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コピー機(3)

 昨日のコピーのこと。
 今まで使っていたコピーが我が塾に搬入された日のことは奇しくも3年前の今日、2月28日の記事にしているから、ちょうど3年間使って替えたことになる。しかし、別にコピーの調子が悪かったわけではない。2週間ほど前にコピー会社から電話がかかってきて、
「新しいのに買い替えてくれませんか」
と言ってきた。私は、ここ15年ほどの間定期的に買い替えていつの間にかリース料が膨らんでしまったコピー機のことがいつも気になっていて、今度はリース期間が満了するまで使いきろうと決めていただけに、「そんなつもりはない」と即座に答えた。だが、さすがにもう10年以上も付き合っている営業さんだけに、私のツボをよく心得ていて、
「リース料は2,000円ほど安くなります」
「いつも通り、1本で約10,000枚刷れるトナーを4本お付けします」
などと、こちらの足元を見るようなことばかり言ってくる。
「確かにトナーはもうそろそろ買わなくちゃいけないけど・・」
「トナーを買ってもらうと25,000円かかりますよ」
「そりゃそうだけど、リースを一回リセットしようと思って」
「そんなこと言わないで、替えてくださいよ」
「う~~ん、もうちょっと安くなったら考えてもいいけど・・」
「塾長センセイとは長い付き合いですから、目いっぱい安くした値段なんでこれ以上は無理です」
「はっきり言うねえ」
「はい、塾長センセイとは駆け引きなしでやってますから」
などと交渉ともいえぬ話をしているうちに、頭の中で算盤を弾いてみた。
(どうしたってコピー機は必要だし、まだまだ塾をやめるわけにはいかない。その間リース料は払い続けねばならないだろうから、2,000円でも安くなる方が得かな・・。それにトナーにお金を使わなくてもいいのは気が楽だ。替えてもいいかなあ・・)
経理を任せている妻に相談しても、私と同じような意見が返って来た。こうなると、あれこれ考えるのも面倒になってくるので、最初の決意はどこへやら、思い切って買い替えることにしてしまった・・。

 だが、新しい機械と言っても、機種は今まで使っていたものと全く同じもの。写真を並べてみてもどこにも違いはない。



 上が古いもので下が新しいもの。よく見ると、上のコピー機は上ぶたが汚れているし、下の方の液晶パネルには透明の薄いビニールが貼ってある。だが、違いといえばそれくらいで、後は寸分違わない。これならわざわざ買い替えなくてもいいのに、という気がしなくもないが、まあそこには色んな思惑が絡んでいるわけで・・。

 また一つ無駄遣いをしたと言われるかもしれないが、無駄を省いてばかりいたら日本経済が立ち行かなくなるだろうから、私が率先して蛮勇をふるってみた。そんなことをやれる状況じゃないことは百も承知だが、ちょっとしたスリルを味わうにはちょうどいいくらいの無駄遣いかもしれない・・。
 でも、少し前と比べれば、本当に節約家になったと思うけどなあ・・。と言うか、無い袖は振れないわけで・・。
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フリー

