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大須

 日曜日清洲城を見学した後、昼食を食べようと車を走らせた。とりあえず名古屋駅方面に行けば店はすぐに見付かるだろうと思っていたが、ところがどっこい、めぼしい所がない。「どこかないか?」とキョロキョロしているうちに名古屋駅に着いてしまった。車を停めて地下街かデパートでおいしそうな所を探せば簡単だが、それも何だか億劫だ。駐車場のある店を見付けるのが一番だとさらに車を走らせた。
伯母は車窓に広がる都会の景色に少し興奮したようで、「ここは昔・・」とあれこれ解説してくれたが、その話が面白く、聞き入っているうちに、大須近くの交差点までやって来た。
 「これを曲がったら大須観音」
妻が説明すると
 「大須観音ねえ・・」
と懐かしそうにする。
 「若い頃はよく来たもんだけど」
 「行ってみる?」
私が聞くと
「万松寺の商店街でご飯を食べようか」
 伯母のこの一言で決まった。信号を右折してすぐの所にあった駐車場に車を停めた。

 

 大須といえば、アメ横ビルがあり、PC関係の店がずらりと並ぶ、謂わば「名古屋の秋葉原」といったイメージが私には強かったが、どうにも様子が違う。確かにそうした店はあるし、PCオタクっぽい人たちも大勢歩いているが、それよりも目立つのはファッション関係の店とそこを目当てに集まってくる若者たち。
 「変ったなあ、もう5年以上来たことがなかったからなあ・・」
 様々なファッションを身に纏い、闊歩する若者たちを見ているだけでも楽しいが、なにせこんな人ごみの中を歩くことが少ない田舎暮らしの身だけに、うぐに人いきれにあてられてしまい、人でごった返す商店街を歩くのがイヤになってしまった。伯母も自分の記憶とは余りにかけ離れた町の様子に驚いたようで、おっかなびっくりの顔をしている。
 「もうどこでもいいね」
と言いながら、適当に入った中華料理屋で少しばかり遅い昼ご飯となった。それでも運良くおいしかったからよかったものの、不味かったらただただ疲れるために立ち寄ったことになるところだった・・。
 だが、こういう場合でも常に元気なのは我が妻だ。昼食後、駐車場まで戻る間に、TVで見たことがあるという店をいつの間にか見つけて、買い込んできた。

 

 ご飯を豚肉で巻いたおむすび、「とんむす」。しょうゆベースのタレで、ご飯と豚肉の表面にゴマをまぶし、サニーレタスが添えられている。
 「今食べたばかりだろう」
と難詰する私など無視して、一口二口頬張っている。
 「おいしい?」
呆れてたずねた私に
 「う~ん、おにぎりの中に豚肉を入れた方が私にはいいかなあ・・」
それじゃあ、てんむすと同じだろう、と思ったがいらぬ波風を立てる必要はないから黙っておいた・・。
 
 しかし、ほんの駆け足だったにもかかわらず、妙に疲れた大須めぐりだった。
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