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京大入試

 『京都大で25、26日に実施された前期日程の2次試験で、数学と英語の入試問題が、試験時間中にインターネットの質問掲示板に投稿され、第三者が回答していたことが26日分かった。いずれも試験開始7分後から、数学は文系の問題すべてが流れ、英語は問題の一部だった。京大は入試問題が漏えいした可能性があるとみて調査を始めた。同じ投稿者名で早稲田大、立教大、同志社大の入試問題でも同様の投稿があり、回答があったことも分かった。
 入試問題が投稿されたのはインターネットで質問を投稿し、見た人が回答する掲示板「ヤフー知恵袋」。
 京大文系数学の入試時間は25日午後1時半から同3時半。問題の投稿は同1時37分に始まり、1問ずつ紹介し「解答だけでなく途中計算もよろしくお願いします」と同2時11分までに6回ですべての問題を書き込んだ。全問題への回答が掲示板に寄せられ、うち4問は試験時間内だった。
 英語の試験時間は26日午前9時半から始まり、投稿は同37分と同45分の2回。1問目には同9時43分に回答が寄せられた。
 投稿者は掲示板で「aicezuki」と名乗り、年齢などは非公開。携帯電話からアクセスした形跡があった。他大学では早稲田大文化構想学部の英語の問題で今月12日に回答を求めるなどの投稿と回答が残っていた。
 京大によると26日午前11時半ごろ、学内関係者を名乗る電話があり、調査を始めた。投稿に使われたとみられる携帯電話について入試会場では、受験生に電源を切ってかばんの中にしまうよう指示。受験生の途中退席は認めず、トイレにも同行するとしており、報道機関への問題提供も試験終了後だという。
 京都府警の捜査関係者は漏えいが、入試の公正さを害して大学の業務を妨げる、刑法の偽計業務妨害などの犯罪に該当する可能性があると指摘している』【毎日JP】
 
 母校・京大の不始末と言って笑って済ますことができない事情がある。それは、小学校からずっと私の塾に通い、中学校・高校と一生懸命勉強してきた子が、京大入試に挑んだからだ。なんだかんだ言ってもやはり京大は難関だ。小学生の頃から私のような不出来な卒業生を目の当たりにしながらも、あえて京大を受験しようと志した彼の思いが実るよう、私の出来る限りのことはしてきたつもりだ。センター試験は足きりにしか使われない学部であるため、二次試験の勉強を中心にやってきたにもかかわらず、やはり実力が飛びぬけているのだろう、ある程度の点数はとれた。ただ、物理と化学の点数が思いの外悪かったので、2次試験にむけて重点的に勉強するよう注意をしておいたが、根が素直な子だけあってセンター終了後1か月、本当によく頑張ってくれたと思う。十分合格圏内に入ったものと思って、二次試験の結果を楽しみにしていたが、彼の手応えを聞く前にこんなニュースに接してしまうと、彼の頑張りが否定されたような気持ちになって、甚だ面白くない・・。

 いくら独立法人となったとは言え、京大は京大である。私が学生だった頃、こんなに緩い大学は他にはないだろうと思っていた。なにせ私は1・2回生の頃はまるで大学に行かず、3回生で卒業に必要な教養と学部の単位を取った者であるから、運よく同窓となった娘に対しても、いい加減なことしか言っていなかったため、それを真に受けて単位習得に苦労したというオチは苦笑するしかない。
 だが、それも大学に入学してからの話で、合格に至るまでは、私も娘もそれなりに努力してきたと思う。それなのにネットを使って、簡単に合格答案を作成しようとするなんて、とても許されるものではない。一体どういう考えで、そんな暴挙に及んだのか、問い正してみたい。ちゃんと勉強していればそんなバカなことはしないはずなのに・・。

 しかし、今の世の中、思いもかけぬことが起こるもんだなあ・・・。
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ジオラマ(18)