 「困ったなあ・・」
 朝起きて浅田真央の演技が1時過ぎだというのを知って、どうしようか迷った。1時からはコピーの入れ替えに業者がやってくる予定になっていた。週の初めに電話がかかってきたときは、フィギュアのことなど頭になかったので、「いいですよ」と簡単に返事をしてしまったのが悔やまれる。コピーの入れ替えなど私がいなくても済むだろうが、何枚かの書類にサインをしなければならないようだから、やはり立ち会わなければならないだろう。塾にはTVはないしなあ・・。と少しばかり途方に暮れかけたが、そうだ、ワンセグで見ればいい!!と閃いた。業者の人は古い馴染だから、一緒にワンセグで見たっていい、そうだ、そうしよう!!と勝手に決めてしまったが、もしもの場合に備えて録画予約はしておいた。何といっても世紀の対決だ、見落とすわけにはいかない!!
 1時ちょうどにインターフォンが鳴った。最終組がアップを始めた頃だったので、走って塾まで行った。
「いなくてもいいですよね、フィギュアが見たいんで・・。作業が終わったらインターフォン鳴らしてください」
と勝手なお願いをして、あわてて家に戻った。幸い(?)、書類担当の馴染の営業さんは少しばかり遅れてくるらしかったので、書類を書くのはフィギュアが終わってからでもよさそうだった。ラッキー!!
 家に戻ったら、演技が始まるところだった。ここからは少しのミスでもメダルに影響する。見ている私も緊張してしまうから、選手はどれだけの重圧と戦っているのだろう、想像もつかない。最終組の最初の演技はアメリカの選手。力強さはあるものの、見ている者を引き込むほどの演技ではない。技術と表現力、この二つが揃わないと高得点は無理なんだろう、難しいものだ。
 次は安藤美姫。クレオパトラになりきり、落ち着いて次々とジャンプを決める。4回転のできる安藤にすれば、これくらいのジャンプはお手の物だろうと思いながらも、しっとりした演技にしばし魅了された。しかし、予想に反して得点は伸びない。
「嘘だろう!!」
と私が叫んでみても仕方のないことだが、納得がいかない。SPもそうだったが、安藤には採点が厳しい。美姫ちゃんが可哀そうだ・・。
 いよいよ、キムヨナ。青のコスチュームで金メダルを狙う。もし浅田にチャンスがあるとすれば、キムヨナにミスが出たときだけだろう、と思って見ていたが、そんな私の期待(?)など途中から泡と消えてしまった。完璧だ!!すべてが一分の隙もない。
「キムヨナは神か!」
思わず唸ってしまったが、世界中でTVを見た人の多くが同じ感想を持っただろう。
 この時点で浅田の逆転の可能性はほとんどなくなったように思った。もうこうなったら、順位などどうでもいい、ただ浅田真央が浅田真央としての最高の演技を見せてくれさえすればそれでいい。がんばれ、真央ちゃん!!と心から祈った。
 浅田真央の演技が始まる。固唾をのんで見守っていると、開始早々のトリプルアクセルは2回とも完璧に決めた。すごい!! だが、中盤で少しぐらつき、さらにはジャンプが不完全に終わってしまうという痛恨のミス・・。あ~~あ、と思わずため息をついてしまったが、浅田は持ち直して最後まで素晴らしい演技を続けた。よくやった!!
 だが、演技後の浅田はまったく浮かない顔をしていた。SPでの満面の真央スマイルが消えてしまい、今にも泣きだしそうだ。これだけでもう彼女の無念さが伝わってくる。確かにミスはあった。しかし、「さすが、浅田真央!!」と思える見事な演技だった。
 その後のロシェットは天国の母親に支えられたのか、危ない場面もいくつかあったが、なんとか持ちこたえて、浅田に続く3位の得点。「これで真央ちゃんの銀メダルは確定したな」と私はちょっとホッとして塾に向かった。


「真央ちゃん、銀メダル」
作業を終えても気を利かしてインターフォンを鳴らさず、車の中で待っていてくれた業者の人にそう告げるたら、
「そうですか。残念だけど、よく頑張りましたよね」
と素直な感想を述べた。本当にそうだ、「残念だけど、よく頑張った」、私たちに言えるのはそれしかない。もちろん浅田真央自身はミスしたことが悔しくて仕方がないだろうが、それはまた次の機会に晴らせばいい。

 よくやった、真央ちゃん!!、ご苦労様!!
 もちろん美姫ちゃんも、鈴木明子さんも!!

 
 
