っても、日曜日の出来事はまだまだ続く。


 長良川河口堰が見える所までたどり着いた頃にはそれまでの豪雨が嘘のようにピタッと止んでしまった。まったく気まぐれな天気だ。河口堰が本当に必要かどうか今でも疑問に思っている私であるが、これだけ大掛かりなものができてしまった以上、私などが疑義を呈しても仕方がない。雨も上がったことだし車を停めて巨大な建造物を眺めようかと思っていたら、「アクアプラザながら」という建物があるのに気付いた。
 「これってワイドショーでよく問題にされる独立法人のムダな建物の一つじゃない?」
 「う~ん、そうかもね。テレビ朝日がよく特集組んでるよな、税金の無駄遣いの象徴だって・・」
 「そうそう。たしか水資源機構とかいう独立行政法人だったと思うけど。このアクアプラザの写真も見た覚えがあるんだけどなあ・・」
 「そりゃあ面白い。ちょっと寄ってみるか。入場無料って書いてあるし・・」

 

 ガラガラの駐車場に車を停めて建物の中に入ったが、入り口に職員の女性がポツンと座っている。入館者は私たちの他に1組の男女がいるだけ。ガランとした館内はただパネルがいくつか並べられていて、河口堰がどうして必要なのかとか、河口堰の役割などを一生懸命説明しようとしているだけで、展示に何の工夫も感じられない。これじゃあ私たちのような冷やかし半分の者たちしか集まって来ないだろう。まるで意欲が感じられず、建物の存在理由が全く分からない。こんなムダとしか思えない施設にも、どこかの役所から天下った館長がいて、その下で何人かの職員が働いているのだろう。しかし、こんな退嬰的な所でいったい毎日何をしているのだろう、暇で仕方ないだろうに、と要らぬ心配までしてしまった・・。
 ワイドショーには「いい加減にしろ!」と言いたくなるレポートもよくあるが、核心を突いた報道をすることも時々ある。要はTVの報道を鵜呑みにするのではなく、自分の目や耳を使って確かめることが必要なのだろう。そういう意味で、このところ槍玉に挙げられることの多い独立行政法人の問題点を実地に見た思いがして、この施設への訪問はなかなか有意義だった。
 などと偉そうなことを思いながら館を出た。5分足らずで見学を打ち切ったのは河口堰を歩いて対岸まで行けると聞いたからだ。それなら、少し歩いてみるかと意気込んでみたが、対岸まで800mほどあるらしいから、とてもそんなに長くは歩けない。100mほど行ったところで引き返したが、もうそれだけでも十分な運動だった。

 

 堰の上から見た長良川は大水ではちきれんばかりになっていた。それでもこれだけ大きな建造物の上にいると、何も怖くなかった。これだけを見れば人間の力はすごいものだと思ってしまうが、そんな簡単なものでは決してないことだけは肝に銘じておかねばならない。
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