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君子蘭

 春の終わった頃に、妻が鉢植えを買ってきた。花は散った後で濃い緑の葉ばかりの君子欄。
「350円だったから買ってきた」
とは言うものの来年うまく花が咲くとは思えない。観葉植物のつもりならいいか・・、そんなことが頭を掠めたきり、その鉢のことなど一切忘れていた・・。ところが10ほど前、何気なく玄関に置いてあったこの鉢を見て驚いた。花芽がついている!!


「いつの間に?」と問う私に、妻は嬉しそうに、
「すごいでしょう。まさか今頃咲くなんて思ってなかったけど」
「350円だろう、これ。すごくいい買物だったなあ」
「毎日せっせと世話をしたんだけどね」

 その日から毎日君子蘭を見るのが楽しみになった。君子蘭がどんな花をつけるのかまったく知らなかった私にとっては、興味津々の毎日だった。

 
つぼみがいくつもできて、順番に咲いてくる。オレンジ色の可憐な花だ。大きな葉の緑とのコントラストが絶妙だ。


 冬場にシンビジュウムの花芽がなかなか咲かなかったことを思えば、この君子蘭の開花はいたってスムーズだ。毎朝見るたびに開いた花の数が増えていく。

 

 これが3日前。もう満開も近い。毎朝妻が屋外に出しているが、梅雨明けした夏の強い日差しにも遜色のない花だ。可憐に見えて案外強い花なのかもしれない。


 そしてこれが昨日の姿。ほぼ満開だ。小さな花でもこれだけ集まるとやはり豪奢だ。350円でこれだけの花を咲かせるなんて実にすばらしい。もちろん花の価値をお金に換算などできるはずもないが、半ば捨てられたような鉢がこうやって立派に花を咲かせるのだから、やはり自然の不思議は人知を超えた計り知れないものがある、などと言ったら、ちょっとばかり誇張になってしまうか・・。
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