 
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ワード・デビュー

 私はワープロとしてオアシスをPCに入れて使っているのだが、少し前からオアシスで作った文章をワードに移しかえようかなと思い始めた。たぶんワードの方が操作方法が簡単で、数式やグラフもオアシスとは比べ物にならないくらい容易に作れるだろう、と思ったのがそもそもの始まりだった。それに、24年度から新指導要領によって教科書が新しくなるから、自作してある英語と数学のテキストも改訂しなければならない。まだ2年あるから、1年くらいかけてワードをある程度使いこなせるように勉強しておいて、24年度からの新しいテキストはワードで作ることにしよう、などと長期計画を立ててみた。楽なことではないのは分かっているが、それくらい時間に余裕があれば、なんとかなるかもしれない・・。
 だが、私は今までほとんどワードを開いたことがない。エクセルは塾の経理で使っているから少しは使えるが、ワードは全くの門外漢だ。果たしてマニュアル本も持っていないのにうまくいくだろうか。少しばかり不安な気もするが、やってみなくちゃ分からない。そこでまずはワードを開いてみることにした。 だが・・、
 えっ?2002年版?古すぎない?
ワードなど気にも留めたことがなかったので、開けてみて初めて驚いた。最初の自分専用のPCを買ったのが2002年だから、その時は最新版だったのだろうが、今となってはいくらなんでも古すぎる。でも、待てよ、新しい方のPCにもワードは入っているはずだから、それはいったい何年版だろう?・・・調べてみたら、Microsoft Office 2007 が入っていた。ならば、とバックアップ用のCDを探してみたら、すぐに見つかった!!じゃあ、このCDを使って古いほうのPCに2007年版をインストールすればいいんじゃないだろうか?
 しかし、困ったことに、古いPCのCDドライブは調子が悪い。1年前に新しいPCを買ったのもそれが原因だったはずだ。無理かな、動いてくれないかな・・。そう思いながら恐る恐るCDを挿しこんでみたところ、やっぱい動かない。だが、諦めずに何度も繰り返すうちに、時々ウンウンとディスクが動くようになってきた。ひょっとしたら、としつこく試すうちに、どういう拍子か、画面が切り替わってOffice 2007 のインストールの表示になった。ラッキー!!
 それからはさほど時間もかからずに無事インストールが完了した。
 そこで早速オアシスから英語のテキストを移しかえることにした。そのために私が考え付いた方法。
 1.ワードを立ち上げておいてから、次にオアシスを立ち上げる。
 2.オアシス上でワードへ移す文章をコピペする。
 3.オアシスを消し、ワードの画面に戻って、レイアウト設定の画面で用紙の大きさ、文字数・行数などを設定し直す。
 4.ワードのページ上で、コピーしたものを貼りつける。
これこそ、私流の「オアシスからワードへの文章を引越させる最善の方法」だと思っている。(もっとスムーズなやり方があるのかなあ・・)
 だが、そうは簡単にはいかなかった。ある程度は予想したものの、思った以上に大きく文字がずれてしまった。
 「これじゃあ、きちんと並べ替えるのに相当な時間がかかるだろうな・・」とまた新たな面倒をしょい込んだような気がしていやな気分になった。だが、文字だけは遺漏なく移すことができたようなので、それだけでもかなり楽になるはずだ。まあ、レイアウトは後で直すことにして、とりあえずは中1のテキストだけでも先にすべて移してしまおうと、頑張ってみた。
 すると、案外早く中1の英語のテキスト全文を移しかえることができた!!最近は集中力が欠けて、思わぬ失敗をすることがよくあったが、この時ばかりは久方ぶりにかつての集中力が舞い戻ったのか、最後まで全く間違えずにやり通すことができた。嬉しい!!単調な作業だが、まだ2年3年の英語のテキストも移さなくちゃならないから、上に箇条書きした「移しかえる方法」だけはしっかり頭の中に叩きこんでおかねばならない・・。
 
 移しかえる合間に少しばかりワードで入力してみたが、アンダーラインや罫線の引き方をマスターするまでかなりの時間がかかった。オアシスに慣れ親しんできた身には時々辛くもなるだろうが、ワードでの文書作成に少しずつ慣れていきたいと思っているから、しばらくは我慢の時間が続くだろう・・。大変だ。
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ショートプログラム

 朝起きてすぐに携帯で確認した。「負けたのか・・」スウェーデンに6-10・・。これで予選リーグ敗退が決まってしまった。
 ロシアに勝って3勝2敗とした時点では、「いけるかもしれない」と思ったものだが、その後ドイツ、スイス、スウェーデンに3連敗し、最終試合のデンマークにも負けて、結局通算3勝6敗となってしまい、10チーム中8位の成績でクリスタルジャパンのオリンピックは終了した。確かにドイツ戦あたりから、ショットの精度が悪くなり、終始押されっぱなしの試合展開で負けてしまうことが続き、実力が不足しているのかな、と思わないでもなかった。また8日間に9試合も戦わなければならないハードスケジュールでは、最後は体力の違いが出てしまったような気もする。世界レベルの試合経験も不足しているようだ・・。だが、そうした敗因分析は私の仕事ではない。ただただ俄かカーリングファンとして、声援を送り続けた私にとっては、カーリングの面白さと難しさが十二分に分かった8日間であった。と同時に、カーリングに熱い思いを抱き、オリンピックのために日夜努力してきたクリスタルジャパンのメンバー一人一人のひたむきさが、十二分に伝わって来た8日間でもあった。一生懸命頑張ったメンバーたちにご褒美として正午からの最終試合は勝たせてやりたかったが、TV中継もされなかったのでは、応援のしようがなかった・・。
 