 とうとう「鉄道模型 少年時代」が75巻の完結を迎えた。1号が発売されたのが09年の8月20日だから、ここまで来るのに1年半かかったことになる。本来なら、完成したジオラマの写真をでかでかと飾って、今までの労をねぎらいたいが、あいにく65巻から先が未だ作ってないので、そういうわけにはいかなかった。仕方のない事情はあったにせよ、やはり残念だ。ここは一念発起して、なるべく早く完成させなければいくらなんでも勿体ない。
 「よしっ!!」
と気合を入れ直して、65巻から作ってみた。
 
 「神社・駅周辺の人々を設置する」ために、8号付属の駅周辺の人々のフィギュアと65号付属の神社の人々、合計24体を接着した。一応、冊子のマニュアルに従って配置していった。多目的ボンドで接着しても、しばらくすると倒れてしまうものもあり、なかなか大変だった。
 その後、66号は「農家の人々を配置する」、67号は「祭りの人々を配置する」、68号は「小学生と先生を配置する」、69号は「高校生を配置する」、70号は「観光客を配置する」。基本的な配置は指示があるからその通りにしていけばいいのだが、時々自分なりの配置がしたくなる。特別な物語を表現しようとは思わないが、オリジナルなジオラマを作りたいという気持ちもそれなりにあるので、所々は私なりのアレンジを入れていった。
 その結果、こんな風になった。



 

 

 

 久しぶりに細かな作業を中腰で行ったため、腰が痛くなってしまった・・。
 フィギュアがあまりに多いため、途中で何度もイヤになってしまったが、完成したいという一心でなんとか挫けずに頑張ることができた。あとは71巻から最終75巻まで。なんとか2月中に完成させたいと思っている。 
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立ち枯れ・その後

 昨年8月21日の記事に、立ち枯れた大木のことを書いた。その際、

>ほぼ毎日通る山間の県道脇に一本の立派な木が立っているが、無残にもすべての葉が茶色くなってしまって、今にも裸になってしまいそうだ。幹の直径が1m近くあるこの大木がこのまま立ち枯れてしまったら危険だろう、いつ倒れて来るのか分からない。

と書いたが、半年近く経った今のその木の様子はこんな感じだ。

 

 間違っていた、葉は落ちていない。茶色くなった葉は萎んだようには見えるものの、そのまま枝に付いている。遠くから見ると箒のように見えたが、近くでじっと見ていたら、死ぬに死ねない苦しみで木全体が呻いているように思えた。無残だ・・。
 思うに、落葉というのは、新しい葉に場所を譲るようなものだ。ある一定の時間を過ごした葉は、後進に道を譲るために枝を離れる。そうした代謝を繰り返すことによって一本の木として連綿と命を繋いで行くのだろう。かつてダイジェスト版を和訳した「葉っぱのフレディー」の趣旨もそんな内容だったように思う。
 だが、立ち枯れたこの大木には、落葉するだけのエネルギーが残っていない。新しい命の息吹などまるで感じられない。忙しく立ち働いていた者が、何の準備もないまま、突然の死に襲われ、屍だけをいつまでも晒さねばならない、そんな過酷さをこの大木から感じてしまう・・。

 各種報道で立ち枯れた木々の話題を見聞きするが、人手が足りず、何の手だても講じることもなく、放置されたままのケースが多いと言う。ボランティアで立ち枯れた木を伐採している所もあるそうだが、それも限られた地域でしかないようだ。我が市でもなにか対策は立てているのかもしれないが、なかなか伝わってこない。
 
 私としては、立ち枯れた木々を伐採して、なんとか成仏させてやりたいと思っているのだが・・・。
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オレオレ

