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タンタンたぬき

 小5の男の子が夏休みの日誌で音楽を教えて欲しいと言う。音楽なんてよく分からないけど、まあ、分かるだけ教えてやろうと思って問題を見た。


この音符の「リズム読み」を、下にある〔例〕にならって書け、という問題である。
 こんなものは音楽の知識がなくたってできる、簡単だ。「鼻歌」交じりに
「ターアー、タン、タン、 タッカ、タッカ、タン、タン、 タン、タタ、ターン、タ ターアーアー(ウン)」
と教えた。すると、
「じゃあ、曲名は?」
とその次の問題の答えを求めるから、もう一度「ターアー、タン、タン・・・」と口ずさんでみたが、いつの間にか「タンタンたぬきの・・・」と、あの懐かしい歌に入れ替わってしまった。授業中にまずかったかな・・、と生徒の顔をそっと見たが、何の反応もない。「おかしいな?」と訝しく思って、その男の子に、
「この歌知らない?タンタンたぬきの○○○○は・・」とちゃんと○は伏字にしてたずねてみた。
「知らないよ、そんな歌」
「えっ、ほんとうに知らないの?」
すると、他の子供たちも
「知らない」「聞いたことがない」
と口々に言い始めた。
私はまさかこの歌を知らない子供がいるなんて思ってもみなかったので、
「タンタンたぬきの○○タマは、風に吹かれてブ~~ラブラ」
と、もう少し核心に迫る歌詞で歌ってみたが、反応は同じだった。すると○○に入る言葉が何かに気づいた男のが、
「下ネタじゃん!」
と叫ぶものだから、一気に子どもたちのボルテージが高まり、暫くはワイワイガヤガヤうるさかった。小学生と言っても女の子もいるわけだし、バカな歌を歌っちゃったな、と少しばかり後悔した・・。

 だが、確かに下ネタなんだろうけど、余りに人口に膾炙した(と勝手に思い込んでいた)歌なので、日本人なら誰でも知っているものとばかり私は思っていた。今までこんな歌を生徒の前で歌ったことがなかったから、気づかなかっただけで、この歌を知らない世代がいつの間にか私の知らないうちに増殖していたようだ。う~~ん、びっくり・・。
 しかし、ここまでは小学生を相手にした話なので、中学生か高校生くらいなら知っているかもしれない、ちょっと調べてみようと思ったが、おおっぴらにこの歌を歌って、「これ知ってる?」と言えるような類の歌ではないから、そう簡単には行かない。下手に女の子に聞いたりしたら、セクハラだと言われかねない。なので、生徒の中でも長く塾に通っていて、お互いに気心の知れた生徒の何人かに改めて尋ねてみた。しかし・・、
 見事に誰も知らなかった。中学生は言うまでもなく、高校生も誰一人知らなかった・・。なぜ?
 彼らの親は私と大して年代が違わないだろうから、ほとんどすべての親は知っているはずだ。だとすれば、親たちが子供にこの歌を歌って聞かせたことがない、と言うことになるのか。決して下ネタなどではなく、性をおおらかに歌い上げた名曲だ、と私など思うから、堂々と子供たちに教えてもいいんじゃないだろうか。もしこの歌がいつの間にか忘れ去られてしまうとしたら、それは日本の文化の損失だ、とまで私は思ってしまうが、どうなんだろう・・。

 「タンタンたぬきの歌」とでも名を付けて保存会を立ち上げようかな・・。


PS.ところで、写真の音階の曲の題名は何でしょうか?




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