 それも昨日は仕方のないことだろう。なぜなら昼過ぎから浅田真央と安藤美姫がフィギュアのショートプログラムに出場するのだから。何と言ってもフィギュアは冬季オリンピックの華だ。男子で銅メダルを獲得した高橋大輔のスケートにも釘付けになったが、さすが地元出身だけあって、浅田真央と安藤美姫には一段と熱が入る。当然のように昼食は適当に済ませて、TVの前にでんと座って、二人の演技を待った。
 まずは浅田真央。ウォームアップの時から顔が強張っているような印象を受けて、少し心配したが、史上初のトリプルアクセルを難なく成功させると顔の表情も和らぎ、いつもの浅田真央に戻ってほぼ完璧な演技を見せた。終わった瞬間小躍りして喜ぶ真央ちゃんを見ていたら、私までもがホッとした。それにしても19歳の女の子が背負った重圧はいかほどのものだったろう。それを見事押しのけての演技には、73.78という本人も驚くほどの高得点がついた。素晴らしい!!


 ものすごいどよめきが会場を包んだが、そんな中演技を始めたキムヨナはいたって落ち着いていた。
 「憎たらしいほど冷静だよな・・」
浅田真央とほぼ同じ体型だと言われているが、手足のしなやかさでは一段上のように見えた。こちらもパーフェクトな演技を見せ、会場全体がキムヨナに称賛を贈る。
 「真央ちゃんよりいいかなあ・・」と私が聞くと、妻は、
 「私は曲に合っていたのはキムヨナの方だと思う」と答えたが、結果はその通りの78.50というものすごい点。浅田真央との差は4.72、両者とも持ち味を出し切っての得点だから納得しているのだろうが、果たしてこの差をフリーで真央ちゃんは逆転することができるだろうか。(フリーの滑走順が今度はキムヨナ、浅田真央と続いているのは何やら因縁めいている・・)


 などと妻と議論を交わしているうちに安藤美姫が登場してきた。「最終滑走は緊張するだろう」と言っていたものの、顔を見る限り、自信に充ち溢れたいい表情をしていた。しかし、ジャンプで小さなミスがあり、回転数不足と判定されてしまって、64.76の4位となった。3位は先日母親を突然亡くしたばかりのカナダ人選手ロシェットが71.36で入り、安藤はその差6.6と、少しばかり離されてしまった。果たしてこの差を安藤が逆転できるかどうか、事情が事情だけにロシェットにもメダルを獲得してもらいたいが、安藤もこの4年間たゆまぬ努力を続けてきただろうから、ここで花を持たせてやりたい・・。

  

 果たしてフリーの演技で誰が最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう。私はショートプログラムの演技を終え、得点発表を待つ間に、TVカメラに向かって「エアロ、真央だよ」と愛犬に呼び掛けていた浅田真央の天真爛漫さが思わぬ力になると思っているのだが。
 
 楽しみだ!!


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「日本辺境論」

 内田樹「日本辺境論」(新潮新書)を読んだ。と言っても読み終わったのは、一週間以上も前のことであり、一冊本を読み終えたら、印象が鮮明なうちにその感想をこのブログに書き留めておくのが習慣となっている私にしてはずいぶん間が空いてしまった。勿論、オリンピックなど記事にしたいことがたくさんあったのも一つの要因だが、この書自体に感想を書き記すのが何となく億劫にさせるものがあったように感じる。決して面白くなかったわけではない。相変わらず内田センセイの筆は滑らかで読む者をぐいぐい引っ張っていく。怠け者の私であるから一気に読み通すことはできなかったが、それでもここ最近の私にしては珍しく短期間で読み終えることができた。

 「ここではないどこか、外部のどこかに、世界の中心たる「絶対的価値体」がある。それにどうすれば近づけるか、どうすれば遠のくのか、専らその距離の意識に基づいて思考と行動が決定されている。そのような人間のことを私は本書ではこれ以後「辺境人」と呼ぼうと思います」(P.44)

という定義によって、「日本人は辺境人である」と規定し、

 「私たちに世界標準の制定力がないのは、私たちが発信するメッセージに意味や有用性が不足しているからではありません。「保証人」を外部の上位者につい求めてしまうからです。外部に、「正しさ」を包括的に保障する誰かがいるというのは「弟子」の発想であり、「辺境人」の発想です。そして、それはもう私たちの血肉となっている。どうすることもできない。私はそう思っています」(P.100)