 火曜日の夜、塾が終わって家に戻ったら、熱が出た」と息子から電話があったと妻が言った。「明日の朝、医者に行くって言ってたけど、インフルエンザだったら看病に行ってやらないと・・」「そりゃそうだな・・」と、私は妻が担当していてくれる生徒の送迎をどうするか、考え始めていた。「まあたぶん何とかなるから行ってやれよ」と結論してその夜は寝た。
 水曜の朝、10時少し前に妻の携帯に息子から電話がかかって来た。横で聞いていたら、インフルエンザではないようだったので、少しホッとして別の部屋に行った。10分ほどして台所に戻ったら、まだ妻は電話で話していた。だが、妻の顔が鬼のように険しい。「何事だ?」と聞き耳を立てたら、「100万だね。それでいいんだね」ととんでもないことを言って電話を切ったから、すぐに「どうした?」ときいた。すると、「人妻と関係して妊娠させたのが旦那にばれて、慰謝料を100万円要求されているんだって。支払い期限が今日の昼までだからお金を貸して欲しいって言うんだけど・・」と見れば、メモ用紙に口座番号が控えてある。示談交渉をしてくれた弁護士の口座なのだそうだ。「何だそれ?訳が分いからんぞ」「じゃあ、自分で電話して直截聞いてみて。携帯が壊れて修理に出してあるから、代わりの電話からかけて来てるんだけど・・」と言って、リダイアルボタンを押してくれたらすぐに通じた。
 「どういうことだ」「弁護士頼んで示談になったんだけど・・」「じゃあ、その弁護士と直接話すから電話番号を教えろ」「ダメなんだよね、登録した人しか電話ができない」「何だそれ、おかしいだろ、そんなの。どういう弁護士だ」「同僚が紹介してくれた弁護士」「同僚ってバイトのか?」「そう。他にも探したんだけど一番安かったから」「じゃあ、お前がその弁護士に電話して家に電話してくれるように頼んでくれ」「分かった・・」
 確かに風邪をひいているのだろう、ひどい鼻声で話が聞き取りにくかったが、かなり困った様子は伝わって来た。しかし、どうにもおかしい。登録した者としか電話で話さない弁護士がいるものだろうか?それに、いくらなんでも学生の親と連絡をとらずに示談交渉を進めるなんてありえない。「騙されているんじゃないか?」「美人局?」「そう。みんなでグルになって金を巻き上げようとしているとしか思えない」「弁護士からうちに電話がかかって来るんでしょう?」「そん弁護士、本物じゃないだろう、きっと。試しにネットで口座の名義人を検索してみてくれ。弁護士だったら名前くらい見つかるだろう」
 「ないなあ・・」「やっぱり怪しい。これは騙されているんだ。人妻と言ったって、そんな女遊びまくってる奴だろうから、もし妊娠したのが本当だとしても、誰の子どもか分かったもんじゃない。絶対危ない。お金は振り込んじゃダメだぞ」「でも、昼までだって言ってたし・・」「そんなのいい加減なことだ。よし、高校の同級生で弁護士やってるのがいるから、そいつに相談してみる。ネットで電話番号検索してくれ」不安と心配で居てもたってもいられないような顔をしていた妻はこの言葉にやっと落ち着きを取り戻したようで、すぐにHPを見つけ出してくれた。
 さすがに本物の弁護士だけあって、HPもきちんとしている。表示された経歴も間違いなく、古い同級生のものだった。さっそく電話した。本人は出張中で留守だったが、高校の同級生だったと告げると、受付けの女性が彼の携帯に連絡してくれると言ってくれた。
 すると、十分も待たないうちに電話がかかって来た。「久しぶり。分かるかな」「分かるよ。背の大きい人だよね」「そうそう、元気?」「元気だよ」と30年以上ぶりに話すのに、そんな時の隔たりなどなかったように話せるのも、やはり同級生ならではのことだろう。懐かしさがこみ上げてきたが、グッと堪えて、息子の不始末を話した。黙って聞いていた彼は。私の話が一段落した所で、「そんな弁護士はいないよ。何かトラブルに巻き込まれているかもしれないね。まずは、もっと状況が分かるように、すぐに君が東京にくべきだよ」「それが仕事でそういうわけにはいかなくて・・」「じゃあ、息子さんを帰ってこさせりゃいい。示談書みたいなものがあるなら、そうした物をすべて持ってくるように言って」「なるほど、そうか。こちらの土俵で相撲を取った方がいいものね。ありがとう、とりあえず電話してみる」
 すぐに妻が電話したら、夕方までには戻ると答えたそうで、すべてはそれからだと腹を括った。しかし、息子が電話したら「実家に電話する」と約束したはずの弁護士からはまったく電話がかかってこなかった・・。