とまで言い切っている。そう言われれば、己の身にも当てはまることがままあるなあ、と思いながらさらに読み進めていくと、最後になって、

 「その点では、私たちがしてきたこともそれほど奇矯なふるまいではありません。ただ、私たちは華夷秩序の中の「中心と辺境」「外来と土着」「先進と未開」「世界水準とローカル・ルール」という空間的な遠近・開化の遅速の対立を軸にして、「現実の世界を組織化し、日本人にとって現実を存在させ、その中に日本人が自らを再び見出すように」してきた。その点が独特だったのではないか。(中略)
 さしあたり私たちにできるのは「なるほど、そういうものか」と静かに事態を受け止めて、私たちの国の独特な文化の構造と機能について、できる限り価値中立的で冷静な観察を行うことではないかと思います。とりあえずそこから始めるしかない」(P.245)
 
と結論付けているのだが、そこに至るまでの論証は、司馬遼太郎、丸山真男、親鸞、ハイデガー、レビストロースなど、まさに古今東西の碩学からの引用を基にして組み立てられていて、その過程には些かの淀みもない。ここまで来るとまさに名人芸だと、センセイの力量にただただ感服するばかりだ。
 だが、内田センセイを初めて読んだ時の高揚感は味わえなかった。あとがきでセンセイはこの書を「私家版・日本文化論」と名付けてもよかったと書いているが、そう言えば私、「私家版・ユダヤ文化論」は中途で挫折してしまっている。あの本も読んでいる間は、知的刺激を受け、「ほお!」と感嘆した箇所も多々あったが、一旦書から離れてしまうと余りに私の暮らす日常からかけ離れてしまっていて、いくら理路整然と語られても単なる知的遊戯にしか見えなくなってしまい、次第次第に遠ざかってしまい、今は書棚に打っ棄ってある。「日本辺境論」からも同じような感覚は受けたが、扱っている題材が自分も含めた日本人論であったために挫折することなく、なんとか最後までたどり着けたのではないだろうか・・。
 
 などとへ理屈をこねてみたところで、要するに知的冒険をするには、私はもう余りにも世間ずれしてしまったということなのだろうか。それとも、内田センセイが余りに浮世離れしてるってことかな。いやまさかそんなことは・・。
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くっきり

 1月28日に「職人技?」と題して、折れた眼鏡のフレームを修理したことを記事にしたが、残念ながら素人技でしかなかった・・、また折れてしまったのだ。接着剤でうまく繋がったと思っていた箇所が剥がれてしまったのだから、前と同じように接着剤でひっつければいいやと思ったのだが、2度目になるとやはり馴れが生じてしまったのか、ふとした瞬間にフレームに付けた瞬間接着剤がレンズに垂れてしまった。「あっ!」と慌てて拭いたののの、さすが瞬間接着剤、レンズに跡が残ってしまった・・。こうなったらもうどうしようもない、下手に削ってもレンズを傷つけるだけだろうから、諦めるしかないだろう。折角修理したのにもうこれが限界なのだろう・・。
 それが金曜日の夜のこと。土曜は一日塾なので、眼鏡を買いに行っている暇などなかった。塾の授業は老眼鏡があるから大丈夫だが、車の運転は裸眼でいくしかなく、かなり見づらかった。いつもの何倍も注意して、なんとか乗り越えられたが、さすがにこれ以上眼鏡なしでは辛い。そこで日曜日、塾が終わるとすぐに眼鏡を買いに行った。
 安売りをしているメガネ屋に行こうかな、とも思ったが、普段かける眼鏡はやはりきちんと視力検査をしてくれるメガネ屋に行った方がいいのではないか、と思いなおして、少々値が張るのは我慢することにした。で、出かけたのは名古屋地区では老舗のキクチメガネ、壊れた眼鏡もそこで買ったものだった。
 
 思った通り、懇切丁寧に視力検査をしてくれた、もういいよ、と言いたくなったくらいに・・。だが、そのおかげで自分の目について知らなかったことをいくつか教えてもらった。まず1つが、乱視が入っているとのこと。「乱視だとどうなるんですか?」と尋ねたところ、「物がずれて二重に見えます」と担当してくれた初老の店員さんが教えてくれた。自分ではまるで意識したことはなかったが、そう言われてみれば普段からそんなことがあったような気がした。「記録を見ると以前にも乱視気味だったようですが、乱視の度合いは進んだようですね」と言われても、どうしたらいいのか分からず「はあ・・」と答えるしかなかったが・・。
 視力は右目が0.1、左目が0.2なのだそうだ。そんなに悪いとは思っていなかっただけにちょっとびっくりした。明るい時はさほど苦にはならないが、暗くなると途端に視力が悪いのを実感するので、視力がそれくらいであっても当たり前なのかもしれないとは思うが、いつの間にこんなに悪くなったのだろうと、不思議に思った。
 それと、私は右目が「利き目」なのだそうだ。検査の途中で、右目で見るよりも左目で見た方が明るく感じたので、「何故?」と店員さんに尋ねてみたところ、「右目が利き目だからです」と、当然だと言わんばかりの口ぶりで教えてくれた。「その理由は?」と聞き直したい気もしたが、話が長くなっても面倒なので我慢した。
 
 そんなこんなで出来上がった眼鏡がこれだ。 


 遠近両用の眼鏡にすると、レンズの幅が広くなくちゃいけないようだが、この眼鏡は近視用のレンズを入れるだけなので、細くてもよかった。かけてみて一番お利口そうに見えるフレームにしたつもりだが、派手でも地味でもなく、ちょうどいい感じのデザインだと思う。
 この眼鏡をかけて色んなものがくっきり見えるのには驚いた。この眼鏡と比べれば、今までの眼鏡のレンズがどれだけくすんでいたのかがよく分かった。メガネ店で聞いたところによると、壊れた眼鏡は10年ほど前に買ったものだそうなので、レンズも相当傷がつき、曇っていたのだろう。中でも一番びっくりしたのは、テレビを見た時だ。地デジがきれいに見えるのにはだいぶ慣れてきたが、昨日新しい眼鏡をかけて見た地デジ放送は、今までとは比べ物にならないほどクリアな画面で、驚くほど鮮明だった。「すごい!!無茶苦茶きれいだ!!」思わず声を張り上げてしまったほどだった。
 
 「見えすぎちゃって困るの~~」などというCMソングがはるか昔に流行ったが、本当に見えすぎて困っちゃうほどの眼鏡だ。というよりも、今までよくあんなに薄汚い眼鏡で我慢が出来たものだと、逆に感心してしまった・・。
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初めまして!!

 寒い日がずっと続いていた。暖冬だとか地球温暖化だとか、あれこれ騒ぎ立てたところで、寒い日がこれだけ続くと、「何言ってるの?」という気がしなくもない。まるで地球の運命をこの手に掌握したような見解など、人間ごときには分不相応だ、などと世の趨勢に逆行するような憎まれ口を叩きたくなる毎日だった。
 そんな天候が影響したのか、シンビジュウムの蕾もなかなか開かなかったのだが、先週末になってやっと開いてくれた。

 

 長い間待たされたから、とても有り難味を感じるが、よく見れば例年となんの変哲もない花弁であり、目新しさはどこにもない。だが、例年と同じように咲いてくれることこそが何よりもうれしく、大して世話などしない私でも、こうやって毎年咲かせることができるのは母の遺品をずっと守ってこられた気がして、少しばかり誇らしく思う。
 
 シンビジュウムに待たされるのは毎年のことなので、気にもならなかったが、庭に植えた雪割草がなかなか咲かないのには、どうしたものかと心配していた。なので、2月になって蕾を付け始めたのを見つけた時は、本当に嬉しかった。

 


 ところが、ここからが長かった。蕾の隙間から白や赤の花弁は認められるものの、どうしても咲いてくれない。寒さが影響しているんだな、と毎朝送られてくるウエザーニュースに注目していたのだが、昨日赤と白の花弁がやっと開いたのを見つけた!!

 

 なんて可憐な花なのだろう。こんなに小さな花だとは思っていなかっただけに、余計にいとおしく見えるのかもしれない。小さいながらも花弁、おしべ、めしべがきれいに並んでいる姿がいい。雪割草という名から受けていた寒さに負けない力強いイメージとは違って、春を告げるファンファーレを奏でるような風情をもった清新な花だと思った。直径1cmほどの小さな花ではあるが、これほどの可憐さを持った花なら、もっともっとたくさん植えたいと思う。年が新しくなったら福寿草、つなぎに水仙をはさみながら、雪割草で一気に春めいた庭先を作り上げる・・、そんな園芸家としてのプランも組み立てたくなるほど、可愛らしくて仕方のない花だ。
 何気なく植えた花がこんなにもきれいだと本当にうれしい・・。
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カーリング

 カーリングが面白い。第1戦の対アメリカとの試合を初めて見て以来、カナダ、中国、イギリスとの試合をずっと見てきた。4戦終わって2勝2敗という成績は、決勝進出が十分狙えるものであり、今後の戦いにますます期待がかかる。
 が、何といっても私はカーリングのことはほとんど知らない。4戦見てきて次第にルールも分かりかけてきたが、まだまだ分からないことが多い。そこで、この際カーリングについての基礎知識を学び、今後の応援につながるようにするべきだろうと、少しばかり勉強してみることにした。