 夕方になって、妻が息子に電話したところ、携帯が直ったからそれを取りに行ってから帰る、と返事をしたそうだ。妻が
「それと明日の夕方にお父さんの同級生の弁護士さんのところへ一緒に行って、相談に乗ってもらうことにしたから」と付け加えたら、「本当にそんなことしたの?」と言いながら電話を切ったそうだから、変だなと思ってまたすぐに電話したところ、「仕事中だから」と一言だけ言って切ってしまったそうだ。それからはずっと頭の中に疑念が渦まいてきて、どうにも我慢ができなくなて、修理から直って来ると言っていた、元々の息子の電話番号に電話をしてみた、すると、
 「どうしたの?」と元気な息子の声が聞こえてきて、「どうしたじゃないでしょう?いつまでぐずぐずしてるの?早く帰ってらっしゃい!!」と叫んだところ、「どういこと?まったく分かんない」という息子の言葉でハッと気付いたのだそうだ、騙されてた・・。
 「僕がそんなことするわけないじゃん」と叱られたそうだが、早々に電話を切って、私に内線電話で事情を教えてくれた。「えっ??」私も思わず絶句した。息子が騙されてる、と思っていたのに、本当に騙されていたのは私たちだったのだ・・・。だって、声は鼻声で違和感はあったものの、話し方やイントネーションが息子によく似ていたから、頭から息子だと思い込んでしまった・・。それと、ちょっとおバカな息子なら騙されることもあるんじゃないか、と直感で思ってしまったのもいけなかった・・。今になってよく考えてみれば辻褄の合わないことばかりだったが、電話で話している時は、何となく脈絡があっていて、「お前は誰?」などと少しも疑わなかったのだから、相手の方が1枚も2枚も上手だったのだろう・・。悔しい・・。

 実際のところ何の被害も受けなかったが、業腹な妻は警察署に電話して、すべて話したそうだ。「相手の電話番号と、口座番号が分かっただけでも、大手柄ですよ。ありがとうございます」と感謝されたそうだが、それも痛し痒しの話だ。私も生き恥を晒すようで、この顛末は記事にしようとは思っていなかったが、妻と警察とのやり取りを聞いて、こうやってバカな夫婦がひっかかりそうになったサギの手口を記事にすることで、これから先の被害を少しでも未然に防ぐことができたら、と思い直して、敢えて記事にしてみた。

 しかし、息子を信じてやれなかったのだから、本当にバカ・・。ダメ・・。

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美田

 チュニジアで23年間続いたベンアリ独裁政権が崩壊したのを皮きりに、エジプトを約30年にわたって統治してきたムバラク大統領が辞任し、さらには41年間もリビアに君臨してきたカダフィ大佐も政権の座から追われようとしている。この一連の動乱に大きな役割を果たしたのが、Facebook であり、Twitter であると言われているが、どちらとも縁のない私では、その影響力の大きさを実感するのは難しい。ただ、リアルタイムで情報のやり取りができるツールが世界を動かす原動力になりうるということはきちんと理解し、決してデマゴーグのために使われることがないよう、注意を怠らないようにすることが大切だとは思っている。
 
 独裁政権が崩壊し、民主化への道を模索するのは時代の趨勢なのかもしれないが、次のような報道に接すると、言葉を失ってしまう・。 

 『スイス・メディアによるとスイス政府は11日、エジプト大統領を辞任したムバラク氏とその家族のスイス国内の銀行口座を凍結した。金額などは明らかになっていない。
 エジプトでは、ムバラク氏と家族が保有する資産は700億ドル(約5兆8400億円)に上るとの推測があり、国外の秘密口座に大半を隠し持っているとされる。
 スイス政府はチュニジアから国外逃亡したベンアリ前大統領とその家族の口座も凍結。隠し資産を調査している。
 スイスの法律には、銀行の顧客情報の秘密保持が厳しく規定されているため、各国要人や経済界の大物などが秘密資金をスイスの銀行に保有しているとされる』(2011/2/12 共同)