 【チーム構成】
 カーリングの競技は、「スキップ(主将)」「リード」「セカンド」「サード」の4人1チームで行う。スキップは投球者とスウィーパーに対してゲームの状況にあった作戦を指示し、投球コースや場所をブラシで示して意思を伝える。今度のオリンピック代表チーム(チーム青森)で言えば、「スキップ」は目黒萌絵、「リード」は石崎琴美、「セカンド」は本橋麻里、「サード」は近江谷杏菜の各選手である。(写真左から)

   


 スキップのたてた戦術に従って、投球者がストーンを投げると、残りの選手のうちの2人が、スウィーパとしてブラシ(またはブルーム)で氷面を掃く(スウィープするという)。スウィープすることによって氷面をわずかに溶かし、ストーンの滑りをよくし、より遠くまで真っ直ぐ滑るようにする。
 【試合方法】
 リード、セカンド、サード、スキップの順で相手チームと交互に、ひとりがストーンを2回氷の上を滑らせる。2チームでストーン16個を投げて1エンド(1回戦)とする。これを10エンド(10回戦)行い、競技時間は約2時間40分かかる。(1エンドは約15分)
 1エンド目はコイントスで先攻、後攻を決めるが、2エンド目からは前のエンドで得点をいれたチームが先攻となる。(後攻の方が有利で、ラストシーンでの一発逆転があったりする)
 【得点】
 得点は両チームがストーンを投げ終わった時点で決まる。ハウス(円)の中心に最も近いストーンのチームがそのエンドの勝者になり、勝ったチームの得点は相手のチームのストーンよりさらに中心に近いストーンの数だけ得点となる。(相手チームは0点) 
(例) 
  

白1-0黒           白1-0黒            白2-0黒

【道具】
*ストーン・・スコットランド産の花崗岩を使用していて、重さは約20kgもある。
*専用シューズ・・片方の靴の底には、非常に滑る素材が使用され、体重を乗せたまま滑っていくことができる。
*ブラシ・・ストーンの進む方向を調整したり距離を3~4m伸ばすことができる。ブルームというホウキのような物を使うこともある。
 


 よし、これで基礎知識はばっちりだ!!あとは少しでも多く試合を観戦することによって、少しずつ知識を広めていくだけだ。でも、目黒選手のアピールポイントが「大自然育ちの逞しさ!」なんてことは余計な知識かな・・。

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天下一品

 17日水曜日の「シルシルミシル」(TV朝日系)が、私の大好きなラーメン店「天下一品」を取り上げていた。『屋台ラーメンが「天下一品」になるまで』と番組HPに紹介されている「天一」の沿革を以下にコピペしてみる。

 『現在、全国に212店舗とハワイに展開中の「天下一品」は年商200億円以上のラーメンチェーン店。そんな「天下一品」を築き上げたのは、「天下一品」グループ代表の木村勉。
昭和46年、立ち寄った屋台のラーメン屋の店主がみんなおじいさんであることに気づいた木村は、自分なら若くて勢いのあるラーメン屋ができると確信し、屋台を始める。屋台の材料は拾ってきたものの寄せ集め、ラーメンの技術は周りの屋台の人に教えてもらいながら始めた。最初は特色のない普通のラーメンでなかなか売上げが伸びなかったが、スープの研究を重ね、4年後、究極のこってりスープが完成!その間、様々な問題に巻き込まれながらも、1975年京都市左京区に「天下一品」1号店を開業し、店は大繁盛となった』

 大学生の頃、北白川のビルの一階にある「天下一品」1号店にはよく行った。私が大学に入学したのが1977年だから、私が通った頃はまだまだ草創期の時期だったのだろう。店内はいつも満員で、深夜にもかかわらず熱気で溢れかえっていた。その頃は刻んだネギがざる一杯に山盛りになっていて、いくらでもラーメンにのせて食べることができた。そんなラーメン屋に一度も行ったことがなかった私は、一度でこってりスープの濃密な味に魅せられてしまった。私が京都にいる間は、まだチェーン展開などしていなくて、北白川に行かなきゃ天一のラーメンは食べられなかった。
 大学卒業後はしばらく天一のラーメンを食べたことはなかった。だが、あのこってりラーメンの味を忘れることはできず、初めて名古屋で天下一品の看板を見つけた時は驚いてしまった。「あの天一が全国展開?まさか・・」と思ったものの、その後まもなく、隣の市に「天一」が開店したのを知った時は、取るものもとりあえず食べに行った。久しぶりに食べたこってりラーメンは長い時を経ても学生の頃のままで、思わず胸が熱くなった。「うまいなあ・・。やっぱり天一のラーメンは最高だ」と、それからは今に至るまで、ずっとその店に通い続けている。