 独裁政権が崩壊すると必ず明らかになるのが、彼らの法外な蓄財である。かつてはフィリピンのマルコス大統領の巨万の富が大きく報道されたが、独裁政権が長期続くと、どうしても各所に淀みが生じ、醜怪さを晒さざるを得なくなるのだろう。国民が日々の生活の糧を得るのに汲々としている時にせっせと蓄財に励んでいれば、国民が離反するのも当然だ。独裁者はその歪みをどう隠すかに心を砕いた挙句、情報を統制し、強権で抑え込もうとするのが常であるようだ。報道によれば、上記の三人も同じ轍を踏んできたようだ・・。
 しかし、そんな恐怖政治を続けていけば、独裁者が信じられる者はごくわずかな取り巻きと家族だけになってしまい、裸の王様状態になってしまう。それこそが現在のカダフィ大佐の置かれた状況であろうが、その末路は歴史を辿れば一目瞭然だ。そんなもの少しでも歴史を学んだ者なら分かりそうなものだが、現代でもその愚が相も変わらず繰り返されるのは不思議で仕方がない。それだけ権力の座は甘美なのだろう・・。

『児孫のために美田を買わず』
これは、西郷隆盛の言葉で、『子孫のために財産を残してもためにならないから、財産を殖やすようなことはしない』という意味である。今更ながら、この言葉をベンアリ、ムバラク、カダフィに送りたいと思う。まあ、自分たちのやってきたことに後悔はないだろうし、日本語も読めないだろうから、まるで意味のないことかもしれないが・・。


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 来月早々の退院に向けて、少しずつ体をならそうと、父は病院内の廊下を散歩するようになった。しかし、スリッパ履きでは歩きにくいのか、それとも2か月近くまともに歩いたことがなかったせいなのか、足指にマメができ、それが潰れて痛いと言った。靴下を脱いで見せてくれたが、確かに左の人差し指の右側にマメが潰れたような跡があって血が滲んでいた。
「薬塗っといたら」
と、肌荒れ用の軟膏を渡したら、大人しく塗っていた。その様子を横で見ていたら、親指の爪がえらく伸びてるのに気付いた。
「爪が指に当たって傷つけたんじゃないの?」
「俺もそうかと思った・・」
「じゃ、詰め切ったげるよ」
「ええわ、そんなもん」
「何言っとるの、切らんといかんよ」
そう言って、引き出しの中にある爪切りを取りだした。
「じゃ、切るよ」
と無理やり言ったものの、父の親指の爪は分厚くて、いかにも固そうだ。長年踏ん張り続けた職人の爪だ。先日コンビニで買ってきた爪切りでは刃の間が狭く、こんなにぶ厚い爪を挟むことは難しい。
「爪が厚いからな」
と、左足を投げ出して新聞を読んでいた父が、すまなさそうに言う。
「こんな安もんの爪切りじゃ役に立たんわ・・」
そう言いながらも何度かに分けて少しずつ切っていけばうまく行きそうだ、と分かった私は深爪にならないよう注意しながら、ゆっくり切り始めた。
 今まで父の爪など切ったことがなかった。父どころか、自分以外の人の爪を切ったのは初めてだった。果たしてどこまで切っていいものやら分からず、半ば当てずっぽうで切って行ったが、父は文句一言言わず、じっと新聞を読んでいた。痛くなかっただろうか・・。親指から小指まで一応左足の爪は全部切った。これなら歩いても爪で皮膚を傷つけることはないだろうと安堵したら、右足の爪も切っておいた方がいいと思いついた。
「右も切るわ」
「まあええわ。右は切らんでも大丈夫」
何が大丈夫なのかよく分からなかったが、こうなると父も頑固だ。押し問答を繰り返しても仕方ないので、
「じゃあ、右はまた今度・・」
と私が折れることにした。まあ、左足の爪を大人なしく切らせてくれただけでも満足・・。
 
 爪くらい自分で切って欲しいとは思うものの、私や妻がサポートしなければならないことが少しずつ増えて行くのも覚悟しなければならないだろう。父が家に戻ってきた日から新たな労苦が始まるのかもしれないが、そんなもの屁とも思わぬ度胸も忘れないようにしなければならない。
 負けられないものね。
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解答

4. (1) 赤いあめ玉がX個、青いあめ玉がY個、白いあめ玉がZ個あるとすると、
A君の食べた赤いあめ玉の数は X×1/3個、B君の食べた青いあめ玉の数は、Y×1/12個、
C君の食べた白いあめ玉の数は、Bの食べた数の3倍であるから、(Y×1/12)×3=Y×1/4個
となるので、3人が食べたあめ玉の合計は、X×1/3+Y×1/12+Y×1/4=X×1/3+Y×(1/12+1/4)=X×1/3+Y×1/3
=(X+Y)×1/3となる。
ここで、はじめにあった赤いあめ玉と青いあめ玉の個数の合計は420個であるから、X+Y=420であり、
ゆえに3人が食べたあめ玉の合計は 420×1/3=140個となる。   A.140個

(2) 3人が食べたあめ玉の数はそれぞれ、C君はB君の3倍、A君はB君の3倍よりも7個少ないから、
線分図をかくと、


 これより、全体の140個に7個を足すと、B君の食べたあめ玉の数の7倍になるから、
B君=147÷7=21、C君=21×3=63、A君=63-7=56、それぞれ食べたことになる。
3人が食べた140個は、はじめにあったあめ玉の数の合計の 5/18であるから、はじめにあったあめ玉の総数は、
140÷5/18=504個。
したがって、白いあめ玉の数は、あめ玉の総数-(赤+青のあめ玉の個数)より、504-420=84個。
このうちC君が食べた白いあめ玉の数は63個だから、残りは84-63=21個。   A.21個


7. (1)CEを延ばした線分とBAを延ばした線分の交点をFとして、大きさの分かる角を書き込んでいくと次のようになる。


△ABDと△ACEは、
 AB=AC、AD=AE、∠BAD=∠CAE=53°で、2辺とその間の角が等しいので合同となり、
∠ACE=45°、∠AEC=82°となる。
したがって、(い)=∠CED=∠AEC-∠AED=82°-45°=37°    A.37°

(2) (1)より、∠ACE=45°、∠FAC=90°であるから、△CFAは、△ABCと合同な直角二等辺三角形であり、
∠F=45°=∠ACF
したがって、△FBCも直角二等辺三角形であるので、CB=CF。
また、BD:CD=5:3 であり、△ABD≡△ACEだから、BD=CE=5、ゆえにDC=EF=3となるから、
CE:EF=5:3となる。
ここで、△FBCの面積を1とすると、頂点の同じ三角形の面積の比は底辺の長さの比に等しいから、
△ABC=1/2、△ADC=△ABC×3/8=1/2×3/8=3/16
また、△FDC=△FBC×3/8=1×3/8=3/8、△EDC=△FDC×5/8=3/8×5/8=15/64
したがって、△ADC:△EDC=3/16:15/64=12/64:15/64=12:15=4:5   A.4:5



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「Dr.パルナサスの鏡」

 日曜日の夜7:40からWOWOWで放映された映画『Dr.パルナサスの鏡』(The Imaginarium of Doctor Parnassus)を見た。妻がヒース・レジャーの遺作だと言うので見る気になったのだが、結局訳の分からぬ映画だという印象しか残らなかった・・。
 一応のあらすじがあるようなので載せておく。

 「数世紀前に悪魔との賭けにより不死の命を手に入れたパルナサス博士は、自分の娘を16歳の誕生日に悪魔に引き渡さねばならなくなり、苦悩していた。彼は自身の率いる、他人の想像の世界を垣間見る鏡の見世物を巡り、パーシーら古くからの仲間とともに興行を続けながら、何とか悪魔との賭けに勝利する手立てを画策していた。そんな折、博士はタロット占いの「吊られた男」のカードが示した、橋の上から吊るされた若者トニーを死から救う。助けられたトニーは商才を発揮して見世物を繁盛させ、博士の助けとなるが、悪魔との賭けのタイムリミットは目前に迫っていた…」