 シルシルミシルではそのこってりスープの謎に迫っていた。

 『「天下一品」の代名詞「こってりスープ」は、鳥と11種類の野菜を煮込んだものだというが、その詳細は企業秘密。しかし、スープ材料野菜11種類中6種類だけ教えていただくことができた。その野菜は、長ねぎ、玉ねぎ、にんじん、にんにく、しょうが、かぶ』

 この他に何を使っているんだろう?などと私が考えてもまるで分らないが、その番組に出演した社長が、2月18日から20日までの間、注文時「シルシルミシルを見た」と言えば「こってりラーメン」&「あっさりラーメン」を店頭価格から200円引きする、と言うのを聞いたとき、これは絶対に行かねば!と決めたのだが、昨日金曜日その思いを果たした。
 いつもはさほど混んでいない店が昨日は並んで待っている人がいるほどの盛況で、TVの影響はすごいなあと感心した。この店は夫婦二人だけで切り盛りしているため、これだけ客が殺到するとなかなかラーメンが出てこないのでは、と心配していたが、思ったよりも早く運ばれてきたので、さすがベテランだ!と夫妻の手際の良さに感心した。私が注文したのは、大盛りを越えた「特盛り」。いつもはこれにネギをトッピングしてもらうのだが、昨日は客が多すぎて、ネギが不足してしまったらしく、その注文は受け付けてもらえなかった。


 忙しさで目が回りそうなほどなのに、私たちに気を使って、「ネギ、すみませんね」と夫妻それぞれに言われてしまうと、かえってこちらが恐縮してしまう・・。
 それにしてもTVの威力は相当なものだ。私が食べている間にも続々とお客がやってきて、誰もが「シルシルミシルを見ました」と注文時に告げていた。その様子を見ていたら、4月から放送関係に就職する娘のことが思いやられた。こんなに影響力を持っているのだから、いい加減な気持ちじゃやっていけないぞ、と言ってやりたくなった。
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チョコ(2)

 11→10→4ときて、今年は6。これは何の数字かと言えば、バレンタインデーにもらったチョコの数。このブログで記録し始めたのが2007年からだから今年で4回目になる。以前はそんなにもたくさんもらっていたのか、と改めて驚いたが、今年は去年よりも若干増えたから、私の人気も回復傾向にあるのかな、などとアホなことを考えてしまう。バレンタインのチョコが多ければ人気者の証などと考えるのは、旧タイプの人間のような気がしなくもないが、もらえないよりは1つでも多くもらった方が、いくら義理チョコとはいえ、男として嬉しいに決まっている。そこで、感謝の気持ちを込めて、例年のようにもらったチョコの写真を以下に載せてみる。

 

 まずは女子高生が作ってくれたチョコレートケーキ。ハートの形の入れ物が可愛らしくて、いかにもおいそうな外見だが、実際に食べてみたら本当においしかった。お料理教室に通っていると小耳にはさんだ気もするから、食べ物づくりに興味がある女の子なのかもしれない。

 

 

 驚いたことに塾生からもらったチョコやクッキーはすべて手作りだった。少し前までは市販のものが多かったのに、今年はみな時間をかけて作った物をくれたようだ。特に私のために作ったものではなく、誰かのために作った余り物をくれたのだろうが、それでもやはり手作りのものは嬉しい。しかも、どれを食べてもおいしかったのだから、少しばかり感激した。

 

 これは妻が東京で買ってきてくれたチョコレートケーキ。日曜の夜遅くに帰ってきて、バタバタしながら「はい、これ」と言って渡してくれ。「うん、ありがとう」と言って受け取ったものの、自室に持っていくのを忘れて火曜の朝までテーブルの上に置いままにしておいたものだから、妻がキレて、「来年からはもう二度と買わない」とものすごい剣幕でまくし立てた。慌てて、すぐに封を開けて1つ食べた。残りの1つは昨日食べたが、本人いわく、時間をかけて探したものだけあって、おいしかった。「ありがとう」とくどいくらいに繰り返したら、徐々にご機嫌が戻ってきたからホッとした・・。

 教訓:「すぐ食べよう、妻からもらったバレンタインチョコ」
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