 あらすじなどよりもこの映画が完成された経過の方がはるかに面白い。Wikipediaによれば、

 【製作の背景2007年12月にロンドンで撮影開始。撮影中にトニーを演じるヒース・レジャーが急逝、撮影が中断し一時完成が危ぶまれたが、彼と親交のあったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が別世界にトリップしたトニーを演じることが決まり、撮影が再開された。なお、ヒース・レジャーの出演しているシーンはそのまま使われている。3人は、本作の出演料全額をヒースの遺児である娘マチルダ(当時2歳)に寄贈した。 ヒース・レジャーの代役をテリー・ギリアム監督が探していることを知ったトム・クルーズは自分から出演を申し込んだが、テリー・ギリアム監督は「ヒースをよく理解している本当の友だちに演じてほしい」と断っている】

 しかし、洋画に疎い私では場面、場面でトニーを演じているのが誰なのかよく分からなかった。今になって、ヒース・レジャーとジョニーデップは何となく分かる気がするが・・。

 


 妻は面白い!と言っていたが、私にはちっとも面白くなかった。物語を追えないとか、ストーリーが詰まらないとかいう訳でもなかったが、冗長で退屈な気がしてならなかった。WOWOWだったからよかったものの、映画館で見たらお金を返して欲しいと叫んだに違いなかっただろう。
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待って

 とうとうフィカス・アルテシーマの葉がすべて落ちてしまった・・。ゴジ健さんに助力願ったものの、私の世話が足りなかったのだろう、丸裸になってしまった・・。残念・・。


 これじゃあ、観葉植物とは呼べないなあ・・、と悲しくなるが、果たして暖かくなったら新しい葉がでてくるものなのか、それとももうこのまま枯れてしまうのか、判断がつかない。気に入って買った植物だけに、出来るだけのことはしてやろうと思っているのだが、今しばらくは様子を見守るしかないだろう。
 
 それと反比例するように、アマリリスがやっと成長軌道に乗ったようだ。ここ数日、どんどん大きくなっている。


 アルテシーマの葉が落ちてしまったのは、年明けからの極寒が一番の原因だと思うが、アマリリスの成長が遅れたのも寒さが大きく影響したことだろう。もっと暖かいところで育てていればとっくに開花していたかもしれないが、我が家には都合のいい場所がなかったから仕方がない。日当たりのいいところには置いてあったが、それだけでは全然足りなかったようだ・・。来冬に向けて、何かいい対策を考えなければならないだろう。
 それと同時に、シンビジュウムの花芽もかなり膨らんできた。


 今にも綻びそうだが、そうは簡単にいかない。毎年ここからが長い。待って待って、待ちくたびれた頃にポロリと咲く。今年もまた同じことだろう。でも、やっぱりアマリリスよりも先なんだろうな・・。

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算数問題

 今年の名古屋・東海中学の算数の入試問題は8番まで全部で16問あり、しかもどれもが手応えのある問題ばかりで、とても50分という時間ではこなしきれない受験生が多かっただろう。受験した塾生の答え合わせをするのに百戦錬磨の私でさえ少々時間がかかってしまった・・。
さすが我が母校!と嘯くのも負け惜しみのように聞こえるが、以下に2問ピックアップして、算数勇者の出陣を待とうと思う。


 4. 赤いあめ玉と、青いあめ玉と、白いあめ玉がいくつかあります。A君は赤いあめ玉の個数の1/3 を食べ、B君は青いあめ玉の個数の1/12 を食べました。C君は、B君が食べた個数の3倍の白いあめ玉を食べました。3人が食べたあめ玉の個数の合計は、はじめにあったあめ玉の個数の合計の5/18 でした。はじめにあった赤いあめ玉と青いあめ玉の個数の合計は420個でした。
(1) 3人が食べたあめ玉の個数の合計を求めなさい。
(2) A君が食べた赤いあめ玉の個数が、C君が食べた白いあめ玉の個数より7個少ないとき、残っている白いあめ玉の個数を求めなさい。


 7. 図の三角形ABCと三角形ADEは直角二等辺三角形で、点Dは辺BC上にあります。
(1) 図の(あ)の角が82°のとき、(い)の角の大きさを求めなさい。
(2) BDとDCの長さの比が5:3のとき、三角形ADCと三角形EDCの面積の比を求めなさい。




 なかなかの難問だと思う。
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